本書は大気界の神の業績について記されたものであり、主上神、デウス,ディアス,神,テイン,スドガ,オシリス,バアル,アシュタロスという名が地上に確立された内容も含まれています。
アブラハム、ブラフマ、ポー、イーワタの時代から,モーゼ,チン,カピーリャの時代までの2,400年間を網羅しています。
この神の書は地球と下天の両方に関係しており、バアルやアシュタロス以外の上記の偽神の事績や、彼らの堕落、地獄の環境について説明しています。
【1章】
- ジェホヴィはクラオシヴィの玉座の神にこう仰せになりました。
「これらは私の娘クペンタ・アミジの周期における私の区分は次の通りです。
200年、400年、500年、300年、400年、600年。
その後、私は夜明けを送ります。
あなたには5人の後継者がおり、彼らの統治は私が定めた区分に従うものとします。 - 息子よ、大いなる光の中で40年の免罪符を渡します。そうすればあなたは、天界の下天の王国にいる全ての男主神、女主神の秩序を完璧に整えるでしょう。
私が統治している間、闇は訪れません。あなたの働きは私の精霊界に大いなる収穫をもたらすでしょう。そのため、あなたは50年後の収穫に備え、その次の50年、さらにその次の50年、さらにその次の次の50年に備えなさい。
収穫を迎える都度、私の娘クペンタアミジが、あなたが花嫁花婿として用意してくれた全てのために、迎えの船を遣わします。 - さて、私はあなたに新しい法を与えます。それはこうです。
あなたは『収穫』に先立って階級が50に届いた者たちを全員、あなたの王国と同じように区分に従って、あなたの下に、主神に届けさせなければなりません。 - あなたは地球の全管区から収穫ごとに主神を首都に召喚し、その都度、7日間『神族長の評議会』に出席し、『私の聖なる11人』を構成しなさい。神族長は在任中、この『11人』よりも大きくも小さくもあってはなりません。
神族長は天界のそれぞれの事案に関して、互いに一つとなり調和をもたらす法を制定しなければなりません。これらは『ディヴァン法』と呼ばれるでしょう」 - 神は周期における光と闇に関する質問をしました。
ジェホヴィはこう仰せになりました。
「最初の区分では階級70となり、第2の区分では50、第3は40、第4は80、第5は30、第6は20となります」 - 神は主神領の主神に関する質問をしました。
ジェホヴィはこうお答えになりました。
「彼は教師ではないので、神族長の地位に就く資格はありません。しかし彼は全ての布告、そして他の全ての主神の王国から恩恵を受けるでしょう。なぜなら彼は地球の『実体部の護衛』であり、彼らにとっても利益があるからです」
【2章】
- 神族会議が招集されると,神は主神領の義務について提起しました。
議員たちは長く議論した後,神は次のように布告しました。 - 第1:マイトライスの主上神は今後永遠に、次のことを強制する力を持たない。
・地獄や群れを除いて火や水による暴力を行使する許可。 - 第2:スペタ弧により、至高なる御方の布告により。
マイトライスの主上神は下天の主神と同じ規則に則るものとする。その火の壁,柱は特別な場合を除き廃止する。その地の各王国はエスヤンの階級以上の全ての霊魂にとって開放、自由である。 - 第3:マイトライスの時代とその後継者の主上神は神族議員と同格とする。
主神の天界領によれば、主上神の眷属の配置は主に主神領のマイトライスとする。 - 第4:主上神の眷属は『ミシュム』という名でアシャールとアサフを区別するが、この両者が同一の場合は『ミーシャ』と呼ぶものとする。
彼らの筆頭は『隊長』『将軍』と呼ぶものとする。 - 第5:主上神の職務は実体人と暮らすべく地球に戻って来るドルジャを防ぎ、地上でドルジャを捕縛したら付近の主神の天界に彼らを移送することである。
- 第6:ミシュムは胎児や幼児、アシャールの言葉、戦場の混乱した霊魂を捕えてはならない。なぜならそれは主神とその眷属の職務だからである。
- 第7:何百万ものドルジャの仲間がおり、主上神が十分な数のミシュムを保有していない場合、主上神は付近の主神に救援を要請し、援軍が派遣されるものとする。
- 第8:捕えたドルジャを教え、彼らを家に帰し、学校や工場、病院、保育所を用意するのは、いかなる場合も主上神の職務ではない。なぜならこの職務は主上神のものだからである。マイトライスの主上神の職務は彼らを送り届けることにある。
- 第9:主神や神を自称する者、もしくは偽主神、偽神による天界の王国の設立を防ぐため、マイトライスの主神領の主上神は下天の全主神と協力して中央の指揮を取らなければならない。彼の声はこの職務に関しては規則であり指針となる。
- 第10:主上神は10万の使者を持つものとする。彼は彼らの配置及び移動経路を決めなければならない。
- これが地球の天界における『ディヴァン法』の第1項となりました。
【3章】
- 神の天界の地クラオシヴィでジェホヴィはこう仰せになりました。
「地上における私の選ばれし者アブラム,ポー,ブラフマ,イーワタのために,クラオシヴィで養いなさい。なぜなら彼らは下天に長居しないからです。 - 幼くして亡くなった私の選ばれし幼児が『堕落した下天』に取り込まれないようにするため,彼らも『私の神の地』に連れて行きなさい」
- 神族会議は次のように布告しました。
「移送のための地球から神の王国に至る道路を敷設し,神の選ばれし霊魂がドルジの手に堕ちることを防ぎ,クラオシヴィに連れて来る役人と労働者を任命する」
神族会議ではこう言いました。
「定命の人間の死から3日目に,その霊魂は神の家に連れて来るものとする」
これはその通りになりました。 - しかし異教徒について神族会議は次のように布告しました。
「『堕落した下天』と地球の全管区の主神の任務は,地球と天界における救済されていない息子や娘たちと共にいることとする。しかし,いかなる場合も彼らは信仰者と一緒に働いてはならない。なぜなら『信仰者』である定命の人間や霊魂は,ジェホヴィの息子であるクラオシヴィの神を通して,高位の法の下に身を置いているからである」
これは『ディヴァン法』の第2項となりました。 - ここから次の格言が生まれました。
「信仰者は神の下に行き,不信仰者はその主神の下に行く。地上で『高位の法』の下に暮らしている者は『堕落した下天』を免れる」
数年後,神族会議はその格言に基づいた法を制定し,それは『ディヴァン法』の第3項となり,天界と地上に流布しました。 - 時間が経つにつれて,ジェホヴィの選ばれし者のどの部族の『信仰者』の社会にも属していない実体人は『全人格』の信者となり,『至高の光』の下で生きることがディヴァン法を達成することになりました。
彼らは信仰者に加わらなければ,儀式や式典にも従いませんでした。 - 神は神族会議において次のように説きました。
「このような者たちの霊魂はどこで救済するべきでしょうか?
ご覧なさい,地上でさえ,彼らは自分たちでドルク人となることを免れて救済されています。
私たちは今,彼らが『堕落した下天』の寄せ集めの王国に堕ちるのを許すべきなのでしょうか?」 - このことについて神族会議では次のように布告しました。
「孤立して暮らし,儀式と式典を知らない信者たちのために,別の王国を用意する」
これは『ディヴァン法』の第4項となりました。
第5項も似たようなものですが,説明すると次の通りです。 - 「1人の偉大なる『不滅の霊魂』であり,創造主にして支配者たる御方を信仰することは素晴らしいことである。しかしそのような信仰心を持ちながら,信仰心を持つ同胞との交流に加わろうとしないのは,エスヤンの5年目から始まる教育が不足していることを証明している」
- 『ディヴァン法』の第6項は次のように制定されました。
「偉大なるジェホヴィに対する信仰を口にしながら実践していない者たちの王国を『メーデ』と呼ぶこととし,そこは地球から離れた最初の場所となる」
【4章】
- ジェホヴィは神に仰せになりました。
「あなたはメーデを設立したので,メディシ法を制定しなければなりません。あなたは測量士を『堕落した下天』と地球に派遣し,新しい王国のための天界を選定しなさい。
あなたはそこに行き,天高原と聖地と首都を創設し,そこに玉座を設けなさい」 - あなたは自分の作業を終えたら,副神を玉座に招き,私の名において叡智,力,愛により統治させなさい。
- しかし私の選ばれし者の多くが私のことを忘れ背信者となり,あなたの副神がその霊魂を受け取ったならば,彼らが自分の罪を禊するまで,その王国が彼らの王国となります」
- 神はクラオシヴィの評議会で,ジェホヴィが仰せになったことに関して伝えると,評議会はジェホヴィの御命令を承認しました。
「1人の『アチュンレ』を選び『仲介者と,階級の審査』を意味するアヌビの称号を持つメーデの副神とします」 - 神は言いました。
「アヌビは記章と一対の天秤を持ちなさい。私は彼に手渡しします」
これに応じて場所,王国,人物,職務の記章はジェホヴィの御命令の下に,クラオシヴィの王国を通して正式に定められました。
任期は神と主神の任期と合致するように定められました。 - こうしてジェホヴィの大学で1,000年間天使を務めた『アチュンレ』のアヌビが天界メーデの玉座に就きました。彼は最も賢く,愛に満ち溢れ,その上,勤勉でした。
- ジェホヴィは再び神にこう仰せになりました。
「これより私の大学はクラオシヴィにあり,私の学校と初等学校は主神の王国にあるものとします」
その後,神族会議はこれを『ディヴァン法』の別項としました。 - 神とその主神は全ての大学と学問機関をクラオシヴィに移設しましたが,学校と初等教育機関は主神が統治する天界に残しました。
- さて,ダンの夜明けの間,4人の精霊人の神が地上で暮らし,4つの定命の人間,ジャフェスのポー,アラビーニャのアブラム,ヴィンデュのブラフマ,グアタマのイーワタとともに歩んでいました。
4人の神々は4人の人間を通してジェホヴィとその王国を説法しました。それらをジェホヴィの天使は多くの信者に啓示しました。
この神々は地上で4年間暮らした後,上天へと昇天しました。 - ジェホヴィはこの件に関して神にこう仰せになりました。
「4年間,私は実体界の地球の人間に『私の光』を授けた後,私は去りました。なぜなら人間と天使が自立することを学ぶのはとても良いことだからです。
そのため私は,救済した4つの民と共に,4人の代理となる主神を天界と地上に残したのです。
私は4人の代理神に,私が実体界で築いた創造物の保証人として,私の選ばれし者に喜びを享受してもらうため,地球に40年間暮らすように命じました。 - 彼らに与えなさい。なぜなら私の代理神は精霊人であるため,あなたはその地位に最上位の大気人を宛がわなければいけないからです」
- その後,神族会議は『ディヴァン法』の1項を制定し,クラオシヴィの中でも最上位の階級を持つ4人を用意し,偉大なる霊魂の御名の下に信仰者と共に暮らしました。その名は各地で,言語,定命の人間の発話能力によりこう呼ばれました。
ジャフェスでは『ティイン』
アラビーニャではジェホヴィ
ヴィンデュではオーマズド
グアタマではイゴクィム - その後,神族会議は『ディヴァン法』の別項を制定しました。それは,定命の人間にジェホヴィの御声を授けるため,4人の天使に与えられた称号であり『オーラ』と言いました。『O』は「上天」,『Y』は「行く」,『ra』は「地球」を表します。
- 『ディヴァン法』の第12項では,各オーラには1万人の従者を持つことが決められ,クラオシヴィの大学から80階級以上の天使が就き,霊魂に啓示を下し,守護者として信仰者と一緒に地上で暮らすこととなりました。
- 『ディヴァン法』の第13項はオーラの任期を11年と定めるもので,従者の任期も同じです。
- 『ディヴァン法』の第14項はオーラとその従者の義務についての説明でした。
「オーラはラバ長,または大司祭と共に暮らし,彼らの啓示者として日夜一緒にいるものとします。彼の臨在により,ラバ長に『至高の御方』の御声を知らせます。
階級第1位の従者はその他のラバと同じように,同じ目的の下で暮らすものとします。
各オーラは定命の人間の神殿に天界の場所を持ち,そこで彼は信仰者と彼らが抱える事件に関して会議で彼の従者と会えるものとします」 - 『ディヴァン法』の第15項は,オーラとその従者を,定命の人間と暮らす主神のアシャールのための天界の王国とすることでした。
- 『ディヴァン法』の第16項は,地球の4つの管区において信仰者の数が増えた場合,その数に応じてオーラに同行する従者の数も増やすというものでした。
- 『ディヴァン法』の主要なものは,クペンタ・アミジの周期の最初の200年で,天界にて制定されました。
大気界の全王国は設立され,役人が配置されました。この天界で暮らす全ての民はエスヤンの年齢を終えるとすぐに成体となりました。神や主神,その他の役人,大学,病院のいずれも不満はありませんでした。
世界が誕生して以来,天界の住人の復活においてこれほど繁栄したことはありませんでした。
【5章】
- 天界の調和が地上を支配し,地球の全管区で繰り広げられていた戦争は止みました。
人間は叡智,真実,美徳,勤勉を重んじるようになりました。
天界の啓示により,人間は天界の事象を模倣するようになりました。人間は学校や大学,保育所,病院,絹,亜麻,綿といった衣服の工場や,紙の工場,ガラスや皮の工場,鉄や銅,銀,金の精錬工場が建てられました。 - 200年のうちに,ジャフェス,ヴィンデュ,アラビーニャの地に3つの大民族が誕生し,4番目の大民族が4半期ごとにヘレステの地を覆いました。
ヘレステの王はユーロパに何千人もの移民を送り続けました。 - 主神は偉大なる叡智を持つアシャールを定命の人間の下に送り込み,あらゆる知識を啓示し,糸を紡ぎ織り上げる技術を教えたり,季節や,地球,月,太陽,星の時季を教えたり,オシリスの周期で誕生し,その後地上で失われたレンズでの観測を教えたりしました。
そうです,何千年も前にいた霊魂が地球に舞い戻り,失われた技術や科学を定命の人間たちに明らかにしたのです。 - 日夜,この天使は定命の人間たちの中に留まり,自分たちが臨在することで人間の魂に話し掛け,理解させたのです。
- マイトライスの主上神は天界のドルジャが定命の人間たちを魅了したり,彼らを堕落させようと舞い戻るのを防いでいました。
彼が各方面から地球や,天界の主神や神族会議の眷属を守ったので,陽気に『人間の救世主』と呼んだのでした! - ジェホヴィは彼らを叱責し,神にこう仰せになりました。
「陽気に種を蒔く者たちは悲しみのうちに収穫するものです」
しかし主神たちでさえ,彼らの全ての叡智をもってしても,その後継者に何が待ち受けているのか分からなかったのです。
【6章】
- 何千人もの天使の眷属を付き従えた4人の天使であるオーラは信仰者と一緒に暮らし,平和や儀式,式典を啓示したり,祈りや聖歌,聖なる舞踊を教えたり,日夜彼らと暮らし,彼らが眠ればその霊魂に話しかけ,啓示によって幸せな結婚をもたらし,主の御声を聞くことができる子孫をもたらしました。
- 4つの国で信仰者は兄弟姉妹のような連帯感が生まれました。そして王の民から何万人もの人々が彼らの下に馳せ参じ,信仰者として暮らし,貧しき者の利益のために,ラバの手にその莫大な富を委ねました。
- この200年,ジャフェスには300万人の信仰者がいました。
アラビーニャには200万人の信仰者がいました。
ヴィンデュには400万人の信仰者がいました。
グアタマには100万人の信仰者がいました。 - しかし信仰者の大半は貧しき人々であり,大半が僻地で暮らしていました。
- しかし王の民は豊かであり,大都市や,象,馬,駱駝,驢馬,チータをたくさん持っていました。
- 信仰者は星や月,太陽を観測する本や道具についてほとんど学んでおらず,彼らの知識は主神に仕える天使から得たものでした。
信仰者の知識は霊魂を昇華するのに大半を費やしていましたが,王の民の知識は世俗事や自己欲求を満たすのに大半を費やしていました。
【7章】
- 地上でのアヌビの働きは,王の民の不満分子を団結させて煽っていくというものでした。そして彼らを可能な限り『信仰者の儀式』へと導いていきました。
- アヌビは地上の全地域に何万人もの天使を派遣しました。この天使たちは啓示やそれ以外の方法で,アヌビの儀式を確立していきました。
- この儀式により,王たちでさえも信仰者とその同胞の完全な式典に改宗したのでした。
- 同様の方法でジャフェスのマイチャン族は信仰者となり,同じ儀式によりヴィンデュのエフィンズ族は信仰者に改宗し,その後『エメチャカバ』の儀式と式典が全てにおいて採用されました。
- 時が経つにつれて世界から貧困がなくなりました。信仰者は彼らを集めて同胞としました。王の民が信仰者に寄付したことにより,全ての民が暮らしに困らなくなりました。
- アヌビの門下となるには,(天界を学ぼうと望む者ならば)誰にでもその資格がありました。
儀式と式典は暗い部屋で行われ,天界の天使はサルギスに身を窶して参加しました。
天使は霊的な聖餐における神秘的な声で,円や三日月の座り方を定命の人間たちに教えました。4つの暗き隅,4つの明るい場所を教えました。天界のどの階級から霊魂が来るのかを突き止める方法,悪魔から逃れる方法,正義の霊魂を引き寄せる方法を教えました。スイスやサルギスを発達させる方法,落下する水の秘儀,こんこんと叩く肌の化粧水を教えました。 - 次の学位になると,偉大なる霊魂とその秘めた御名と,永遠の安寧と幸福がある『聖なる上天』を教えました。第2の学位を得た者は最貧の者と一緒に1年間暮らし,布施を乞いに行き,最も乏しいものだけを自分は手に取らなければなりませんでした。
もしもその者が裸の者を見つけたならば,自分の服を脱いで与えなければなりませんでした。
男女はいずれも同じような条件で仕えたのでした。 - 第3の学位になると,神と主神の支配や彼らが暮らす場所,天界とは無関係の労働について教えました。
会員は神々や主神たちの名前,ディヴァン法,敬礼の言葉,賛歌,祈り,崇拝,発声,行進の順序,聖なる名前の書き方,純粋な子孫をもたらす秘儀,前の2つの学位における鍵を学ばなければなりませんでした。 - 第4の学位になると,天界の配置について教えられました。太陽や星,月の場所,まだ見たこともない世界の場所と階級,下天と上天の位置,偽主神と偽神が支配する場所,堕落した下天や地獄,群れの場所,使い魔や胎児,定命の人間や豚や牛に混ざって暮らし,肉食を勧める無辜の吸血鬼と破壊的な吸血鬼,北極星の場所の鍵,地球の渦の位置,実体界を移動してその位置を保つ渦,霊的な部屋を備えた神殿やピラミッドを建てるための規則を教えました。
- この他に第5の学位があり,意志の力とそれを場所に関わらず使用する方法,彼らに知られずに他人を支配する方法,呪文を唱えること,予言の状態に入ること,数えずに数を見積もる方法,計測せずに比率と距離を知ること,時間を予測すること,計量しなくても重さを知ること,作られる前の車地の力を知ること,梃子とねじの力を知ること,動く前に摩擦を知り必要な力を知るといった肉体における生命の秘儀に到達した学位です。
第5の学位は『予知の学位』とも呼ばれ,入門の場所は『予言の大学』と呼ばれました。 - この学位では,天使はサルギスの姿で口頭で教え,入会した定命の人間たちはこれらを学びました。しかし4つの学位を修め,大学を管理するラバ(または司祭)の推薦がなければ,第5の学位に進むことはできませんでした。
- こうした神の叡智は,第1以外の学位を持つ信仰者だけが受けることができました。そのため地上の最たる知識は信仰者の秘儀として保たれました。
富豪や最高権力を持つ王の民でさえ,宮殿や神殿,水道橋や運河,船やその他の大事業の建設において信仰者の息子や娘に恩義を感じていました。王や王の民はその作業の監督者として第5学位の信仰者を喜んで雇ったのでした。
【8章】
反逆により,ジェホヴィの息子である神に次ぐ地位の主上神になったアヌハサジについて
- ジェホヴィは天界のクラオシヴィの神にこう仰せになりました。
「ご覧なさい,私は何百年も地球と天界に大いなる光をもたらしました。そして私の神や主神は天界を統べるための自分の力や叡智に対して自惚れるようになりました。 - そこで私は暫くの間,アジの闇を送り込み,彼らを試そうと思います。なぜなら私の神や主神は,大宇宙において私が創造した様々な要素を管理する術を学ばなければならないからです」
- ジェホヴィは地球とその天界を暫くの間,闇の領域に連れていきました。
- かつて偽神アフラの下で副神を務めていたアヌハサジは,地獄に堕ちた後,そこから救済され,後悔し,天界で信仰者となり,偉大なる叡智を持つ天界のアイルキンで聖なる仕事に何年も従事していました。
- アイルキンは新たな天界へと昇格し『ヴァラピシャナハ』と呼ばれると,アフラはアヌハサジの協調性の無さを理由に,系列からの解任を命じました。
そしてアヌハサジは怒りを覚えました。 - 悪魔(自分)がアヌハサジに言いました。
「知恵の乏しい者が命令されるお前は何者なのだ?」
アヌハサジは言いました。
「ああ,私は愚かで,自分の意見を主張する意志がない」 - アヌハサジは何年間も天界で彷徨える霊魂となり,王国から王国へと渡り歩き,特に何もすることなく,時には地球に降りて地球の王国を観察しました。
- 悪魔が再びやって来てこう言いました。
「私の声を聞くがよい,お前は他の全ての神々に勝たなければならぬ」
アヌハサジは言いました。
「何をしたらよいのか?」
悪魔は言いました。
「女神長クペンタアミジの前でお前を不快にさせたアフラの下に行き,こう言うがよい。
『神よ,私はあなたに赦しを乞います。あなたが正しく,私が間違っていました。私は心から後悔しています。
今,ジェホヴィへの信仰心から,あなたの下を訪れました。私は彼の御方に永遠にお仕えします。アフラよ,私を見放さないでください。あなたのかつての欠点を思い出してください。あなたのことを上天の神は受け入れてくれたではありませんか』」 - 悪魔は続けました。
「アフラはお前のことを喜び,その言葉を信じるだろう。お前はヴァラピシャナハに入り,最も低き地位に就き,何事にも謙虚でいろ。いずれお前に仕える者たちとの人脈を作る果実となろう」 - 悪魔は続けました。
「50年か,100年か,200年経とうが,時宜を待て。だがお前が昇進する時が必ず来よう。お前は天界と地球の主神領マトライアスにて,主上神の領土を所望し,手に入れろ」 - 悪魔は続けました。
「もう100年,200年経とうがお前にとって何ら問題はない。最終的には主神領を手に入れて,正式に天界と地球の主上神として戴冠するだろう。 - お前が主上神となったら,懇意にしている友人を地球の10の管区の主神に指名するように取り計らえ。それが実現したら,全地球とその天界はお前のものになり,お前の称号は主上神となり,地上と天界の全ての民はお前の僕となろう」
- アヌハサジは言いました。
「悪魔よ,お前は神々の中でも最も賢いな。お前の助言を全て実行しよう。天界や地球の誰にも,この計画を知ることはあるまい」 - さらに100年が経つと,アヌハサジは主上神の側近である守護者にまで上り詰め,彼は170年間主上神に仕えました。
そして主上神はアヌハサジを後継者に指名しました。 - 神がクラオシヴィより来訪し,アヌハサジを盛大な式典や演出で,天界と地球の主上神として戴冠させました。神は彼に玉座を与え,その地位に付けました。この時から,アヌハサジは神に次ぐ第1位の主上神として知られるようになり,敬われました。
- 主上神は悪魔にこう言いました。
「私のお気に入りとして誰を連れてこようか?」
悪魔は言いました。
「お前のお気に入りの『天界の天秤の管理者』アヌビを連れて来るがよかろう。お前の好みに合えば,その者を『息子にして人類の救済者』と呼ぶがよい」 - 主上神は悪魔に言いました。
「次に誰をお気に入りとして呼べばよいか?」
悪魔は言いました。
「地球の天界の王国より10人の主神をお気に入りとして連れて来るがよかろう。お前の好みに合えば,その中の1人を長に任命し,オシリスと呼ぶがよい。なぜならその名は地上と天界において愛されているからだ」 - 悪魔は言いました。
「お前は主神領を再構築し,ホレドと呼ぶがよい。そこは地球に属する全ての天界の王国の中心となろう。 - アヌビは自分の管区から旅立つ霊魂をあなたの天界に送り込んでくれよう。オシリスとその他の主神は自分の王国を旅立つ霊魂をあなたの王国に送り込んでくれよう。そしていかなる場合も,クラオシヴィに送られる霊魂はあるまい。なぜなら天界と地球の人々は全員,お前の王国が『いと高き場所』,お前こそが最上神にして,万物の創造主,全ての天使と定命の人間たちはお前の僕として教えられるからだ」
- その後,主上神は誠実に,それいでいてゆっくりと確実に事を進めていきました。地球の全管区の主神は彼の特別な友人であり,彼の命令を喜んで遂行する者たちでした。彼らは学識があり,1,000年以上も天界で高度な経験を積んだ者たちでした。
- 主上神は自分の計画について天界や地上の誰にも話さず,使者や特使が訪れても,自分の振舞いからそのような兆候や痕跡を掴ませませんでした。彼は神々の中でも従順で信心深いものとして見做されました。
- しかし主上神は何百年の末にいよいよ時が到来し,彼は自分の命令に喜んで従う主神や隊長,将軍,元帥を天界に招待し,祭典を催しました。
- 彼らは主上神が目論んだ通りにやって来て,大いに楽しみました。
饗宴が終わると,主上神は彼らの前で,ジェホヴィのために厳粛な義務を果たすために悲嘆に暮れた者のように語りました。 - 主上神は言いました。
「我が同朋よ,汝らの主上神の言葉を聞くがよい!
見よ,我は天界と地球の主神領の務めを担っており,穀物がすくすくと育つのを見守る穀物畑の傍に立つ守護神のような存在である。
私が積み重ねてきた経験は1年や100年ではなく,何千年にも及ぶ。 - ジェホヴィの名において,我は汝らに話す。
我は人間や天使の魂のために『愛』を支えている。我は汝ら主神のように神族会議に属していない。我が声は我が父の実りの中で発せられている。 - 直近の100年間で,この天界で全人格に対する天使の信仰が著しく減少しているのを見たことがないと言う者など誰がいようか?
主神よ,話してみよ。もしも汝らが父や王国にもっと精力的に仕えたいと心から思うのであれば,汝らの舌を神のように完全に解き放ってみせよ」 - アヌビが言いました。
「あなたは賢いです,主上神よ。
クラオシヴィの神はそのことをアジのせいにしている」 - 次にジャフェスの地に天界を持つハイカスが言いました。
「主上神や主神たちよ,私はあなたたちの叡智の前に跪きます。
私は天界の子供のような存在に過ぎず,1,000年を少し超えた程度です。
長く経験を積まれたあなたたちの前では,私の舌など黙らざるを得ません。
その乏しい叡智で語りますので,どうか私を憐れんでください。 - 東でも西でも,南でも北でも,万物は天界や地上で成長しています。私はこれより偉大な叡智を見たことがありません。
育たないものが一つあります,それが神族会議です。
見てください,神族会議は何百年も前に法を制定し,当時としてはその法は良きものでした。あなたや私,ここにいる皆さまは古きディヴァン法によって拘束されているのです。
この法は何も成長してません。 - 私よりも古き神々,そして主神の方々も同様ですが,『あらゆる光』は1人の人格を有し,声を持つと言っています。その上,遥か昔に涅槃の神々にこう仰せになっていました。
『これらはこうなり,そうなるであろう』 - 私はあなたの裁断を仰ぎます,主上神に主神の方々よ。それは古代人にとって賢い教義ではないのですか?
なぜならこの権威において,天使や定命の人間たちは,見たこともない彼の御方を平伏し崇拝してきたからです。この誰も見たこともない御方の主張する権威の下,彼らは自分の主人や教師の意思を従順に遂行しているのです! - つまりこういうことです。
『最も賢い神や主神の言葉を聞くよりも,我らが知らず,理解できず,無に等しい御方を崇拝することの方がより賢い』 - もしも自分たちが何も知らない存在を崇拝することが最高の崇拝だというのであれば,愚か者は偉大なる崇拝者です。なぜならその者は何も知らないからです。
そのため最も賢い者は,崇拝者の中でも最も貧しくなければなりません。
真実は,天界と地上のどちらでもそうではありませんか? - 知識を得ることで,彼ら全員は無知を捨て去れます。無知は敬虔な崇拝者です。
私たちは自分の舌を抑えて『そうだ,そうだ!』と言っていましょう。
無知は真実を,完全なる真実を知らないに違いないからです。 - こうした行為をするなら,私たちは偽善者ではないのでしょうか?
何人かの人物がここから遠く離れた地から来訪し,喜びに満ち,最も高き天界は存在すると言っていました。それならばどうして私たちはここから逃れ,旅立てないのでしょうか? - 私の主上神や主神の方々よ,もしも改善されればこの天界は十分に良い場所です。もしも改善されれば地球は十分に良い場所です。
私たちはもっと大きな王国やもっと飾られた玉座を,この天界や地上に欲しいのです」 - 次に,アラビーニャに天界の王国を持つチェレムンが話しました。
「私の主神は魂の言葉を話しました。知識があれば,天使や定命の人間にとって何をさらに必要とするのでしょうか?
彼らにとって『注意しなさい!不可視の存在が聞いたり見たりしている』ということに,何の価値があるのでしょうか?
もしくは『立ち止まり,ディヴァン法を考えろ』ということに何の価値があるのでしょうか?」 - 私の主上神よ,最も賢く,最良で,最も誠実な者が支配することなど,私は今まで見たことがありません。
あなたの王国はどの王国よりも最大で,最も彩られるべきです。
あなたは,クラオシヴィのどの王国よりも偉大な王国を持つ主神と一緒に働くべきです。
私たちの神や主神はこの宇宙の全土において,この天界を最も偉大なものにできないのでしょうか?
私たちや民は上天を求めて,永遠に精霊界へと逃げていくのでしょうか?
そして私たちは自分の天界を発展させられないでしょうか?
ある場所を離れることでその場所を高めることなど,誰が見たことがありますか?」 - ヴィンデュ上に天界の王国を持つアークウォチェシジが次に話しました。
「私はこのような叡智を捨て去るのにこんなに長く苦労しなければよかった!
ここで話されたことは全て理解しました。しかし私は自分の心を抑えていました。
そういった理性を持っているのは自分だけだと思っていました。
突然ですが,私はあまり上手に話せません。後で躓かないようにあまり喋らないようにします。
こういった素晴らしい議論を聞くのは私の人生における喜びです。別の機会があればさらに話すでしょう」 - 次に話したのは,ヘレステとジャフェスの南端から海に及ぶまでの天界を持つ,将来見込みのある若い主神バアルでした。
「ここに集う神々の前で,未熟な私はどのように話せばよいのでしょう!
しかしあなたたちは私の心にとってとても価値のある問題に触れたので,自分の言葉で話せると思います。
私はこの天界の全てを,クラオシヴィでさえも見てきて,何百年も弱っているのを感じ取りました。私たちの王国は老婆のようで,規則に従うだけで,生きているのに死んでいるかのようです。 - 私たちには古代人と同じ儀式や式典があり,何千年もの間続いた行進や敬礼,賛歌がありますが,それは誰に捧げるためのものなのでしょうか?
姿,人格,正体のない名ばかりの人物のためです。そういった人物よりも敬意に値しない者などここにいるのでしょうか?
私の主上神は2,000年もその職務を勤めてきました!
私は100年以上もヴァラピシャナハで見てきており,悪臭漂うドルジャを教導し,浄化するという最も過酷な任務に従事してきました。 - 主上神は地球のような広大な王国と,威儀を見せつける行進をするための100万人の従者を持つべきです。彼が進む時は,その到来を告げる何十万人もの使者やラッパ隊を持つべきです。
私たちにはそれが必要なのです。私たちには偉大なる首都と豪華な玉座がある天界や王国が必要であり,広大な領土と,より多くの威厳や栄光が必要なのです」 - 次にバアルの従者で,彼の天界の東翼を治める女主神のアシュタロスが立ち上がりました。
彼女はこう言いました。
「ここには他にも女主神がおり,賢く話してくれます。私はそれほど多くを話しません。
古代人は何事にも質素であることを教えてくれました。私たちは葉や花を摘み取られた果樹園のような天界を作ってしまいました。
聡明で有用な天使たちはすぐにジェホヴィの花嫁花婿になるように説得され,遠く離れた世界へと飛び立ってしまいます。
私たちを生んだ,この愛すべき地球とその天界は,最も価値のある果実や装飾を永遠に摘み取られていくのです。 - 私たち全員は,大気界が,地球が何百年も生み出した天使全員を収容できるだけ十分に広大であることを知っています!
私はあなたたち主上神や最も賢き主神たちに訴えます。この花嫁花婿は,精霊界の神々の物語に騙されているのではありませんか?
結婚式の行進や演出に騙されているのではありませんか?
火の船や,元帥,ラッパ隊,音楽,上位神の威儀や華麗さに騙されているのではありませんか? - ご覧なさい,私たちには,この全ての栄光を考えてくれる御方,主上神がいます。彼には遠く離れた天界の代わりに,彼の下に舞い込んでくれるような華麗な天界を持つべきです」
- このように男女の主神が話し,彼ら全員が話し終えると,今や合法的に主上神となったアヌハサジが立ち上がり,こう言ったのでした。
【9章】
- 「最も賢き主神よ,汝らは言葉では我のことを讃えてくれました。この件はこれで終わりにしよう。
我は誰もが理解できることに気付いた。それは天界の中心を此処に据えるべきということである。
地球や大気界の子孫を,何故に他の天界に連れて行かなければならぬのか?
我々が育てるのは,我々のためだけで十分である。
我はそのような大いなる仕事には向いておらぬ。
汝らの中から,尊く,最良で賢い者を選び,その者を汝らの神にせよ。我はその者が命じたことを何でも実行する僕となろう。 - 我は遠くを旅し,多くの世界を観測した。
我は汝らに,遥か遠くの世界に栄光はなく,この天界,そして真なる地球にこそ築けるものと宣言する。 - それから聞くがよい,汝らが我が適任かどうかではなく,我が不適任であるかどうかで判断し,我を罷免し,汝らの僕とするがよい。
- 上位天使を送り込むのではなく,この地を彼らにとって相応しい天界にするがよい。
- この王国を至高の天界の王国とし,汝らの神を,創造主のように全ての神にとっての至高なる存在へと仕立て上げよ。汝らはダイヤモンドや最も貴重な宝石で敷き詰められた天界の首都で,その神を取り囲むであろう。その玉座は全ての栄光にとって最も崇高で高貴なものとなろう。誰もが平伏し,匍匐して近づくしかできまい。
然様,そのような威厳が創造主の如き汝らの神を取り囲むのだ。新しく編み出された儀式や式典はどの世界の何よりも眩いものとなろう。 - 儀式や式典は最高のものへと仕立て上げねばならぬ。儀式や式典なくば,誰もが死人同然なる。そのような者は規律なき軍隊のようなものである。実際に規律は儀式や式典といった形式ばったものがなければ意味を為さぬ。これらを持たぬ者は,身勝手に振る舞うことになり,それは全員の団結を消滅させる。
これに関してバアルは良いことを言った。我々は,最も高位の者に相応しい新たな儀式や式典が必要なのである。
我々は見ず知らずの,宇宙のように広く散らばった物質のような神に平伏することはなどない。 - 汝らが話してくれたので,我は感謝している。
汝らがこの饗宴に来てくれたので,我は喜んでいる。
愛すべき者といることに勝るものなど何があろうか?
