本書は,ジェホヴィの息子トールの周期を記した『トールの書』と同時代に記された書です。
『トールの書』が上天と下天について述べているのに対し、いわゆる『主神の書』は、下天と地球について記しています。
両書はいずれも、同一の時代・同一の周期を扱ったものです。
【1章】
- 祭壇や神殿、偶像や肖像、描かれた御印や彫られた言葉によって、
神は、ある世代の知識が
次の世代へと受け継がれることを予見しました。
これらはそれ自体が実体そのものではありません。
書かれた言葉が、音声そのものではなく、
語られた思想の像であるのと同じです。
このような象徴を通して、
神は生きた真実を伝えようとしたのです。 - 神は言いました。
「見なさい。
私は聖なる民とともに、
書き記された言葉の中に自らを据えました。
そしてそれは実現し、
地上のすべての人種が、
やがて私を知ることになるでしょう」 - 神は人間に、石や木で像を作り、
またあらゆるものを刻み表すよう命じました。
人間は自らの知識に従って、それらを作りました。 - 神は言いました。
「すべての生き物に名があるように、
その肖像や彫像にも同じ名が与えられなければなりません。
それは地上のもの、水中のもの、空中のものに至るまで同様であり、
像や刻印は、実在のものと同じ名を持つべきです」 - 神は天使たちを人間のもとに遣わし、肖像や彫刻の制作について霊感を与えました。
こうして人間は、神の命令を成し遂げました。 - これらは洪水以後に記された最初の書き物であり、
イヒン人の間で秘匿されていたものを除けば、最初の文字でした。
その書き方は次のようなものでした。 - 人の絵は人であり、
木の絵は木であり、
鳥の絵は鳥でした。
すべては、それ自身の名と姿によって表されていました。 - すると神は言いました。
「もしあなたが槍の絵を描いたなら、
それは槍です。
そして、人が進むべき方向を示したいと望むなら、
槍の形を彫像に加えなさい。
その槍が指し示す方向こそが、
人の進むべき道となるでしょう。
このようにして、
地上と天界にあるすべてのものの“進み方”を表しなさい」 - こうして人間は、地球のあらゆる地域で”書き記す言葉”を作り出しました。
それは多くの人々によって行われ、
神の光が注がれた分だけ、
何千もの人類の部族が、
それぞれの書記言語を完成させました。 - 神は言いました。
「これは地上の心象によって作られているゆえ、
『パニック言語(アセオガ)』と呼ばれます。
後の時代、誰であれ、
人間が最初に書き記した言葉を探し求めるなら、
地上のもの、水中のもの、そして空中のものの絵へと
立ち返ることになるでしょう」 - 神は言いました。
「かつて人間が、自ら語った言葉や発した音に従って、
すべての物に名を与えたように、
トールの時代には、地上と天界にあるすべてのものが、
書き記す言葉によって表されるようになりました」 - 人間は、あらゆるものの名を書き記しましたが、ただ一つ、自らの創造主の名だけは書きませんでした。
- 神は言いました。
「それもまた、書きなさい」
すると人間は問いました。
「主神よ、どのようにして創造主を表す言葉を見つければよいのでしょうか?」 - 神は言いました。
「私は地上に多くの部族を起こしました。
見なさい、
彼らは創造主を除くすべてのものに名を書き記しています。
さあ、創造主の名もまた同じように書きなさい」 - 人間は言いました。
「おお、神よ。
私は、すでに名を与えたもの以外の名を知りません。
もし創造主の声を聞くことができ、
あるいはその姿を見ることができるなら、
その御名を書くこともできましょう」 - 神は言いました。
「あなたたちは、見たこともない風に
『ウシュ!(wh-sh!)』と
名を与えたではありませんか。
それゆえ、見えなくとも創造主に
名を与えることができるはずです。
その御名は、遠くにあるものも近くにあるものも、
見えるものも見えないものも、
すべてを包み込むのですから」 - そこで人間は円を描き、それを「O」と呼びました。
それは、始まりも終わりもなく、
その内にすべてを包含するものを表していました。
次に人間は、東から西へ進む光を表すため、
円を東西に切る一本の線を引きました。
さらに人間は、下から上へ向かう線を引き、
先の横線と直角に交差させました。
それは、下から上へと永遠に続く、
万物に共通する一本の道を表していました。
最初の線を、人間は「E」と呼びました。
それは、木の葉を吹き抜ける風の音と同じであったからです。
しかし、二本目の線は、