人は誰もを同じように愛せと言われているが,そんなことは不可能なのだ。我々には好みがあり,そういった者と一緒にいることを喜ぶものである。
それを否と誰に言えようか? - それでもこのことを我が男主神や女主神は熟慮すべきではないのか?
我々の最愛の者を集めて協議会を開け。なぜなら心はそういう構造をしているので,他人の目を通してより良く見ようとするものだからである。
何よりも我々は自分の魂において誠実であり,己のためではなく,天界や地球にとって良いことを全て行っているかどうかを知るためにも,この問題を熟考しないわけにはいかぬのである。 - 汝らも知っているように,アフラの王国は己が栄光のために働くまでは繁栄していた。彼の過ちに陥らず,その過ちから学べば,似たような過ちも避けられよう。
さて,饗宴の時間も終わり,汝らの王国では汝らの帰りを待っておろうから,ここで閉会を宣言する。
それでは男主神,女主神の方々よ,起立し,汝らの道を行くがよい。
この件に関して我と話したいことがあれば何であれ,汝らの手元にいる使者を介してそうせよ」
【10章】
- 悪魔は『堕落した下天』の全ての男女の主神の下に行き,全員にこう言いました。
「お前たちは労せず手に入れるだろう。なぜならお前たちは賢いからだ。他の者はお前たちに仕えることになり,お前たちの栄光は偉大なものとなろう。
お前たちがクラオシヴィで上位神の儀式や式典を見たようなことが,お前たちにもできるのだ。
見よ,地球の天界はあらゆる天界の中でも最も輝き,最も栄光に包まれるのだ。
お前たちは我慢し,何事にも辛抱しろ。なぜならお前たちは来るべき時に必ずや他を寄せ付けない最高神になるからだ! - お前たちの名は式典で歌われ,遥かと多くの天界でさえ敬意を表されよう。お前たちは神々の中でも最も若いながら,自分の意志で全てを突如支配し,最長老の神々でさえその大胆不敵な行動に驚嘆したと言うだろう。
- 辛抱強く,最も謙虚に時が到来するのを待つがよい。
お前たちは神々の中で指導者となるべく生まれてきたのだ。
このことは秘密にし,誰にも明かさずにいろ」 - 悪魔は主上神であるアヌハサジに対してもこう言いました。
「お前は威厳を持ち,お前が日頃,口にしている愛により,他の全てにとっての父となれ。そうすれば彼らはこの広大な領土をお前に差し出してこよう」 - このような事が主神たちの中でやり取りされている間,遠く離れたクラオシヴィでは,ジェホヴィが玉座の神に対して,ジェホヴィの息子である評議会の面々がいる前でこう仰せになりました。
「私はあなたたち男主神や女主神を裕福な場所で甘やかしてしまったので,彼らは私のことを蔑ろにしようとしています。 - 人間は豊かな場所に身を置くと自分のことを偶像化していまいます。私はそのように人間を創造してしまいました。
彼はこう言います。
『私を見なさい!
私はこれだけの偉業を成し遂げたのだ。
だから私は賢い。私は創造主が何も持たないことに気付いてしまった!』
彼は自ら破滅の道を作っています。
私は彼の周りにあらゆる生と死を創造し,地球を離れる前に私の力を学べるようにしました。
私は『堕落した下天』を広大に,そして上昇と下降の場所を持つように創りました。
上には私の聖なる光を置き,『こちらに来なさい!』と言います。
下には闇を創り『気を付けなさい!そこには地獄があります!』と言います。
しかし彼らは真っ逆さまに悲惨な方へと転落していくのです」 - 神は言いました。
「ジェホヴィよ,彼らは何をしたのでしょうか?」
ジェホヴィはこう仰せになりました。
「彼らは私の永遠の王国に対して反旗を翻そうとして頭を突き合わせています。
あなたは神族会議を招集し,彼らが何を望んでいるのか,遠慮なく話させなさい」 - 神は下天の全管区の,ジェホヴィの男主神,女主神たちが治める王国に対して使者を派遣し,御父に命じられたように彼らをクラオシヴィに招集しました。
その一方で, - 悪魔はこの悪事の首謀者であるアヌハサジにこう言いました。
「クラオシヴィの神がこの件を嗅ぎつけて長年の計画を無駄にしないように,お前は彼の下にこう言っておけ。
『ジェホヴィの息子にして地球の天界の神であるあなた様に愛を込めて,ご挨拶申し上げます。
私の御前にある光から,私は主神領を放棄することを決心しました。
そこで私の代わりの者を探してご用意ください』」 - 悪魔は続けてアヌハサジはこう言いました。
「お前は男主神や女主神にこう言っておけ。
『ジェホヴィの主神である汝らに愛を込めて,挨拶申し上げる。
多くの者が地球とその天界の神に我を推そうとしていると予想する。我をこの地位から解放し,どうか先鋭的でない者を選ぶがよい。さすれば汝らはその者をさらに十分に支持できよう。
見よ,我は主神領を放棄しようとしており,その後に汝らに会わんと願う」 - 男女の主神たちは同時に2つの通知を受け取ると,それぞれ聖評議会にこの問題を提出したため,大きな騒ぎとなりました。秘密裏に進められていたはずの計画が1日で『堕落した下天』全土に住む何十億人もの人々に公表されてしまったのでした。
- すぐに男女の主神たちはアヌハサジの首都に駆け付けました。彼らには1万人の従者が帯同しました。
- 彼らは集まり,この件をクラオシヴィの神が知っていると気付くと,羞恥心から神族会議の招集まで従わなくなり,すぐにアヌハサジを筆頭とする連合王国の建国に着手しました。アヌハサジは神々の長になることを望んでいないことを信じ込ませ,彼らが自分に忠誠の誓いを捧げて仕えることのみ同意しました。
- 3日間の会議の後,アヌハサジは選出され,新たな天界ホレドで即位し,自分たちの地球とその天界の神,即ち『ジェホヴィの真なる主上神』として戴冠しました。
こうして彼は偽神となりました。 - しかし彼らはアヌハサジを『真なる玉座』に就けられませんでした。なぜならそれはクラオシヴィの神の下にあったからでしたが,彼らはそれを聖なる輪の中で創造しました。
しかしアヌハサジは自分に従う者たちの手で戴冠できなかったため,彼らは今後どう進めればよいのか困惑していました。
この時,悪魔がアヌハサジにこう言いました。
「自分への服従の証として彼らに平伏するように命じた後,こう言うがよい。
『王冠を我が足下に置くがよい。さすれば我は何も頭に着けないまま立ち上がり,汝らが平伏したら,我が名の下に王冠は上昇し,我が頭に戴かれよう。もしもその王冠が上昇したら,汝らは,汝らの働きが真に最高で最良であったことを知るであろう』」 - アヌハサジが男女の主神たちにこのことを繰り返すと,彼らは平伏し,誰もが戴冠を望み,こぞって忠誠を示しました。
彼らが頭を垂れてアヌハサジの方を見ていなかったので,アヌハサジは光の力を持っていないのにこう言いました。
「天界と地球における最も神聖にして賢明なる男主神,女主神により作られし王冠よ,上昇し,地球とその天界を支配せし者の頭に載るがよい!」 - 彼は狡賢く身を屈め,自分の頭に王冠を載せると,主神たちに起立を命じました。
すると男女の主神たちの中には,王冠が聖なる輪の意志の下に勝手に上昇するのを心の目で見たと言う者までいたのでした! - 彼らは拍手してこう言いました。
「万歳,我らの神よ!
万歳,我らの神よ!
万歳,我らの神よ!
このことを東西南北すべての場所で宣言せよ」 - アヌハサジは返事しました。
「汝らの神である主神がここに統治する!
汝らに平和があらんことを。
見よ,天界と地球は我が物となった。我に忠実であれ。さすれば汝らは我が名の下に栄光を得られよう。
男主神,女主神であった汝らは,大いなる力,強大な王国を持つ男神女神となるのだ。
我はこのことを予見したので,汝らに前もって準備させていたのだ。
実にこの時,この場所において,我は汝らを戴冠させ,偉大なる栄光を授けよう。
されどこれで栄達が終わるとは思わないでくれ。これはほんの手始めであり,新たな天界をより広大な領土に築くまでの仮初のものに過ぎぬ」
【11章】
天界と地上の起源と力である神,別名ディウス,デユス,デウスについて。
- アヌハサジは言いました。
「主神にして汝らの神にして,至高の存在たる我は,汝らの選択と命令により,我らの働きにおける調和と協調のため,ここにデユスを設立する。 - クラオシヴィの者たちに神族(神性)があったように,我もデユスを持とう。我自身の権威により,我が男主神,女主神である汝らに,その聖なる一員としてここに宣言する。
- 神族会議がこの天界で教えられてきたように,デユスもまたそうであり,我はその長となる。
- 神族会議が法を持っていたように,我らデユスもまたそうあるべきである。
その法は地上に公布され,デユス(神)の法として定命の人間に教えられるものとする。
それ故,我が声明を以て天界の神族会議は解散とする。これは今から永遠に続く話ではない。その構成員となる汝らは全員,本日を以て神族会議を脱退し,クラオシヴィの統治者に,その者の利益とその王国の利益のために,その旨を伝えねばならぬ。 - クラオシヴィの統治者はその地とその王国に留まり続けよう。なぜならそれは彼のものだからである。
- ヴァラピシャナハの統治者アフラはその地とその王国に留まり続けよう。なぜならそれは彼のものだからである。
- まず手始めに我は汝らが愛する主神アヌビを引き入れて仲間とする。称号は『天界の天秤の管理者』である。なぜなら彼は霊魂の階級を定め,彼らをそれぞれの部門に送り込むからである。
地上での称号は『人類の救世主,デユスの息子』とする。 - 次にハイカスはジャフェスとその天界の王国の統治者とする。汝の称号はティインとし,地球の男神の第1位とする。
- 3人目のウォチェシジはヴィンデュとその天界の王国の統治者とする。汝の称号はスドガとし,地球の男神の第1位とする。
- 4人目のチェレムンはアラビーニャとその天界の王国の統治者とする。汝の称号はオシリスとし,地球の男神の第1位とする。
- 5人目のバアルはヘレステとその天界の王国の統治者とする。汝の称号はバアルとし,地球の神の第1位とする。
- 6人目のアシュタロスはパルサとその天界の王国の統治者とする。汝の称号はアシュタロスとし,地球の女神の第1位とする。
- 7人目のフォエベはユーロパとその天界の王国の統治者とする。汝の称号はフォエベとし,地球の女神の第1位とする。
- 8人目のホジャブは日本とその天界の王国の統治者とする。汝の称号はホジャブとし,地球の男神の第1位とする」
- その後,偽神は地球とその天界の他の管区の割り当てを終えると,こう言いました。
- 「我が男神女神は各地に玉座を据え,第1位の神に相応しい聖評議会と従者を持つこと。各自,その国の霊魂と定命の臣民の数と場所に応じて自治都市を配した首都を持つこと。
- 各男神女神は,各自の流儀でその王国を管理すること。但し汝らに課した納付金の額に応じて我が王国に貢納すること。
- 神族会議を辞した汝らが戴冠前に従者を選べるようにするため,我は1日の余暇活動を宣言し,トランペット奏者の呼び掛けで集まるように」
- 眷属たちは儀式を終えると,クラオシヴィの神に使者を遣わして神族会議を辞任しましたが,彼らの誰一人として新たな発足した事案について言及した者はいませんでした。
翌日,トランペット奏者の呼び掛けで彼らは再び集まると,アヌハサジはこう言いました。
「我と一緒に来るがよい。さすれば我は汝らにホレドとその境界を見せよう。なぜならそれは我が王国だけでなく,汝らの王国でもあり,我が王国は汝らの王国でもあるからである」 - 彼らはオテヴァンに乗り込み,チンバットの12番目の弧の象徴たる隕石群の下の第4帯に向かい,そこでアヌハサジは言いました。
「今からこの帯をホレドと呼び,永遠に私の場所とします。ここは地球の全ての天界にとって中心となる王国となります」 - 集まった人々はこう言いました。
「聖なる丘,至高なる神の地ホレドの王国,万歳!」
その時からこの地は神の丘『ホレドの帯』として知られるようになりました。そこは4分の3の帯であり,底部は地球から1万マイルあり,頂上は1万5千マイルの高さがあり,内外ともに居住可能でした。そこに上昇するのに必要な階級的な位階は20であり,その階級に到達した霊魂であれば容易に居住可能であり,幼児やドルジャの階級より上で,大規模な混乱状態に陥っていない地獄や群れのよりも上になります。
さて,アヌハサジは自分が戴冠した丘の東部の底部にあたるホレドの最初の場所から首都までの道路を作り,その道路は『ルー・ホレド』と呼ばれ,下の王国に通じる唯一の道路となりました。 - アヌハサジには2つの首都がありました。第1の首都は『天界の門の町』すなわち『アヌビ』と呼ばれ,もう一つの首都は『永遠の安息の地』すなわち『サンクトゥ』と呼ばれました。
アヌハサジはアヌビに言いました。
「見よ,『天界の門の町』が汝の地となろう。汝は『永遠の安息の地』を願う全ての魂の割合を決めよ。汝が彼らを審判せよ。
我に与せぬ者は『堕落した下天』の王国に放り込むがよい。我に与する者は我の下に遣わせよ。 - 汝は10万人の聖評議会を持ち,100万人の審査官を持つがよい。汝の首都は1か所を除き,周囲を火の柱で守られ,何人も『天界の門』以外から通り抜けできぬようにせよ。
汝は700万人の衛兵を持ち,7組に分けて毎日1組ずつ配置せよ。
我と汝の場所を行き来する使者を1万人持ち,汝と下天の男神女神と行き来する使者を50万人持つがよい。但しエセナウル,ラッパ隊,元帥やその他の従者については汝の判断に任せる。 - 我の下に来る全ての男神女神,そして我が聖地に遣わされる使者は汝の町の『天界の門』を通って来よう。
彼らは我が汝に授けた儀式や式典に従って来よう。それ故に,この汝の王冠を受け取るがよい」 - アヌビは戴冠し,その後に続いて他の男神女神も戴冠しました。
アヌハサジは古代の慣習に従ってそれぞれに自分の王国を譲りました。このことが終わると,彼はもう一度彼らの前でこう言いました。
「我が汝らの,自分の王国を用意する前から示してきたこの事例を見るがよい。我は必要なものすべてを汝ら全員に与えた。それ故に,我が大いなる栄光の下に建てるため,我と我が地に労働者や資材を貢ぐのは妥当であり適切なことなのである。 - なぜなら,我が地位が高められ,我が王国が栄光を戴けば,汝らの領地の住民に華々しく説法できるからである」
こうしてアヌハサジは男神女神に自分に奉納する義務を課し,彼らはこの行為に同意してこう言いました。
「いえ,私たちはその目的のため,男女の労働者を派遣するだけでなく,私たち自身も20日間,首都の建設を手伝い,あらゆる方角に通じる道路を開通させましょう」
【12章】
偽神アヌハサジはジェホヴィへの敵対を宣言します。
- アヌハサジは最初に計画されていたようなデユスを設立することはありませんでしたが,自らデユス(ディウス)と名乗り,その名で天界に知られるようになりました。
彼はホレドを完全に建設し終えると,男神と女神を饗宴でもてなしました。その後,散会する前にアヌハサジは彼らの前でこう言いました。 - 「義務を果たすべき時が汝らに,そして汝らの神である主神たる我の下に来ている。
これから我が話すことを心に留めておくがよい。さすればこの永遠の時の中で我らは同朋となり,我ら以外に他の神などいなくなろう。 - 見よ,我は汝らの王国を汝らの手に委ねた。そのため我は汝らに,こうしろとか,ああしろとか言えなくなった。なぜなら我が事案は我が王国にあるからだ。然し我が叡智を我は惜しみなく伝え,汝らがその助言に従うか否かは汝らの選択による。なぜなら汝らは我と同等の立場にあるからだ。それに我が王国は汝らに依存しており,汝らの王国が我が王国に依存しているわけではない。
それでは賢き神々が集う評議会の一員のように語る我が言葉を聞いてほしい。 - 地上とこの天界のジェホヴィとその支配を打倒することが,汝らの最初の任務となる。実体人が『偉大なる霊魂の信仰者』『ジェホヴィの信仰者』『オーマズドの信仰者』その他の『あらゆる光』や『不可視の存在』『永遠なる存在』を意味する名で彼の者を呼び,信奉する時はいつでも,汝らは彼らを追跡し,地球上から滅ぼせ。そのためには,汝らは神託や預言者,先見者,奇術師,霊媒師を使え。そして汝らは地球の王や女王を彼らに対して戦争を嗾け,男女子供を問わず,彼らに情け容赦を掛けるな。
- 汝らの王国に落ちた使者の霊魂が信仰者であれば,アヌビとその眷属の前に連れて行くように。さすればアヌビはこう言って彼らを闇の領地に送り込め。
『見よ,お前たちのジェホヴィがいる!』
そしてアヌビは彼らを監視する衛兵を置くように。彼の信仰者どもは闇の中を,何処に向かえばよいか分からず泣き叫ぶであろう。 - やがて彼らはホレドで汝らの神である主神に永遠に仕えることを誓い,汝らの王国の奴隷となるであろう。
- 汝らは,ホレドこそが至高の存在の天界であり,最上神ディウスの地であることを定命の人間や霊魂に教えねばならぬ。この目的を達成するためにも,汝らの望み通りに,汝らの天界で入念に彼らを奴隷化せねばならぬ。
- 汝らの天界と地球の両方で儀式や式典を取り行う際,汝らは『偉大なる霊魂』を意味する言葉を,等身大の人間の姿を持つ『主上神』を意味する言葉に置き換え,我が世界の審判を下す玉座に座していることを宣言せねばならぬ。なぜならその玉座は我のものであり,汝らは我と一心同体だからである。
- 全ての讃美歌は置き換えられ,ジェホヴィやオーマズド,偉大なる霊魂から汝らの神を讃える祈りとなる。定命の人間や天使は彼の者が我が敵であり,我が民を路頭に迷わせていることを知らしめねばならぬ。地上の予言者や先見者について,頑なに偉大なる霊魂を説法したり讃美歌を捧げ続ける者には拷問と罰と死をもたらさねばならぬ。
- 我がデユスであれ,神であれ,主上神であれ,絶対者であれ,彼らは永遠に我だけを崇めることになろう。
我がホレドの地は永遠に神の聖なる丘となろう!
何人も平伏せずに我に近づけなくなる。なぜなら我は,何人も我が面前に立てられなくなるほど,我は我が光を高めるからである」 - 主上神が演説を終えると,他の神々は愛と崇拝で応えました。
こうして祝宴は終わり,他の天界の儀式に則って男神女神は玉座の足下に座ると,デユスは一人ずつ彼らのその手を取って体を起こし,こう言いました。
「神よ,立つがよい。我が名と叡智,力において,汝らの道を行くがよい」
こうして彼らは出立しました。 - そして地上では,大いなる破壊と迫害がザラツゥストラ人とイスラエル人の身に降りかかり,何十万もの人々が処刑されました。
【13章】
- 遠く離れた精霊界から別の離れた地へと天界を往来する特使がホレドの地を通過した時,この尊貴な旅人は,悪魔の主上神とその眷属が『偉大なる霊魂』の幸福の世界を転覆させようとしている不穏な陰謀を感じ取りました。
彼らは『偉大なる蛇』に沿って移動していたクペンタ・アミジにそのことを告げました。創造主と一心同体である彼女の最高評議会は,この邪悪な狼藉に対する原因と対処を探ろうと奔走しました。 - その後,ジェホヴィの娘である女神長はこう言いました。
「その主上神なる者は,私の名においてそれに相応しい栄誉を受け,彼の最上級の光で以て永遠に忠実に仕えると私の前で誓いました。
あなたたちは彼の者をその目的に捕えておき,彼の者が自身の栄光のために支配しようとした世界に拘束しておくように。
私が昇格させ,私に反旗を翻した主上神に与した神には,私の崇拝者を破壊するあらゆる権限を与えなさい。彼らにその神の名を称揚させ,定命の王や女王が,私の選びし信仰者の虐殺に飽きるように仕向けなさい。 - 地球は実体的に最大限にまで成長しており,この傲慢な神々は地球の最大の管区に寺院やピラミッド,奇跡の宮殿といった記念碑を定命の使者を介して建てていくことでしょう。その記念碑は何千年も,厚顔無恥な神や救世主の証として残るでしょう。
主上神は自分の栄誉のため,天界と地球の天使と人間を,憐れな奴隷のようにすると誓いました。 - 私は,私の選びし者たちを犠牲にして彼らが地上に建てた実体界の寺院やピラミッドを,来るべき時代に,この自称神々の『堕落した下天』の王国における弾圧の証拠として使うつもりです。
その時が来るまで,私は朽ち果てた記念碑の荒れ果てた廃墟以外で,下天の虚しさを彼らに教えることはできません。 - なぜなら,地球が女性から生まれた者たちの愚かな犠牲の場所であったように,その日,私の天界が同様の弾圧と残虐さにより堕落したことを,コスモンの時代の定命の人間たちは知ることになるからです。
- 偽ってオシリスとして戴冠した者には,オシリス平原に建てさせなさい。
デユスを宣言する者には『堕落した下天』に建てさせなさい。なぜならその時が来れば,この証拠が地球と天界の両方で必要となるからです。 - なぜなら,私は至高の御方なくして天使や人間に復活はあり得ないということを彼らに示そうと思うからです。主上神によって殺され,拘束された1,000万人の者たちは,コスモンの時代が訪れたら,私以外の全ての者を破滅させようと誓うことでしょう」
- クペンタ・アミジは,御父が世界の命運を握る壮大な計画について語り,神とその眷属を慰撫するジェホヴィの御言葉を特使に持たせて,下天のクラオシヴィの神の下に派遣しました。
神は彼らを迎え入れると,神族会議の面々がどうして自分の下に来なかったのか,そして自分の召集に対して辞任でしか答えなかったのかを理解しました。 - しかし天界と地球の統治者である神は,地上での繁栄が人間を自己中心的にし,人間の視点からジェホヴィの欠点を指摘し,やがては創造主に対して目を閉ざしてしまったように,甘美な天界の繁栄が最も神聖なる神々を悪人へと仕立て上げたことを知ったのでした。
そして神はジェホヴィより授かった天界の光が続くように祈ったことを思い出し,悔い改めるようにこう言いました。 - 「ジェホヴィよ,どうして私はこう言わなかったのでしょう。
『あなたの御心のままに闇が訪れますように!』
私は昼の後に夜が続き,夏の後に冬が続くことをどうして地球で見てこなかったのでしょうか?
私は世界の時と流れの中であなたの息子や娘がまだ赤ん坊に過ぎないのに,どうして天界で永遠の光を祈らなければならなかったのでしょうか?
あなたの下天では光の期間の後に闇の期間が続くことを,私は自分で気づかなければなりませんでした。そうすれば,試練半ばの主神や神々は,この狂った計画に突き進む前に立ち止まって考えることができたからです」 - 神はクラオシヴィの聖評議会を招集し,上位女神からもたらされた創造主の御言葉を彼らに伝えました。この時,評議会では選ばれた3,000万人の者が全員発言しました。その時,反乱者の拠点があるホレドから最新の情報を携えた使者が来て,主上神,名を改めデユスと,彼に与する自称男神女神に関する知らせをクラオシヴィにもたらしました。
- 全貌が語られ,評議会でそのことについて議論した後,ジェホヴィの光が神に降り注ぎました。
神はこう言いました。 - 「御父の名において,私はこの神や主神たちに語り掛け,ジェホヴィの御言葉を伝えます。
そうです,私は彼らが戻って来るように説得しようと思います」 - 神は自分に課せられた天界の恐るべき逆境に圧倒されていました。まるで遠く離れた海で商船の船長が,マストが壊れ,積荷が剥き出しになり,舵はなくなり,助けも望めない状況にあっても水夫たちの前で無能の恥辱に燃えるような怒りを感じるしかない状況で,神は,精霊界の上位神の長たちの前で自分の圧し折られた王国を為す術もなく見ていることしかできなかったのです。
- 神は深い悲しみと共に,ジェホヴィの警告をデユスとその神々に伝え,父が放蕩息子に戻ってくるように嘆願するように,彼らを諭しました。
使者はすぐに出立しました。過酷な試練と職務停止を長らく味わっていた神ですが,自分の甘い懇願がこの状況を一転させるかもしれないと期待し,使者が戻って来るのを待ち焦がれました。 - しかし使者は手ぶらで戻って来たのでした!
職務放棄の神々は誰一人として,神の呼び掛けに応える者はいませんでした。不平不満を言われるようなことは何もしていないのに,これほどまでの侮辱を浴びせられようとは思っておらず,神は使者の言うことをほとんど信じず,嘆きました。
この時,ジェホヴィは神の下を訪れ,こう仰せになりました。
「息子よ,嘆いてはいけません!
日々,最高の光を追い求める者の栄光は偉大なのです。失ったものは1,000倍にして取り戻しなさい。
見なさい,私はあなたが知らない愛をもたらしてあげましょう。
覚えておきなさい,地球とその天界に時季があるように,私は全ての世界にそれと似た時季を送っているのです」
【14章】
- 時が経つにつれて,『ヴァラピシャナハ』のアフラの下に,デユスと呼ばれた主上神の振舞いと,最下層の天界が全て一斉に反乱を起こしたという知らせが届くようになりました。
アフラは数千年前の自分の過ちと,最後に自分に襲い掛かった悍ましい拘束を思い出しました。
彼はデユスを知っており,何百年も昔,アヌハサジという名前で自分の副神を務め,アイルキンの復活の際にスペタ弧の列を乱そうとした者でした。 - アフラはヴァラピシャナハの聖評議会の前で,自分は何を言うべきか,何をするべきか,それとも何もせずにいるべきなのかを知るため,ジェホヴィに祈りを捧げました。
ジェホヴィはこう仰せになりました。 - 「息子よ,あなたはもはや子供ではありません。主上神に呼び掛けるもよし,呼び掛けないもよし,あなたの目で見たままに振る舞いなさい。
ご覧なさい,私はあなたが私とその王国を理解することを期待し,同じ道を試すことを許しました」 - そこでアフラは自分の名において,自分なりのやり方でデユスに文書を送ると決めました。
その時の文面は次の通りです。 - 「かつて私の副神であったアヌハサジに正義と叡智を以てご挨拶申し上げます。
もしもあなたが未熟者であれば,私はあなたを注意します。しかしあなたは自分が偽っていることを知っています。あなたは偽っているため,その偽りを刈り取ろうとするでしょう。 - ご覧なさい,いつの日かあなたの神々はあなたのことを見捨てます。なぜならあなたが自分の王国に植えたのはそういう木だからです。
この法則は地上と全ての天界に当てはまります。
まだ生まれていないのに,自分が生まれるのを抑制できますか?
生命が息吹いていないのに,創造主の御手を抑制できますか? - 自分のために種を蒔く者も同じです。その者は自分のために収穫します。
あなたの神や元帥,その眷属は自分のためにそう振舞い,誰もが正道とは真逆の方向に引き込みます。 - こういったことは突然訪れるものではありません。なぜならあなたはこの天界でどの神々も持ったことがないような強大な王国と大いなる誉れ,栄光を得るからです。あなたの民は誰よりも全力であなたを崇拝し服従しようと努め,他人に嫉妬するぐらい仕えようとするでしょう。あなたのデユス,そして主上神という名は,暫くの間,地球上のどの名前よりも至高の存在となるでしょう。
- しかしいずれあなたの名が地球と天界から捨て去られる時は来ます。あなたの行いさえ,その名を忌まわしきものにする手段となります。
- 主上神よ,あなたは自分が正義で聖なる存在だと思わないでください。
ご覧なさい,私もまた自分の栄光のために自分の王国を築いた反逆の神でした。当初,私は何事にも正義を実行しようと固く心に誓っていました。 - しかし周りの者が私を変えてしまいました。なぜなら私は自分のことばかり考えていたため,私はいつも利己的な役人に取り囲まれ,彼らのために新たな地位や新たな栄光を探してあげなければならなかったからです。そうしなければ彼らは不満を抱き,私の畑に反乱の種を植えていたことでしょう。
私が築いた巨大な王国は無力だったのです。この結果についてはあなたも知っている通りです。 - 王国が大きくなれば,破滅を回避できるぐらい力も大きくなると考えていますか?
私の経験では,正反対でした。 - 私は叡智と正義を以てあなたに忠告します。
私はあなたが地球の果実を育てるためではなく,自分の権力拡大と栄光のためだということを知っています。
私はあなたに言います,あなたの神々はいつかあなたに対して同じことをする日が来ます。その時,賢い者や学識ある者,誠実な者はあなたの下から離れ,ドルジャや奴隷は去らず,あなたは彼らに取り囲まれて地獄へと落されるでしょう。 - あなたは何百万もの臣民に塗炭の苦しみを強いますが,正義の手からは逃れられません。
あなたは彼ら全員に償いをすることになります。
あなたは浅瀬に網を投げたものの,その網目に足を取られてしまうでしょう。 - ご覧なさい,私もまた,天界に大王国を築くことを切望していましたが,それを手に入れてしまったため,今や昼も夜も泣いています。
きっとあなたも,自分が切望していたものから解放されたいと,火傷の涙を零す経験をすることでしょう。 - それに,愚かな者を天界で蘇らせるには他にどうすればよいのでしょうか?
地上を跋扈する彷徨える霊魂を管理するのは,他に誰がいるというのでしょうか?
それに悪のドルジャたちは誰が管理する?
好色者や悪臭者は?
あなたにはっきりとこう言います。
『尊大な主上神よ,偉大なる霊魂はあなたのために,酢漬けの杖で待ち構えています!』 - そうです,彼の御方は遅かれ早かれ,人間と神が考えもしなかった方法でその野望に対応し,一回り成長させます。
- あなたは自分の体の毛穴を塞ぐ巨体を望む人間のようです。
あなたは,地上から昇天する道を永遠に閉ざそうとしているのです。それは悪臭で噎せ返って死ぬように,あなたの天界もそうなります。
ご覧なさい,永遠の光に至る道は実体界から外に向かいますが,闇への道は地球に向かいます。 - 死者の霊魂は地球から蘇らせないとでも言うのですか?
上天を知らないまま,定命の人間たちを導くようなものです! - ご覧なさい,あなたは遠くまで気取って旅しながらこう言いました。
『もう十分である。主上神である私は遠く離れた天界を旅する。汝らは家にいて,私の栄光のために永遠に私のために働くがよい!』 - あなたはこう言いました。
『私は主上神,私はデユスであり,虚無の中の唯一の息子である。
見よ,王国は小さな片隅にある。そこに来て私を崇め,汝らは玉座に就く私を見よ!』 - もしくはこう言うのでしょう。
『人間のいない空間,無感覚の世界に偶然,実体界に物質が生まれ,成人した人間の姿をした主上神となり,その私が全ての創造物を創造した!
それ故に人間と天使は,下天のさざ波であるホレドで暮らすデユスと呼ばれる者に平伏し,崇めよ!』 - アヌハサジよ,私はあなたに愛ではなく,あなたの配下の者たちに正義を告げるのです。なぜならあなたは定命の人間たちや,経験の少ない天使でさえも騙して,あなたが真の創造主と信じ込ませようとしているからです。しかしあなたの神々はあなたが誰であるかを知っており,あなたの上に君臨する神々もまた,そのことを知っています。
あなたが生きた時間はたかだか2,700年に過ぎません!
そんなあなたもいつの日か,何十億年も世界を支配してきた真の創造主であると,自分の嘘を突き通さなければならない時が来ます!
これほどの嘘を誰が貫けるというのでしょう!
それをしないとあなたやその民に圧し掛かり,あなたの場所やあなたの神々の場所が,嘘以外に何もない土台となるまで根を張り,広がっていくことでしょう。 - なぜなら収穫の善し悪しは蒔かれた種によるという法則は上天,下天に関わらず,全ての場所に当てはまるものだからです。
いかなる人間や神でもこの法則を変えたり,左右に曲げることはできません。 - もしも神や主上神,デユスの名を地上や天界で忌まわしきものにすることがジェホヴィの御命令であり,あなたがその目的のために自分を軛に繋げようとしているのであれば,それはそれで良いことなのかもしれません。しかし私はあなたをそうさせたくないし,私ならそれを防げます。
- かつての私の副神であったあなたのことを私はよく覚えています。若かったあなたは将来有望でした。私はあなたのことを『こちらの副神は数千年来の誇りとなる!』と裁定しました。
しかし私の裁定はジェホヴィのものではありません。あなたへの私の愛は新芽のうちに早々に摘まれてしまいました。なぜならあなたはいつも自分のことを話していたからです。
あなたは自分の経験と,自分がこれから何をすると宣告するのをずっと語り続けるものだから,他の神々はうんざりしていたのです。 - ジェホヴィが,私の悪で私自身を身動き取れなくさせた時,あなたは私に忠告してくれましたがそれに従わなかったので,あなたは私を焦らせました。
繰り返し言いますが,私は誰の忠告にも従えませんでした。そしてあなたも身動きが取れなくなったら,誰の忠告にも従えなくなります。
なぜならそれが神の束縛だからです。私たちはこの束縛から逃れない限り,ジェホヴィを筆頭に,私たちはその僕以外にはなれないのです。
神は王国において偉大な存在でありながら,その国の民の中で最も卑しき僕でなければなりません。義務は一切なく,ジェホヴィ以外の誰も偶像化しないように自分の臣民を説得し続けなければなりません。
彼ら臣民に対して,神が自分たち以上に何も持っていないことを示し,彼らが独り立ちし,神の奴隷ではなく,偉大なる霊魂だけを信仰する,独立した大人にならなければならないのです。 - 神は自分や民に束縛されず,ジェホヴィと協調することで得られる慈愛と愛による『自由への愛』をどの魂にも完全に与える存在なのです。
- 私が地獄から救済され,私の王国が『ヴァラピシャナハ』に昇格した後,あなたは私の下に戻り,これらのことを理解し,嘘はついてなく,この哲学を愛していると言っていました。
あなたはジェホヴィに熱心にお仕えし,かつての行為を悔い改めて,儀式や式典に参加していました。 - 私はあなたに胸襟を開きました。あなたを初めて知った時のように,あなたへの愛が1,000倍になって返ってきました。私はあなたへの喜びと涙が湧きおこり,この甘い愛を送ってくださったジェホヴィを讃えました。
- 私たちは互いに抱きしめ合いながら,悔い改め,永遠の愛を誓いました。
私たちはジェホヴィの道をはっきりと理解しました。彼の御方は私たちを,強く賢く,そして喜びに満ち溢れた者にしてくれたのです。 - 私たちは手を取り合ってドルジャや闇の霊魂,最低の愚か者と共に働き,彼らの愚かな心に繰り返し,日夜,永遠に教え諭していくと決めました。
私たちは二人とも何千回もほとほとに草臥れ,手を休め,ほんの少しの間仕事から離れて,互いの腕の中で休みました。 - それから私たちはジェホヴィの御業における計画と栄光について議論したり哲学的に考えたりして,ここでの労働で進歩の兆しが見られることを期待しました。
ああ,あの時の栄光よ!
あの当時,闇の中であなたが私に向けてくれた豊かな叡智と愛よ!
100年も私たちは苦労し,私は祝福され,私の民はあなたという『私たちの愛の星』に祝福されたのです。 - 私たちが40億人という私の被保護者を成長させ,彼らを少しだけ闇から解き放つことができた時,遠く離れた地の女神アチェニが他の地域を旅するため,あなたのような偉大な者を必要としていました。
私はあなたと別れました。私の心はまるで双子のように割れました。 - 何百年もあなたは旅をして豊富な知識を手に入れましたが,張り裂けんばかりの想いが詰まった私の下に戻ろうとはしませんでした!
これ以上,何が言えますか?
あなたは私の場所におり,私は私の場所にいます。しかしジェホヴィは叡智,愛,真実,信義と共にいます。なぜなら,それが彼の御方の住む場所だからです」
【15章】
- デユスはヴァラピシャナハの神アフラに返事もせず,何も言わずに使者を帰しました。
悪魔が再びデユスの下にやって来て,こう言いました。
「お前の神々に断固としてこう言ってやるがよい。今日,アフラとクラオシヴィの神がジェホヴィの下に戻れと脅してきた,と」 - それでもデユスは怖れており,彼は悪魔に,自分ができる最良の方法は何かを質問しました。
悪魔はこう言いました。
「私の神である主神よ,お前にできる最良の方法は,全てのディヴァン法を壊し,代わりにデユス法を制定することだ。
どうして古代人の足跡を辿らねばならぬのだ?」 - 主上神は言いました。
「そうだ,そうだ!
我は古代人の法に縛られてはおらぬ。我は我のみの法を持ち,『主上神の法』と呼ばせよう」 - 悪魔(自分)は言いました。
「主上神よ,お前の言葉が『デユスの法』となる。つまり, - 我,主上神は『自分の安全』を第1の法とする。
- 汝らは全身全霊で汝の神である主神を愛せ。
- 汝らは汝らの神を,今も今後も永遠に崇めよ。
- 汝らはジェホヴィを崇めてはならぬ。ジェホヴィは虚無であり,存在しない。
- 汝らは地上や地球の天界において,いかなる偶像も崇めてはならぬ。
- 主上神である我以外の何かを崇める者は何人であれ,処刑する。
- 見よ,我は正義と真実の神である。
我は怒りの神であり,報復は我が手段である。 - 我にはホレドの丘の門がある。我の守護者は『燃える剣』を持ったチェルビムとセラフィムである。
- 我に対して手を上げし者は何人であれ,滅ぼす。
我が意志を行うことは『第6の法』である。 - 男子に割礼の印を施す者は何人であれ,処刑とする。
- 何人も悪意を以て悪事を為してはならぬ。
暴力で以て男女,子供を虐げてはならぬ。 - 地上で我を讃える者は何人であれ,我はその者を天界で称揚する。
- 天界と地球のデユスたる主上神以外の神々を倒す者は誰であれ,我はその者を天界で称揚する」
- こうして偽神の布告が地球で制定されました。
デユスという名はヴィンデュと東パーシーの他の神々よりも崇められ,ジャフェス(中国)ではティイン,アラビーニャ(エジプト)では主上神として崇められました。
この国の民には新たな聖書が与えられました。しかしこれらの名前は全て,たった一人の天使,かつて定命の人間であったアヌハサジを表していました。 - これに先立ち,地上の信仰者は無抵抗を教えられてきました。それは指導者を無視し,悪には善で返し,兄弟のように共に暮らすことでした。
- しかしアヌハサジ,別名デユスの布告により,信仰者は信念が揺らぎ,戦士となって王や支配者を目指すようになりました。
- それにも関わらず,彼らの多くは自分たちのことを『信仰者』を意味する名前で呼んでいましたが,彼らの信仰は『偉大なる霊魂』から,定命の人間のような属性を持った人の形をした神へと変わってしまいました。
- これらの国の定命の人間たちは,『燃える剣』を持ったチェルビムやセラフィムの偶像や,一対の天秤を持ったアヌビスの偶像を作りました。それは現在作られているものと同じく,『正義』と呼ばれています。
- この地上の布告に加えて,アヌハサジ,別名主上神は自分の王国と配下の神々の王国に天界の布告を作りました。
主な布告は次の通りです。
「最初の100年間は,地球で生まれた全ての天使をそれぞれの管区に遣わし,我が神々のやり方に従い,その天使たちをそれぞれの臣民とする。 - 100年後,我が神は,最高位の臣民の中から10分の1を私の下に届けるように」
- デユスは彼の神々の王国に関して,境界や装飾に関する200の法を定めました。壮大な演目や,無数の使者,杖者,音楽家,雄弁な演者(演劇)の他に,演目が大層華やかになるように大量の下僕や演出家を揃えさせたのでした。
- 彼は政治の体裁やシステムを完成させると,自分の法を批准し受け入れてもらうため,再び饗宴を催し,神々に招待状を送りました。
- こうしてデユスの法は神々に批准され,彼らは喜びながら自分の王国に戻ると,すぐに自分たちの栄光のために働き始めました。
【16章】
本章では,神々が以前に語ったことをどのように実行したのかを記しています。
- こうして『共同体』が創設されました。これは偽主上神とその配下の偽神が多くの王国を一つに結合させたようなものですが,どの神も自分の栄光を優先すると心に決めていました。
- 反乱が始まってから『共同体』の完成までに要した時間は64日であり,その時点の天界の住人は男女,子供を合わせて80億人でした。
彼らは,保育所,病院,学校,大学,工場や,造船所,測量,道路建設や,その他の下天におけるあらゆる施設を主観的,客観的によく整えていました。
これらの王国から40億人がまもなくデユスのホレドに送られました。 - デユスはすぐに計画の実行に取り掛かり,上層の高天原クラオシヴィに向かう全てのオテヴァンや他の乗り物を破壊したり,上層から下層に向かう火の船や他の乗り物を押収もしくは破壊するように命じた布告を出しました。
デユスは言いました。
「我が民は他の天界に昇天してはならぬ。
我は地球とその天界をあらゆる幸福と栄光が十分に満ち足りた世界に作り上げた。
『私は昇天する』と言って乗り物を造る者,もしくはそう言わなかったとしても我がそう見做した者は誰であれ,その者を我がために用意された『堕落した下天』に放り込む。
もしも『上天がある』と言って男女が我が天界で説法するようならば,その者は我が息子の審判が下り,地獄に放り込まれるであろう。 - 我,デユスは我が天界の図書館の,ジェホヴィやオーマズド,我よりも上位もしくは権威のある天界の王国を説いたあらゆる書物を封印することを命じる。なぜなら我,主上神は一つの天界しか持たず,全ての民をそこに引き込んで永遠に我と共に暮らさせるからである。
- 我が配下の神々,元帥,将軍,隊長は眷属を連れてホレドの領内を巡回し,綺麗な道路を作り,他の王国との繋がりを全て断ち切るものとする。彼らは我と配下の神々の王国を永遠に十分に守護し得る常備軍を,我が天界に張り巡らされた道路に配備するように。
いかなる男女の天使も我が道路を使って他の場所に行ってはならぬ,永遠に」 - これらは図書館に関すること以外は実行されました。しかし4,000機のオテヴァンやその他の昇天用の船が破壊され,他の天界行きの船の造船所も7,000以上破壊されました。
その結果,男女7億人の雇用が失業しました!
その大半はホレドに強制的に移送され,階級ごとに仕分けされ,偽の主上神の首都や評議会の建物,宮殿の美化といった仕事に就かされました。その他の者は常備軍に徴兵され,季節や年単位で配属されました。 - こうして『堕落した下天』の最果てはあらゆる方法で鍵が掛けられた後,デユスは内側に目を向けました。
彼は言いました。
「さて我は上天の王国やジェホヴィに関する,我が天界にある教科書を隠す。なぜなら今より彼奴は我が敵であり,我は彼奴の敵だからだ。
我は我自身に誓う。ジェホヴィとオーマズドの名は天界と地球で滅ぼす。主上神デユスの名こそ,最上位の存在となる」 - 60日間,軍隊が破壊目的で下天を上に下に,遠くや近くと駆け回り,上位の大気界や精霊界に関する多くの記録,本,地図を隠しました。
天界における破壊活動は60日で完了し,上天やジェホヴィ,オーマズドについての証拠や教えはどこにも見つけられなくなりました。 - 偽の主上神は言いました。
「我が名や我がホレドの地こそ,この破壊されたものの代わりとせよ。なぜなら世界の半分をデユスの名において支配し,残りの半分を主上神の名で支配させるからである。 - 天界と地球の住民は何処で我を見つければよいかを知り,我が存在を知り,我が強さを見るであろう。
然様,彼の者らは我が喜びと不快を知り,恐怖に怯えながら我に仕えるであろう。 - こうした天界の学校や大学の本はデユスや主上神を『至高にして最も崇高で神聖なる存在』として作られました。
- これまでのことが実行された後,デユスは盛大な饗宴を催し,彼の命令を遂行することで自身を証明した勇敢な戦士や破壊者を仲間として招きました。
その間,担当となった労働者や役人はホレドの主上神の宮殿や首都を全てを超越した存在として,天界で見たこともないぐらい美しく拡張しました。そのためこの饗宴が催された時には,宮殿は既に壮麗さと栄光の一つに加わっていました。
祝宴の準備や企画を担当した100万人以上の役人や下僕は,秩序,気質,規律のいずれもとても素晴らしかったため,集まった神々や大将軍,政治家,元帥,隊長は長い間,拍手喝采するぐらいしかできませんでした。 - それ以外にもデユスは5万人の眷属を歓迎要員として手配し,50万人のエセナウルとラッパ隊,10万人の触れ込みの使者を用意し,特に後者は著名な来客があり,デユスの御前に案内された際,聖評議会の喝采の中,彼らが今まで見てきたものを凌駕する栄誉を披露しました。
- 饗宴で使用された食材は動物界よりも上の階級20以上とされ,それ故に,この特別な機会のために訓練を受けた配送人や労働者により事前に調達された,地球から採れた霊界の野菜や果実でした。しかし食卓に供されたのは霊界の肉や魚はなく,大量の霊界のワインがあり,これは甘露(スベ)と呼ばれました。
- 饗宴の部屋の壁は彩色豊かな火の噴出しで装飾されており,部屋の床からは得も言えない香りが噴出し,その香りも地球で採れた霊界の素材であり,かつて滅ぼされた配送人が暮らしていた領地から奉仕として徴用された100万人以上の奴隷によって強制的に噴出させられていました。
- 主上神や配下の神々が参加したその饗宴には,1,200人の来客があり,その饗宴は丸1日続き,神々や来客は心ゆくまで飲み食いし,芳醇な甘露に酩酊した者は少なくありませんでした。
- 饗宴が終わると,デユスは元帥を通して彼らの前で話すと表明し,場が静まり返るとこう言いました。
「他人を喜ばせる以上の喜びが他にあろうか!
汝らが我が命に従って仕えてくれたので,見よ,我は汝らをもてなせた。
我が饗宴は汝らの饗宴であり,我が素材を汝らに供したのは,我が汝らから受けた栄光を還元するためである。 - されど汝らの神である主神がこれで終わりだとは思わないでほしい。
我はこれで終わりにはしない。汝らの神たる我は,その栄誉を受け取るに相応しき者たちに栄誉を与えるため,汝らに命じた。
我が神々もまた,我が天界において為した汝らの働きを大いに讃えている。なぜなら我が天界は彼の者らの天界であり,汝らの天界でもあるからだ。
汝らは『昇天』という最も無価値で愚かなものを打ち壊し,我が天界から塵を一掃し得たので,汝らは自分のために永遠の栄光の場所を確保できたのである。 - それ故に,汝らへの公平さのために,我は汝らの多大な功績に応じて汝ら全員を,今この時を以て昇進させることとする。
汝らはこの昇進で安堵し,気を抜いてはならぬ。なぜなら我は,より大きな栄誉,栄光は元より,汝らのためにより大きな活躍の場を用意しているからである。 - 見よ,我は地球とその領土に命じた。汝ら我が神は,我が名とその力の下に従わせることになろう。天界において最も勇敢であることを証明した汝らは,我が名において何百万人もの天界の兵士を率いて地球に降り立ち,我が手の下に定命の人間たちの行く末を計画し補正する士官に選ばれた。
汝らはジェホヴィとオーマズドの名を天界で捨てたように,地上でもその名を捨てるだろう。 - 思い出すがよい,我は怒りの神である。我は地上のあらゆる不信心に対して宣戦布告する。
ジェホヴィやオーマズドの名の下に偉大なる霊魂を崇拝する如何なる者も,男女構わず処刑する。
幼子だけは助け,奴隷や宦官,それ以外に我が王国に利益をもたらすものであれば何にでもするがよい。 - 彼らが石や木,金,銅といった偶像を所持しているならば,それらは壊されよう。『目に見えざるもの』の偶像を作るのにそれらを貯め込ませてはならぬ。なぜならそれらは我が目にとって何よりも不快だからだ。
我は地上に一人の信仰者も生かして残さぬ。 - これらを成し遂げるためにも,我が麾下の神々は饗宴に参加する汝らを選び,階級ごとに振り分けたら,汝らは我が手より記章を受け取り,我が神々と共に望む場所,望む奉仕へと赴くがよい。
- 汝らは地球に降り立ったら,神託所や礼拝所を占拠し,他の天使,神,主神,使い魔を全て追い払え。定命の人間たちが霊魂に相談しに来たら,汝らはそれぞれのやり方で彼らに答え,我が命を実行せよ。
- クラオシヴィの王国所属の霊魂を連れた『目に見えざる者』により作られた予言者や予見者を見つけたら,汝らはその霊魂を追い払い,汝らのやり方で予言者,予見者に憑りつくがよい。
されどオーマズドの天使をそこから追い払えねば,『堕落した下天』の奥深くに行き,1,000の闇の霊魂を連れて来るがよい。奴らは愚かで拷問に長けており,予言者の気が狂うまで奴らをぶつけてやりなさい。
しかしその預言者や予見者が保護され,闇の霊魂が届き得ぬ場合は,その者がよく行く場所に悪霊を遣わし,その者を毒殺する病原菌をその場所に植え付けるがよい。 - しかしジェホヴィの予言者が悔悟し『偉大なる霊魂』を捨ててデユスまたは主上神を受け入れるならば,汝らはあらゆる悪をその者から追い払い,その者に衛兵を置かねばならぬ。なぜならその者は来るべき時に我が臣下となるからである。
- 汝らが地上の王に迫るのに,神託や預言者,予見者,憑依といった手段は問わない。されど汝らはその者が寝ていようが起きていようが,いずれの時も何らかの手段でその者の下に行き,『汝らの主神』の教義や愛を啓示せねばならぬ。その者が大いなる戦争を発起し,デユスや『汝らの主神』を信仰せぬ全ての民を追い詰めるであろう。なぜならその者は,我が意志を遂行する汝らの道具となるからだ」
- デユスが話し終えると,神々は速やかに選出を行い,将軍や隊長を新しく任命しました。
従者が饗宴の食卓を片付けると,神々は隊長や将軍を連れて12列に並んでデユスの前に控えると,デユスは先に約束したように記章を授けました。 - その後,デユスは評議会の部屋に行き,玉座に座りました。客人,神々,評議員は南門から入り,部屋の床の中央に控え,そこで主上神は『神の戦士』となる者に挨拶すると,彼らは正義の遂行を意味する『牡羊座の印』を結んで応じました。なぜなら牡牛の偶像は玉座の上にある印の一つだったからでした。(そしてこれは『牡牛の勅令』と呼ばれました)
- これらは,偽者の主上神に臣従させるべく地上への降臨を天界で許可された将軍や隊長を連れた男神女神の名となりました。
彼らの名は次の通りです。 - 神々は次の通りです。
・アヌビ
・ハイカス。今はティインと呼ばれています。
・ウォッチシジ。今はスドガと呼ばれています。
・チェレムン。今はオシリスと呼ばれています。
・バアル
・アシュタロス
・フォーベ
・ヘスルー
・ヘルー
・オリオン
・ヘベ
・ヴァリッシュ - 将軍は次の通りです。
・ホイン
・オーダ
・ジャー
・ノウテス
・ジュン
・プルトンヤ
・ルー・チェン
・ワカ
・ポセーイドン
・ドシュト
・ユールガロス
・ネフ
・アポロヤ
・スッツ
・カルサ
・ミオン
・ヘファイスティス
・ペトリス
・バン
・ホジョウヤ
・ムンジョ
・ウラナ
・オケヤノス
・エグプト
・ハイラム
・トゥクロノ
・アレス
・ユーベ
・フェトゥス
・ドン
・ダン
・アリジャ
・ソル
・サメルン
・ツゥワッチ
・フアヤ
・アフロ・ディテ
・ハン
・ウィール
・ハインリ
・ワンル
・アルティミス
・ガソンヤ
・ルータ
・プー
・トチンウォトゴウ
・ベン
・アーロン
・ナイスウィチェ
・ガイヤ
・テシン
・アルゴ
・ハダル
・アツシル
・エション
・ダリダラット
・ウダン
・ナダル
・ボグウィ
・シウグガ
・ブリハット
・ゼマン
・アシリグ
・オイベ
・チャンルワン
・シシ
・ジェガット
・アトイナ
・デュ - 隊長は次の通りです。
・ペンブ
・ジョシュ
・ヤムヤム
・ホリーツ
・ヨス
・ガンバ
・サイド
・ドラッタ
・ユペセット
・ワグ
・マル
・ルス
・マッカ
・チュッツ
・ヒラクト
・ヴァゼンノ
・ハスック
・トルゥス
・マイディール
・パセマディン
・コプ
・クペンタ・マイニュス
・トリシティヤ
・ペーター
・ホーブ
・ヴァナイティ
・クラオシャ
・ヴィスパー
・シーム
・プロヤ
・ヤクタロス
・アブア
・ザオサ
・カカン・キャット
・ホヴェイン
・ミャズヅルー
・ハウル
・アベル
・オペニスタ
・イザー
・ヴァジスタ
・ポタナス
・キロ
・ウィスカ・ドレ
・ウルヴァシュ
・アシスノガ
・カーヴォ
・カラマラ・ホードン
・ルツロム
・ヴァブ
・ダエリ
・クス
・ツーマンゴ
・レウィアン - これ以外に,下級の士官が1,000人いました。
さて,彼らの階級,地位,任務を確認すると退出し,デユスは士官と共にいた神々が群衆の中から私兵を選抜するため,1日の余暇活動を与えました。 - 1日のうちに,2,000万人の天使による軍隊が結成され,彼らは信仰者やジェホヴィ,オーマズドの名を滅ぼすべく地球に降り立ち,そしてデユス,またの名を主上神という偽神を確立しました。
【17章】
- クラオシヴィの神は天界と地球を嘆いていました。
神は言いました。
「偉大なるジェホヴィよ,私はあなたの王国で失敗しました!
ご覧ください,あなたは地球とその天界を私に託してくださいましたが,彼らは進むべき道を見失ってしまいました!」 - ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私の統治の計画をご覧なさい。それは天界や地球でいかなる反対もさせないこと,誰の頭も掴まずに力づくで別の道を歩ませることです。 - 私は彼らを創造した力であり,彼らを動かす『永遠の存在』ですが,彼らが自分で自由に道を見つけられるようにするため,私のように『神』としました。
- 私は庭にたくさんの木を創り,その中で最も偉大な木は『幸せの木』です。私は全ての生物に,木の陰で来て暮らし,その果実と香りを堪能するようにと呼び掛けました。しかし彼らは刺の方を追いかけて自分に鞭打ち,そして残念なことに私を呪い,私の統治の欠陥を指摘して私を非難するのです。
- 私は彼らを一定期間母胎に閉じ込めて『全ての物事には時間がある』ことを示しました。しかし彼らは性急に駆け出し,道すがら立ち止まって私の栄光を観察しようとせず,手早く幸福と叡智を手に入れようと欲します。
- 私は彼らに言いました。
『私が全ての人々に自由を与えたからと言って,あなたたちは兄弟姉妹を自分の奉仕に徴用してはいけません』
しかし神を僭称する者は自分の同朋を奴隷にし,道を作らせ,軍隊を配置し,私の新生児たちがこの最も栄光ある私の王国に来るのを阻んでいます。 - 彼らは地球に降臨し,王や女王,富める者に同じことをするように唆しています。
彼らは自分の下僕を分け合ってこう言います。
『汝ら,我に仕えよ,さすれば我は汝らのために尽くそう』
彼らは自分の下僕が遠い将来,自分に歯向かう刺や石,鎖,槍となることをほとんど考えていません。
彼らは自分の正義を振りかざしてこう言いました。
『我が下僕は我のために働いた分だけ,我も彼の者らに報いよう』
しかし私は彼らに『何人も愛以外で他人に仕えてはいけない,それがその者の唯一の報酬となる』と言いました。 - 地上の王や女王,富める者は『私』の目を閉ざし,私が見ることができない手段を考え,天界で自分の下僕から逃げ切ろうと企んでいます。しかし私は自分の庭に『拘束』という種を蒔き,こう言いました。
『他人を縛る者は誰であれ,自分も縛られる』
ご覧なさい,彼らが昇天した時,その下僕や兵士たちもやって来ます。その記憶は拭いきれない『悩ましき夢』となります。 - こういった分かりやすい事例があるにも関わらず,『堕落した下天』の天使たちは今もそこから何の教訓も得ていません。
彼らは自分にこう言い聞かせています。
『私は天界で大王国を築く。
私は神々の中で最強の存在となり,何百万という天使を仕えさせる。
私は偉大なる霊魂と遥か遠い天界を締め出す。
私はこの場所の周りに軍隊や火,水を配置して壁を作る』 - 放蕩者が,疑うことを知らない乙女を騙して我が物にして,やがてそのことに気付いた彼女はその男を恨むように,偽神は私の場所で暮らす住民を奪って監獄に連れて行きます。しかし『私』を理解しようとする光は私の幼き子供たちの心に宿り,春の日差しを待ち,芽吹き,大木へと成長し,こういった神々を咎めるでしょう。
- 神が戦い方について何か訊きましたか?」
- ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私は何事にも『正しいこと』で答えます。善良な人々に私は善良なる考え,願望,そして聖なる観測を与えます。無道な者に私は栄光と慈善行為と平和への理解を取り上げます。他人のために慈悲と善行に励み,私欲のために働かない者に私は最高の喜びを与えます。
彼らは貧困と邪悪な迫害により肉体を苛まれていますが,その心は穏やかに流れる川の水のようなものです。悪事や破壊,戦争を働く者たちに,憐れみの言葉をたくさん持つ博愛と癒しの使者を私は遣わします。 - これが私の矢であり,槍であり,棍棒であり,憐れみ,優しい言葉,慈愛の事例なのです,神よ。
遅かれ早かれ,天界と地球のあらゆる事柄に勝利を収めるでしょう。 - ご覧なさい,堕落した下天や地上での戦いは1,000年以上続くでしょう。そして住民は最底辺の闇の中へと堕ちていくでしょう。それでもあなたやその後継者はこの事態に対して,慌てて風向きを変えようとしなくても良いです。
しかしあなたは信仰者を救済する軍を新設し,二手に分けて地上と堕落した下天に配置しなさい。この軍隊の役割は私の民を滅ぼそうとする者たちから救い出すことです。地上の信仰者の死者の霊魂については,輸送手段を用意し,あなたの新たな王国アトチェワンに連れて行きなさい。あなたはそこに何億人もの副神,役人,従者を配属させておきなさい。 - アトチェワンでは副神に命じて,堕落した下天の私の主神の王国で必要となるあらゆる場所や保育所,病院,工場,学校,大学やその他の家や教育所を用意させなさい。
- この問題について上手く処理できたならば,あなたは聖評議会の前で,私の名でこの問題についてこう言いなさい。
『ジェホヴィは20万人を招集され,私は彼らを見つけるようにと命じられました。彼らは恐れ知らずの賢くて強き者となるでしょう。なぜなら彼らはジェホヴィの御名において天使の牧師となり,偽の主上神デユスがいるホレドとその配下の神の王国に降臨し,精霊界の御父とその栄光を説法し,宣言します。 - 私の牧師は主上神やその配下の神に対する非難の言葉は一切言わず,むしろその反対の事,つまりジェホヴィの愛の大きさ,彼らやその役人,臣民に対する愛について語ります。なぜならこの方法で私の牧師は戦時中の王国で平和な暮らしを営むことができるからです。こうすることでその御声は重みを得ていくのです。
なぜなら偉大な外交官の最大の叡智は,過度に反対したり激昂したりせずに手懐けることにあるからです』」 - ジェホヴィはこう仰せになりました。
「あなたの牧師は最下層の王国を常に旅し,私の無限の世界を教え,説明して回り,知識人や無知な者,特に奴隷にされた者に『大志』という種を蒔きなさい。 - そしてできるだけ多くの者を改宗させてクラオシヴィへの昇天を望むようにしたら,こう言いなさい。
『王国の国境の方に行きなさい。そこには御父の労働者が彼の国に連れて行くための船がいます』
しかしあなたの牧師は騒いだり疑ったり嫌ったりする者を連れて行くのではなく,奴隷たちに説法し続けて,より高く聖なる天界に昇天したいと思わせなさい」 - その後,クラオシヴィの神はジェホヴィの命令を実行する仕事に取り掛かりました。
評議会は神と一緒に働きました。アトチェワンは設立され,ヨチェハガが副神となり,10万人の天使,1,000人の従者,5万人の使者が同行しました。彼には首都と玉座,造船技師,邸宅の建築家,100万人の天使が付けられました。 - その後,神とクラオシヴィの評議会はジェホヴィに命じられた通り全ての軍隊を編成しました。この軍隊は総勢17億20万8,560人おり,全員が階級50以上で,階級90と同等の者もいました。
- この組織が完成し,命令に取り掛かったのは,デユスとその眷属が地上で開戦する2日前のことでした。しかし信仰者の天使の大半は堕落した下天とその上の領域にいました。そのため20億人のデユスの眷属が地球に降下した時,正規の奉仕を行っていたアシャールを除いて,その地にいた信仰者の天使は40万人しかいませんでした。
【18章】
地球と最下層の天界の支配を巡りる神々の戦いについて。この戦いは『1,000年戦争』と呼ばれました。
- デユスは決して手が遅くなく,鈍い神でもありませんでした。彼には2,700年の経験があり,その魂は大仕事において俊敏で強靭でした。
彼は何も調べずに慌てて道を進むことはせず,非常に慎重に最大の配慮を払いました。 - 最初,彼はまるでジェホヴィの命令を代行しているかのように民衆のご機嫌を取りながら進めていき,彼に担がれた神や役人による支配と権力が無事に根付くと,高らかにこう切り出しました。
「我,主上神が命じる!」 - 彼の友人たちにとってこの大胆不敵さは想定を遥かに超えており,彼らはデユスこそが最高で最大,最強の神だと本気で信じるようになりました。その意思を遂行し,心からその名を讃えることが故国に栄冠をもたらす確実な道でした。
- デユス自身の大いなる威厳を獲得するため,デユス,そして主上神の名を確立するため地球全土を荒廃させると誓った後,彼は5人の親友,ティインの名を騙った神ハイカス。スドガの名を騙ったウォチェシジ,オシリスの名を騙ったチェレムン,バアル,アシュタロスを傍に呼びました。
その後,デユスは彼らに厳かにこう言ったのでした。 - 「我が神々よ,汝らが戦争を傍観するのはよろしい。然し汝らの将軍や部隊長は出陣し,血塗られた仕事に手を染めさせよ。汝らの王国において,絶えず栄光を称揚させ,時には地上に勇敢に突撃して王や女王,予言者に勝利を掴ませたり,定命の人間を死に追いやったりして,汝らの臨在がいかり戦局を変えたかを知らしめよ。
汝らは役人を残し,定命の人間の悲劇の試合に行くように眷属を唆しながら,威厳を以て玉座に戻るがよい」 - その後,偽りのオシリスがこう言いました。
「デユスよ,あなたの主上神の名を称揚するために。
全ての創造物を統べるあなたがホレドにいることを定命の人間たちに言い聞かせるために。
あなたを讃え,あなたの名を称揚する者には勝利が与えられ,あなたの存在が私との厳粛な誓いの絆となり,あなたを讃え,偉大なる霊魂やその他の神や主神を貶める度合によって地上での戦闘に勝ったり負けたりするでしょう」 - 次に偽りのティインがこう言いました。
「定命の人間たちを何千年も絶えず戦争させるために。
デユスよ,あなたを大声で呼び掛け,称揚する度合によって戦闘に勝ったり負けたりすることを彼らに教えるために。
あなたの太腿の下で私は永遠に更新される誓いのようになります」 - 偽神スドガは言いました。
「私の部位の全てを使ってでも,これから生まれてくる者たちの手足を見栄えよく形作るため,私の軍団は妊娠中の女性たちの耳に千年間,鼓を打ち,あなたのデユスの御名に誓わせましょう。もしも拒むようならば,彼らの子孫全員を悪しく呪いましょう。
そして母親が眠っている時,私の軍団は彼らの魂を夢の中で見つけておき,彼らが目覚めている時に私の最も強き主上神をどれだけ喝采したかによって喜楽か苦痛のどちからを与えましょう」 - バアルは言いました。
「ジェホヴィの神託を覆し,天界と地球の主上神であるデユス,あなたの御名を受け入れ,託宣する予言者や先見者を生み出すために,私は1万回以上も誓いを立てました」 - アシュタロスは言いました。
「私の軍団の役目はデユスよ,あなたの敵に死をもたらすことです。
ジェホヴィ,オーマズド,偉大なる霊魂の名を唱える者たちが眠っている間に私の軍団は彼らの鼻に悪臭を届けて差し上げましょう。
あなたの敵が戦いに勝った時のために,私の軍団は腐敗した死体から種痘を撒き散らし,主上神の御名に平伏さない者たちの息に空気感染させてやりましょう」 - デユスは彼らにこう答えました。
「話した通り,この事は汝らの神である我,主神が命じた通りになろう。この決意の固さを示すためにも,汝らの将軍や上隊長に十分な軍勢を付けて,命じた通り派遣せよ。
我が軍団を地上の戦いに向けて,ジャフェスに1軍,ヴィンデュに1軍,そしてアラビーニャとその西と北に跨る地域に1軍の3軍に分けよ。最後の軍団についてはオシリスが最高指揮権を持つがよい。バアルとアシュタロス,汝ら二人は愛と使命で結ばれ,オシリスの意志に従い地球を管理せよ。
汝らの十分な奉仕に対して,見よ,我は以下の者たちに上将軍や上隊長の地位を与えた。
・ジャー
・プルトンヤ
・アポロヤ
・ペトリス
・ヒラム
・トクロノ
・エグプト
・アレス
・ユーベ
・アリヤ
・アフロディーテ
・アルテミィス
・ベン
・アーロン
・アルゴ
・アツィシル
・ナダル
・オイベ
さらに以下の者たちは,両軍が死ぬか,我と我が神々に恐怖と敬意の下に平伏し一つとなるまで,頑迷な定命の人間たちに宗教的な摩擦を生じさせ,両軍に戦争を勃発させ,勝利者となろう。
・ピーター
・ヤクタロス
・ハウル
・アベル
・サイド
・ジョシュ
・ワブ
彼らは日夜,定命の人間たちの耳元でその名を歌い,汝らの神にして天界と地球の主神であるデユスを讃えて生き,最も憎き神ジェホヴィを打倒すべく最も勇敢になれと教え込め」 - ティインよ,汝には我が軍団の1つを任せ,巨人の土地を偉大さか死かと問い,同じ方法で奮い立たせ,我と我が王国に名誉と敬意を払うように治めよ。
汝の将軍は昇格させた。
・ワッカ
・ホジョウヤ
・オケヤノス
・ツゥウォス
・ハインリ
・ゴチンウォトゴ
・エウガロス
さらに次の者も昇格させた。
・ヤムヤム
・ヒラクト
・カカンカト
・イサー
・ルッツロム
・レウィアン
・その他の高位高官の者たち - そしてスドガよ,我が軍団の1つを同じく与え,千年間,定命の人間を戦わせよ。オシリスやティインのように戦争に駆り立たせ,彼方此方に動かし,彼らを血塗られた腕と死へと突き進ませよ。彼らが真実を知るには,天使や神々の手に落ち,その機械や玩具になるしかない。彼らが,
『もうやめてくれ!全てを統べる偉大なるデユスの神に平伏する。そう,いやそれ以上にデユスが,目に見えず撒き散らす風のオーマズドを愚かにも崇拝する信仰者を殺し,私と私の物を栄えさせてくれるならば,私はその者のために戦い,同朋の血でさえ飲もう。
ホレドの玉座に人間と同じ体格の頭,手足を持った者,偉大なる主上神に私は永遠に敬意を表す』
と泣き叫ぶまで,陶工の手で粘土のように捏ね回せ。 - スドガよ,地上で最も学識の進んだヴィンデュで戦争を引き起こせ。そのためにも汝は我が特進させた次の将軍や隊長を連れてゆくがよい。
・アシジ
・ガエヤ
・ナイスウィチ
・サメン
・ユーベ
・ソル・ムンジョ
・ドン
・ヘファイシス
・ロウサ
・ダリドラット
・ウダン
・ブリハット
・ボギル
・エシュオン
・ウィール
・ヴァナイチ
・プロウヤ
・ヴァイジスタ
・キロ
・クペニスタ
・ヴィスパー
・クペンタマイニュス
・ウルヴァスタ
・それ以外の,遥か遠く離れた神々の支配から地球を救わんと決意する他の多く者たち - デユスは続けました。
「汝ら神々よ,進め,そして威厳を以て汝らの玉座を盛り立てよ。大いなる栄光で汝らの尊き場所を飾り,天界で選ばれし神々を讃える何百万もの司教の舌の如く,壮麗なものであれ。
定命の人間たちが戦場で斃れたら,混乱の中に彼らを哀れな状況のまま放置せず,死者の霊魂を集めて汝らの王国に手軽に運べる船で連れて行くがよい。そして連れ帰ったら手厚く汝らの医師や看護師に世話させて,彼らの意識や状態を回復し,彼らが天界で目覚め,汝らの玉座や王国の大いなる栄光を目の当たりにしたら,荘厳な儀式や式典を執り行い,汝らの主上神である我や,汝らへの服従を誓わせ,この豊かな王国を継がせよ。 - 汝らは地上の者たちを略奪し我や汝らの力を知らしめるように,新たに天界に来た者たちを追跡し,ジェホヴィ,偉大なる霊魂,オーマズド,その他の神々に敵対することを厳しく誓わせよ。彼らが頑なに拒むようならば,地上でそうであったように,天界でも我が息子アヌビの前に連れて行き,彼らをさらに問い詰めよ。それでも拒むようならば,アヌビは屈強な衛兵と火の杖で彼らを地獄へと落してやるのだ。
- 我,主上神は告げる。
我が命は天界や地上に伝えられた。
我を讃え,栄光をもたらし,我が王国の称賛と栄光に永遠に仕える者は誰であれ,永遠の幸せに浴する者となる。然れど我に平伏さぬ者は誰であれ,永遠の業火に投じられよう」
【19章】
偽神オシリスの眷属について。
- さて,隊長,将軍,そしてよく訓練されたデユスの天使である『堕落した下天』の眷属は,主上神を除くあらゆる支配者から地球と天界での独立を獲得し,主上神を永遠に確立するべく出撃しました。
強力な3軍団の中で先陣を切ったのは10憶人を超える兵を擁したオシリスの軍であり,アラビーニャ,パーシー,ヘレステといった広大な土地を網羅するため敢然と出撃しました。 - 狂ったように先陣を切ったのはバアルで,次に続いたのはその補佐役の女神アシュタロス,そして彼らの最初の従者と高位の役人が続きました。彼らの何人かは,ジェホヴィの平和的な崇拝者が何十万人と暮らす定命の人間たちの町や文化的な土地の大地図を見せました。
そこには義者が日々やって来て,弱者や無力な者への施しとして自分たちの稼ぎや産物を献上している偉大なる霊魂の祭壇や寺院の目録がありました。
広大な平原では,偉大なる霊魂からの贈り物として,小麦,亜麻,綿,大麦を労働者が大地から収穫していました。
運河は農産物や果物,衣服を交換するため各地を結ぶ船で満ちていました。
地面に穴を掘って暮らす褐色の地人とイヒン人との混血種である偉大なるイフアン族の祖父母である,小柄で白人,黄色人の聖なる民イヒン人の塚や木の神殿がありました。 - これらの地図,図表,目録を見ながら将軍や隊長は,回転する地球に降臨してジェホヴィのやり方を覆し,ホレドの神デユスを擁立するための計画を大層な学者のように演説しました。
- オシリスは偉大なる神としての威厳を示すように,交戦国の本拠地となっていた彼の天界の地に留まっていました。そして何万人もの使者を従えて玉座に座り,彼が呼び掛けたら,その強力な軍隊がどれだけ遠方にいても即座にその意志を伝え,その結果を持ち帰り復命しました。
そしてオシリスとデユスの玉座の間には,常に変化する高速の『大気帯』でも移動することが可能な高位で勇敢な1,000人の天使が長い行列を作って待機していました。 - 地球への降下の途中では,バアルから少し距離を置いて女性のような姿でアシュタロスが1,000人の従者を連れて控えており,この従者は全員が戦う女神への畏敬を示すため,装身具を身に付けていました。彼女が手をあれこれと振ることで,この軍隊は彼女の意志を知り,その命令を最も忠実に守るにはどうすれば良いかを学んでいました。
- そして遂に,視認できないぐらい遠くから,あらゆる方角から何十億人もの軍勢がボートや船,オテヴァンに乗ったり,それ以外の者は単騎で降下しました。
地上の凧が風に乗って高く舞い上がるのを想像するのとは逆に,何十万人もの単騎の者は『重し』を乗せた旗を付けて地球に向かって流されていく最も大胆な天使でした。 - 彼らはまるで戯れているかのように冗談や大声で自慢話をして,ジェホヴィの崇拝者を地球から永遠に一掃すると誓いながら地球に向かっていました。
その大半は天界の学校や大学,工場で長く訓練を受けた者たちであり,環境や労働場所が変わることを大変喜んでおり,上役から男神女神になるための最初の教育を受けることが約束されていました。彼らの中で何千人もの者たちが突然の昇進を掴むため,大胆な行動に出ていたのです。 - バアルとアシュタロスは東西南北に軍勢を展開しましたが,その広さは,女性の腹から生まれた者の中で地球が生み出した最悪の高慢な主上神に征服を誓った三大大陸と同じ大きさでした。地球に降臨し,ジェホヴィのアシャールたちを災厄の混乱に陥れるため夥しい数の霊魂で寺院や祭壇を埋め尽くし,彼らを征服するのが目的であり,計画でした。これほどの大仕事で先陣を切ることが昇進のために必要なことであり,それが彼らを各所から全速力の猛スピードで駆け付けさせる動機となっていました。
- このことを予見していたジェホヴィはクラオシヴィの神に警告し,神はこの危機に対して然るべき処置を取ることを礼拝所の祭壇や寺院の天使の管理者に使者を通して伝えられました。そして彼らはラバや信託者を通して想像を絶する危機が訪れることを定命の人間たちに警告を発し,広めていきました。
- こうしてジェホヴィの天使たちは定命の人間たちの信仰心で自分の身を強化し,僅かな手勢で立ち向かいました。彼らはジェホヴィの法により武器ではなく,万人の上に君臨する御父への信仰を伴った高らかな言葉と模範的な振舞いだけで抗わなければならないことをよく知っていたのです。
- あらゆる方向から何十億という破滅の眷属が降り立ち,祭壇や寺院に向かって誓いの言葉と大声で罵りながら突然何十万もの場所の聖なる弧へと飛び,こう叫びました。
- 「この弧から立ち去れ!