万物を二つに分かつ見えない軸を表すものとして、
「IH」と呼ばれました。 - 人間はその彫刻を完成させると、
これを「エオィヒ(E-O-IH)!」と呼びました。 - 神は言いました。
「この象徴の中に、
あなたは”真の正方形(真の十字)”と、
世界の四方へ至る道を見出したのです」 - 「この御名とその心象は、
ラブバとあなたの神との間で秘しておきなさい。
それは地上において聖なるものであるがゆえに、
声高く唱えてはなりません。 - あなたとあなたの創造主との間には、
天と地の主神であるあなたの神が立っています。
見なさい。
私は生と死の鍵です。
あなたの主神であるこの私を通してこそ、
あなたは天界と地上にある
すべての謎を解き明かすことができるのです。 - 私のラブバも、私の預言者たちも、
神である主神を除いて、
いかなる霊魂の名を呼んではなりません。
私が物質的にもたらした言葉は、
すでに天界に記録されています。
人間がその記録を改変したり、
上なるものに合わせて作り変えることはできません。
しかし、時の流れの中で、
私は先見者や預言者を備え、
彼らを通して、
定命の者たちに天界の事柄を示すことはできます。 - このことを、私はあなたのためにジェホヴィに語りました。
すると、こう仰せになりました。
『人は、自らの上に置かれたあなたの手を感じ取り、
自分に注がれているあなたのまなざしを思い起こすでしょう。
人は、自分の内に宿るあなたの叡智を求め、
目の前に与えられているあなたの善きものに感謝するでしょう。
また、人は、
あなたを否定する者たちのわずかな善を見極め、
自らを“自作自演”と誇る者たちのうぬぼれを見抜き、
あなたの栄光ではなく他者の栄光を語ることの愚かさを理解するでしょう。
これらすべてをわきまえることこそが、
叡智を獲得した証なのです』と」
【2章】
- 主神は地上の人間のもとに降り、
二つの方法によって人に語りました。
一つは、人が語るのと同じ声によって。
もう一つは、霊魂によって、
魂が精神に応える方法によってです。 - 主は言いました。
「人間の声とは、
”動いている空気”です。
人は口を通して、
知っている言葉を発声します。 - しかし、声の背後に、
動いている空気の背後に、
声を発する口のさらに奥に、精神があります。
それこそが、
人に“語ろう”と思わせるものなのです。
そして、その精神は、
すべての神の創造主である方の海の中に在ります」 - 主神は言いました。
「人よ、あなたの精神に語りかけ、
あなたに叡智と善行を教え、
あなたの過ちを戒め、
全創造の栄光によってあなたを魅了するその声――
それこそが、あなたの創造主の声なのです。
それが、あなたの神である主神が、あなたに至る道なのです」 - 主神は言いました。
「見なさい、
人は書かれた知識を獲得しました。
今や人は書物を持ち、
天界の天使たちのように、
記録を残すことを学ぶでしょう」
そこで神は天使たちを人間のもとに遣わし、
精神によって、また声によって語りかけさせ、
さまざまな場所で、さまざまなラブバたちに、
神が人に教えた”刻まれた言葉”と心象を、
皮や樹皮、布に記して書物とする方法を教えました。 - この頃、ヤフェト、セム、ハムの地には、何百万ものイフアン人とガン族が住んでいましたが、その間にある国々には、イフアン人のみが住んでいました。
- 神はハムの民に言いました。
「見なさい、あなたと同じ血を引き、
あなたと同じ肉体をもつ民が住む国が、
ほかに二つあります。
彼らもまたガン人であり、
あなたたちと同じく、
パニック語で語り、書いています」 - ハムの人々は尋ねました。
「その二つの国は、どれほど離れているのですか?
彼らはどこにいるのですか?」 - 主神は言いました。
「男女それぞれ合わせて千人を集めなさい。
そうすれば、私があなたたちを同胞のもとへ導きます。
彼らの祖先もまた、
小さく聖なる民イヒン人によって洪水から救われた者たちです。
四年の旅に耐えられるよう、牛や驢馬など、
必要なものをすべて備えなさい。
そうすれば、私があなたたちを導きます」 - ハムの人々は神に従い、命じられたとおり備えを整え、
千人ずつの二隊に分かれて、
ヤフェトとセムの地を目指して旅立ちました。 - 次に神は、ヤフェトの人々に語りました。
「見なさい。
あなたと同じ血を引き、
同じ肉体をもつ民が住む国が、
ほかに二つあります。
彼らもまたガン族であり、
あなたたちと同じく、
パニック語を語り、書いています」 - ヤフェトの人々は言いました。
「その二つの国は、どれほど離れているのですか?