この祭壇から立ち去れ!
この寺院から立ち去れ!
お前たちジェホヴィの簒奪者どもはここから消え失せろ!
我が神たる主神の名において!
我々は命じる!」 - しかし彼らにとって残念なことに,ジェホヴィのどの弧も祭壇も寺院も無敵でした。信仰心が強く,不動で威厳に満ちた天使がそこに立っており,攻撃してきた霊魂でさえ立ち止まり,圧倒されたのでした。
彼らはしばらく留まり,このようなありふれた場所にこれほどの威厳がどこから来ているのかを考えていると,ジェホヴィの信徒がこう答えました。 - 「私たちは偉大なるジェホヴィ以外に崇拝することはしません!
真の神が,あらゆる叡智,力で他者に善行を施す彼の御方の僕たる存在として私たちを仕立て上げてくださったのです!
彼の御方の下で私たちは高徳な平和と愛と調和で無力な者を庇護するべく存在しているのです。それなのに,どうしてあなたたちは傲慢にも私たちが保護する者たちの下にやって来て,女性の腹から生まれた神に仕えよと命令してくるのですか?」 - オシリスの信徒は言いました。
「逃げよ,この胡麻磨りどもめ!
風のように虚ろで人格なき者に恐れて平伏す者め。地球と天界は,誰も知らぬ『永遠に臨在する存在』という哀れな物語により,遥か遠くの神の王国の栄光という名目で臣民を獲得するために長らく誑かしてきた。
立ち去れ!
この大地の拠り所を我らに寄越せ!
地球と天界を一つにまとめ上げ,我らが認識し尊敬する神に統治してもらうのだ!」 - ジェホヴィの信徒は言いました。
「あなたたちの力はこれだけですか?
脅迫や命令といった手段しかないのですか?
真の神を愚弄する取るに足らない言葉なこと!
地球や堕落した下天を高め,あなたたちと同じ出自の管理者を讃えること以外に,善行も約束もあったものではありません。
1,000対1の状況にあるあなたたちは自分の力の源を証明するべく,どうして私たちを連れ去ろうとしないのですか?」 - オシリスの信徒は言いました。
「お前たちを地獄に堕とすであろう救世主アヌビの裁きから救うため,お前たちが自分たちの意思で平和裏に立ち去ってくれることを期待し,その機会を与えていたのだ。
見ろ,我々はこの祭壇を壁で囲い,定命の人間たちとアシャールを隔絶し,ドルジャでこの場所を埋め尽くし,定命の人間たちを夥しい狂気で憑りつかせてやるのだ。
お前たちが言うように,自分の保護者を愛しているならば,デユスと,彼の息子にして,私たちを指揮している神オシリスの栄光のためにも全員を我々に託すがよい」 - ジェホヴィの信徒は言いました。
「言葉だ!言葉!言葉!
最初は説明もなく,あなたたちは命令だけでした。
今は確かに議論です!
あなたたちは,自分たちを指揮する神が告げた結果に騙されてすぐに撤退するでしょう。
ジェホヴィの上官から正しく優先権が与えられない限り,そうすることはありません」 - オシリスの信徒は言いました。
「それならば我が主上神はジェホヴィの手により称号を与えられたのだから,お前たちは自分の誓いに則って主上神に従うべきだ」 - ジェホヴィの信徒は言いました。
「主上神がジェホヴィに寄り添っている間は私たちは彼に仕えていました。しかし彼が自分の栄光のため創造主を拒絶した時,その地位は偽りのものとなり,彼から与えられていた義務はなくなりました。
今,彼に従うことはジェホヴィに対する不実となり,涅槃の王国に辿り着く上で永遠の足枷となります」 - しかし背後では騒々しいオシリスの天使たちが脅すように詰め寄っており,最高潮に達していました。
朝になり,東から昇った太陽がこの戦いにおけるジェホヴィの息子にとっての最も素晴らしい助けとなりました。彼らの使者が,眠っていた定命の人間たちに一晩中見守っていた多くのアシャールを平原や国から連れてきました。
オシリスの信徒は彼らの来るのを見ると,進むか退くか,そのどちらかを迫っていることを知りました!
しかし太陽の光線がオシリスの信徒が持っていた武器を貫通し溶かすまで,ジェホヴィの信徒は1,000人に対して1人という無謀な状況の中で大胆に振舞い,驚異的な粘りを続けたのでした。 - 最初はオシリスの信徒は1人,また1人,そして10人,100人,1,000人と,数人のよく訓練された兵士を襲撃しようとした暴徒の集団のように敗走したり困惑して見回したりしていましたが,そのうち恐怖に駆られて無傷のまま逃げ去ったのでした。
100分の1の割合でオシリスの信徒が勝利し占拠した例外を除き,ジェホヴィの息子,娘たちは最初の戦いで勝利を収めました。
【20章】
- アラビーニャ,パーシー,ヘレステの東西南北の各地では,定命の人間たちには見えない何万人もの集団でオシリスの天使が当惑しながら待機しており,ジェホヴィとその崇拝者を打倒するにはどの手が最善かを考えていました。
- その間に使者と地図製作者はオシリスにこの惨憺たる知らせを伝え,オシリスはそれを自称主上神デユスに伝えると,デユスは自分が最も気に入っている神オシリスを通してこう命令を下しました。
- 「夜になり定命の人間たちが眠りについたら,我が眷属は守護天使アシャールを襲って追い払い,地球のこの大管区の男女子供に憑りつくがよい。
祭壇や神殿,神託,弧など我に何の関係があろうか?
朝日が昇る前に定命の人間たちを支配せよ。
汝らの神たる主神デユスが最上位の息子オシリスを通して伝える命令を聞くがよい!」 - 十分に配置された使者が近隣や遠方の攻撃軍の駐屯地に一日中駆けずり回り,デユスの命令を伝えました。
そして日が沈む前に10憶人の眷属は自分の役割を知り,1列に車輪を引いて暗闇の中を進軍し,ジェホヴィのアシャールに猛然と襲い掛かったのでした。 - しかしクラオシヴィの真なる神はこの出来事についてジェホヴィの御声により警告を受けており,その日の晩の敵の計画について使者を地上に急行させて警告しましたが,誰も即応できたわけではありませんでした。なぜなら彼らが完全に仕事を終えた時,既に太陽は西の水平線の下に沈んでいたからです。
- 真夜中になり,恐怖が四方から迫ってきました。あらゆる霊魂に対して10人,100人,1,000人で敵が来て,こう叫んだのでした。
「立ち去れ,ジェホヴィの愚か者め!
我が神たる主神とその息子オシリスが命じる!
保護している眠れる定命の人間たちから離れるか,神の声によりお前らを拘束し,アヌビスの足下に地獄の餌として追い落としてやる!
立ち去れ!」 - どのジェホヴィの信徒もこう答えました。
「偉大なるジェホヴィに私は誓いました!
あなたたちが私を拘束し,地獄に落としても偉大なる霊魂の御手により私は解放され,再び舞い戻り,彼の御方の聖なる御名を教えるでしょう。
ジェホヴィの後継者を育てるというこの平和的な目的を永遠に繰り返します!」 - 再び脅迫的な襲撃者は荒れ狂いながらも,この大いなる困難に直面しながらも敢然とたった1人で立ち向かい,すぐに逃げ出さなかったことに驚いていました。
アシャールたちは全員,自分の管理下にあり,今は就寝中の定命の人間に手を置いて自分の力を1,000倍に増幅させると,もう片方の手を上げて至高なる御方にこう語り掛けました。
「ジェホヴィよ,あなたの叡智と力により,就寝中のあなたの子供の周囲に円で囲ってください。この者に触れる者は誰であれ,あなたの永遠の王国から断ち切ってください!」 - その言葉とともに光の輪がその場所に降り注ぎ,襲撃者たちを困惑させました。彼らは一度立ち止まると怯んでしまい,不義な行為に対して最も勇敢な戦士でありながら自分の前に臆病者が取る道を開けてしまいました。
その後,言葉と議論による戦いが始まり,再び朝日が昇るとほとんどの攻撃は被害もなく,オシリスの信徒は困惑し恥じ入りました。 - しかし全ての場所がそうだったわけではありませんでした。いくつかの酷い例では,彼らは言葉も待たずに突進し,定命の人間に手を置いて,家にある棍棒や石,板,腰掛,机を投げつけるほどの力を得て,家の住人を揺り動かし,目覚めさせました。彼らは物が目に見えない力で転倒していくのを見てすぐに立ち上がり,平静さを失い恐怖しました。
ある者はラバの下へ,またある者は神託所や寺院に駆け込み,統治する神々の間で起きている問題について尋ねました。 - この数少ない場所でデユスの霊的な兵士が一度占拠すると,彼らは何千もの者たちが別のことに夢中になり,地獄の仕事で誰が最も名誉を得られるかといった口論にまで発展しました。
それでもどの土地のアシャールも誰一人として捕まったり,連れ去られたりしませんでした。 - さて,太陽が昇る頃になり,主上神の使者たちは圧倒的な勝利の報せを期待して,玉座のあるオシリスの王国に急いで飛んで行きました。
彼らがほんの僅かであるものの,最も残念な失敗をオシリスに告げると,オシリスは怒り狂い,こう誓いました。
「我が魂にかけて,永遠の呪いを誓う。我は『堕落した下天』の全ての地獄をこの愚か極まるアシャールで埋め尽くすつもりだ!
そうだ,バアルとアシュタロスを伴い,我自らが地上に降り立ち,世界中の家から家へと駆けずり回ったとしてもだ!」 - オシリスは再びデユスに伝言をしましたが,経験豊富なデユスはそれほど性急ではなく,賢明な神であり,ジェホヴィに仕える定命の人間たちのエネルギーの流れをよく知っていました。
この時,デユスは次のような返信をしました。
「兵士に3日の休暇を与えよ。そして測量士に定命の人間の信仰の度合を調べさせ,3度目の攻撃をより成功に導くようにせよ」
そして締めくくりは次の言葉でした。 - 「定命の人間たちは長らく霊的な平和にあったため,『至高の存在』に対して知識的に不信仰に陥った者も多いに違いない。なぜなら,何世代にも渡って地上を這って岩を測量し,虫や昆虫の習性を研究してきた彼らの子孫は,霊的なものを何も信じず,自分の判断を高く評価する多くの『懐疑主義者』を生み出している。こうしたことでジェホヴィへの信仰心を欠いているため,アシャールは我が兵士を撃退する力を持っておるまい。
あらゆる町や国で彼らに目星をつけて,再び真夜中に奴らを襲い,ジェホヴィのアシャールを追い払うがよい。 - その他に定命の人間で無知や迷信深い者を探し出せ。彼らは怠け者で好色であり,こういった趣向の者だとアシャールはほとんど力を発揮できぬ。こういった者にも目星をつけて,真夜中に襲い,支配せよ。
- また金持ちの所にも行くがよい。彼らの息子や娘は怠惰と歓楽の中で育てられており,その思念が天界に届けられることは滅多にない。なぜなら彼らと一緒では,アシャールの保護する力が弱くなるからだ。遊び好きの霊魂こそ最も優れた臣民となる。
彼らにも目を付けておき,真夜中に襲い,アシャールどもを追い払え。 - 祭壇や弧,神殿,神託所,そして最も強く熱心な信仰者については今のところは諦めよ。頭を扁平にしている少数の者を除き,思考が鈍っている者であれば支配できよう」
- こうしてオシリス,バアル,アシュタロスはジェホヴィの天使たちへの3度目の攻撃を準備しました。何百万という軍団が役目を果たすべく,絶えず訓練に励んでいました。
最初の情熱と自慢の熱意は少数を除いて既に消え失せており,この戦争が長期化し深刻な様相を帯びてきたことは彼らにも分かり始めていました。
【21章】
- こうしてアラビーニャ,パーシー,ヘレステの3大陸があり,その中でもパーシーが最も強く,そこには巨人族も暮らしていました。彼らは男女ともに非常に誇り高い赤銅色人で,豊富な長い黒髪,高い鼻と頬骨,断固たる顎,人々を従わせる魅惑的な目を持っており,大半は純血のイフアン人でしたが,イフアン人と地中人,つまり鈍く愚かな褐色人の混血もいました。
パーシー人は誇り高い人種であり,神アポロによりとても美しく仕上げられました。アポロの高邁な使命は定命の人間たちを高貴な姿にすることでした。
パーシーはあらゆる功績,学者,古代の戦争において世界の第一人者でした。偉大なるザラツゥストラがジェホヴィの御声と実体界のために生まれ育ったのもこの地でした。
ここには最初の太陽の大都市として建てられたオアスがあり,そこの王たちは全世界を統治することを望んでおり,人間が巨額の富を得ることを神が初めて黙認した都市でもありました。 - パーシーの地はジャフェスとヴィンデュを切り離す位置にあり,遠く東の海へと伸びていますが,本土は今でもライオンや虎,大蛇が生息しているアフェティアン山地が占める西の方にあります。この山にはイフアン人の狩猟者がやって来て,競技で戦わせるためのライオンや虎を捕えました。この競技では武器を持たずに闘技場に入り,素手で戦い,群衆が拍手喝采する前に絞め殺しました。
この山から狩猟者は,王や女王の私邸にライオンを供給しました。このライオンの役目は定命の人間たちの法に従い,泥棒や他の囚人を喰い殺すことでした。 - この旅の狩猟者は荒野にいる聖なる小人,イヒン人とよく暮らしました。ジェホヴィはイヒン人に大蛇や野蛮なライオン,虎をも魅了し,友人や崇拝者に仕立て上げる術を教えていました。
彼らからリスティア人と呼ばれる人々が生まれました。彼らは主に森の中で裸で暮らし,イヒン人から魅了と聖なる力の秘儀を教わり,いかなる人間や神も主として崇めず,ジェホヴィを信仰する人々でした。そのため偉大なる霊魂は彼らを『羊飼いの王』と名付けました。なぜなら彼らは山羊の群れを支配し,ミルクやバター,チーズ,そして彼らが唯一着る股下の服の羊毛を供給していたからです。 - この羊飼いの王であるリスティア人は放浪の民として平和に暮らし,装飾品を作っては頻繁に町や農地の住民と交換しました。パーシーの人口の4分の1はリスティア人であり,ジェホヴィの天使により守られていました。彼らはデユスが将来,恐ろしき戦争で使役するために憑りつこうとしていた人々でしたが,残りの4分の3は豊穣の収穫物をもたらすパーシーの肥沃な地域で暮らしていました。
町には粉挽工場や生産工場,大学,通常の学校で満ち溢れており,誰でも自由に訪れて学ぶことができました。また祭壇や礼拝堂,窓のない神託所もあり,ジェホヴィの天使がサルギスの姿で聖なる教義を教えに訪れていました。
その他に星を研究する神殿や天文台があり,そこには地図があり,今日にまで伝わる名前も記されていました。その隣には哲学者の家が全ての都市にあり,偉大な学者が地上での出来事を調べ,その性質と特性を学ぼうとしていました。彼らは魚,虫,石,鉱石,鉄,銀,金,銅などからその価値を読み解き,学んでいました。そして地上で絶滅し,変わり果てた石や動物の皮や骨となったものが研究者や訪問者のためにこの家に溢れるほど収蔵されていました。
こうした研究を何世代にも渡って研究していたことにより,彼らがジェホヴィから離れて行ったことを知っていたデユスは自分の栄光のために,自分の軍隊に肉体と魂を持たせようとしていました。
こういった法則は地上で生まれた全ての子供たちに当てはまるものです。もしも両親が不信仰により堕落の道を歩んでいた場合,子供はさらに堕ちていくでしょう。しかしもしも至高の御方の栄光のための昇天の道を歩むのであれば,子供は両親よりも神聖で賢くなるでしょう。 - かつて神々はパーシー人に西に移住しヘレステの地で暮らすことを啓示しました。ヘレステの地もまた,巨人の国でしたが,儀式や式典はそれほど多くはありませんでした。
彼らはジャフェスのパニック語,ヴィンデュのヴェーダ語,パーシー語の3つの言語を扱っていました。それらは同じ音でしたが,文字れ異なっていたため,ここから混同して『フォネス』という言語が生まれ,この言語を話す人々をフォネス人と呼ばれました。これは「我々は同じ音を使うが,どの文字を使うかは我々が判断して決める」というものです。
そのためフォネス語は定命の人間が最初に作った最も古い言語であり,これらは象徴や文字,言語に関して天使の独裁から定命の人間が解放された時代と天界では呼ばれました。
ジェホヴィはこう仰せになりました。
「その点において,地上の人間は十分に独り立ちできるほど進歩しました。その時から今日まで,ジェホヴィや天使はいかなる新しい言語や書き言葉を定命の人間に与えていません。そしてそれ以降の全ての言語は,それまでに地上に存在していたものを組み合わせたり,分岐させたり,合体させたり変形させて出来上がったものに過ぎません」 - ヘレステ人は農業が盛んで,牛や山羊の群れもおり,羊毛や羊髪のどちらも盛んでした。
天使が初めて人間に,羊の髪や毛を採取するために山羊を飼育する方法を御師せたのは,この国でした。またこの地の人々はほとんどがジェホヴィの崇拝者であり,多くの祭壇や寺院を持ち,平和に暮らし,正義を愛していました。 - アラビーニャには4つの人種が暮らしていました。イフアン人,リスティア人,イヒン人,そして地面に穴を掘って暮らす褐色の地中人です。褐色人は鼻が長く,口が突き出ていて,とても強く,その手で馬の脚を折ることができました。褐色人は無害でしたが裸で暮らしており,魚や虫,昆虫,木の根を主食としており,トゥア河の地域で暮らしていました。これらの人々を征服し滅ぼすため,オシリスはデユスの下僕であるエギュプトを天使の大将軍に任命しました。エギュプトは自分に割り当てられた地域を自分の名を採って『エギュプト』と名付けました。これは今日では転訛してエジプトと呼ばれています。
- アブラハムの時代,この国は南アラビーニャと呼ばれていましたが,後年,大学者が王の図書館で記録を付ける時,無学の民の言語であるエギュプト語ではなく,フォネセ語で書き記したため,後者の名前が採用されました。
- しかしアラビーニャで暮らす大半の人々は肌の色や姿形がパーシー人と同じイフアン人であり,イヒン人や褐色の地中人であるフーダ人の子孫でもあり,イヒン人からは霊的な神聖さを受け継いだように,フーダ人からは実体的な長所を受け継いでいました。しかし扁平頭はアラビーニャからほとんどが消失しました。
- そしてここにはパーシーやヘレステと同じく大小様々な何千もの都市があり,パーシーのように大学や哲学の家があり,さらに何千もの公共の図書館があり,そこには化学反応の法則の発見のために,科学,絵画,彫刻,天文学,数学,化学,鉱物,分析といった科学や技術を教わりに来た貧しい人に無料で本を提供していました。
しかしリスティア人は,手癖や秘密裏に調合された奇妙な香りで蛇や獣を飼い慣らす呪文や秘儀を扱う唯一の人種でした。リスティア人は復活における5日目の儀式を守っていました。それは死後5日目に霊魂は生前と同じ姿で現れ,愛情を込めて助言した後,その者は燃える抹香の中,ジェホヴィの下へと昇天するのでした! - 主上神と呼ばれるデユスが100万もの軍勢を擁し,自分の栄光のために征服しようとしたのはこういった人々だったのです。
ジェホヴィはクラオシヴィの面々にこう仰せになりました。
「天使と定命の人間が主上神が偽りの神であり,自惚れた簒奪者であるという真実を知る日が来るでしょう。なぜなら私はコスモンの時代が到来するまで,グアタマにイフアンの種族を残すからです。人間と天使は,女性の母胎から生まれた人間の姿のまま神を創り出すことはあり得ないということを理解するでしょう。そこには私が与えた地位をかなぐり捨てて,自分の栄光のため,堕落した下天に王国を築いた私の敵の啓示を受けることでしか人間の姿をした神を崇拝できない人々がいるのです」
【22章】
- オシリスの天使の軍団による3度目の襲撃が始まり,将軍や隊長による演説で彼らの士気は爆上がりしました。全ての人間が標的となり,偉大なる霊魂への信仰の度合も把握済みだったので,破壊者たちはどこを攻撃すれば効果的であるかを知っていました。
- 真夜中,オシリスの軍団が,何百万という定命の人間たちを数の力で再び襲い掛かったのです!
しっかりと握りしめ,被害者の定命の人間を眠りから叩き起こすため,寝ている部屋の周りに猛烈にミサイルを放ちました。彼らは目を覚ましましたが,椅子や机が回転したり家の隅々から響く恐ろしい音や打撃音の原因に気付かず,恐怖に駆られて跳ね起きたものの,何をするべきか分からずにいました。
多くの場所でデユスの天使たちが暗闇の中でこう言いました。
「神はただ一人,お前たちの神である主神にしてホレドの玉座におわす偉大なるデユスのみである。彼の御方の前に平伏すがよい,さもなければ破壊と死がお前の運命となろう!」 - オシリスの天使たちはこの大戦果を喜び,自分たちが襲った各家々に居座ると,隊長や将軍,何千,何万という天使の下僕の拠点とし,家の壁を叩いたり,恐ろしい音を立てては誇らしげに自慢していました。
- 多くの場合,守護天使アシャールは圧倒され,追い払われましたが,それは捕捉された定命の人間の信仰心や霊的な力が小さく,その力が弱く分散していたからでした。
- しかしオシリスの軍団が全てにおいて勝利したわけでもなく,何十万もの家族が打ち負かされて混乱し,日が昇ると彼らは追い払われ,ジェホヴィの人々は勝利を収めました。
それでもオシリスとその軍団にとって十分な栄誉であり,使者は各地からデユスの下に速やかにこの勝利を最大限に誇張して送り届けました。 - この日の晩,パーシーでは120万人という男女や子供たちが偽の主上神デユスの眷属の手に落ちました。アラビーニャでの犠牲者は200万人,ヘレステでは150万人でした!
しかし捕えられた定命の人間は自分たちの身に何が起きたのかまだ把握していませんでした。彼らが理解できたのは狂ったような騒音と飛んでくるミサイルの音に一晩中悩まされていたことだけでした。
多くの者たちが本当に天界の天使たちが戦争をしているのかどうか,もしもそうであるならば,古き伝承にあるように神が定命の人間を苦しめるために降臨したのか,その原因を知りたいと思い,神託所や神殿に駆け付けました。学者は今回のことを天使たちに起因するとは認めず,木の裂け目や潜んでいる人間や猫,犬に原因を探しました。そのことが彼らの不信仰の魂を刺激し,全人類に特別な奇跡として何百倍にも誇張されて伝わったのでした。 - 無学な者たちは突然自分たちの前に現れた天使を信じて親睦を深め,天使たちが説く「ジェホヴィを捨ててデユスを受け入れろ,さもなくば死後,その魂はアヌビにより審議され,ジェホヴィではなく主上神への信仰が欠けていることが判明したら永遠の地獄へと放り込まれるであろう」という言葉に耳を傾けたのでした。
- そのような定命の人間は,自分の魂が持つジェホヴィの光ではなく,別の霊魂の助言に従う道具となり,アヌビの儀式を通して導かれましたが,それはデユスと,彼が息子と呼ぶオシリスを讃える言葉を代用する奇妙なものとなりました。
- しかし哲学者は魂が本当に不滅なのか,もしも不滅だとして死者の魂は自分たちが『当たり前』と呼んでいた自然法則を無視して戻って来るのかをさらに探究するのでした。
それならば『創造された世界の全体と本質』や『究極の目的』,そして『人間にとっての至高の場所』とは何なのでしょうか? - この問いに対して,オシリスの天使は最初の天界は『堕落した下天』であり,そこに多くの地獄があり,一方で最上級の天界はホレドであり,そこに主上神が偉大なる栄光を纏った玉座に座っていると説きました。そして彼の周囲には永遠の平和を成し遂げた何千億人もの天使がいて,自分たちの神への敬意と賛歌以外に何もしていなかったのでした!
【23章】
- 事件から幾日も経たないうちに,オシリスは軍団を招集し,4日間の休息と盛大な饗宴を天界で催しました。
饗宴が終わると,彼はアゴアデン山の仮の玉座から,地上のパーシーのアゴガン山脈を空から見渡せる場所で自分の軍団を褒めながらこう言いました。 - 「生と死の光と力において告げる!
最高神デユスの名においてご挨拶申し上げる!
彼の愛の中で,この饗宴を催したのはお前たちの全ての勝利を讃えるため,そして我はお前たちを称賛するため声を上げる。 - まず神々の中で賢く力のあるバアルよ,お前の偉大なる力と輝かしい成功を賞して,我は『聖なる鳥イボイ』の御印をお前に永遠に授けよう。
次に疲れ知らずか,策謀なき女神アシュタロスよ,お前の輝かしい成功を讃えて我は祝祭,円環,真なる十字架を永遠にお前に授けよう。 - 主神に次いで最も恐れ知らずの将軍ヘルメスよ,お前の勝利のためにインクアを授けよう。
アポロヤには弓と矢を遺そう。お前は割礼による拘束を打ち破り,定命の人間の結婚を法ではなく心の衝動へと変えるであろう。信仰者たちは自分の民族以外の者とは結婚しないようにその御印により拘束されているが,お前はその反対を教唆するであろう。なぜなら人間の血統は交配することにより,ジェホヴィとの繋がりが断たれるからである。 - ポセイドンには船の模型を授けよう。なぜならお前は世界のあらゆる管区の船乗りを支配するからである。
ヘファイスティには鍛冶場と火箸を授けよう。なぜならお前は職人と戦争の武器と共にあることで定命の人間を支配するからである。 - プルトンヤには松明と火種を授けよう。最高神デユスに平伏さない者に対しては誰であれ,町や家を破壊することで定命の人間を支配するであろう。
我が軍の星エセナウルの女王ウラナには,羽と杖を授けよう。なぜならお前は地球の歌を支配し,我らが神である主神への讃美歌を定命の人間に歌わせるからである」 - このようにオシリスはリストの記載に従い,将軍や隊長に記章や御印,称号,紋章を授与し,勝利のために勇敢な振舞いをした多くの兵士を称揚しました。そしてオシリスは何万人もの霊魂に対してそれぞれの仕事に最適な者を選び,バアルとアシュタロスをその長に任命しました。
次にオシリスは1億人からなる天使の新しい軍隊を組織すると100隊に分けて,この軍隊を『シールーガン』と呼びました。天界の王国の栄光のために彼らをどのように使うのが最適かを調べ,有益な場合は彼らを所有したり憑りついたりする,組織的に定命の人間たちを巡回する霊魂という意味です。 - プルトンヤの要求により,オシリスは彼のために選択肢を増やし,それについてこう説明しました。
「お前やその系列に列なる者に全ての特権を与える。
もしもお前が都市を破壊するのに火が適さないと思ったならば,たとえ何千人もの人間が火を使って燃やすことに固執していたとしても,お前は自分の手の者に病原菌を運ばせて定命の人間を死に至らしめるようにさせるか,もしくは都市を伝染病の空気で満たし,十分に毒を喰らわせ,熱病で死なせるようにする。なぜならバルやアシュタロス,もしくはお前の上官となる者がこう言うからである。
『お前はあの町やこの町,あの家族やこの家族,この者やあの者を滅ぼさねばならぬ。
お前は命じられた通り,その者や場所を襲い,使命を果たさねばならぬ』」 - そして儀礼や素敵な音楽とともに,集まった面々には地上に戻り仕事に復帰するようにとの命令が下りました。
オシリスの使者たちはデユスに報告する際,オシリスの忠誠心を大袈裟に絶賛しました。 - この時以降,オシリスの軍勢による大規模な襲撃は行われませんでしたが,彼らは『天使の顕現』という驚異を人間に多く見せつけるのに相応しい時代に改良し,定命の人間はそれを糧として熱心に取り入れました。彼らの多くは天使の助言に従うように言われると簡単に説得され,寺院や自分のための神託所を設置し,偉大なる霊魂の教義を消し去り,代わりに次のような言葉を付け加えました。
『主上神デユスと,その聖なる息子にして世界の救世主にして審判者アヌビ,そして地球の主神達を指揮する神オシリス』
定命の人間たちはあらゆる地域を旅し,霊魂との交流について説いて回ることでアヌビの儀式や式典を確立していき,嘲笑ったり呪ったりする以外の場面では偉大なる霊魂やジェホヴィの名前を使わなくなりました。
儀式では美徳,愛,真実,知識の獲得が教えられましたが,平和ではなく戦争が教えられ,それが主神,もしくは主上神,その息子にして救世主アヌビの栄光のために為されるのであれば正当化されるとしました。このアヌビの御印は一対の天秤であり,時には『審判』『上天ホレドに通じる門番』と呼ばれました。 - そのため定命のオシリス信者はジェホヴィの信仰者と戦争し,その財産を奪い始めました。
信仰者はジェホヴィへの誓約により死の武器で抵抗せず,都市の周囲に壁を築いたり,戦略的に抗したり逃亡するだけでしたので,オシリス信徒は多くの場所で簡単に勝利を収めました。 - 10年間でオシリス信徒は古代人の方法に倣って大都市を建設し,信仰者から奪った略奪品を集め始めました。
- オシリス,バアル,アシュタロスは天使の眷属を介して定命の人間の中から最も大きく,最も強く,最も戦闘的な者を選び,神託という手段で『王』や『女王』に仕立て上げると,主神や神に倣って宮殿を建てて,そこに玉座を据えました。そして定命の人間たちが,主上神の息子や娘と認められた王や女王の組織の一員として服従することで力が得られるように指示しました。
- やがて時が過ぎ,天使の顕現という奇跡が数多く発生した結果,定命の人間はこの手段で天界と地球の知識,特に人類の終焉に関する知識を獲得しようと努めました。
- そしてデユスの確立という問題に唯一関わることが許されたオシリスの眷属は,彼らにこう言いました。
「人生と人類の目的は天界と地球の主神である神を讃えることにある」 - 定命の人間はさらにこの問題を追求して尋ねました。
「神とは誰ですか?
世界とは何ですか?
万物はどこからやって来たのですか?
創造物や創造主とはどういった存在なのでしょうか?」 - これらの質問に答えるため,オシリスはホレドの主上神に使者を送ったところ,デユスはこの問題を解決し,地球の全管区で統一された回答となるように神や主神たちの評議会を招集し,ホレドで会合を開きました。
- 評議員が集合するまでの間,デユスは自分(悪魔)に向かってこう話し掛けました。
「もしもお前が自分以外の創造主を認めたならば,お前は破滅する。
これはジェホヴィの力と支配が及んでいる点ではないのか?」
主上神は悪魔にこう問い掛けました。
「何故,お前はこのことを事前に話してくれなかったのか?
見ろ,偉大なる霊魂はどこにでも存在する。しかし私はただの1人の人間に過ぎず,世界の大きさに比べれば小さい!」 - 悪魔は言いました。
「問題ない。お前は自分が天界と地球の創造主であると言えばよい」 - デユスは言いました。
「だがそれは真実ではないのでは?
お前が地球の支配権を握るように説いた時,こう言っていた。
『お前は何事にも真実であれ』
それならばどうして私は天界と地球を創造したと言えようか?」
悪魔は言いました。
「オシリスがお前の所に来たらこう言うがよい。
『汝は定命の人間の中で,最も偉大で賢く,最良のスイスなのは誰か分かったか?』
彼が答えたらこう言うがよい。
『我が息子オシリスよ,汝が最も偉大なスイスと思う人物に啓示を下すがよい。そして汝はその者に定命の人間の質問に対する答えを書かせ,学ある者や無知蒙昧のどちらにも我や我が王国を理解できるようにせよ。
見よ,我が時代よりも前は,天界と地球のどちらもジェホヴィの僕以外は1人の神もいなかった。それらは存在しないため,汝は自分の栄光のためにも我が『無』からそういったものを創造したことにして,汝の予見者を説き伏せねばならぬ』」
【24章】
ジャフェス人の攻撃について。
- 主上神,またの名をアヌハサジは偽神ティインにジャフェスとその天界を託す際にこう言いました。
「オシリスとその眷属が地球の管区に侵攻するのと同時刻に,汝とその眷属はジャフェス(中国)に侵攻し,オーマズドの名の下に偉大なる霊魂に仕える寺院や祭壇,神託所を占拠し,今もこれからも天界と地球の『ホジョス』と呼ばれるジョスの名で我に従わせよ」 - 偽神ティインが1,000万人の戦士とともに地上に急ぎ降下すると,不意打ちによる占拠を狙って軍勢をジャフェス全域に展開しました。
オシリスが真夜中に神殿や神託所,祭壇に突入し,ジェホヴィの守護天使を追い払ったのと同じように彼もまた実行したのですが,ティインもオシリスと同じ憂き目に遭ったばかりか,混乱したり拒絶されたりと,完全な失敗の上に屈辱まで加わった状態で朝日が昇るのを見たわけです。
次に彼は強力な軍団を率いて一日中地上を歩き回り,定命の人間が寝る翌晩の攻撃に備えて,次の行動について主上神から新たな指令が届くのを待ちました。 - 2日目の夜が訪れると,ティインは軍隊を率いて,昨晩の不甲斐ない失敗に激怒しながら突入しました。寝ている男女,子供といった定命の人間たちに誓いと大音声での豪語をぶつけながら,ホレドに住む最高支配者のホジョスに即座に服従しなければ地獄の業火を味わうことになるとジェホヴィの天使を脅迫しました。
- しかしジェホヴィの側に立つ信仰者は寝ている定命の人間たちに手を伸ばし,恐怖が迫る状況にあっても全力で立ち向かい,彼らを再び拘束したため,ティインの眷属は最も惨めな潰走という不愉快で屈辱的な敗北を喫し,朝日を迎えました。
ティインはその報せを非常に悲痛な思いで指揮官の神に伝えたのでした。 - デユスはオシリスと同様に,次は学者や不信仰者,無知蒙昧や迷信深い輩の家を攻撃し,当面の間はアークや寺院,神託所や信仰心篤い者への攻撃を諦めるように伝令しました。
デユスは言いました。
「汝の測量士と数学者を派遣し,ジャフェスにいる全ての人間の弱点を推定して目星をつけ,その場所を地図に記し,それが終わったならばもう一晩,奴らを攻撃せよ。汝の眷属は偉大なる霊魂オーマズドに忠実な信仰者を襲うのではなく,霊的に弱く,軟弱で不信仰で懐疑的でよく学を修めた哲学者を襲うのだから,よもや敗れはすまい」 - ティインは命じられた通り,ジャフェスの人々の弱点について,霊的に不信心な部分は何処か,淫欲か,焦燥感に駆り立てられているか,嘘をついているか,盗みを働いているか,殺人を犯しているか,偽善的か,指導者の地位を望んでいるのかなどと目星をつけていきました。そして戦いの時を迎えるまでに,ティインはジャフェスにいる全ての定命の人間の階級を把握しました。彼は高さ20マイルのチェサン山地を越えた先のチェスゴウという天界に自分の将軍や隊長を招集し,目録と地図を見せました。
- 彼は言いました。
「これを手に取り,我が強き軍に配布せよ。さすれば明日の夜までに全ての人間の居場所と性質を把握できるだろう。そして夜のうちに我が軍はここで示された場所に突撃し,寝ている定命の人間に迫り手をかければ力を得られ,この人間どもの家から恐怖の音を響かせながらミサイルを撃ち込めば,彼らが目覚めた時,この天界の戦争を目の当たりにできよう」 - 将軍や隊長はリストと地図を手にすると,何百万部も複写し,デユスの兵士がいる全地域に送りました。そればかりか偉大なる霊魂への悍ましき誓いを立てながら,デユスの偉大さをこれほどまでかと絶賛する何百万人もの宣教師を派遣し,彼らの独立への愛とホジョス以外の全ての支配者を永遠に駆逐する力について訴えたのでした。
- やがて戦いの夜が訪れ,激昂したティイン天使の戦士は何百万人もの強兵を率いて寝ている定命の人間の下へと向かいました。彼らは大軍を広範囲に展開し,東から西へ,北から南へとジャフェスの地を埋め尽くしました。
太陽の都グランゲロエには3,000万人ものティインの天使の戦士が派遣され,生死を問わず,偉大なる知識層を屠り,ジェホヴィの天使たちを蹴散らすか,縛って地獄に落とすことを誓いました。
ペン・グーの町には2,000万人のティインの眷属が派遣され,ツェー,ウォン,ハツォ,ネ・キング,ズー・ウンの各町にはそれぞれ2,000万人のティインの天使の戦闘員が派遣されました。 - これ以外に何百万人もの兵士がウォンの大渓谷やソジョン山地にいました。ウォ・ガン平原には7,000万人が駐屯していました。以下の町にはそれぞれ500万人が割り当てられました。
・サム・コンク
・アギー
・アシン
・チャンハ
・ジー・ウォーヤン
・グウォン・ゴーク
・ナジ
・ユク・ホウ
・ア・トス
・ア・コン
・チャウン
・ション
・ヌウォウ
・ゾウ
・リン
・ジ・バク
・ウォワ
・ドン
・キングドゥ
・ジ・サム
・セウン
・チョ
・ドス
・ジャウ
・ビンタ
・ガ
・ハイ
・ハン
・ウィンツェ
・ニ・アム
・ア・サム
・ゾゥリン - ウィッチ・ハウ・ルーの山々には8,000万人のリスティア系の人々がいました。海峡には船乗りとその妻子がおり,彼らへの攻撃のため1億9,000万人のティインの天使の兵士が控えていました。その他に小さな町や国にも数万の小隊が控えており,合図を待っていました。
- ところでこの時代,ジャフェスは戦争以外の多くの事柄で偉大なる叡智を獲得しており,その民は赤子のようでした。民の半分以上は信仰者であり,ポーを信奉し,偉大なる霊魂の崇拝者でした。
彼らは平和を実践し,共同体の中で暮らしていました。多くの都市は数十,数百,数千の家族で構成されていましたが,2,000を超えることはありませんでした。
町で暮らす家族は次の通りでした。
・羊毛の服を織る家族
・亜麻の服を織る家族
・絹の服を織る家族
・皮を製造する家族
・紙を製造する家族
・輸送を担当する家族
これらの家族は全ての分野で充足するまで募集がかかり,それぞれの家族を組み合わせて5万人,10万人,20万人といった規模の町がありました。
郊外には小さな町があり,そこには人々が土地を耕し,大地の果実を集め,大都市で暮らす製造業者と商品を交換していました。 - 各共同体の家族には1人ずつ司祭がいて統治しており,ワションと呼ばれる司祭が商品の受取りと分配を行い,ポーエティン,エオリン,その他の御名で呼ばれたりする偉大なる霊魂オーマズドの御名において,寺院や礼拝の祭壇に仕えていました。
- 学校や大学の他に,哲学の家,予言の家,天文学の家が何千とありました。
- ジャフェス人は大柄のイフアン人であり,パーシー人よりも褐色人種の血が多く流れていました。当時,世界中でこれほど強く,清廉で陽気で,高邁な大志を抱きながらも非常に紳士な人々はいませんでした。土地や耕され,各地で花が咲いていたため,天使たちはその土地を『花咲く王国』と名付け,そこで暮らす人々は歌や詩,修辞を楽しんでいたため,『春の芽生えにおける偉大なる霊魂の子羊』と呼ばれました。
- このことはデユスや偽神ティイン,そしてホジョスか永遠の破滅に服従させえると誓った何億人もの攻撃的な天使たちによく知られていました。
- しかし信仰者の最大の忠誠心を持つジェホヴィの力のお蔭で,アークや礼拝の寺院は悪魔の襲撃に無傷でいられました。同様にティインの軍勢は偉大なる霊魂の守護天使を圧倒できずにいました。それから十分な準備を経て,今度は最もジェホヴィから遠い定命の人間に対する別な戦いが行われようとしていました。
- 一方で御父の心配に気付かずにいる定命の人間と暮らす守護天使たちに,ジェホヴィの息子である真神はクラオシヴィの玉座から伝達しました。
「敗北,災害,恐るべき暗闇が訪れ,あなたが全力で挑んで敵わなくても,ジェホヴィの御名において戦い続けなさい。真の信仰者には実行不可能なことはなく,失敗が目前に迫っていても最高の光のために全力を尽くすものだからです。 - なぜなら弱さによる不信感が人間の中に入り込むと,その者は『信仰』の丘から滑り落ちてしまい,ジェホヴィに正しく仕えること以外で結果を気にしない者は,失敗しようがしまいが,計画が頓挫しても立ち上がるからです」
- それ以外にジェホヴィから何の言葉もないまま,信仰者たちは地上の弱く無力な監房で10億人ものティインの軍勢を待ち構えました。しかしこの不安が引き延ばされることはありませんでした。太陽が地球の広大な部分との間に位置する真夜中の時間帯,戦闘員が最も恐ろしい誓いとともに押し寄せてきて,密集して眠っている定命の人間の下に辿り着き,手を置いたのでした。
- この勝利に狂騒し,住居内の備品を投げ飛ばしました。そしていろいろな場所で暗闇の中で怯える定命の人間に聞こえるようにこう話しました。
- 「俺はサンクトゥから世界の支配者ホジョスに敬意を以て平伏さない全ての人間どもを汚物として葬るためにやって来た。
傾聴せよ,人間どもよ。天界の創造主の怒りが不従順な種族に振るわれるのだ!」 - その言葉に真実味を持たせるため,天使の侵入者は家の土台から揺さぶって多くのものを叩いたりぶつけたりして,混乱した定命の人間が原因を突き止めたり,すぐに後悔して祈りを捧げるように誘導しました。
- それでも彼らは完全な勝利を収められませんでした。なぜならジェホヴィの信仰者が数十万もの場所でしっかりと地盤を固めていたからです。それでもティインの軍勢は素晴らしい勝利を収めました。
- ティインはデユスにこの勝利を誇張して伝えました。デユスは,地上に居座り定命の人間と各地で戯れているティインと何百万人もの軍勢を順番に祝福しました。
- やがて時が経ち,ジャフェスでもアラビーニャと同じ疑問が生じました。それは人間の『心』はどこに向かうのか,物事の起源は何処か,天界とは何か,といった定命の人間から霊魂に至るまでの疑問でした。そこでティインは順番にホレドにいるデユスにこのことを伝え,どのような答えをすればよいかを聞きました。
彼もまた,オシリス,バアル,アシュタロス,ヴィンデュを征服したスドガに会うため,ホレドのサンクトゥに招集されたのでした。
【25章】
ヴィンデュへの攻撃について
- ヴィンデュにおける偉大なる霊魂の支配を転覆し,最上位の天界ウルヴァースを確立するために派遣された偽神スドガは,この邪悪な任務に対してオシリスやティインよりも賢明でした。
なぜなら彼は自分の何百万人もの軍勢が礼拝所や神託所に突入するのを許さなかったからです。むしろ最も慎重深く,軍勢をハロユで停止させたのでした。ここはヴィンデュのヴィラット山地の上にある最も低い天界で,3マイルの高さと広さがあり,指揮するのに相応しい場所でした。 - そこから神は先に測量士を地球に送り込み,定命の人間の,ジェホヴィ(オーマズド)や他の天界の支配者に対する信仰心の強弱を測らせて地図に落とし込み,目印をつけ,その人数を数えさせました。
- 当時,ヴィンデュの平和,美観,栄光は最高のものでした。その川と運河は国中を流れ,2億人の勤勉な息子と娘は,天使たちの目には地球の誇りと栄光のように映っていました。その民のうち予言者や予見者は何十万人もいました。民間には霊的な光が溢れており,たった一つの言語しか学んでいなくても遠く離れた場所の人々と他の言語を理解して話し,初めて会う見ず知らずの人でさえ,聞いたことのない言語や文章で話すことができました。ジャフェスの住民と同様に,ヴィンデュ人は政治や産業に関して売買ではなく,主に物々交換を生業としていました。
これが攻撃に対する最大の弱点でした。 - スドガは将軍や隊長たちに言いました。
「この国の民を撃破し従属させるには,言語を混乱させる以外に手はない。見給え,彼らは神の如くなりつつある。彼らは話し言葉を事前に知り,理解する。そのため唐突に言葉の意味を混乱させる以外で,彼の者らの最大の対処として何が挙げられようか?
容易く捕縛できる全ての者を襲い,支配下に置き,憑りつくがよい。まずは各所に足場を築き,商売で彼の者らを麻痺させよ」 - スドガは言いました。
「あらゆる種類の商品を作れる都市は強く,遠方の別の都市に頼る都市は実に脆いものだ。そのような民は容易に躓く。
見るがよい,我こそが,この者たち全員が膝を曲げ平伏すべき相手であることを教えてやろう。仮にこの者らを平伏させられなければ,我は都市同士,国同士といったように全てを互いに敵対させよう。それには彼の者らの数多くの言語が良き手札になる」 - スドガは夜になると自分の眷属のために扉を開け,数十万の男女にとって陳腐化していたオーマズドへの信仰心の最も弱い者を襲撃しました。
ヴィンデュでは女性は知識面で,世界の他の地域の女性よりも高水準にありました。哲学と科学の分野では,女性は男性よりも優れており,オーマズド信者の権力に対して懐疑的でした。 - スドガの軍勢はオシリスとティインが3度の攻撃で手に入れた勝利を,最初の攻撃で掴みました。
彼もまたデユスに自分の勝利を真実以上に誇張して伝えました。しかしながら彼の眷属はデユスの永遠の勝利を主張し,その名を確立し地上に根付かせるだけの勝利は収めていたのです。 - そして数年後,ここでも定命の人間から次のような質問が出されました。
「ご覧ください,あなたたちはチンバットを越えた先にある古代の天界『涅槃』との道を遮断しました。
あなたたちはデユスこそが全能の支配者であると教えています。
それでは人間にとっての究極の存在とは何でしょうか?
世界はどのように生まれたのでしょうか?
人間は何処から来たのでしょうか?
創造物はどのようにして創造されたのでしょうか?」 - この問いに答えるため,スドガはデユスに指示を仰ぎました。
デユスは他の神々と同様に,主上神の言葉を聞き,その命令を学ぶべくホレドに参集するようにと招待状をスドガに送りました。 - こうして招かれた5人の偉大なる戦士の神々は1万人の従者に加え,何千人ものラッパ隊を引き連れてデユスの前に参集しました。
デユスは彼らのために豪華な饗宴を準備し,接待役を遣わして壮麗なサンクトゥに案内しました。
【26章】
- デユスの勝利に貢献した神々が仲間や従者を連れてアヌハサジ,別名『主上神』の召集に応じて来訪すると,ホレドでは盛大な祝宴,華やかな行進,栄典が催されました。
ホレドのラッパ隊は天界の道路上に1,000マイル以上に亘って配置されると,今度は到着した神々が引き連れたラッパ隊や伝令が神々に先行して同じぐらい長い距離を進みました。 - 道中にはあらゆる場所に旗や垂れ幕が掲げられ,何百万人もの観客がいましたが,彼らはかつて天界の学校や大学に通っていた人たちで,今は自己啓発の束縛から解放され,デユス(ディアス)の栄光のために歌い,称賛する観客として使われていました。
- 饗宴の食卓は神々とその特に親しい総勢100名の仲間だけに秘密裏に用意されましたが,接待役を務めた眷属は100万人を超えました。
- 饗宴の最中,デユスはオシリスにこう言いました。
「汝の功績とバアル,アシュタロスとその勇敢な軍団について語るがよい」 - そこでオシリスは地上の国々や戦闘,事件について説明した後,結末を誇張して伝えました。
オシリスが話し終えると,デユスはティインにこう言いました。
「汝の功績,及び汝の将軍,隊長,その勇敢なる軍団について語るがよい」 - そこでティインは自分がこれまで訪れた地球の地域の地図を見せながら,何処で戦い,最終的にどう勝利を収めたかを大袈裟に誇張して伝えました。
彼が話し終えると,デユスがスドガに言いました。
「汝の将軍,隊長とその勇敢なる軍団について語るがよい」 - スドガは自分が戦い勝利を収めた地球の地域について説明し,自分の将軍や隊長,その眷属を誇張して称賛しました。
- 彼ら全員が滑稽な説明を終え,お互い健闘を称える頃には饗宴の飲食も終わりとなりました。
この時,アヌハサジは立ち上がり,こう言いました。 - 「我は饗宴の閉幕をここに宣言する。食卓を片付けよ。
見るがよい,我は元帥を除く5人の神にだけ,玉座から内密に話す。されど他の者には余暇と運動の時間を宣言し,汝ら神々との用事が済んだら仕事に就くように呼び掛け,元帥はそのことをラッパ隊に伝え,ラッパ隊は合図の音を鳴らす」 - すぐに従者が食卓を片付け,神々とデユスとその元帥たちを除いた参加者は全員が退席しました。
ここでデユスは玉座に登り,こう言いました。 - 「汝らの神たる主神にして天界と地球のデユスなる我は汝ら神や地球の支配者に,我が名の下に溢れんばかりの愛を以て宣言する。
- 我が教義と創造物を汝らの前に宣言し,地球全土が我と我が所有物に永遠に服従するように。
- 我が教義では,我の年齢よりも古きことは存在せず,自明の理を説明することもない。されど定命の人間が我が神々に投げかける問いに対して,彼の者らが到底理解できぬ世俗の知識を与え,その好奇心を満たしてやるがよい。
- 我はアフラの如く我自身を縛るつもりはない。なぜなら我は人間と似ているということ以外,我が誰であるかを説明するつもりはないからである。同様に物事の起源についても説明しない。
- この天界は我が創造した。汝らもまた,あの勇敢なる振舞いにより我という存在が地球で確立したことを見届けている。
- 我は汝らの神であり,1日や1年といった単位のことを問題にしておらぬ。我が時間は1つであり,今この時から未来永劫,天界と地球は我が所有物であり,終わりなきものとする。
- 汝らは地上の人間の世代交替が速いのを毎年,毎年と見ておる。それならば,今や汝らや我が所有物となっている住民について真剣に考える者など誰がいようか?
- 見るがよい,地球は豊穣であり,千年は一日のようである。地球からは何千億もの魂が新たに生まれてこよう。その者らによって,今以上の答えが作られていよう。
- 初めに我は(我自身の名と栄光において)この天界と地球を創造した。なぜならそれらは『無』であり秩序がなく,闇が覆っていたからである。
我はそれらを動かし,こう言った。
『光あれ』
すると光が生まれた。
我は闇と光の間に線を引いた。(なぜならそれらは我の代わりに『無』を崇拝していたからである) - 我は最初の日に朝と夕を宣言した。
我は海と海の間に陸があるように『無』を分離して大宇宙を設けた。 - この大宇宙とは天界であり,我は海のように『無』の上にそれを作った。
【27章】
- 神に話すことを命じられたオシリスはこう言いました。
「この件について理解するため,我々に1日与えてください,デユスよ」 - 主上神は1日与え,翌日,彼らが集まった時,神々はデユスが語った全ての言葉を批准しました。
それは『2日目の朝と夕』と呼ばれました。 - デユスはさらにこう言いました。
「大地の水が一か所に集まれば,地面は自然と姿を現すというが,その通りである。
我は大地が素晴らしきものであることを見た(そして天界がその上に君臨した)。
我は大地が草や木,果実,種子など,各々の『科名』に従いあらゆるものを生じさせるのを見た。
我は言う,『見よ,それらは素晴らしきものだ』と。
(我は大地にあるもの,水にあるもの,上空にあるもの全てを悪に帰属させまいとした。我は光と闇を分離した。これが我が『創造』の意図である)」 - オシリスはもう一度1日欲しいと言い,神々は主上神の言葉を吟味しました。
これが『3日目の夕』となりました。
神は1日を与え,彼らが再び集まった時,デユスはこう言いました。 - 「地球の上の大宇宙に神々がおり,彼らは地球の光から闇を分けるであろう。(それは人間が我と我が王国を見分けるためである)。
- 我が神々は兆候,季節,日,年を永遠に人間の息子らに教えるであろう。
我は世界の光を統べる者となり,世界の闇,すなわち我が足下の『地球』を統べる者としてオシリスを創った。 - ディアスは自分の言葉を吟味し認めるようにと再び神々に1日を与え,彼らはそれを実行しました。
これは『4日目の朝』となりました。 - デユスは言いました。
「大地の水は生きとし生ける者を豊富に生み出し,鳥は大宇宙の中にある地球の上を飛ぶがよい。なぜならそれらは素晴らしきものだからである。
生きとし生ける者らはその『科名』に従い実り,増え,上空を満たせ。
故に我は彼の者らを祝福する」 - 再び主上神は神々に自分の言葉を吟味し認めさせるため1日を与え,彼らはそれを実行し,これが『5日目の朝』となりました。
デユスは言いました。
「さあ,神々よ,我々の流儀で人間を作ろうではないか。そして我々に似せて彼の者らにも支配権を持たせてやろう。されどそれは水に棲む魚,空を飛ぶ鳥,家畜,地上にあるもの,地球上の生きとし生ける全ての者に限る。
汝らは彼の者らの下に行き,こう言うがよい。
『我に似せて汝らは男と女が作られた。神々の祝福は汝らの上にある。
汝らは実れ,増えよ,大地を埋め尽くし従わせよ。そして魚や鳥,地上の生きとし生ける全ての者を支配せよ。
なぜならそれらは汝らのものだから,永遠に!
見るがよい,地表に生えるあらゆる草,種,果実,そして地中で育つ根は汝らの食物となる。されど生命の息吹ある者を食してはならぬ」 - デユスはこの件を吟味し認めるようにと再び1日の休息を神々に与え,これが『6日目の朝』となりました。
- デユスは再び言いました。
「汝らの神である主神が告げる。
オシリスよ,ティインよ,スドガよ。
汝らは定命の人間の中からスイスの能力が高い者を探せ。我が教義を説く時,汝らはその者の下へ行き,『これは汝らの神である主神の言葉である』と我が言葉を書き留めさせよ。
我が命令に対して,汝らはこの場で返答せよ」 - オシリスは言いました。
「あなたの命令に従い,私はスイスの能力を持つ最高位の人間トゥースを見つけました。彼はあらヴィーニャで暮らしています」 - ティインは言いました。
「私も同じように捜索し,スイスの能力を持つ最高位の人間ホンを私の地上の管区で見つけました。彼はホーシンで暮らしています」 - スドガは答えました。
「私もヴィンデュで実行し,アンジラジャンなる者を見つけました」 - デユスは言いました。
「その者らの下へ行き,汝らは定命の人間の言葉を使って彼らが理解できるように,汝らのやり方で我が教義を伝えよ。汝らに話した内容はあくまで基本の部分だけであり,我が言葉を正確に伝えようとして汝らを束縛したり,行動を制限することはない。 - 饗宴はこれで終わりとする。
見よ,これが7日目である。我はこの日を祝し,1日の余暇活動に充てると宣言する」
【28章】
- 次の日,神々は来た時と同じように式典が催され,それぞれ地上に降下して自分の管区にある王国に帰還しました。
- 3人の神は自分が選んだ定命の人間(霊的なものを見聞きできる力を持った人間)の下に行きました。神々は自分の臨在により彼らを掌握し,アヌハサジ,別名主上神の言葉を一語一句書き留めるように啓示しました。
その言葉は地球の3大管区に同じように書き留められました。その写本は図書館や定命の哲学者の家に保管されました。 - しかし人間の起源とその運命に対する疑問への答えとして写本の内容が語られた時,学者たちは十分ではないと思いました。
彼らの多くはこう言いました。
「主上神は自分たちの質問から逃げた」 - その後,サタンがこの問題に対応していた3人の神々の下にそれぞれ訪れ,こう言いました。
「何をするべきか,互いに相談しなさい」
そこでオシリスはティインとスドガに使者を送り,相談したいから天界のアゴアデンに来るように頼みました。しばらくしてティインとスドガはオシリスの玉座がある場所を訪れると,彼らは大いなる名誉と栄光で歓迎されました。
すぐにオシリスの元帥がその場を離れたので,この相談は秘密裏に行われました。なぜなら元帥たちでさえ遠くに控えていたからでした。 - オシリスは言いました。
「実際に創造主がいないとなると,どう対応すればよいのだろうか?
自分の判断が間違えているかは分からない。なぜなら理性を失った者は最後にそれを見つけると言うからだ。
かつて我らが敬愛する主上神デユスは『汝らが我と我が王国のために地球で働く間,我は全てのことに報いよう。汝らが何も求めなければそれは汝らに与えられるだろう』と言いました。 - 兄弟よ,私の不満を聞いてほしい。定命の人間は我々に,人間の起源やその行く末,善悪の原因を知りたいと言ってきた。私はホレドで主上神にこのことを言い,彼の意図と布告を学んだ。
- この時,彼は使者を寄越し,私を饗宴に招待し,その際に定命の者らの疑問に満足のいく答えを出すと言っていた。
あなたたちと饗宴に行き,デユスは色々と与えてくれたがそれは欲しいものではなかった。なぜなら主上神が言ったことは,神々がザラツゥストラを通して言ったことと同じであると定命の者らは気付いており,その上,疑問に対する答えはまだ出ていない状態だったからだ。 - デユスは我が友であり,この件をこれ以上追及したいとは思っていない。そこで私はあなたたちを呼び,この問題についてどう対処したのかを知りたいのです。
- ティインは言いました。
「我らの天界の王国が連盟を結ぶ前に,アヌハサジは自分を全ての創造物の前を行く者と宣言すると言っていた。
そんな彼を勇気が欠如していると言えるだろうか?
彼を許してはどうか?」 - スドガは言いました。
「彼が『我は人間を自分に似せて創造した』と言うべきところを,彼はたどたどしく『我々が人間を作ろう!』と言った。これでは彼が責任を回避し,この哀れな物語に私たちを引き込もうとしているのは明らかではないか?
兄弟よ,聞いてほしい。私はこの問題について自分の管区でどう答えたかですが,私も同じ違和感を覚えたので何も答えていない」 - ティインは言いました。
「私はそうではない。しかし私たちはそうすることで正義を得られるのかもしれない。そう,主上神は私たちに『汝らに話した内容はあくまで基本の部分だけであり,我が言葉を正確に伝えようとして汝らを束縛したり,行動を制限することはない』と言ったからだ。
さて,もしも私たちが今までの世界が『罪』とするならば,その僕である私たちは主上神が正義であるとする術を見つけなければならない。もしも彼が正義でなければ,『罪』の方が正義となるのだ。 - なぜなら定命の人間は善と悪を理解しており,『悪を許容する善良な神』なる存在を正当化するのは容易いことではないからだ。私たちが神を讃える時,その御業も讃えねばならず,その罪が明るみになれば,同じくその罪を非難せねばならない。このような状況でどうしてデユスの栄光を讃えられようか?
私たちはこの世の創造物が創造される前から,彼を万物の始まりと宣言したではないか?
これはジェホヴィ打倒を掲げて天使の戦士を督励する檄文だったのではないか?
私たちが声高に崇める主上神はこう言った。
『人間を作ろう!子供は今よりももっと勇敢にあるべきだ!』」 - スドガは言いました。
「私たちは全員がこの問題を理解し,何が必要なのかも気付いている。
デユスは自分の教義に付け足しする自由を与えてくれたのだから,私たちは自分たちの判断に従ってこの会合の前にデユスが言っていたように,教義に同意するのは良くないのはないか?
そんなものを定命の人間に与えるのか?」 - オシリスは言いました。
「兄弟よ,これが叡智なのだ。我らは主上神を創造主にするためにも,善悪,何事につけても彼に説明しなければならぬ。
それ故,我々は定命の人間に2つの主人を与えよう。1つは最も霊感乏しき『地球』という蛇,そしてもう1つは我らが主上神の声である」 - スドガは言いました。
「兄弟は賢いことを言った。それでも2つの主人というのは最適な言葉なのだろうか?
なぜなら主上神を最高神と宣するのであれば,私たちもまた,彼を地上の主人とせねばならぬからだ」 - ティインは言いました。
「なぜ主上神という言葉を古代のエオリンに置き換えないのか?
定命の人間たちが主上神との誓いを破り,原罪に陥らぬようにするため,蛇の言うことを聞かないと戒律を与えよう」 - オシリスは言いました。
「兄弟よ,それはとても良い案だ。蛇を通して定命の人間を咎めることで,主上神を無傷で解放できるからだ」
【29章】
エギュプト,ヴィンデュ,中国のオシリスの聖書
- 翌日,3人のオシリス,ティイン,スドガの偽神はそれぞれの解釈について書き上げました。彼らはそれぞれの書き物を読んだ時,オシリスの解釈の方が他のものよりも明瞭でしたが,それでもティインとスドガの方にも多くの価値がありました。そこでオシリスの解釈は他の人の記述を引用する形で採用されました。
- 完成版は次の通りでした。
- 天地創造の時代,主上神が天地を創った。
主上神は土埃で人間を作り,鼻から生命の息吹を送り込むことで,人間は生きる者となった。 - 神は水から霧を噴出させて大地に散水し,雨を降らせた。
神は大地から草木を生み出した。見ては美しく,食べては良いものであった。
こうして主上神は『エデン(スペア)の地』たる大地から人間を生み出した。 - 主上神は土地を耕し,良好に保つため,人間にこう命じた。
「これは汝の労働であり,それにより汝は永遠の生命を全うできよう。
汝はエデンの地の全ての物を自由に手に取り,楽しんでよい」 - 人間は長らく地上で栄えたが,裸で恥を知らずにいた。
神はエデンの地に『知識の木』を植え,人間にこう言った。
「この木は我が植えたものだ。汝らはそれを食べてはならぬ。なぜならそれは生と死に関わるものだからだ」 - 神は最初の人間をアス(アダム)と名付けた。
主上神は人間に,地上や水中,上空のあらゆるものに名前を付けさせた。そして全ての生物は,人間が名付けた通りの名前となった。 - 主上神はアスを催眠状態にした。すると天使が傍に来た。
主上神はアスの肉と骨と血から女性を作り,アスの所に連れてきた。 - 主上神は女に掟を繰り返し言った。
「汝はしばらくアスに従って地上で暮らせ。なぜなら彼は汝の夫であり,汝は彼の妻だからである。
汝は地上の物ならば何でも手にしてよい。されど生命の木は食べてはならぬ。それは善と悪が込められており,汝は食べたその日に必ずや死ぬであろう」 - しかし女には蛇(大地)が宿っており,彼女は彼の言うことを聞いた。
彼は女に言った。
「それを食べたら,あなたはその日に目を開け,子を産む女神のようになれます」 - 女は男よりも簡単に説得された。なぜなら彼女は蛇を信じていたからである。
彼らはその身を食べた。すると確かに目は開き,自分たちが裸であることを知った。 - やがて彼らは主上神がエデンを歩くのを聞くと茂みの中に身を隠した。
主上神は言った。
「アスよ,汝は何処か?」
アスは言った。
「私たちは裸だったから,あなたが歩くのが聞こえたので隠れました」 - 主上神は言った。
「汝が裸だと誰が言ったのか?
食べてはならぬと言ったあの木を食べたのか?」
アスは言った。
「私と一緒にいるように言ってくださった女が,良い実だと言ったので食べたのです」 - 主上神は言った。
「女よ,何をしたのだ?」
女はこう答えた。
「蛇が私を騙したのです」
主上神は蛇に言った。
「斯様なことをした汝は呪われている。汝は大地より立ち上がれぬまま,元の土埃へと戻ることになろう」 - 主上神は女にこう言った。
「身籠った汝は大いなる悲しみを味わうだろう。悲しみのうちに子を産むがよい。
汝の願いは夫に属することであり,夫は汝を支配するだろう。
我は蛇と汝の子孫の間に遺恨を残す。肉体は地球を求めて呼び掛けるが,人間の魂は我,主上神を求めて呼び掛ける。蛇が嚙みつこうとも,人間はこれを打ち砕き,征服するだろう」 - 神は人間に皮の着物の作り方を教え,服を着せた。
主上神は言った。
「人間がこれ以上食べて我々の一員にならぬように,人間を作ったエデンから追い出そう」
そこで彼はエデンから人間を追い出し,生命の木を保つため四方にチェラビムを配置し,人間の霊魂だけでなく肉体をも充実させた」 - オシリスはここまで進めた時,スドガが口を挟みました。
「『我々の一員になる』の件だが,私たちがそう言ったら人間は『見よ,主上神以外にも多くの神がいる』と言うのではないか?」 - ティインは言いました。
「デユスの『人間を作ろう』という言葉をここで利用しないのか?」 - オシリスは言いました。
「兄弟よ,我の言うことをもっと聞いてほしい。実は既に解決案を見つけているのだ。
我は主神を神から切り離したのだ。それはこうだ」 - 主上神はこう言った。
「人間は善と悪を学んだことで,我のことを双子のように見えるだろう。なぜなら我は地の主神であり,天の神だからである。地上にあるのは主のものであり,天空にあるのは神のものである」 - アスは妻の名をエヴァ(ウィイット)と名付けた。なぜなら彼女は全人類の始祖だからである。
エヴァは息子カインを生み,こう言った。
「私は主から1人の息子を授かりました」
彼女はもう1人の息子アベルを授かった。長男は闇の中で生まれたが,次男は主の光の下で生まれた。主は長男のカインよりも次男のアベルの方を大事にした。 - やがてカインが土から採れた果実を持って主神に捧げた。アベルは羊の群れを供物として主に捧げた。
カインは主が弟の方を重視しているのに気付き,怒り,顔を伏せた。 - 主神はカインに言った。
「何故,嫉妬するのか?
汝が善行に励んでも,汝は受け入れられないのだろうか?
汝が善行に励まなければ,罪が汝の扉で待ち構えている」 - しかしカインは(自分の中の闇のせいで)怒りを抑えきれず,弟と野原を歩いている時,カインはアベルに襲い掛かり,殺してしまった。
- 神は言った。
「見よ,闇が人間どもの中にある。闇の中で生まれた息子が光の下で生まれた息子を襲ってしまった」
この時から地上では,正義が不義の迫害を受けるようになった。 - 主はカインに言った。
「汝の弟アベルは何処に行ったのか?」
彼は言った。
「知りません。私は弟のお守りですか?」
主は言った。
「汝の弟の血の泣き叫ぶ声が大地から我のもとに聞こえてくる。
今,汝は地から呪われている。なぜなら汝の手から弟の血を受け取るのに大地が開かれたからである。
我が目には,汝は地上の無法者,浮浪者に映る。汝は血を流したため,汝の息子,娘から血が流れなくなることは永遠にないだろう」 - カインは言った。
「主よ,私の罪は自分では耐えられないほど重たいのです。なぜなら私は地上の全ての戦争の口火を切ってしまったからです。
あなたは私から顔を背けてしまった。私を見つけた者は全員,殺されてしまうだろう」 - 主はカインに言った。
「汝や汝の家族を殺す者は,7倍の報復を受けるだろう」
主はカインの額に『アスガサヒベン』と書いた。これは「自分のために流した血」を意味し,誰かがこの者を見つけたら殺さないようにするための印となった。 - この時からカインは主の声が聞こえなくなった。なぜなら彼はノド(闇)へと立ち去ってしまったからである。
カインは妻を娶り,自分の流儀で子を儲け,彼らは『カインテス』と呼ばれ,その子孫は『カインテス族』と呼ばれた。この部族は910年存続した後,26の部族に分かれた。(そしてカインの名は失われた。しかしその民は生き残り,今日では『世界の民』として知られている) - ウィイットはカインが殺したアベルの代わりにもう1人の息子セツを儲けた。
その後,善と悪の人間の世代が来た。
主は言った。
「見よ,我は罪のない人間を創造した。我は人間が地上で聖者になるよう警告を与えた。しかし女は我が助言に従わず,蛇に従ったため,罪が世界にもたらされた。それ故,女はあらゆる世代において苦痛を抱いて子を産むのである」 - こうして主上神は神の姿に似せて人間を創造したのである。
- カインの息子らは今日に至るまで『部族』と呼ばれているが,正義の息子らは神の息子であり,それ故,古くから「地の息子,天の息子らを見よ」と言われている。
- 主は言った。
「我が望みを我が選ぶことを,我が許さぬはずがあろうか?