彼らはどこにいるのですか?」 - 主神は言いました。
「男女あわせて千人を集めなさい。
そうすれば、私があなたたちを同胞のもとへ導きます。
彼らの祖先もまた、小さく聖なる民イヒン人によって、
洪水から救われた者たちです。
四年の旅に耐えられるよう、牛や驢馬など、
必要なものをすべて備えなさい。
そうすれば、私があなたたちを導きます」 - ヤフェトの人々は神に従い、
命じられたとおり備えを整え、
千人ずつの二隊に分かれて、
ハムとセムの地を目指して旅立ちました。 - それから主神は、セムの人々にも同じように語り、
ヤフェトとハムのことを告げました。
彼らもまた同様に、二隊を編成し、
ハムとヤフェトの地へと出立しました。 - このようにして神は、
これまで離れ離れに生きてきた三つの民が、
同じ時期に互いを訪れ、
行き来できるように取り計らわれました。
神は彼らが出発する前に言いました。
「道中の荒野には、イフアン人が住んでいます。
彼らはきわめて獰猛にして粗野であり、
人と獣の肉を食らいます。
しかし、イヒン人に危害を加えることはありません。
ゆえに、愛する者たちよ、
長い旅には40人のイヒン人を伴いなさい。
あなたの神である主神は、イヒン人を通して、
あらゆる言語、たとえ野蛮なイフアン人の言葉であっても
語ることができます。 - すべてを、主なる神の御手に委ねなさい」
- このとおり事は進み、四年の旅ののち、
各地からの移民たちは、それぞれ目的の地に到達しました。
彼らは、書かれた言葉と語られた言葉によって互いを知り、
自らを「ノエ弧の三人の子供たち」と呼びました。 - 主神は、彼らが到達したそれぞれの国で言いました。
「この旅が世の終わりに至るまで記憶されるよう、
神の働きを記録しなさい」 - こうして、すべての国において、
石と銅による肖像が作られ、
洪水と、ノエの子ら、
すなわちセム、ハム、ヤフェトという聖なる部族の彫刻が刻まれました。 - 神は言いました。
「これらは、この地における最初の書かれた名前として
保存されるでしょう」
そのとおりになりました。
【3章】
- 移民たちは、訪れた国々に二年間滞在し、
各地を巡り歩き、自らを示し、
また、自分たちの故国の歴史を語りました。 - やがて主神は、各地にいる移民たちに語りました。
「見なさい、今こそ出立の時です。
集まりなさい、愛する者たちよ。
それぞれの国へ帰り、
あなたたちの神が示したあらゆる栄光を語り伝えなさい」 - 彼らは旅立ち、それぞれの故郷へと帰って行きました。
この帰還の旅を終えるまでに、
四年を要しました。 - さて、移民たちが旅を続けている間、
主神は日ごとに、
イヒンの司祭たちを通して彼らに語りかけられました。 - 主神は言いました。
「共にあれ、愛する者たちよ。
私があなたたちを導きます。
あなたたちは道を失うことはありません」 - しかし、その旅はあまりにも長く、
多くの者が信仰を失い、
神の言葉に心を留めなくなりました。
そして、ある者たちは道を外れ、
野蛮なるイフアン人の中へ入り込み、
ついに消息を絶ちました。 - 六千人の移民のうち、
十の部族が失われ、
男女あわせて三百八十六人が行方不明となりました。
ある者は同じ場所で、
ある者は別の場所で失われました。 - 神は言いました。
「失われた、私の選ばれし者たち、
ジェホヴィを信じし者たちのために、
哀悼の歌を歌いなさい。
このこともまた、世の終わりまで記録されるでしょう。 - しかしなお、あなたたちの神である主神は、
いつの日か、この日の神秘を明らかにします」 - 人々はそれぞれの国へ帰ると、
失われた部族のために、
皆で哀悼の歌を歌いました。 - 神はさらに言いました。
「私は、あなたたちに遠く離れた人々を示しました。
彼らへ至る道には、すでに目印を置きました。
道は開かれています。
私が示したかの偉大なる諸国との往来を保ちなさい。 - 十一年ごとに、遠くの国々へ旅団を送りなさい。
もし旅の途中で、私の選ばれし者を見いだしたなら、
彼らを家へ連れ帰りなさい。 - また、すべての旅の野営地において、
あなたたちの神である主神のために祭壇を築きなさい。
祭壇は円形とし、会衆はその円の内に座り、
司祭は中央に座しなさい。
すると、司祭の口を通して、
私は叡智と慰めの言葉を語るでしょう。 - ただし、旅の間は、
イフアン人、野蛮人、人食い族から離れていなさい。
彼らは、私の命に従わず、
割礼によって子孫を守らなかったからです。 - 彼らはドルク人(地上人)と交わり、
闇――すなわち野蛮へと堕ちました。 - 離れなさい、愛する者たちよ。
すべての旅には、
イヒンの司祭、聖なる民、塚を築く者たちを伴いなさい。 - 旅の途中、遠くの国に住む同胞と行き交うことがあるでしょう。
彼らを識別するため、聖なる符合と、
私のチャバ(秩序)の儀式を、秘密として守りなさい」
【4章】
- 人間よ、あなたの神の言葉を聞きなさい。
そして、自分の乏しい学びをわきまえ、
慎み深くありなさい。
古代の記録は、語句そのものよりも、
むしろ霊魂によって解釈し、学びなさい。 - 古の聖なる書においては、
幾度となく「破滅へ下るな」と命じられてきたのに、
彼らは主神の命令に従いませんでした。
それゆえ、見なさい、
今日あなたたちに差し向けられているあなたの神の光を。 - イフアン人は、洪水以前から、
もとより永遠の生命に耐え得るものとして生まれました。
しかし彼らはドルク人と混血し続け、
ついには永遠の生命をもたらす霊魂の種が疲弊し、
天界において自給自足できない子孫を生みました。
それゆえ彼らについては
「彼らは闇へ下った」と言われたのです。 - やがて、イフアン人から新たな種族が生まれました。
彼らは当初、全き光と永遠の命に耐える力を持っていました。
しかし彼らもまた主神の命令を守らず、
ドルク人(地上人)と混血し、
(種族として)永遠の死へ向かう道を
急速に下って行きました。 - しかし、あなたたちの神である主神は、
上向きの霊感を受け得る
新しい種族――ガン族を創造しました。 - 主神は彼らに同じ命令を与え、
闇へ下らぬよう、
その子孫を下等の種族から守りました。 - そのため主神は、割礼に加えて、
一定の儀礼と式典、そして符合を与えました。
それによって彼らは、
神の戒めに従って
「誰と交わるべきか/交わるべきでないか」を
区別できるようになったのです。 - 見なさい、
ここに、私があなたたちの前に置く証し(あかし)があります。
それによって、私の道の叡智を悟りなさい。
なぜなら、地球が古くなるにつれて、
人間は低き状態から高き状態へと自動的に進化する
――そのような法則があると言う者がいるからです。 - しかし、私は言います。
そのような法則は存在しません。
あなたの主神と神々の働き、
また天使たちの介在がなければ、
人間は上へは昇りません。
むしろ人間は、逆の道へ進むのです。 - このことを示すために、
見なさい、
私は今日に至るまで、下り坂を歩む多くの国々、
多くの民をあなたたちの前に残しておきました。
また、かつて同じ国土に、
より高位の種族が住んでいたことを示す物質的な記録も、
あなたたちの前にあるのです。 - なぜならジェホヴィは、人間を、
山を登るのと同じほど容易に、
山を下ることもできるように創造されたからです。 - 見なさい。
あらゆる復活は上から来ます。
あらゆる向上の願望も、
主神とその天使たちから来ます。
人間は肉体にあるゆえ、
霊魂よりも肉体の欲望に傾きやすいからです。 - 太陽の光が眠りを追い払うように、
ジェホヴィの光は、
神々と主神たち、そして天使たちを通して、
人間の魂を目覚めさせ、
高貴なる天界における永遠の生命の可能性へと開いてゆくのです。 - このことは、
あなたの主神である私が、
この世界において証明してきたことでもあります。
御父の光から落ちる者は、
均整と、比例の美しさと、調和とを失うのです。 - 見よ、トールの時代、
人間は配偶者を選ぶにあたり、
その姿の整い、顔の造作、声の澄み、機知、会話の力
――そうしたものを顧みませんでした。 - 神々と主神たちは、
あらゆる策略と手段、儀式と典礼を用いて、
生命の木を通る復活の道を、
人間に気づかせようと努めてきました。 - しかし今日でさえ、
見なさい、
母は娘を富める男に売り渡し、
男は金のために、
すでに荒れ果てた肉の配偶者を求めます。
そして彼らは罪の子孫を生みます。 - 人間は叫びます。
「このような者たちを創造する神が、
善き神であるはずがない!」 - しかし私は言います。
「彼らは、私の命令を守らず、
荒野に迷い込んだのです」と。 - 人間よ、賢くありなさい。
あなたの前にあるものから、
古の時代と、あなたの神である主神の働きを思い起こしなさい。 - トールの周期の初め、
主神は地上の人間の諸部族を救うため、
多くの道を開きました。
そして人間は、長い季節にわたって、
神の道において繁栄しました。 - しかしその後、人類に闇が来ました。
数百万人が野蛮へと戻りました。
闇の天使たちが地上に下り、
まことに物質の姿を装い、
定命の者と共に住み、
書くことも語ることも許されぬ所業に関わりました。 - こうして三千年の終わりには、
地上の国土は闇に覆われました。 - そしてジェホヴィは太陽の顔にヴェールを掛けられ、
太陽は多くの年にわたり、
その輝きを失いました。
原文:OAHSPE – The 1882 Edition (English Edition)


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