それ故,この権利を我は人間に与えた」
この時以降,神の息らは『神に選ばれし者』と呼ばれるようになった。 - 人間は地上で増え,部族は主上神の息子よりも強くなり,人間の邪悪さは地上でより強まり,心の欲望は絶えず悪しきものとなった。
- 主上神は地上に人間を作ったことを後悔し,心を痛めた。
主上神は言った。
「我は,我が創造した人間を滅ぼすことにする。我が与えた場所にいる獣や地を這う者も容赦はしない。 - 見よ,我は大洪水を地球の各地で引き起こし,生命の息吹を持つ全ての生物を滅ぼす。しかし我と契約を交わす選ばれし者は,洪水で滅ぼされることはない」
- そこで神の息子のノエは,神の命令に従い,地上での種族を存続させるため,獣,鳥といった生き物を番で連れて行った。
- ノエの時代が600年続いた時,大洪水が地上にもたらされた。40日間,昼夜問わず雨が降り続け,海の水が陸地から噴水のように湧き出てきた。そして生命の息吹を持った人間や獣の類は死に,大地にはもはや誰も存在しなくなった。
- しかしノエの子孫は被害を受けず,主が隠していた『箱舟』は水の上を進んだ。神は地上に風を送り込んだ。すると深淵の源は活動を停止し,雨は止み,『箱舟』は乾燥した大地へと運ばれた。
- 主上神は言った。
「見よ,我が新たな地と天を作る。我が息子らは我への信仰を証明してみせた。我は人間の部族の心が悪に傾いているからと言って,再び彼らを滅ぼしたりはしない」
そして主上神は弓の弦の部分で誓いを立ててこう言った。
「これは我と地上の全ての血肉を持つ者との間に確立された契約の証である」
地球全土はノアの息子らによって埋め尽くされた。主は大地を祝福してこう言った。
「我が与えた緑草のように,全ての生物は人間の食料となる。しかし血肉の通った肉については,人間は食してはならぬ。 - 確かに我は汝らの生き血を求め,あらゆる獣の血肉を求め,あらゆる人間の兄弟が自分の手で生きた血肉を糧とした人間の生命を求める。
- 人間の血を流す者は誰であれ,人間の手で血を流される。我は我の姿に似せて人間を作った。
汝らは実れ,増えよ,大地を豊かに発展させ,そこで暮らすがよい。
なぜならそこはいつの世代でも汝らのものなのだから」 - こうしてオシリスの言葉は終わりました。
ティインは言いました。
「血肉という言葉を使ったあなたは賢いです,兄弟よ」
スドガは言いました。
「ここに私たちの企ての栄光が掛かっている。人間はディヴァン法よりも制限されていないので,この新しい話は容易く受け入られるだろう」 - この後,オシリスは地上の人間の世代に向けた本を用意しました。
これらがデユスとその神々の教義の基礎となりました。
オシリスとティインとスドガはそれぞれ地上の自分の管区に向けて出立し,自身の臨在という効果を使いながら,定命の人間たちに啓示を下してその地区の人間の言葉で書かせようとしました。
これらは予見者によって書かれ,その写本はアラビーニャ,ジャフェス,セムの王や女王の記録が収められている図書館に保管されました。
これが今日の聖書となりました。
【30章】
- さて,オシリス,ティイン,スドガの3人の偽神は定命の人間にこの書のことを示した後,主上神に使者を送り,自分たちが行ったことについて彼に説明するため,謁見を願い出ました。
アヌハサジ,別名デユスは謁見の時間を決めると,神々は彼の下を訪れ,報告しました。
デユスはこう言いました。 - 「我は汝らの全ての行為に同意する。我が言わなかったことを汝らが言ったわけではない。自らを讃えることを望まなかっただけである」
こうして定命の人間がジャフェス,ヴィンデュ,アラビーニャ,パーシー,ヘレステの民の言葉に従い,主神,神,主上神,ホジョス,ジョス,デユス,ディティ,ディアス,ゼウスといった様々な名前を崇拝することを教えるかという問題については終止符が打たれた。そして主上神とその神に従う何十億という天使が定命の人間のもとに遣わされ,先見者,予言者,魔術師やその他の人々の夢や幻覚を通して啓示や教示されました。 - 定命の人間たちは自分の肉体から霊魂を抜け出し,無事に戻る秘儀を教えられ,この状態で主上神の王国に個別に連れて行かれ,そこで玉座に座る人の姿をした神を見て,何百万もの崇拝者が偽主上神デユスを讃えているのを目撃しました。これを目撃した人々は地上における説法者となり,あらゆる手段で熱狂的に人々を扇動し,偉大なる霊魂の教義を覆すべく剣や槍,投石機を持ち出して戦場に赴き,デユスを確立しました。
- 彼らはこのように地上の全ての管区で主上神の意志を遂行しました。ジェホヴィの民は無抵抗であったため,彼らの前では無力でした。地上の王や女王はこれらの教義を受け入れ,主上神を確立するため,各地で軍隊を集結させました。
主上神は彼らにこう言いました。
「汝らが我と我が王国を尊ぶように,我もまた汝らを尊ぶ。汝らが地上の多くを支配して叡智と力強さを得たのを見た我は,汝らに天界の大王国を与えよう」 - 偽主上神とその偽神は,彼らとその王国に関して地上と天界で何百年,いや900年も繫栄し,この時,地上の信仰者は極少数にまで減少し,ほとんどが狼から逃れる羊のように隠れていました。
- しかし950年が経つ頃,偽の主上神の崇拝者が互いに争論し戦い始めたのです。彼らが血により彼を確立したのと同じように,地によって地上の王と女王は互いに滅ぼし合ったのでした。
- 戦争が原因で学校や大学,哲学者の館は荒廃し,紡績,紡織工場は破壊され,土地は耕されなくなりました。
- アヌハサジとその神々の天界の王国では次のようなことが起こりました。それはこうです。
彼らは280億人の霊魂を擁しており,その全てがデユスとその神々の下僕でした。そのほとんどは10級以下の者たちで,30億人は無力な5級以下の者たちでした。 - ジェホヴィは利己的な考えを捨てて,他人の利益のために働くことを学んだ者は既に50位以上の階級を有しており,その後は永続的に昇天します。一方で自我(悪魔)を捨てられなかった50位以下の者は下向き,つまり地球の方へと引き寄せられます。そのため偽主上神とその偽神たちは彼らの王国とともにその責を背負わされることになりました。
- 彼らが極度に装飾され,天界の首都として広大な都市があり,何百万人もの従者と音楽家が常に新しく素晴らしい音楽を披露し,何百万もの人々が演奏したり歌ったり,近くや遠くでトランペット奏者が美しい響きを耳に届けていたとしても,また彼らが何十億もの旌旗や祭典の装飾品を拵えては頻繁に趣向を変える職工人を抱えていたとしても,彼らが天界の宝石や壮麗な宝玉で建てられた何百万もの天界の都市や,天界の宝石や真珠が填められた街道や道路を持っていたとしても,彼らが天界での競技大会や試合,儀式や式典で平伏と敬礼を絶えず行い,旅や行楽で大気界を航行できる天界の巨大な船にデユスとその神々の栄光と力と統治を歌い斉唱することを専らの使命とする天使を乗船させていたとしても,そうです,彼らが成し遂げた栄光は1冊の分厚い本でも1,000分の1も書き記せなかったとしてもです,神々は迫りくる危機を予見し始めていました。
- ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私は人間の力を試すのに2つの断崖を残しました。それは大いなる繁栄と大いなる逆境です。 - ご覧なさい,悪魔は良き友人の姿で彼らに襲い掛かりました。
まず彼はアヌハサジの下に行き,こう言いました。
『お前は最も偉大な神だ!
お前のような者は他に誰がいる?
見よ,私は初めにお前の下に来て,お前に何をするべきかを伝えた。手を伸ばせば天界と地球は永遠にお前のものとなり,お前の栄光となる』
そしてこれは見事に実現したのです!
『お前は天界と地球におけるジェホヴィとその眷属を敗走させた。彼らは逃げ回る残党のようだ。
私の言うことを聞くがよい,デユスよ。私はお前が成し遂げたことを称賛するだけでなく,お前の失敗も叱責する』 - デユスは言いました。
『おお悪魔よ,私は何処で失敗したのか?』
悪魔が答えました。
『お前は自分に有利なことに正直すぎる。自分の利益に純粋すぎる。自分の神々に対して疑わなすぎる。お前は根が正直だから,他人の正直さを簡単に信じる。だから彼らはお前を利用したのだ』 - アヌハサジは言いました。
『どうやって?』
悪魔は答えました。
『最初にお前は自分の神々に言った,学校,大学,工場を維持し,使者の霊魂の復活に備えよ。そして彼らが30期に迎えたらすぐに我が王国に送り,ホレドが永遠に栄光を浴すようにせよ,と。しかし見よ,お前の神々は天使を奴隷として使役し,自分の王国の栄光を築いた。彼らは天上の教育の場をほとんど解散し,消滅させた。私が最初にお前に警告したように,彼らは人間に教育を施さなかった。人間は学校,大学,芸術の場を放り出し,放蕩者になり,粗野な生活に耽っており,そんな彼らに復活はない。遅かれ早かれ,地上の全ての霊魂は人間に憑りつく胎児や吸血鬼の何の階級も持たない者たちばかりとなろう』 - デユスは言いました。
『どうして人間は低俗な肝臓となってしまったのだ?』
悪魔は答えました。
『見よ,お前は定命の人間に啓示を下した際,魚,肉,血を食べてはならない,また生命の息吹を持つ者も食べてはならないと言ったが,その結果,何が起こったのか知っているか?
お前が随分と信頼していた3人の神々は堕落し,他の啓示を与えてこう言ったのだ,魚と肉を食べよ,と。
彼らは人間を喜ばせたかったのだ。そして人間はお前のために戦うだけでなく,近隣の者にも戦いを挑むようになった。なぜなら肉を喰らう獣の習性が血には含まれているからだ。
お前の神々には,最初にお前の意志や喜びを確かめようと相談することもなく,この法を人間に与える権利などないのだ』 - アヌハサジは言いました。
『何ということだ。私は何をすればよいのだ?』
悪魔は言いました。
『お前の神々を呼び出し,お前なりのやり方で叱責し,彼らを定命の人間の下に派遣し戦争ではなく学問と産業を再興するように命じろ』
アヌハサジは言いました。
『彼らは私の所に来て叱責されるだろう。私こそが彼らの神である主神なのだと知るはずだ』 - 悪魔は他の偽神の所にそれぞれ向かい,こう言いました。
『神々の中でも最も賢い者よ,お前の偉大なる叡智と誠実さゆえに,天界の中でも最高の神格を持つ者よ,私の言うことを聞くがよい。見よ,私は最初にお前の所に行き,お前の王国がどれほど偉大で栄光に満ちたものになるのかを予言し,その通りになった。
お前が手を伸ばせはそれは叶うのだ。お前は他の者と違い,最高の栄光のために生まれたからだ。そしてお前の偉大さ故に,天界の神々はお前を嫉妬したり,畏敬する。お前はこのことを頭で理解している。
さあ,この忠言をお前に与えつつも,お前の欠点を窘めよう。 - なぜなら,正直者のお前は他人もまた正直であると信じ,それ故にあらゆる面で騙され,不当に扱われているからだ。当初,お前は自分の所の最高位の者を主上神の下に送り込んだ。お前はデユスの栄光のために,お前の王国から最優で最良の臣民を巻き上げた。
デユスはお前以上の奴なのか?
彼は腰抜けではないか?
なぜなら彼は自分の教義を定命の人間に与えるのを恐れ,言葉足らずにして価値をなくしたからだ。お前とその仲間の神々は彼の教義を彼のために完全なものへと作り変えた!それなのにお前は彼が自分よりも優れているかのように仕えている』 - 偽神は言いました。
『ああ,その通りだ。私はあらゆる知恵を持っているのに愚か者のように振る舞ってしまった。
私がデユスやその神々に対してあまりにも正直で純粋だったから,彼らは私を利用したのだ。
私はどうすればよいのだ?』
悪魔は言いました。
『最初にも言ったが,お前は他の神々よりも高みに昇る時が来る。見よ,お前が一泡吹かせる時は間近に迫っている。
お前は自分の王国だけでなく,仲間の神々の王国も手に入れるだろう。そしてデユスでさえお前とその支配下の者に従属するであろう』 - 偽神は言いました。
『どうすればよい?』
悪魔が答えました。
『デユスは自分の王国の危機を察知したら,相談と称して神々を招集するであろう。彼らへの返事を用意しておくべきだ。急がず,それが弱者の振舞いであるかのように。定命の人間と霊魂の利益のため,聖なる高い目標において最も慎重であるように』 - このように,悪魔は偽神全員に語り掛け,彼らは植え付けられた種を育て,光と影の中で全員の理解を超える巨人にまでそれが成長するのを見守ったのです」
【31章】
- やがてアヌハサジはホレドで神々との会合を開催すると,オシリス,スドガが来ました。とても素晴らしい演目がこの日行われ,サンクトゥは華やかで栄光と輝きがあり,何百万人ものよく訓練された奴隷と,威勢のよい高官がいました。
当時,将軍や高官でさえ偽主上神の御前に出るのに腹這いになって何マイルも進まないといけない時代からほぼ700年が経っていたのです。 - 首都の天界の宮殿の周囲には5万本の火柱が立てられ,奴隷たちの労働により永遠に灯されていました。その奴隷の何人かは休みも交代もない中で100年以上も1つの仕事を続けていながらも,地獄に脅かされ,無気力になり他のことを信じられずにいました。最高評議会,高位の元帥とその神々,アヌビを除いて,誰も主上神の玉座に立ったまま進めませんでした。また他の誰も,地獄に放り込まれる罰のせいで彼を仰ぎ見ることが許されていませんでした。
- 最初,彼の神々は1年に1回,饗宴に訪れることを100年以上続けていました。その後,しばらくの間は6年に1回,やがて50年,100年に1回だけ,特別な命令の場合にだけ訪れるようになりました。
- そのためデユスの偽神の来訪は,アヌハサジの王国で暮らす120億人の住民にとって,歓喜と栄光の場となったのでした。
どの場所にいても彼らは余るほどの衣服や食料が与えられ,この時に限って自由が与えられました。 - 前述した最後の機会で,神々は何億もの出迎えの眷属に迎えられ,大きく光り輝く火の船に乗り,宮殿へと案内されましたが,出迎えの眷属はそこから先には近づけませんでした。
神々はデユスの最高評議会と上位元帥に会い,彼らと一緒に宮殿に入り,主上神の玉座がある場所に通じる首都の高いアーチまで歩いていきました。アーチの中に入ると,評議会と元帥たちは両側に分かれ,頭を垂れてデユスへの讃美歌を歌いました。神々もまた敬意と友情を込めて頭を垂れ,真っ直ぐに玉座へと歩いていきました。 - 彼らが近づくとデユスの両側にいた副神は立ち上がり,こう言いました。
- 「地球の天界の主上神の名において問う,ここに来たのは誰で,正真正銘,神として来たのか?」
- 神々は答えました。
「見てください,私たちは主上神,偉大なるデユスの息子であり,正真正銘,神です!
私たちとあなたの王国の栄光のために,主君である神との謁見を望みます。 - デユスは言いました。
「おお,静まるがよい,我が副神よ!
我はこの兄弟たる神々を認める。
天と地の名において,ご機嫌よう」 - 神々は答えました。
「おお,神々の中で最も偉大なる主上神にご挨拶申し上げます。
あなたのデユスの名において,私たちはあなたの意志と喜びを知るために,あなたに崇拝し,叡智,力,愛を以てあなたにお仕えします」 - デユスは言いました。
「ようこそ,我が神々よ。サンクトゥの自由は汝らの手にある。
見よ,我が宮殿を片付けし,天使と定命の人間の利益のため,秘密裏に,そして最も神聖な方法で相談しようではないか」 - デユスは役人と従者を全員,アーチの向こう側に退くように合図をすると,彼らは言われた通りにしました。
歓迎の式典が終わると,アヌハサジは玉座から降りてきて,神々の手を親しみを込めて握りながら挨拶した後,神々は玉座の足下に座りました。そこにはデユス,オシリス,スドガがいましたが,その内容を聞いた者は他にはいませんでした。なぜならティインが来ていなかったからです。 - しばらくの間,彼らは長らく離れていた友人のように語り合いました。
さて見てください,彼らの中の悪魔はなかなか非難合戦を始めないので,そのことに失望していました。なぜなら偉大なる霊魂が彼らに与えた窒息しかかった愛の種が,まるで強大な力を爆発させようとしているかの如く膨張し始めたからです。
そして時が過ぎましたが,誰も心に抱えた目的と決意に触れようとしませんでした。 - ついに悪魔の由来をよく学んでいたデユスが痺れを切らして,彼らの昔話やつまらない会話に終止符を打つようにこう言いました。
- 「私はあなたたち両名ともとても愛しており,心から尊敬しており,私がどれだけ威厳や力を振るっても,自分の父親を無頓着に𠮟りつける幼い子供よりも弱いのです。
あるいは子供がいない時に子供と口論する理由を見つける老人のような存在が私です。しかし子供が戻って来るのを見るとその意気は完全に萎えてしまい,前に抱いていた悲しみは溢れ出る愛へとはっきりと変わったのです」 - オシリスは言いました。
「ああ,デユスよ,あなたを何がそこまで深刻にさせるのですか?
あなたが話したように,私の心に長く重くのしかかっていた感情を発散させているだけです。しかし今,あなたとその偉大なる王国への敬意のあまり,私は夏の太陽の下で雪のように解けてしまいそうです。
お願いですから続けてください!」 - スドガは言いました。
「この世に生がある限り,何も持たない私にとって年長者であるお二方は,私の心のままに感情を語ってくださいました。
どうかお二方よ,続けてください。あなたたちへの愛はとても大きいので,無理難題のような願いであったとしても,私は1,000年かけても果たしてご覧にいれましょう」 - デユスは悪魔に言われた通り,優しく語り掛けました。
まず彼はオシリスに自分の考えを話すように言い,スドガにもそう言いました。
彼らは悪魔が教えてくれたことを実行に移しました。するとオシリスやスドガがデユスの話を聞いて驚愕したように,デユスもまた彼らの残念な話に大いに驚愕し,こう言いました。 - 「神々よ,事態における問題を探すのは解決策を見つけるよりもなんと簡単なことでしょうか。
隣人やその王国,古代人の問題を指摘しながらも,同じ問題を犯してしまう者たちを私は見てきました。旧ディヴァン法に対する不満の一つに,主神とその領土を束縛し,文字通りに守っていたことが挙げられ,そのことは私たち全員が知っていることです。
私たちが盟約を結んだ時,それは各主神に独立権を与え,それぞれのやり方で天界と地球の管区を統治するというものでした。これは私の主神全員に与えられ,私や私の王国にも同様に与えられました。
それが何処で収穫されたのか,見てください!
私の心を満たすため,定命の人間に教義を与えました。その主たる役目は,私の名を地上で崇拝させることです。しかし私はあなたたちに『これだけはしなさい,それ以上してはならない』と強要しませんでした。但しこのようには言いました。『これが私の教義の基本となる部分です。あなたたちは定命の人間の下に行き,自分の考えのままに付け足し,時には省略しながらこの教義を教えなさい』 - あなたたちはこれを成し遂げただけでなく,定命の人間を肉食にする誘因まで付け加え,それによりその階級は惨めなぐらい落ちぶれてしまいました。それなのに今,あなたたちは特定の階級の奴隷を毎年,一定数強要したことに対してその欠点を指摘しては,自分たちの王国がドルジャで溢れ返っていると文句を言っています」
- オシリスは言いました。
「主上神よ,聞いて下さい。私は何百年もあなたとその王国のために尽くしてきました。私の言葉は一時の感情ではなく,よく考え抜いたものです。従って私が間違えていたとしても,短慮が原因だという言い訳をするつもりはありません。
最初にこの連盟は地球全土の定命の人間を支配する強力な王国を天界に作るために発足したものです。その王国ではあなたが長であり,最高の栄光を抱く者であり,私たちがその次となります。これら全ては,今日まで語り継がれている私たちの歌が証明しています。
しかし私たちの連盟が主にディヴァン法を廃止にするためのものだという歌や証言など,私は見たことも聞いたこともありません」 - スドガは言いました。
「私がすべきことはしました。私は地球の管区に対して命じられた通り,やり遂げました。
私はあなたたちの不満を聞きましたが,どちらも解決策がありませんでした。
あなたたち二人は私よりも階級も知恵もあります。あなたたちがこの連盟の目的について話したのであれば,私も話そう。私としては,私を縛るディヴァン法がないのは有難いことです」 - デユスは言いました。
「解決策は階級の低下を根本から断つことです。私の神々は自分が称賛されるため,天界と地球の両方で学問と産業が崩壊するのを許しました。慈悲に栄光を求める者がいます。儀式や式典にそれを求める者もいます。しかし私はあなたたち神々に言います,産業と学問は慈悲や儀式や式典よりも上なのです。有益な支援をもたらす産業は特に重要なのです」 - オシリスは言いました。
「ああ,私の神たる主神よ,あなたが書いたり話したりしたことはどこに違いがあるのですか?
あなたは冒頭でディヴァン法が主神を束縛していると繰り返し言いました。
その次にこう言いました,『私はあなたたちに学問と産業の場を再建するように命じる』と」 - スドガは言いました。
「文字で書かれた法律は不文律よりも恣意性が少ないのではありませんか?
その法律を事前に知っている私たちは,突然,こんな無茶な振舞いをされても驚きはしません」 - デユスは言いました。
「いずれにせよ,王国の計画と配置において最高の権威と力を持つ者は,自分が持ち上げて彼らが今いる場所を作った下位の者に嘲笑や侮辱を受けるか,あるいは彼らの愛と崇拝を失って心が折れるかのどちらかが真実ではありませんか?
ああ,あらゆる場所で,恩恵を受ける者は打撃が自分を破滅に陥れることになっても,毒蛇のように考えを変えて攻撃を選ぶ傾向にあるのです」 - オシリスは言いました。
「ああ,デユスよ,それは全くもって真実です。最上位の王国が,従属国の栄光と偉大さを背負っているのです。危険に晒されている者ほど,その危険に気付くのが遅くなることなど無いのです。高官もその立場にあり,もしも彼らの奴隷が自分たちは誰で,どう騙されていたのかを知ったら,高官たちは群れの中に拘束され,地獄に放り込まれることでしょう」 - スドガは言いました。
「しかし賢い兄弟よ,このような場合,栄光を得るために努力してきた他人の苦労と勤勉さで立身出世した高官が,自分の栄光と利己的な目的から目を背け,不正に手に入れた王国を分割し,彼らの権力下にある者たちに支援を送り,その怠惰な死人を奮い立たせる方がよいのではありませんか?」 - デユスは言いました。
「私の神々よ,とても賢明なことを言ってくれました。しかし類人猿や猿に,彼らの主人が誰であるかをどう教えればよいのでしょうか?
彼らは尻尾を曲げて悲鳴を上げながら,自分が偉大な君主だと思い込んでいるのです。しかし主人から切り離されたら最悪な屈辱か,真っ先に拷問に掛けられることでしょう」 - オシリスは言いました。
「神々の中で最も賢い者よ,私たちが自分の短所よりも他人の短所の方がよく見えるというのは本当に不思議で素晴らしいことではありませんか?
彼らが何か間違いを犯す兆候を見せた時,彼らを心の中で地獄に落とすと密かに誓い,武器を見張っているよりも,彼らが自惚れ屋の愚か者でなければ,彼らを救う道を探すことの方が最も早いのです」 - スドガは言いました。
「愛する者たちよ,強大な王国が言い争うのを見るのは悲しいことです。もしもどちらかが破壊しようと手を上げたら,彼らから最高の臣民と偉大なる栄光を剥奪し悪巧みの廃墟に置き去りにするという『鍵』を私たちは持っていることを知っています。
しかし賢者は耐え忍び,他の人が気付かないうちに強くなっていることがあります」 - デユスは言いました。
「私の最も賢い神々よ,あなたたちは大いなる叡智について語ってくれました。
私はあなたたちの言葉を吟味し,それによって統治しよう。あなたたちの最も神聖な訪問に対して,私は心の底から敬意を表します」 - オシリスは言いました。
「デユスよ,あなたが語った言葉に対する私の敬意はとても言葉では言い表せない」 - スドガは言いました。
「私はこれほど多くの叡智,愛,力が集まった場所を去ることへの悲しみから,頭が下がる思いです」 - そしてオシリスとスドガはそれぞれ4歩ずつ後ろに下がりましたが,お互いに頭を下げたまま離れていました。
合図が鳴り,副神たちが再び入ってきて神々の傍らに立つと,全員が頭を下げて,手を上げて『中央の太陽の御印』の構えで敬礼しました。それに対してデユスは『衛星の音楽の御印』で答えました。 - さて,ゆっくりと足並みを揃えて,低く甘い音楽に合わせて後ろから,神々と副神たちはその場を横切ってアーチを通り過ぎ,神々をそこに残した後,副神たちは中に戻ってきました。
しかし神々は最高評議会と高位の元帥に迎えられ,入り口の門まで案内されたところで,オシリスとスドガは彼らの眷属に迎えられ,最高の栄華と栄誉により船へと案内され,すぐに自分の天界の王国へと出航しました。 - さて,この一連の出来事において,神々が驚いたのはティインが代理の使者やそれ以外の方法も取らずに召集に応じなかったことでした。
誰もその理由について想像できませんでした。
【32章】
- 天界の王国に3,000万人の天使を擁していたティインは,オシリスとスドガがホレドに向かったことを知らされた時,悪魔はこう言いました。
「今が決行の時だ。お前の評議会を招集し,自分が天界と地球の神にして,全地域に力を持つ『永遠の天界の中央王国』だと宣言しろ!
評議会の中から最も階級の高い者を選び,お前の配下の主神としろ。その後,お前は地上のジャフェスで戦闘を繰り広げるだろう」 - ティインは言いました。
「どうして地上なのだ?」
悪魔は言いました。
「見ろ,ジャフェスは一つの民族国家として治めなければならず,ここが踏み台となり,天界の王国の本部となる。その後,お前の主神たちはパーシーとアラビーニャの地に進軍し,そこの住民を別の中央王国に誘致し,こうして定命の人間どもが上限一杯まで服従したら,お前が全地球の神となるのに手を下さねばならぬ者はそれほど多くはあるまい」 - ティインは言いました。
「お前はどの神々よりも賢い。見よ,お前がくれた道は明確だ」 - まさにデユスがオシリスとスドガと会合をしたその日,ティインは自分の天界の王国とその他の王国との縁を断ち切り,彼は神聖評議会の最高位の者から12名を選出し,地球の主神としましたが,地球のいかなる管区も分け与えようとはしませんでした。
彼は言いました。 - 「私は彼らに王国を与えない。全てを自分の手に掌握しておくことこそが最強の道なのだ」
- ティインはその後,地上に主神たちを降臨させて,カン・クワンを『世界と太陽と月と星々の王』なるジャフェスの人間の王としたのです!
主神たちはカン・クワンにオケスペを建てさせました。そこで彼は,地球を服従させるためにするべきことについて,最も神聖で天界の最高統治者であるティインから命令を受け取ることができました。 - ティインは言いました。
「私の神々よ,地球を征服することができたらカン・クワンに言うがよい,『見るがよい,私も降臨し,お前が私の主神のために建ててくれた神殿で暮らそう』と。そして王が出征し,自分の場所を手に入れたら,すぐに礼拝用の寺院を建てて私と私の主神たちに献上するがよい。その寺院は全て,私や私の主神たちの名前を与えよう。なぜなら私は定命の人間を数多くの天界の主神と混同させないからだ。それに王は人々に,天界にはホジョスや,ジョス,ポティン,ティインなどと呼ばれるただ一人の統治者しか存在せず,それは私であることを示さねばならない。
しかしいかなる場合も,王は偉大なる霊魂の崇拝者が地上で生き続けることを許してはならない」 - ティインは言いました。
「主神たちよ,それぞれが戦争に強くて狡猾な天使を100万人ずつ連れて行くがよい。1,200万人もいれば十分であろう。なぜならその天使たちは各所に散らせるのではなく,戦争が起きそうな近場や王の近くに留めておくべきだからだ。
火が燃える時,火花から始まり,やがて町が灰燼に帰すまで外へと広がっていくように,お前たちは集中して力を出し尽くせ。これが力を完璧に使う術だ。
そして天使たちは定命の人間が眠っている時にやって来て輝かしい夢と幻を見せてやり,戦いが激化する中で,死の顎から無傷で突き抜けて,男らしい腕で四方の敵を何人も殺していく様子を人間どもに見せてやれ。なぜなら定命の人間は目が覚めて夢の内容を思い出す時,勇敢な仕事に挑もうとするからだ。
しかし征服される側の者どもについては,人間どもが眠っている間に天使を差し向けて,恐ろしい死の夢と幻を見せてやるがよい。激化する戦いの中,あらゆる場面で敗北を喫し,剣や槍で刺されて斃れ,激しい苦痛の中で死んでいく姿を見せてやるのだ。そうした人間は目が覚めて自分の夢を思い出す時,既に半ばほど征服されたようなものだからだ」 - ティインは言いました。
「主神たちよ,お前たちは王に『慈悲深く,優しくあれ』と啓示を下すように。そして兵士たちがその血を征服しに来たら休戦の使者を送り,こう問うがよい,『誰が支配するのか言うがよい』と。もしもその地の民が『私たちはカン・クワンの奴隷です』と答えたなら殺されずに済もう」 - ティインは言いました。
「主神たちよ,人間にとっての『正義』とは何だと思うか?」
ある主神はこう言いました。
「儀式と式典です」
別の主神はこう言いました。
「ティイン,あなたを崇拝することです」
別の主神はこう言いました。
「古代の教義に従うことです」
別の主神はこう言いました。
「自分を清めることです」
別の主神はこう言いました。
「全力で善行に励むことです」
別の主神はこう言いました。
「真実を実行することです」
別の主神はこう言いました。
「誰にも危害を加えないことです」 - ティインは言いました。
「お前たちの中に正義を知る者はいないのだな。自分たちの置かれた立場を見るがよい。
古代の教義というが,そんなものは死人のようなものだ。死人が着ていた服を着れば,その者のようになれるのか? - 儀式と式典というが,そんなものは役者が馬を訓練して主人を喜ばせようと走ったり跳ねたり座らせるようなものだ。
- 自分を清めるだって!
何のために?
定命の人間の身体はどれだけ贔屓目に見ても腐っているから,清めようがない。 - 全力で善行に励むだって!
その意味を知る者がどれだけいるのだ?
怪我した足を切り落とせばその人の命を救うことができたとして,その者が怪我で苦しんでいても,切る時には痛みを伴うものだ。ある者の首が斬られることが全体の利益になるのであれば,それは良いことだ。そう,国家でさえ滅ぼしてもよいのだ。
人間がそう振る舞うのであれば,全力を尽くすべきだ。
善行に励む前に,お前たちはまず,自分自身が自分の判断で判断する審判者であることを理解しないのか? - 真実を実行することだって!
何のために?
ジェホヴィの信者はこう言う,『ジェホヴィは全てにおける真実です』と。だがジェホヴィなど存在せず,風のように通り過ぎてしまう。だとしたら彼らが言う真実はどこにも存在しない。
こんなことを言う人物に出会ったことはあるか?
『自分が見ているように見えれば,真実を見ることができる。あなたが見ているのは偽りを見ているに過ぎない』
その者は意図的に嘘をつき,実行している。確かに彼は全てにおいて真実だろう,嘘つきであるという点で。そういう意味では彼は真実を実行している。 - 私を崇拝することは正義ではなく不義である。ジョスを崇拝することは不義であり,不確かなジェホヴィを崇拝することも不義だし,ポーを崇拝することも不義である。
こういう話がある。森に大きな木があり,小さな木を圧迫していた。
小さな木は言った,『巨大な樫の木よ,あなたを讃えます,だから多くの祝福が与えられますように,私たちに慈悲を賜りますように!』
大きな木は彼らを笑い,そして彼らは死んだ。
これがジェホヴィではないのか?
これが神々ではないのか?
なぜなら全ての定命の人間はまだまだ孵化していない卵に過ぎない。そして彼らが死ねばその魂は孵化した鶏のようになり,神々に遊ばれ,彼らの好きなように使われるのだ」 - ティインは言いました。
「そのことを定命の人間たちに教え,伝えるがよい。その上でどの神を主に戴くのか選ばせよ。それがもしも私であれば,私はその者のために働こう。もしも私でなければ,私はその者の敵となろう。
神と定命の人間,定命の人間同士の互恵関係を築くこと,揺ぎ無い覚悟の下で成長するため自分の意志を貫いて戦うこと,無力な者を助け見ず知らずの者に食べ物や服を与えること,父母を崇めること,これこそが正義なのである」
【33章】
- ティインの主神とその天使たちはティインの天界であるチェスゴウを出立し,使命を果たすため地球に降臨しました。そして次のような結果となりました。
- カン・クワンは扁平頭のクワン・ホーの息子でしたが,カン・クワンはバラモン教に改宗したため扁平頭ではありませんでした。しかしスイスとサルギスが彼らの家族と長らく共にいたため,結局のところ彼らはクワンの下に降臨することになりました。
彼は天使とその主神を見聞きすることができました。自分に話しかけられる全ての言葉を聞けたことは,ドルジャが彼の観察を禁じていた状況下では最大の恩恵となりました。 - 主神たちはあらゆる面から日夜カン・クワンを保護していましたが,両親が扁平頭であったクワンは愚か者であり,命じられたことを全て実行するのに向いていました。
彼はすぐに全ての称号を自称し,自分が宣言したことを各所に使者を送って伝え,全ての民と王に自分が彼らを征服するため侵攻することを知らせました。 - クワンは詔書を布告しました。それはこうです。
「世界と太陽,月,星々の王たるカン・クワンが命じる!
太陽の息子にして,ティインの息子である予を見よ!
天に支配者はただ1人ティインしかいない!
地上にはカン・クワンただ1人しかいない!
平伏すがよい!
予は来る!
汝らは選ぶがよい,平伏すか,死ぬかを。どちらか1つを選ぶがよい。
世界が予に靡いた時,予はもはや戦わぬ! - 当時,ジャフェスには多くの偉大な王がおり,彼らの王国は遠方の地に数多くありました。そこにルン谷という不毛な地域があり,そこにオウ・ツェという町があり,ここに1,000年にわたって知られていたカン・クワンの小さな王国がありました。
- 他の王たちはクワンの宣言を聞くと笑いました。こういうところが定命の人間の自惚れだったのです。なぜなら彼らは自分たちを支配する神々の力に気を配らなかったからです。
- クワンは槍,斧,鎌,剣,投石機,弓矢を持った男女4,000人の軍勢を出陣し,10万人のじんこうをかかえるツェヨットの町に向けて進軍しました。この町を統治していたのはチャ・ウン・チン王であり,2万の軍勢を擁していました。
チャ・ウン・チンは笑いました。
彼は自分の隊長にこう言いました。
「1,000人の女兵士を派遣し,クワンとその軍勢を殺せ。奴らは狂っている。奴らは戦争の何たるかを知らない」 - 隊長は1,000人の女兵士に加え,別の1,000人の男兵士も連れて戦場に赴きました。しかし見てください,クワンとその兵士は訓練などしてこなかったのですが,敵から見てどう戦えばよいか分からないほど奇妙な走り方をしたので,即座に殺されたチャ・ウン・チンの隊長と100人の女兵士以外は恐怖に駆られて逃げてしまいました。
しかしクワンの軍勢は誰一人殺されずに済みました。 - チャ・ウン・チンは激怒し,1万人の兵士を疲弊したクワンの軍勢に向かわせました。
戦闘が始まると天使がチャ・ウン・チンの軍勢の前に雲を作ったため,彼らは数十万の軍勢が襲い掛かってきたのかと錯覚し踵を返して逃走したのですが,500人は捕縛され,男女ともに即座に殺されました。 - チャ・ウン・チンは言いました。
「今度は儂が行こう。儂が手を抜いていたため大きな代償を払ってしまった。
明日は男女3万の軍勢を連れてクワンの軍勢を虐殺する気晴らしの日としよう」
そこで王は夜のうちに元帥を派遣し,選りすぐりの兵士を集めさせました。多くの兵士は恐怖のあまり眠れずにいて,眠っていた者は幻覚や夢を見て,目が覚めた時にはほとんど死人のようになっていました。 - 翌朝,チャ・ウン・チンは軍の先頭に立って町から出撃し戦場へと赴きました。
彼はクワンの貧弱な軍勢を見てこう言いました。
「本当に世界は狂っている!
こんな愚か者が蛮勇を奮っているのは戦さの何たるかを知らずにいるからだ」
そう言うと彼は兵士たちに声を掛けながら前へ前へと勢いよく駈け出していきました。しかし兵士たちはその後を1列になって追いかけていました。なぜなら彼らは夢を思い出して全身が恐怖で縮こまっていたからでした。 - クワンとその軍勢は軍令ではなく,雄叫びを挙げながら彼らに向かっていきました。チャ・ウン・チンの兵士は混乱し,チャ・ウン・チン王を始めとする1,000人の兵士は捕まり即座に殺され,それ以外の軍勢は隊列を乱して散り散りに逃げました。
- その日,カン・クワンはツェヨットの町を占拠し,町の人々に服従と忠誠を命じました。
翌日,彼はティインの神殿を造営するため2万人を派遣し,建材を手に入れるため他の建造物を破壊しました。
クワンは軍全体で学識がある方ではありませんでしたが,彼と共にいた主神が神殿の各方角の造営方法や,屋根を支えるアーチ型の道路や柱の作り方,神聖な部屋や生贄の祭壇の作り方を教えました。
彼は煉瓦や漆喰,木で造営し,12,000人を生贄に捧げるのに十分な大きさの寺院が完成しました。この寺院が完成したのは着工から40日後のことでした。 - この他にクワンは別の1万人の男女を動員し家や壁を撤去し,様々な方法で新しい道路を作りました。そのためツェヨットが最初に被害に遭ってから見違えるように変わり,クワンはこの町をル・アンと呼ぶように人々に命じ,拒めば処刑すると言いました。
- カン・クワンは人々に毎朝,寺院でティインに生贄を捧げに行かせ,天体の月が4分の1進むごとに休息日を設け,子供には父母を崇めさせ,その中でも父親を最も尊ぶように強要しました。
- 次にクワンはこの戦いで殺された者たちの冥福を人々に祈らせました。この時,彼が人々に命じたのは次の言葉でした。
「ティイン!生と死の父!太陽と星を糧にする者よ!
その残滓が定命の人間である。あなたへの讃美として私は頭を垂れます。
あなたの栄光のため,私は祭壇の前で腹這いとなります。
私は最も穢れた存在です。私の息,肉,血は腐っています。もしもあなたやその兵士が私を殺してくださるならば,死は私にとって甘美なものとなるでしょう。
私の魂は永遠にあなたの奴隷としてあなたの下に向かうでしょう。 - 見てください,私の兄弟姉妹はあなたと戦って死に,私はそのことであなたを讃えています。
私たちは彼らの腐った死体を地中深くに埋め,それは彼らにとって十分な供養となりました。 - しかし彼らの霊魂は戦場で彷徨い,荒れ狂い,絶叫しています。
父たるティインよ,あなたの霊魂をあなたがおわす天界のチェスゴウから彼らのために遣わしてください,そして彼らを暗闇から救ってください。
私たちは最も強力で最高統治者であるあなたを永遠に讃えます!」 - 彼らは生贄を捧げると腹這いになり,その中の幾人かにクワンは主神から受け取った言葉を伝えました。
- その後,クワンはディン・ジョウを総督に任命しました。彼はジャフェス地方の初代総督となり,この総督制は今日まで続いています。つまり主神が神に対して仕えるように,総督も王に対して同じように仕えるのです。
これは『堕落した下天』の神々によって確立された最初の秩序でした。これ以前に政府のようなものがジェホヴィによって信仰者に与えられましたが,純粋な人間には純粋な政府が与えられていたように,無法者には無法な政府が与えられるものなのです。 - ジェホヴィはこう仰せになりました。
「独立した王国は隣接することはなく,互いに従属することもありませんが,王国全体が一つにまとまっており,より小さな王国はその一部となるものの上下関係はなく,互助関係を築きます。
邪悪な者は今これを見ることはありませんが,彼ら自身の邪悪さが将来それをもたらすでしょう」
それはその通りになりました。
【34章】
- カン・クワンは再び征服のため南進し,5つの属国を持つ大都市ホッツェに向かいました。この都市を統治するのはウーロン王といい,200人の妻と軍紀が保たれた3万人の兵士を抱えていました。
- クワンの軍勢はこの時7,000人いましたが,軍紀がなく,彼以外に指揮官がいませんでした。
彼は敵中を行軍する間,農民たちに死刑をちらつかせながらティイン教に帰依するように強要しました。 - さて,彼はホッツェ付近に着くと,既に制圧した町と同じように王に降伏するように命令しました。
- ウーロンは自分に敵対する軍勢について聞くと笑い,8,000人の女性の兵士だけを戦場に送り出しました。
両軍が接近すると,主神はクワンに言いました。
「休戦を申し入れて,敵に死刑をちらつかせて降伏するように懇願しなさい。なぜならティインの天使たちが彼らをあなたの手に引き渡し,誰一人死なせないからです」 - 休戦を申し入れると,どうしたことか,ウーロン軍は全員が降伏し,クワンに忠誠を誓い,誰も殺されずに済みました。
ウーロンはそのことを知らされると,こう言いました。
「今度は儂が軍を率いてこの貧弱な王とその民衆と,奴に降った8,000人の兵士を嬲り殺してやろう」
そこで彼は2万2,000人の兵士を率いて戦場へと行軍しました。クワンの軍勢は平原に散らばっていました。
ウーロンは自分の隊長にこう言いました。
「この愚かな王に戦列を敷くように伝えに行くがよい。儂は羊の群れに挑みたくないのだ」 - 隊長は出立しましたが,敵陣に辿り着く前に昏倒してしまいました。なぜなら天使が圧力を掛けたからです。
王は隊長が昏倒するのを見て,自分の軍勢に向かって叫びました。
「もうよい!
儂の軍勢がこんなにも愚かで,戦う術も知らぬ輩だったとは思ってもいなかった。
さあ来い,儂が先陣を切ってやる!」 - 彼は何千もの兵を率いて突撃しました。すぐにクワンの軍勢は雄叫びを上げて四方に駆け出すと,なんとウーロンの軍勢は逃げ出して,ウーロン王と1,200人の兵士は捕まり,すぐに殺されました。しかしクワンの軍勢で殺されたのはただ1人だけでした。
- 主神たちは天界のティインに使者を送り,クワンの成功を知らせました。これに対してティインはこういった指示書を返しました。
「ここまでの結果に私は満足しているが,今後は定命の王カン・クワンをそう易々と勝たせてはならない。むしろ彼に損害を与えて,私や主神,眷属である天使のことを忘れさせないようにするため,彼を窮地に立たせて,私に対して祈らせなさい。そうすれば彼の軍勢も祈るだろう。こうして彼らが祈りを捧げたら,彼とその軍勢を窮地から救い出し,しばらくの間は勝たせよ」 - クワンは何の抵抗もなくホッツェの町に入り,占領しました。
彼はすぐにティインの寺院を造営するため3万人の労働者を徴発しました。さらに2万人に家屋を壊させて他の道路をより美しく整備しました。
28日間で寺院と道路は完成し,29日目に生贄が捧げられ,人々は全員クワンとティインへの忠誠を強要され,拒絶すれば殺されました。
その最初の日に忠誠を誓わなかった男女4,000人(偉大なる霊魂以外の様々な神々の崇拝者)が殺されました。 - その後,抵抗する者はいなくなり,クワンはこの町の名を『ツェ・ション』と変え,ソウォツェを総督に任命し,従属都市となるように命じました。
- その後,カン・クワンは再び征服のため進軍を開始しました。天界の主神とその1,200万人の天使は同行し,彼の先を進み,道を整備しました。
彼の成功の知らせは定命の人間の間で大々的に広まり,遠方の町の住人であっても彼のことを恐れました。 - 主神たちは,クワンがさらに3つの大都市を軍に損害なく征服させるのを助けました。するとクワンは力を持っているのはティインではなく自分だと思うようになりました。
- 次の町チェガは人口5万人の小さな町でした。クワンは(主神を通して)ティインに攻撃の仕方を尋ねようとせず,自分の考えで進めました。
当時,この町を統治していたのはロン・グィという女性で,あまり好かれていない暴君でした。彼女は4,000人の兵士しかいませんでしたが,クワンには7,000人の兵士がいました。 - クワンは近くに布陣しこの地を所望すると,女王は言葉ではなく,伏兵にクワンの軍勢を襲わせることで答えました。この襲撃でクワンの軍勢は半分が戦死しましたが,女王の損害は少なく済みました。
クワンは自分と一緒にいるはずの主神を見つけられなかったため,生き残った兵と共に逃亡しました。しかし主神たちは女王に追撃を促し,彼女は再びクワンの軍勢を襲い,さらに半数を殺し,何百人に傷を負わせて不具者にしました。しかし女王の損害は少なく済みました。 - 主神たちは逃げたクワンにこう話しました。
「汝は虚栄心が強く,天界の支配者たる私ティインのことを思い出さなかったため,我は汝が無力であることを示すため,今回のことを仕組んだ」
クワンはティインに祈りを捧げてこう言いました。
「天と地において最も力強き支配者よ,あなたは私に正当な罰を下しました。
私は今,自分の屈辱に対する苦痛から,懺悔の気持ちであなたにお祈りいたします。
ティインよ,私は何をすればよいのでしょうか?
私は本土から遠く離れた見知らぬ地にいます。私の軍勢は壊滅寸前です。
全ての国家は私に反旗を翻しました。羊にとって狼のいる森の方が,私がこの地にいる状況よりも安全です」 - 主神はクワンに言いました。
「汝は今,悔い改めた。
刮目せよ,我ティインの力を汝に見せてやろう。
汝は敗残兵を回収したら,轡を返して女王とその軍勢を滅ぼすか,もしくは彼らを敗走させて町を占領せよ」 - 翌朝,主神の啓示を受けたクワンはたった700人の兵で戦闘の準備を始めました。一方で主神とその天使たちは女王の軍勢の夢や幻覚の中で現れて,こう言いました。
「女王は騙されて罠に掛けられた。朝になれば,クワンの下に5万人の兵が加わっていることだろう。明日は死を覚悟しておくがよい」 - 翌朝,女王の陣営では兵士たちが互いに自分が見た夢について話し合っていました。彼らはその話を終えるや否や,クワンの軍勢が襲い掛かってきました。この時,5万人以上の天使たちがサルギスの姿で定命の人間であるかのように姿を変えていました。これを見た女王の軍勢は恐怖し,逃亡できたのは数名だけで,それ以外はほぼ全軍が武器を投げ捨てて降伏し,平伏しました。
- クワンとその軍勢は彼らを襲い,4,000人以上を殺しました。彼らは天使の眷属によって無力化させられたのでした。
その後,クワンは町に入ると,他の町でも行ったように自分とティインの統治を確立させました。 - これがジャフェスにおける偽神ティインのやり口でした。
今度はヴィンデュのスドガとその天界の王国について話します。
【35章】
- ヴィンデュとその天界の偽神スドガには天界の王国に30億人以上の天使がいましたが,ホレドから帰る途中,自分にこう言い聞かせました。
「私は2つのことを決心しました。1つは自分が天界と地球の創造主にして支配者であると宣言すること,もう1つは自分の天界の名を雲の山,すなわち『アルブルジュ
』と変えることです。 - 悪魔がスドガに話しかけました。
「至高の神よ,私の言うことを聞いてほしい。
地上におけるヴィンデュの地,天界におけるヴィンデュの地,この両方で神はお前のためにどんな働きをしたのだろうか?
お前はこの1,000年でデユスをこの地に確立した。お前にはデユスとスドガを名乗る正当な権利がある。おまえがいる天界もホレドとなろう。なぜなら,そこは確かに『天界の山』であるのだから」 - スドガは言いました。
「悪魔よ,とても良いことを言ってくれました」 - スドガはすぐに首都と玉座の新たな地への移転を実行に移しました。
彼はまた12人の主神を選出すると,自分にこう言い聞かせました。
「私は12人の主神に定命の人間を支配させるが,彼らの誰にも地球の管区を1つたりとも与えはしない」 - こうしてスドガが新たな天界を築くと,彼は主神たちを呼んでこう言いました。
「ヴィンデュのハッチサティの谷にある小王国を治める定命の人間の王ティロヨヴォグナの下に行きなさい。私が天界の支配者であるように,彼を地球全土の王にするからです。あなたたちは憑依やそれ以外の方法で彼の征服を導いてあげなさい。 - あなたたちは先回りして定命の人間に彼のことを恐ろしいと思わせて,負けやすくしてあげなさい。
あなたたちには軍隊として1,200万の天使を与えるので,ティロヨヴォグナがヴィンデュの王となるまでは戻ってはいけません。目的を果たしたらその功績に応じて賞与します」 - 12人の主神たちは1,200万の戦天使と一緒に地球に向けて出立し,ティロヨヴォグナが暮らし統治していた町バラジャを訪れると,彼らはハッチサティの谷を越えた範囲まで軍勢を展開しました。
- ティロヨヴォグナは,アイピヴォフの息子ハン・チャヴァラットの息子フクラバの息子であり,天界の神や主神にとって聖なるスイスの能力を持っていました。
ティロヨヴォグナはスドガの筆頭主神に話しかけると,主神はこう言いました。
「ご覧なさい,あなたは全世界の王と自称するでしょう。なぜなら私と天界の眷属があなたと共にあるのですから」 - ティロヨヴォグナは言いました。
「残念ながら私の王国は最弱です。私には1,000人の兵士もいません。他の王は私のことを笑うでしょう」
しかし主神は彼にこう答えました。
「スドガであったデユスの掌中にある定命の王など何のことがありましょうや?
私は地球の国家に言います,『下がれ!』と。そうしたら彼らは倒れます。
私はこう言います,『立ち上げれ!』と。そうしたら彼らは立ち上がります。
人間は石や土,水に偉大な力を見つけます。しかし不可視の存在である私は地球のあらゆる大地や水よりも偉大なのです。なぜなら私は彼らを支配し,そして天界をも支配しているからです。 - 私は地上にただ1人の王を据えます。私が天界の天使を支配するように,あなたには定命の人間を支配してもらいます。そうすることであなたと私の存在は永遠に確かなものとなります!
あなたの子孫はその末裔に至るまで,世界中のあらゆる王国,国を支配することでしょう」 - ティロヨヴォグナは言いました。
「デユスよ,私はあなたを畏怖します。
私はあなたの力を知っています。しかし兵士を持たない王が戦争をして何ができるというのでしょうか?
武器を持たない軍隊で何ができるというのでしょうか?」
主神は彼にこう言いました。
「あなたの宣言を近隣だけでなく遠方の王にも送りつけ,あなたの前に跪くように命じなさい。そうしたらすぐに私はあなたの下を訪れ,導いてさしあげます。あなたは彼らの征服に打って出ます。あなたの髪の毛1本たりとも傷つけさせはしません」 - ティロヨヴォグナは命じられた通りに実行し,数日後,自分の宣言を見知った仲であった近隣の王に送った後,彼は男700人,女100人のからなる軍隊を編成しました。槍や剣,鎌,弓矢を持たない者たちは,棍棒や銅鑼,鍋を持って音を掻き立てて,それ以外の者はランタンを持ちました。
- 彼らが最初に向かったのはアブトゥーブという町でした。その町を治めるのはアジスといい,男4,000人,女1,000人の軍隊がいました。
その町に到着すると,ティロヨヴォグナは町の降伏を要求する手紙を送りました。アジスはそれには答えず,軍隊を差し向けました。
「あの愚か者を囲んで,奴とその軍を滅ぼしてこい」 - さて,攻撃が開始する前に夜が訪れ,とても暗くなりました。
主神はティロヨヴォグナに言いました。
「兵士たちにランプに火を灯すように命じなさい」
ティロヨヴォグナは言いました。
「主神よ,恐ろしいです。ランプは私たちを死に追いやるのではありませんか?」
しかし主神は言いました。
「ランプに火を灯すのです!」
ランプに火が灯されると,敵はその周りを包囲するかのように,ある者は一方へ,別の者はその反対の方へと行軍を開始しました。 - 主神の天使たちも左と右に光を作ったので,その光を取り囲むように進んでいた敵は2列となって互いに離れていきました。
その光を見た彼らは何万もの兵士が自分に向かって来ていると思いました。この時,突如としてティロヨヴォグナの軍勢は鍋や釜を鳴らし,激しく雄叫びを上げると同時に天界の天使がアジスの軍勢の真ん中に光の星々を投げ込んだので,彼らは恐慌状態に陥って300人が捕殺されると,それ以外の者たちは四方八方へと逃げ散ってしまいました。
ティロヨヴォグナは100人の兵を町に送り込み,アジスを捕えて殺しました。その後,ティロヨヴォグナは町に入り,この地を自分が統治することを宣言しました。 - まだ夜でしたが,何千何万という人々がやって来てティロヨヴォグナの前に跪き忠誠を誓いました。
翌朝,彼は王を自称すると,3万人にデユスの神殿を造営するように命じ,さらに別の2万人には道路の改修やその場所の美化を命じました。
神殿は40日で完成し,その規模は1度で8,000人の魂を生贄として捧げられるほどの大きさでした。
ティロヨヴォグナは人々に腹這いになって平伏し,山々より一段上にある山にある天界アルブルジュ
におわすデユスに祈りを捧げるように強要しました。 - その後,ティロヨヴォグナは町の名を『最初の火の場所』を意味するサヴァザタと変え,ヴィスタクパを,世襲が許された総督に任命しました。
- スドガはこう言いました。
「権力を集中させるには,これが最も良いやり方なのです。天界の支配者はただ1人であり,その主神たちは協力者となります。同様に王もただ1人であり,その総督もまた同様に彼の協力者となるのです」 - ティロヨヴォグナは別の町を征服するため進軍し,彼はこれを成し遂げ,名を変え,総督を任命し,全ての人々に王として,天界の支配者,世界の創造主デユスたるスドガに忠誠を誓わせました。
- このようにジャフェスのカン・クワンと同じ方法でティロヨヴォグナは町から町へとヴィンデュの征服を進めていきました。なぜならティインとスドガの神々はこの件について前から何度も相談したからでした。彼らは生死を賭した試合で定命の人間を操る経験を長く積み,定命の人間もまた自分たちを支配するその力を疑っていませんでした。
- 次は,天界の王国に120億人以上の天使を擁するオシリスとその神々バアルとアシュタロスについて話します。
【36章】
- アラビーニャとその天界の偽神オシリスはホレドのデユスの下から去った時,自分の中に潜む利己的な自分(悪魔)がこう言ってきました。
「オシリスよ,お前は愚か者だ!お前はこのままだと打ち砕かれる!
お前はそれだけの叡智や力があるのに,あらゆる面で二流の者たちに諂っている。
お前は奴らのように作られたのか?
しかもお前は他人を自分の意志と命令の下に跪かせることが上手かったではないか?
他人を奴隷にして敬意と尊敬を抱かせること以上に,神や人間にとって他に何が必要だと言うのか?」
この時,オシリスは言いました。 - 「お前は神々の中で真実を伝えてくれる。そうだ,最初から自分のために行動していればよかったのだ!
私は自分の時代に変えよう。天界に着いたら手下の神を地球に送り,バアルとアシュタロスを私の所に来させて,3つの王国を1つに統合し,私がその長となる。
そしてホレドで最高位の者に報酬を与えることで,デユスから最高の果実と花を引き抜きし,その者に私の所にいる大量のドルジャの中から20~30億人をその者に付けてやろう。 - こうしてオシリスが自分の天界であるアゴアデンに到着すると,使者を地球のバアルとアシュタロスの下に遣わし,すぐに自分の所に召喚しました。
彼らは1万人の仲間の他に,伝令係,音楽家,ラッパ隊を同行させていました。 - オシリスは彼らのために大掛かりな準備をしていました。100万人の眷属を動員してこのもてなしのためだけに飾付しました。300マイルに及ぶ道は火の柱で照らされました。
50万人からなる神聖評議会は臨時会議中でした。40億人の労働者は1日の休息が与えられました。
バアルとアシュタロスが天界の首都に入ると,まるで偽神オシリスが強力な神であるかのように見える壮麗な光景が広がっていました。 - 神々の間で式典や挨拶が盛大に取り交わされ,そこには将軍,隊長,元帥やそれ以外の者たちも加わっていました。
この様子を1冊の本に収めようとしても,その半分も記述できないでしょう。 - 歓迎会の後,オシリスはアゴアデンに追加で1日の余暇活動を宣言し,その間にバアルとアシュタロスを玉座の東にある私用の部屋に入り,天界と地球のことについて相談しました。
- オシリスは言いました。
「弟妹よ,お前たちは私が愛する者だ。そうでなければ世界は全てが虚しくなる!
デユスは神々の中で最も利己的で,理不尽だ。
彼は私にこう言った,『お前は階級を維持するべきだ!今の状況を見てみろ,お前の階級は下がりまくっている』と。
私や他の神が臣民をデユスに献上すると,その臣民はそのままで,ホレドでそれ以上の教育が与えられない。
それなのに彼は文句を言い,命令してくる。
結局,これはデユスの栄光のためだけなのだ。天使や定命の人間を暗闇から引き上げる言葉ではない」 - バアルが言いました。
「本当に理不尽な神なことです。彼にはこう言ってやらなかったのですか?
『ああ,私があなたのような力と手段を持っていたらよかったのに!
そうしたらどれだけの偉業が果たせたことか!』」 - アシュタロスは言いました。
「以前から分かっていたことですが,神の持つ力が大きくなるほど,他の者の利益が少なくなります。私の立場として,何ができるというのでしょうか?
私には全部合わせても20億人にも満たない奴隷しかいません!
ああ,デユスのような王国があればよいのに!
しかしオシリスよ,先見の明がある神が何を提案してくれるのですか?」 - バアルがさらに付け加えました。
「アシュタロスよ,お前は賢い女神だな,俺が思っていたことを言ってくれた!
俺の王国はお前よりもほんの少し大きいだけで,本当に何の力もない神なのだ。だがデユスの方便が果たせたら俺は喜んで天界全土を学校や病院で満たしてやるのに!
そこでオシリスよ,言ってください,あなたが決めたことは何だって賢いことなのです。
私が自分の立場を何よりも先に良くしようと2,000年間務めてきたのは,他の人を助けるためなのです」 - オシリスは言いました。
「デユスから解放されること,これはただの叡智である。
ドルジャをデユスの王国に送りつけること,これがさらなる叡智である。
アゴアデンを全天界の中でも最高位の天界として確立し,自分を最高神とし,お前たち2人を地上における唯一神とする,これが最大の叡智である」 - バアルは言いました。
「誓って言いますが,500年間,漸く私が聞きたかったことをあなたは言ってくれました。
私は永遠にあなたに誓います。あなたが望んでいることを私に言ってください」 - アシュタロスは言いました。
「今,私は全ての女神に祝福されています!
あなたが話してくれたことは,私が話したかったことでもあります」 - オシリスは言いました。
「それだけで十分だ,ここに私は宣言しよう,ここに私たちは手を組んで事に当たることを誓う。
全天界における最高位の天界アゴアデン!
『全ての中心にある光』の息子オシリス!
最も尊き神!
唯一の息子にして実体界の地球の支配者バアル!
唯一の娘にして実体界の地球の支配者アシュタロス!
忠誠と団結よ,永遠たれ!」 - こうして彼らは最高神に対して誓いを立てました。
翌日,オシリスは天界のデユスに使者を送り,ここで行われたことを伝え,こう付け加えました。
「だがデユスよ,私はこの地球の地からお前のことを取り除く。お前は調達可能な場所から必要なものを手に入れろ。
逆境は傲慢な心に幾分かの利益をもたらす」
【37章】
- オシリスはバアルとアシュタロスに言いました。
「地球に降臨し,征服せよ。最初に攻めるのはアラビーニャ,パーシー,ヘレステである。その後,周辺地域を攻略し征服せよ。だが他の神々のように定命の人間を滅ぼすようなことはするな。なぜなら私たちは彼らが繁栄し臣民となることを望んでいるからだ。もしもオシリスやバアル,アシュタロスを崇拝しないからと言って,部族同士で追撃し殺すようなことはしてはならない。それに偉大なる霊魂の信仰者であってもでだ。但し彼らが死んだ時,その霊魂を捕まえられない場合は滅ぼせ。 - ただ,定命の人間には信仰したいものを信仰させよ。
もしも彼らが創造主を信仰するのであれば,こう言うがよい,『それは良いことだ』と。
もしも彼らがアフラを信仰するのであれば,こう言うがよい,『それは良いことだ』と。
もしも彼らがデユスを信仰するのであれば,こう言うがよい,『そうだ,それは良いことだ』と。
なぜならこれらの人物はただ一人,アゴアデンに天界を持つオシリスを指しているからだ。
そう彼らに教えてやってやれ。 - お前たちには次のこともやってほしい。
・オシリスの法を教える学問の場の再建
・哲学の家,神託所,寺院の再建
定命の人間が霊魂に相談を持ち掛けるあらゆる場所に,お前たちは私たちの領土に利益となる神託を答えられる霊魂を配置しておくように。 - アラビーニャ人に主上神の名を与えたのは私たちである。
パーシーとヘレステにデユスの名を与えたのは私たちである。
私たちは自分たちが成し遂げたことを無駄にするのではなく,それを自分たちに相応しいものに変えていこう」 - これを基本方針として,3人の神は天界と地球の支配体制を構築していきました。
オシリスはバアルとアシュタロスにそれぞれの王国の他に12人の主神を与え,地球の管区で働かせました。そして各主神には100万人の兵士が与えられ,主神の管理下に置かれました。 - この方針に従い,バアルとアシュタロスは地球にあった自分たちの天界に戻り,すぐに仕事に取り掛かりました。
最初に行ったのは,定命の男王と女王に要求された神託所の造営について啓示を下すことでした。啓示を受けた男王や女王は何万,何十万もの臣民にこの造営が重要なことだと訴求しました。 - 7年間でパーシーとアラビーニャに,4,000の聖なる踊りのための祭壇と,7,000の生贄を捧げる神殿,470の神託の神殿,そして主神たちが人間の姿を借りて定命の人間に説法する場として,31のサルギスがいる神殿を造営しました。特にここでは星や月,地球についての話が行われており,哲学者たちに地球の軸,振動,軌道,渦といった4つの運動や,天体の計画,地球の周期,太陽の周期,中心の太陽を周回する太陽の周期,北の星のベルト地帯,これら全てを動かす渦について教えました。
- アラビーニャ,パーシー,ヘレステの住民は再び繁栄し,強大になりました。しかし数年経つと,やはりと言うか,バアルとアシュタロスがオシリスに反旗を翻し,アラビーニャから離反してしまいました。
こうしてデユスが作った天界連盟は終焉を迎えました。地球の他の管区にいた遠く離れた神々についてですが,彼らはオシリスやティイン,スドガが反旗を翻した時に離反しました。
この時を以て,デユスの名を生み出した偽の主上神の下にどの霊魂も送られなくなりました。 - バアルとアシュタロスがオシリスから離反し,自分の王国を再建した時には,見てください,地球のどの管区にいたどの神も自分と自分の王国のために働いていました。ただ,オシリスとバアル,アシュタロスの間では,地球の土地に対する境界と管区を巡る『三者戦争』が勃発しました。
- さて,神を僭称した者たちは天界と地球において新たな支配体制を独自の方法で始めたのですが,今は彼らをそのままにしておき,後で再構築する方が都合が良いのです。
そこで次は偽主上神デユスと,ジェホヴィの真なる息子である神について話します。
【38章】
- デユスとオシリスとスドガの会談が終わり,デユスが一人になると,彼はこう考えました。
「スドガとオシリスとの口論で私をこんなにも不愉快にさせて去っていったのだから,彼らは帰国したら自分の王国と共に離反するに違いない。
それはそれで構わない。私はティインと友誼をさらに温め,二人でスドガとオシリスを倒し,彼らの財産を全て奪ってやろう」 - このようにデユスが呟いている間,ティインの天界があるチェスゴウから来た使者がこう伝えてました。
「我らが主上神にご挨拶申し上げます。
ティインが離反し,彼の天界と実体界の領土を掌中に収めてしまいました。
彼は2億人の天使の戦士からなる軍勢で天界の王国を包囲するように四方に配置し,誰も彼の許可なく出入りすることができません」 - デユスが驚愕から立ち直る前に,今度はスドガの天界から使者がやって来て,こう言いました。
「我らが主上神にご挨拶申し上げます。
スドガが離反し,天界の王国と地球のヴィンデュの地が奪われました!
彼は2億人の天使の戦士からなる軍勢を天界の王国を包囲するように各所に配置し,誰も彼の許可なく出入りすることができません!」 - デユスが言いました。
「揃いも揃って!
あの悪党の神どもは前からこのことを計画していたのだ!」
やがて別の使者がやって来てこう言いました。
「かつて天界と地球で我らが主上神であったあなたにご挨拶申し上げます!
オシリスとバアル,アシュタロスが離反し,天界の王国と定命の人間が住む領土を奪ってしまいました」
「私,オシリスが伝える。お前の所にいる高位の者を私の所に引き抜き,私の所にいる低位の者をお前の所に追いやろう!」 - デユスは言いました。
「それならそれで構わない。今度は長らく放置していたユーロパ,グアタマ,北と南といった他の天界の管区を強化しよう」 - しかし彼がこのように呟いている間に見てください,使者が各地からやって来て,同じように彼らの離反が告げられたのでした。
デユスは暫くの間,沈黙して考えていました。
そこに悪魔がやって来てこう言いました。 - 「闇は全ての偉人に訪れるものだ。なぜならそうなることで光はより輝くからだ。
今や実体界の地球との連絡が途絶え,お前は全ての食料,衣服を地球から汲み出さなければならない。お前は天界のホレドを地表に近い場所まで高度を下げねばならない。
それを達成したら,お前は反旗を翻した神々に対して100億の戦天使を送り込み,彼らの領土を奪い,地獄に放り込み,地球全土を再び掌握するのだ」 - デユスは言いました。
「その通りだ!
進むべき道が明確になった。あの悪党の神どもは自分がどれだけ愚かなことを晒したのか分かっていない。
ホレドは彼らを屠るのに十分な広さがある。私は火を使って100億の強力なドルジャを追いやり,彼らの王国を崩壊させ,悍ましい悪臭で窒息させるような汚物で溢れさせてやる」 - デユスは副神と聖評議会,最高位の役人を招集し,何が起きたかと,今後の計画について話しました。しかし彼はよく考えてから彼らの承諾を得るため,1日の余暇活動を与え,トランペットの音が鳴ったら一堂に会するようにしました。
- しかし見てください,余暇活動の日になると7億人を下らない高位の者がホレドを去り,かつての神々がいた天界の王国に降り,それ以外の何人かは別の神の下へ行き,一方で彼らのうち何人かは地球に降臨し,自分の小さな王国を築きました。
危機がアヌハサジの目前にまで迫っていたでした。 - そこで彼はすぐに役人を選んで対処に取り掛からせましたが,今回のような事態に対する経験が不足しており,一度に対処できた管区は僅かでした。そのペースでは全管区を制圧するのに100年掛かってしまいます。
ここでデユスの心は憔悴し始めました。
彼とその王国が最後は崩壊し地獄に放り込まれるという上位神の予言は,考えるのも恐ろしいぐらい現実の様相を呈してきました。 - アヌハサジは戦争を仕掛ける暇もなく,自分の王国の分裂を防ぐのにあらゆる戦略を使わざるを得ない状況に陥っていました。この窮地で,大気界の天界からジヤの恵みが降り注ぐという僥倖があり,圧縮,落下を経て上空からもたらされた物質により低階位の者たちは平穏を得たのでした。
- ジェホヴィは遥か遠くの精霊界のクペンタアミジにこう仰せになりました。
「ご覧なさい,地球は今,私の上道のルースツクにあるツェヴラガのジヤ原野に入ったところです。
もう少しだけ下天にいる『神を僭称する者』たちを養ったら,私の力を知らしめようと思います」
【39章】
- ジェホヴィはクラオシヴィにいる息子である神にこう仰せになりました。
「大気界のジヤの落下に備えなさい。地球とその天界は700年のうち70年,500年のうち40年,アジでは20年の割合でルースツクに入ります!
あなたに忠告します。クラオシヴィは30年で崩壊し,ホレドは地中に埋もれます。
私の息子アフラを呼び,私の言葉を伝えなさい!」 - そこで神はクラオシヴィで最高評議会に忠告し,ヴァラピシャナハのアフラに使者を送りこのことを知らせました。
その後,神は評議会にこう提言しました。
「アヌハサジに対して,クラオシヴィでできることは何でしょうか?」
この件について1,000人以上の議員が長時間にわたり話し合いました。 - 神は命じました。
「アヌハサジを世話し,彼に危険が迫っていることを知らせ,彼らを扶助するように申し出ます」
こうして送られた伝言は次のようなものでした。 - 「アヌハサジよ,ジェホヴィの御名と,私の確かなる愛を以て,あなたにご挨拶申し上げます。
あなたは危険な状況にあります。ご覧なさい,130年分の圧縮された力が地球の天界に降り注ぐでしょう。クラオシヴィは堕落した下天深くに沈むことになります。
手を伸ばしなさい,そうすれば私はあなたとその王国を救って差し上げます。
あなたは自分の軍隊を撤退させ,最底辺の者たちの復活を許しますか?」 - アヌハサジはこの伝言に対してこう答えました。
「この平和な王国を攻撃しようとするお前は誰だ?
似非者の息子を称した奴か?
お前は自分のちっぽけな王国と合体させてほしいと言ってみろ。お前がそうやってお前やお前の所に貧しい者たちのために助けを求めるなら,この私がお前に与えてやろう」 - 神はこれに対してこう答えました。
「兄弟よ,我慢しなさい。もしも私が闇の中にいて,あなたが光の中にいるのでしたら,私はあなたに十分な償いをします。そうではなくて,もしも私は光の中にいてあなたが闇の中にいるのでしたら,私はあなたを傷つけるようなことは言いません。
もしもあなたが地球とその天界の地に降りかかる出来事を解き明かそうと励むのでしたら,私が伝えた,これから起こる『圧縮の力』が本当だということが分かるでしょう。
私が適当なことを話しているとは考えず,まずは予言や数学によって試してみなさい」 - これから起こる危険については簡単に予測できます。1,000年前,あなたが最初に自分と自分の天界を確立した時,ホレドは平均して階級50以上を持っていました。そして彼らの数は40億人でした。
- 200年間で,その数は60億人となり,階級は65に到達しました。
その次の200年間で人口はほぼ倍増しましたが,階級は40に下がりました。
次の200年でも人口はほぼ倍増しましたが,階級は28に下がりました。
次の200年で人口の増加率は階級の低下率と同じでした。 - ご覧なさい,あなたの280億人の人口のうち,その半分以上がホレドにいますが,その階級は10以下の者たちです。あなたが最初にホレドを占拠した時,階級10の者などそこで生存することができませんでした。何かの事故でとてつもない重力が圧し掛かっているとは思わないでください。
- この件であなたが何をしたのか調べてみなさい!
あなたは自分の眷属にジェホヴィとその王国を見上げてはならないと説いて回りましたが,その結果,彼らは地球へと傾いています。
そうです,彼らは既に戦争と破壊で地球を埋め尽くしているのです。 - あなたはこのことを自分の神々に押し付けようとしてはいけません。なぜなら彼らはあなたに背き,非難するからです。
現在,彼らは自分の王国を築くことに満足しています。しかし彼らも終焉を迎えるでしょう。彼らはあなたの下から離反したのだから,最高位に就く者は全員,同じ道を辿ることが証明されました。 - クラオシヴィに関して言えば,最も低い階級でも50以上あり,自活できている状態にあります。最高位は99で,平均すると88になります。彼らの中でも何億人かは,私の主神があなたの拘束から解放した者たちです。それ以外では偽神があなたに平伏すことを拒み処刑した信仰者もいます。
彼らはジェホヴィへの信仰を捨てるよりも死を甘受した方が良いことを証明したのではありませんか?
そうでなければ彼らは今頃,あなたの奴隷の仲間と一緒に闇の中で苦労していたことでしょう。 - そうです,私の王国はあなたが軽蔑し虐待し,さらにあなたの神々が戦争や混沌,狂気の中で殺した者たちから構成されているのです。
私のアサフはあなたの惨酷な戦争に付いていき,あなたが望まずに殺した霊魂を集めたのです。
あなたは彼らをまだ貧しいと呼びます。なぜ彼らがそうなのですか。彼らは雪のように白く洗われています。彼らは知識と心の善良さという『真の豊かさ』となるものを除いて,あらゆる貯蓄を捨て続けるように教えられてきました。 - 彼らは今,憐れみの心であなたの民を,あなたと暗闇から救出するためやって来ることでしょう。
もしもあなたの奴隷たちがあなたから解放されなければ,奴隷たちは遅かれ早かれ,あなたに背き,必ずやあなたを地獄に放り込むことでしょう。
それ故,あなたがジェホヴィに改宗し,できるうちに彼の御方にあなたの王国を委ねることをお勧めします。なぜなら私にはあなたと奴隷たちを救う力も手段もあるからです。
そうです,あなたが彼らに見つからないように新たな名前を与え,あなたのことを隠して差し上げます。そして私の聖地で私と一つになりましょう」 - これに対してアヌハサジは何も答えず,この問題はそのまま残りました。
【40章】
- ヴァラピシャナハでは,アフラがほぼ2,000年近く民と労を共にしていました。民の大半はドルジャでしたが,今では階級も高くなっていました。彼らのうち20億人以上が光の中で成長し,ジェホヴィの花嫁花婿となり,精霊界へと引き渡されました。
- しかしアフラは自領が遊んでしまうのを許さず,クラオシヴィのやり方に従い,堕落した下天と地球に派遣し,デユスや偽神の堕天使や,混乱し悪臭放つ霊魂,狂乱した荒くれ者や復讐心を抱く者を集めてヴァラピシャナハに連れて行き,そこで治療し看護し回復させたら,学校や工場で教育し育てました。こうして彼らのうち何億もの霊魂が明朗で賢く,大いなる愛と力を持つようになりました。
- 神はアフラに言いました。
「ジェホヴィの御名においてあなたにご挨拶申し上げます。
まもなく各方面から大気界に押し寄せてくる闇と,神と天使に課せられる試練が来るので,。私たちの天界の王国を統合しましょう!
天高原を一つにまとめれば,あなたの王国は私の王国となり,私の王国はあなたの王国となります。そうすれば大いなる闇が訪れた時,私たちのうち一人が天界の管理者となり,もう一人が堕落した下天と地球に降りることができます。 - これに対してアフラはこう答えました。
「地球の天界の神であるあなたに,愛と最高の敬意を払い,ご挨拶申し上げます。
あなたの計画には叡智があります。私はあなたとこの大いなる仕事を果たすため,あなたの要求に対して何でも応えることとしましょう」 - クラオシヴィとアフラの神は天高原を統合させるため,運搬するのに必要な力をそれぞれが集めました。これは必要なことでした。なぜなら両人の天高原は東と西に2,000マイルも離れており,そのうちのヴァラピシャナハはクラオシヴィよりも7,000マイルも下に位置していたからです。
- 来るべき圧力は地表近くにまで押し下げてしまいます。ヴァラピシャナハを東に運ぶともう一方はそれに引き摺られてしまい,クラオシヴィの高度を下げると互いに衝突してしまいます。
この地の住民は,彼らが暮らしている場所よりも高い力と知力がありました。そのため移動させるのに必要だったのは,天高原の要素だけでした。 - 神は必要な力や作業員を揃えるため,この仕事に取り掛かるための役人を任命しました。役人はこの作業を完遂させるのに12年掛かると報告しました。
アフラは神と団結し,30億人の天使と共にこの仕事に取り掛かりました。
彼らは2つの天高原の間に橋を架け,作業の間,何百万人もの天使がそれぞれの天高原を行き来できるようにしました。 - こうした状況であっても,神やアフラが地球や信仰者,それ以外の者たちを堕落した下天から受け入れる努力を怠ったり,遅らせたりすることはありませんでした。
彼らは何千ものオテヴァンをあらゆる方法で天界を航行し,不幸な人々を集めたのです。 - さて,堕落した下天の『神を僭称せし者たち』は互いに争い分裂したため,デユスに対する封鎖は自ずと解かれました。
ジェホヴィの信者に対するデユスの強力な常備軍は解体されたため,オテヴァンは誰にも邪魔されることなく各地を駆け回ることができました。
彼らはデユスの下にいた高階級の天使を何千,何万も集めました。
最底辺の天使は来ませんでした。彼らはジェホヴィとその崇拝者を,全ての災難はジェホヴィがもたらすものであり,全ての喜びと祝福は彼らの神である主上神デユスからの贈り物として,ジェホヴィへの復讐心を抱き憎むように教えられていたからです。 - 12年間でクラオシヴィとヴァラピシャナハは統合され,一つになりました。歓喜の時が訪れ,盛大な余暇活動や交流,盛大な儀式や式典,そしてジェホヴィへの崇拝や慶賀が行われました。
- 既に天界と地球にジヤの圧力が掛かっており,ホレドは急速に地球へと降下し,最高位にあったデユスの階級は既になく,その王国は愚者と廃人の王国となり,一度欠乏と飢餓が発生したら最大級の危険に見舞われる状況にありました。
- デユスは依然として頑固であり,しかも何かしらの未知の力による状況の変化を期待していたため,自分の配下の怠け者の神と口論する時間さえ惜しむように,日ごと,時間ごとに脅かされる運命から逃れるのに懸命に努めていました。
- 一方でかつての弟子であった偽神たちはデユスの動顛した王国に何百万ものドルジャを盛り込んでいました。このドルジャは全ての願い事は救世主アヌビ,そして主上神に呼び掛けるだけでよく,死ねば主上神が暮らす聖なる丘への直行という栄光に預かれると教えられていました。この哀れな生き物を『神を僭称する者たち』は拍手喝采し,彼らを支持するようにこう言いました。
「そうです,進みなさい。救世主アヌビは門扉を開き,あなたたちを通してくれます。
今後,あなたたちが平伏すのはデユスだけとなります,永遠に」 - この闇の霊魂は愚者のように日夜,四六時中平伏しながら,こう言いました。
「アヌビに祝福あれ!
彼は私を救ってくださる!
我らが神たる主神に栄光あれ!」
彼らは再びこう言い始めました。
「アヌビに祝福あれ!
我が救世主よ!
デユスに栄光あれ!」
なぜなら彼らが知っているのはこれだけだったからです。彼らはそれ以外に何も見ず,聞こうともせず,まるで野蛮人のように目を丸くしてアヌビやデユスを探していました。しかしいつもあちこちに平伏していたのは,何千万,何億といった錯乱状態の天使たちだったのです。 - こうなるとアヌビは彼らに恐怖し,結果的に自分の地位を放棄してしまい,天界の町は番人のいない家のようになり,家やその周りを出入りする群衆は『ああ,救世主アヌビに祝福あれ!主上神に栄光あれ』と永遠に叫び続けていました。
- しかしアヌビは偽の主上神と一緒にいて,逃げるか安全を確保するか,そのどちらかを探るのに必死でした。
【41章】
- 次第に暗くなり,ジェホヴィの御手が触れる前に,自惚れた主上神やその天界の働きを試すように堕落した下天の原野が帳に覆われていきました。定命の人間から偉大なる霊魂への崇拝と御名を消し去り,代わりに人の姿をした天界の支配者を与えようとした天界と地球の不届きな筆頭者に対して,それはまるで恐怖の新時代の到来を告げるようなものでした。
- なぜなら,それ以前は全ての国家が神と主神の役割を知っており,彼らを死者の霊魂を賢く力強く成長させるジェホヴィの高官として崇めていたからです。
しかし今や地球の5大管区では,堕落した下天の悪魔の長が,ジェホヴィの御名を口にした定命の人間に対して罰や死で脅すことでその名を封印していました。さらに彼らを試そうとして,肉を焼いて,それを食べなければ殺すと誓いを立てさせました。 - なぜなら魚や肉を拒絶したり,感覚を麻痺させる有害な飲み物や煙を摂取しない者は,ジェホヴィへの信仰に染まっている者と法廷で見なされる踏み絵となり,拷問や処刑に値したからです。
- 主神,神,主上神,デユスの名は,今やホレドの玉座に創造主として座る1人の大男として定命の人間の心に1,000年間定着し,彼の息子である『天秤と天界の門の番人』アヌビにより監視され守られていました。彼らは尤もらしい話を作るため,神託や奇術師,司祭,予言者を通してこう宣言しました。
「創世の時代,神は天界と地球を創造し,万物を其処彼処に創造した。
そしてひと仕事を終えたかのように彼は疲れて休息し,素晴らしい機械を動かすための一定の法則を残し,遠く離れて座り見守っていた。
もしも定命の人間が混合した偽の主上神に対する讃美歌を歌わなかったら,彼らの心の苦しみを悪魔や恐怖の炎で痛めつけながら,定命の人間の悪戯や主上神を理解できずにいる者たちを笑うだろう」 - こうして彼ら偽神は定命の人間の声を,全ての心に届き天界と地球の全てを動かす『永遠なる臨在』である彼の御方から自分の方へと向けさせたのです!
偽神は彼らに自分を讃美するように仕向け,彼らの心を鷲掴みにし永遠の奴隷としました。教えもせず,半分しか食べさせず,食べ物と建材の石を首都に持ち込んでこつこつと働き,偽神のことを永遠に讃えるのでした。 - ヴィンデュでヴェーダ語に合うようにディアスと刻んだように,ジェホヴィへの反逆者はジャフェス全域にその名ホジョスをパニック語に合うように石やパピルス,木,聖なる布に封印しました。そこからフォネスで高尚な民族アドニアアガドに適合させるためヘレステに行き,全く別の紛い物であるギリシャでゼウスにこう囁くのでした。
「この言葉はアヌビの耳を掴み,その天秤を永遠の楽園へと傾けさせるための合言葉です。
奴隷たちよ,我が名を刻み,定命の人間の図書館に我が功績と我が創造せし世界を記録するがよい! - 地球の過ちによりイブが弱くなったというオシリスの巧妙な物語により人間族に罪を犯してしまった私を,穢れなき清らかな者にしてください。なぜなら私は一時だけ人間を統治するために遣わされるジェホヴィの佐官のような霊魂ではなく,かつて恐るべき怒りで私の不従順な息子や娘を沈めるために地球に洪水をもたらした血と骨を持つ真なる神だからです。
私の名が呼ばれる時,彼らは震え長く息を殺すか,私自身の魂によって天と地を無限の混乱に陥れることでしょう」 - ジヤはゆっくりと確実に下へと圧力を強め,その動きはまさに100万の下のように深刻で恐ろしいものでした。なぜなら各所のアヌハサジの眷属の大半は彼のことを見限っていたからでした。
沈没船の上で水練に熟達した者が強靭な腕力で大胆に水に飛び込み,遠く離れた対岸へと泳いで難を凌ぐのは可能性としてはありますが,一方で無力な者たちは狂乱の怒りに任せて動顛した役人に群がり,彼らの対処の手を阻んでいました。
こうして急速に降下する天高原のホレドで騒乱が始まりました。この騒乱は裏切り者の偽神たちによりデユスの王国に追いやられたドルジャの群れにより100倍にも増幅されました。 - デユスの将軍や隊長は最初に400億の民を平和的に秩序よく行動させるため音楽で導こうとしましたが,恐怖に駆られたエセナウルが100万人規模で逃げ出してしまいオシリスやティイン,スドガの王国がある地球へと降下したため,定命の人間たちにとって散々な幽霊騒ぎとなりました。
そこで次にデユスの役人がパレードや儀式,盛大な行列により何百万もの混乱状態の人々の気を紛らわそうとしました。 - このように何年間もこの発狂した神は素晴らしく強靭な意志で何万もの戦略を編み出してこの難局を凌いでいました。しかし下降を辿っていたホレドが実体的な地球に接触すると突然の衝撃に何百万もの人々が動転して悲鳴を上げ,残念ながら完全に秩序は崩壊してしまったのでした。
- 地獄の扉が開かれました!
アヌハサジの豪華絢爛な玉座と首都に狂乱した暴徒が解き放たれ,略奪と破壊が横行しました。
すると人の欠点を囃し立てる者がやって来てこう叫びました。
「お前は噓つきの神だが,人間のようだ。お前は誰だ?
お前はアヌビだ!
人を欺く審査官め!
悲惨な目に1,000回遭って死んでしまえ!」 - 無学なドルジャは誰が役人でそうでないのか,誰が神で誰が審査官なのか分からないまま,青ざめた顔で恐怖に震えているデユスやアヌビを捕まえ,悪臭を漂わせる群衆は100万人以上の役人を1,000万対1の人数差で制圧しました。
そして各所で殴ったり蹴ったり手枷を嵌めたりといった恐ろしい乱闘が始まりました。何百万という無数の者たちが地球と同じぐらいの広さの地獄に投げ込まれました。
右も左も絶え間ない交戦が繰り広げられ,主上神の眷属は全員が自分たちに歯向かう者たちに復讐を誓いました。 - その後,拷問官が来て,最も不快な臭いと窒息ガスを地獄に投げ込んで,この犠牲者の鼻と口に詰め込みました。
主上神やアヌビの姿はもはや見ることができず,果てしない闇に呑み込まれ,すべての魂が善行を求めず,復讐のために過酷な拷問を与えることに熱心に励むのでした。
【42章】
- クラオシヴィの神はディアスとアヌビを解放するために自分に何ができるのかをジェホヴィに祈りました。
ジェホヴィはこうお答えになりました。
「息子よ,あなたはまずあなたのことを望む者たちのために働かなければなりません。闇を求めようとする者はあなたが手を差し伸べるのに相応しくありません。
私は以前から私を遠ざけた者たちに警告を発してきました。しかし彼らは自惚れから私の人格や力を否定してきました。 - もしもあなたは今日,ディアスとアヌビ,そして彼らの何十億という自虐的な奴隷を地獄から救い出したとして,彼らはその救出を『地獄は長くは続かない。それは一吹きの風に過ぎなかった』と言って私の創造物を嘲笑するのに使うだけでしょう。ですからあなたはまだホレドの地獄に干渉してはなりません。
- 400年後,私は再び地球に別の光の夜明けをもたらします。それまでは,ディアスとアヌビとその眷属は放置しておきなさい」
- 神はオシリスとティイン,スドガについて尋ねると,ジェホヴィはこう仰せになりました。
「彼らには,彼らが受け取った光で十分です。彼らにも自分の好きなように歩ませなさい。なぜなら彼らもまた自分で作った地獄に巻き込まれることになるからです。 - しかし天界と地球の各地にいる私の選ばれし者や信仰者が,私の敵が拵えた地獄に誰一人として巻き込まれないように配慮してください。
- 神はアフラにジェホヴィの御言葉を伝えると,アフラはジェホヴィに祈りながらこう言いました。
「御父よ,私がオシリスやティイン,スドガの下に行って,あなたの御考えを伝えることをお許しください。
ご覧ください,主上神は地獄に閉じ込められています。上位神でさえ彼の所に安全に行くことはできないでしょう」 - ジェホヴィはこう仰せになりました。
「アフラよ,どうしてあなたはオシリスやティイン,スドガの下に行きたいのですか?
あなたは知らないのですか,定命の人間を改心させるのがどれほど難しいことなのかを。ましてや神を僭称した者はその10倍も頑固なのです! - アフラは言いました。
「私は知っています,自惚れという問題を解消することは私にはできません。ジェホヴィよ,力あるあなた以外,どれだけ学識ある人間でもそこに陥ってしまう可能性はあるのです。
ただ,この自称神たちは古くから私が最も愛した友人でした。見てください,私は父が息子に接するように彼らの下に行き,説得してきます」
ジェホヴィはアフラが3人の自称神たちの下に行くのを許可しました。 - アフラはオテヴァンを準備し,1万人の従者,1,000人の伝令,5,000人の楽団とさらに火の船の役人を同行させてティインの天界があるチェスゴウへと出航しました。
彼はチェスゴウ付近に到着すると船を停めて,ティインに謁見できるかを聞くため,先に伝令を遣わしました。 - ティインは伝令を心から歓待し,彼らの目的について聞くとこう言葉を返しました。
「天と地の最高統治者であるティインがアフラに挨拶申し上げる。アフラの出席を命じるが,アフラとその眷属がチェスゴウにいる自分(ティイン)以外のいかなる霊魂とも会話することを禁じる」 - アフラはこの屈辱的な伝言に対して心を落ち着かせながら,そのままティインの天界の首都に入り,最大限の壮麗な装いをした100万の奴隷に出迎えられました。奴隷たちはアフラとその従者を闘技場の方に案内し,そこでは元帥が出迎え,従者をその場に残したままアフラだけを玉座の方に連れて行きました。
ここでティインが牡羊座の印を結んで挨拶すると,アフラは友情の印で返しました。 - ティインが人払いの合図を送ると,その他の者たちは全員が退出し,後にはアフラとティインだけが残りました。
ティインが言いました。
「さあ,ここに来て私の玉座の隣に座りなさい」
アフラは言いました。
「あなたが私のことを忘れていないことを喜んでいます」
アフラは玉座に登り,そこに座りました。
ティインが言いました。
「私は友人のあなたを愛しています。あなたが私の傍にいることを喜んでいます。
あなたに見えてから1,000年以上が経ちます。
アフラよ,教えてください,あなたとその王国はどうなりましたか?」 - アフラは言いました。
「私は今,幸せです。私の王国も大抵の部分では幸せです。私の試練は厳しく,長く続いています。しかし私に仕える40億人のうち,その半数以上が大気圏の遥か上に送り届けられ,その他の者もその階級は50から90に至っています」 - ティインが言いました。
「あなたは2,000年以上も苦労してドルジャを育てる努力をしてきましたが,どれで何を得ましたか?」
アフラは言いました。
「ティインよ,心の平和と喜び,これだけです」 - ティインは言いました。
「ここに2つの哲学があります。1つは最底辺の者と働くことで平和と喜びを追い求めること。もう1つは最高位の者に導かれること。
私自身について言えば,前者よりも後者の方が性に合っているのです。
アフラよ,私はあなたに言いたい,これは全て私の意思によるものなのです。もしも私たちが貧しいドルク人やドルジが跋扈する悍ましい光景や不満を締め出すことができるならば,私たちは上天で喜びを味わえます。
私としてはこうです,同情は私たちにとって最も忌むべき敵なのです。なぜならそれは私たちを憐れで惨めなものとして括ってしまうからです。
他人を自分の意志の下に従順にさせて偉大な管理者となるには,まず同情を捨てることから始めなければならないのです。 - アフラは言いました。
「憐れな者を助けるのは良いことだと思いませんか?」
ティインは答えました。
「彼らを助けるのは甘露を飲むようなものです。一時の間,喜びに浸るようなものです。
それだけです。
彼らはまた前の状態に戻り,以前ほどではなくても助けを求めてきます。そういう訳で憐れな者を助けた者は,その間違えたやり方で彼らを惨めにしていくのです。
彼らに自分の立場を分からせること,これが最も重要なのです。神々でさえ自分の立場に甘んじることなどできないのです。
自分が今置かれた立場や状況が幸せであることを認識すること,それが大いなる叡智なのです。 - 蛇に同情して自分の家に連れて帰り世話していた者のように,貧しく憐れな者を助けた何千もの神々がこの地で斃れました。
彼らはすぐに自分を助けてくれた者たちに背き,嚙み付くのです。
しかしアフラよ,どうか語って下さい。私はあなたの言葉を尊重します」 - アフラは言いました。
「ある人が植木鉢に団栗を植えて,それが根を張り成長したら次の2つのことが起きます。どこかで成長を阻止するか,もしくは植木鉢が壊れるかです。
天界の低級のドルジは,こうした原因で生まれます。
どの神も永遠にこのドルジを拘束できません。残念ながら彼は成長します。私たちができる拘束は遅かれ早かれ根を張り成長する魂を未然に防ぐことはできません。
ではどうすれば私たちは彼らの神に永遠に君臨できるのでしょうか?」 - ティインは言いました。
「あなたは彼らの神であり,私は彼らの神です。その違いはどこにあるのですか?」
アフラは言いました。
「私という存在は,私の『名前』の下に存在するわけではありません。私は彼らの神ですが,それはまた,彼らの神でないとも言えます。なぜなら私は彼らに,私ではなくジェホヴィだけを崇拝するように教えるからです。
私は,彼らが私から離れて育つように訓練しています。私の民も私ではなく偉大なる霊魂に仕えているのです。
あなたは自分のドルジャに,自分こそが至高なる存在であり,彼らの至福はあなたに永遠に仕えることにあると教えています。あなたは自分の王国の範囲内に彼らの行動を制限しています。私は自分の臣民を制限していませんが,彼らには飽くなき成長を永遠に続けるように教えています」 - ティインは言いました。
「その時が来たら彼らは『ああ,私は間違えた教えを受けてしまった』と言うことにどうして私たちは気付かないのでしょうか。
全ての物に偉大なる霊魂は存在すると彼らは私に言いますが,私は彼の御方を見つけられませんでした。それならば彼らもまた,反旗を翻すのではないではありませんか?
それがデユスの没落の原因だったのはないのですか?
彼は天界を隈なく探しましたが,ジェホヴィを見つけられませんでした。だから彼は戻って天界と地球を支配しました。彼は失敗し地獄に放り込まれましたが,彼の失敗の原因は彼がドルジャに同情を寄せたことにあるのは明らかです。
彼が犯した過ちを私は犯さないようにしたいのです。私は貧しき者や憐れな者に同情を持てないし,地球や天界で私の主神や元帥以外への教育を認めません。
定命の人間の町が私を支持しないのであれば,私はその町に溢れんばかりの闇の霊魂を送り込み,破壊します。
そうです,彼らは定命の人間を唆してその場所に火を付けて,暴動と死をもたらすのです。
私は天界のドルジャを永遠に定命の人間とのゲームに忙しく興じさせて,私の天界の王国に永遠の栄光をもたらすべく食料と王冠を持ってこさせるのです」 - アフラは言いました。
「全世界で神を僭称した者が倒れずに済んだことはありましたか?」
ティインは言いました。
「あなたは定命の人間に『王国や国家が滅びずに済んだことはありますか?』と尋ねたとします。それでも各国家は永遠に存続しようと試みており,あなたはそのことに気付くでしょう。
しかしそれらはいずれ崩壊します。全ての物は生まれ,成長し,そして消滅していくのです。
遠い将来,私たちもそうなるのではありませんか?
私たちは常に変化する要素と一つになり,無となり,消滅するのではありませんか?」 - アフラは言いました。
「人間と霊魂について言えることがあります。
いくつかの種を植えて,その多くが腐り土に還りましたが,それ以外は根を張り成長し,大木となりました。それでも木にも時間があるというのは真実ではないのでしょうか?
なぜならそれらは死に,倒れ,腐り,土に還るからです」 - アフラは続けました。
「ティインよ,これが真実であると認めなさい。そしてあなたと私はこの世を去る時がいずれ来るのであれば,生きている間,私たちは他人を幸せにすることに全力で貢献するべきではありませんか?」 - ティインは言いました。
「もしもそうすることで王国に危険が及ばず,自分たちが幸せになれるのであれば,確かにその通りです。それならば私たちは他人ではなく,自分のために働くという立場に強制的に戻されるのではありませんか?
ここに芸術を楽しむ者がいたとします。別の者は哲学を,別の者は貧しき者や憐れな者を助けることに,別の者は飲食に,別の者は他人を支配することに喜びを感じていたとします。
彼らは時分の欲望のままに楽しむべきではありませんか?
飲食に喜びを感じる者に『止めなさい。これからは憐れな者を助けることを喜びとしなさい』と言うのですか?」 - アフラは言いました。
「私が見てきたのはこうです。
賢く清廉な人は愚かで不潔な者以上に喜びを感じています。金持ちは貧しき者以上に楽しんでいます。そして私たちは,憐れな者を見るよりも喜んでいる者を見ることに喜びを感じます。
私たちは子供が泣くよりも笑っているのを見ることに喜びを感じます。しかし子供が笑うよりも泣かせることに喜びを感じる者もいます。そのような邪悪な者は悪事に喜びを得ます。
それならば,私たちはそんな彼らの喜びに付き合っても良いというのでしょうか?
もしくは『他人の喜びを損なわない限り,全ての人間には自分を喜ばせる権利を有している』と私たちは言いますが,その言葉に何か制限でもあるのでしょうか?」 - ティインは言いました。
「あなたはとても良いことを言ってくれました。私たちは他人の喜びを損なわない方法でのみ,自分を喜ばせることができるのです」
その後でアフラは言いました。
「私はあなたの王国のやり方を喜ばしく思っていません。ですので,あなたは私に苦痛を与えないようにしてほしいのです。
定命の人間や天使たちに教育を施さないと決めたあなたは,神々の前に恐ろしい壁を築いているのです」 - ティインは言いました。
「それならば,あなたはこのことも認めてくれるでしょう。私たちは自分たちを喜ばせるために,そうしたものを探し,そうでないものを遠ざけているのです。ですので,神々はこちらの方に顔を向けず,自分のことにだけ気にしてください」 - アフラは言いました。
「ティインよ,あなたは賢いです。ただ私は衰えず,脇道に逸れずに成長できるものが何なのかということに気付きました。
人生の初期において,私たちは自分のことを見つめます。それが若者の本質です。しかし成長すると妻を娶り,彼女の喜びに喜びを感じます。その後,隣人の喜びに喜びを感じます。次に州,次に王国全体となります。
この『喜ばせる』という喜びが私たちの中で成長していくと,私たちが神になった時,もはや少数の喜びでは喜べず,多くの王国へと広がっていきます。
私は,最初はヴァラピシャナハが歓喜の中にあることを喜んでいましたが,今では他の神々や他の王国が歓喜の中にあることを喜びます。ですから,私はあなたの下に来たわけです。
私はあなたを待ち受ける運命を恐れています。
私はあなたのことを愛しています。
私はあなたの民全員のことを愛しています,善人も悪人もです。
見てください,川は堰き止めるよりも流れに任せた方が簡単なのです。そのことに私は気付きました。川を堰き止めて溢れたりダムが決壊することに,私は気付きませんでした。
人間の霊魂が辿る道は『成長』です。それが流れる川のように前進します。あなたが『ここまでだ,これ以上は無理だ!』と言って口を閉ざすのを私は恐れます。
私は前にこの問題を試した時,洪水に見舞われ,ダムが決壊しました。
私には,あなたが定命の人間や天使たちから知識を締め出そうとしているように見えます。しかしティインよ,それではその水路があなたの手に余るようになる時が来ます」 - ティインは言いました。
「こんな大いなる叡智にどう答えたらよいのだろうか?
アフラよ,あなたのような神は何処にいるのでしょうか?
しかし見てください,主上神アヌハサジはあなたと一緒に何百年も労苦を共にし,これらのことを全て学びました。そうです,彼は遥か遠くの天界を旅し,そこには何百年も存在する神や王国がありました。
彼は帰還すると偉大なる御方ジェホヴィを否定しました。
彼はこう言いました,『全ての物は完全なる調和など存在せず,寄せ集めであり,無秩序な塊であり,キャッチボールで遊んでいるようなものだ』と」 - アフラは言いました。
「彼に何が降り懸かったのでしょうか?
そこを大きく掘り下げて議論するべきではありませんか?
なぜなら,天界や地上のいかなる時,状況,場所において,アヌハサジのような教義を信じる者は地獄に堕ち始めるのを私たちは見てきたからです。
彼らはしばらくは栄えますが,それは夏の植物のようなものに過ぎず,冬の吹雪が来ると枯れてしまいます。
私はそのことをこの天界で長いこと見てきました。闇がデユスを打ち砕いたように,あなたの天界の領土は遅かれ早かれ崩壊し,衝撃と騒乱の中であなたはデユスのような運命を辿ることでしょう」 - ティインは言いました。
「アフラよ,あなたの賢明な言葉のお蔭です。私はあなたの僕です。
私はあなたとの議論をよく考え,愛を以て思い出します。
今から千年後,私はもっと賢くなり,言葉ではなくもっと良い議論ができるような王国を築けるようになります」
こうして2人の神は議論を終えると,ティインは副神と元帥に合図しました。彼らはやって来ると,アフラとティインは互いに挨拶し,アフラは玉座から首都の外の方へと案内されました。
副神と元帥たちはアフラを従者たちに引き渡し,アフラは従者と一緒にオテヴァンに乗り,ヴィンデュの地を支配するスドガの天界へと出航しました。
【43章】
- スドガは自分の天界を拠点に僭主として名乗り上げた後、ヌア山地を越えた場所に拠点を移し、そこをフリダットと名付け、ティインと同様に80億人の天使の奴隷を所有しました。スドガの天界の拠点である首都ソワチッサは最も栄華を極めた時代のデユスの天界サンクトゥをモデルに造られました。
- スドガの首都は貴重な石や宝石で造られており、何十億人もの天使が何年もかけて拵えたものでした。デユスが地獄に落とされる前、ホレドが略奪された時、何百万もの貴重な装飾品が盗まれましたが、それらはフリダットに持ち込まれました。
フリダットの道路は宝石で舗装され、宮殿の周囲はあらゆる陰影や色、そして技巧が施された水晶が嵌め込まれていました。
競技場の周囲には神々にしか見ることができない5億人の豪華絢爛な衛兵が控えていました。衛兵の列の内側には100万本の火柱があり、5億人の奴隷が昼夜問わず火を灯していました。
火柱の列の内側には、あまり見たこともないような壮麗な100万人の元帥がいました。彼らは100万人のグループが他にも2組あり、それぞれ8時間ずつ監視任務に当たっていました。 - 副神と上級元帥以外は競技場を歩いて宮殿に行くことは許されず、腹這いになって進み、その進んだ一定距離ごとに歩道に口付けして、スドガへの賛歌を詠唱しなければなりませんでした。そのスドガは今ではスドガとディアスの2つの名を持っていました。同じ歌は2度繰り返してはならず,それぞれ身長に応じて新しい讃美歌を歌わなければいけませんでした。背が高い人,例えば身長が1,000もあったら元帥の列から宮殿までの距離に相当する1,000の讃美歌が必要でした。そのためスドガの玉座を目の当たりにできたのは何百万人の民の中でもほんの数人しかいませんでした。
そして彼らは玉座にいるスドガに謁見した後は、彼のことを辛うじて見ることができる遠く離れた火の海の中から1度しか見ることが許されず,謁見が終わると再び最初の場所にまで腹這いになって戻り、再び別の1,000の讃美歌を詠唱しなければなりませんでした。 - そのためスドガは近づき難い存在となり、寵愛を受けた者だけが謁見を許されたため,その権利を得ること自体,無知な者には巨大な権力となりました。
- 首都を訪問したアフラはスドガに謁見を申し入れると、スドガは彼を迎え入れ、副神と一緒に自分のいる場所にまで真っ直ぐに歩いてくるように命じました。
こうしてアフラはスドガの前に立つと、愛と敬意を以て挨拶し、それに対してスドガは旧友の情で応えました。
スドガはすぐに人払いを命じ、他の者が全員退出すると、アフラとスドガは玉座に登り、座りました。 - スドガは言いました。
「あなたが私に会いに来てくれたことに喜びで一杯です。
あなたが私の哲学や統治に対して諭すために来たのは知っており、だからこそ私はあなたのことを尊敬しています。
かつて自分の王国を築こうとして失敗したあなたの心情を察します。しかしあなたは反省し、ジェホヴィを受け入れ、それにより危機を回避したことに私は遺憾に思います」 - アフラは言いました。
「あなたの多彩な弁舌をもう一度聞くことができて私はとても嬉しいです。あなたとその王国に何の不幸もないことを知れたことがとても嬉しいです。
私はあなたと、あなたの強力な天界の王国の民を愛しているので、ジェホヴィの理念に従い、私はあなたのことを諭し、嘆願するためにここに来ました。
まず私自身のことで言えば、私は自分の心配事の全てを彼の御方に委ね、次に自分に立ち返り、他人のために懸命に働き、この2つのことが私に最大の幸福を与えてくれることに気付きました」 - スドガは言いました。
「勇敢な者が自分の心配事を他人に委ねることが正しい姿なのでしょうか?
あなたは自分のために自分のことを差し出したのではありませんか?
もしもそうだとすると、あなたは自分のために誰にも働いてほしくないのですか?
もしもそうだとすると、あなたは他人のために働く権利をどうして有しているのですか?
もしも自分の運命を切り開こうとする者がいたとして、あなたがその者たちの行く手を阻むのであれば、あなたはその者たちに誤った扱いをしているのではありませんか?
その上であなたは言います、『自分の心配事をジェホヴィに委ね、他人のために懸命に働くこと,この2つが自分にとって最大の幸福を与えてくれる』と。それならばあなたが自分の幸福のために働くことは利己的な行いではないのですか?
なぜなら今回のことは私が自分のために自分なりのやり方で行っていることではないからです」 - アフラは言いました。
「スドガよ、あなたの議論を全て認めたのだとしたら、私たちは正義の行ないの尺度を、偉大な結果の集大成以外に何処に見つければよいのですか?
あなたや私が幸せになることなど些細なことなのです。百万の天使が幸せになることも些細なことなのです。しかし私たちは2つの王国がありどちらも同じ大きさで同じ人口がいた場合、2つの王国のうちどちらに幸せな魂が多くいるのかを見つけるのに全体的な尺度で測るのは正しくないのですか?
これが最高の哲学に到達するのにより良い方法ではありませんか? - スドガは言いました。
「そうです、それは論理よりも理性よりも上です。それは適切な理論の基礎となります」 - アフラは言いました。
「天界と地球で滅亡した全ての国家は、無知な人々の吹こうと不満にその没落の原因があることを、私たちは発見したではありませんか。
群衆が不安になり始めると、為政者たちは彼らを鎮圧するため強圧的な手段を採りますが、それはただ火に油を注ぐだけなのです。しばらくは火は弱まりますが、その後、さらに激しく噴出するだけなのです」 - スドガは言いました。
「アフラよ、とても良いことを言ってくれました。続けてください」
アフラは言いました。
「それでは、2つの王国のうちどちらが幸福なのかを決めるためにはどうすればよいと思いますか?
反乱は不幸の証拠ではありませんか?
聞いて下さい、スドガよ。ジェホヴィの天界の何処に今まで反乱の話を聞いたことがありますか?
それでは地上では、ジェホヴィの信者である信仰者が、何処かで支配者に反旗を翻しましたか?
見てください、遥か遠くの精霊人の天界である涅槃では、神や長が拷問に巻き込まれたことなど一度もありません。私の王国でも人々は私に反抗したことはありませんし、私自身、危険に備えなければならなかったことはありません」 - スドガは言いました。
「あなたは賢いです、アフラよ。
王国の幸福度を判断する唯一の方法は、国民が互いに平和、安堵、礼節を抱いているか、そして支配者と被支配者が互いに信頼し合っているかにあります。
自分を守らなければならない者は、王国と自分が破滅寸前の状況にあります。
しかしアフラよ、覚えておいてください。天界と地球のジェホヴィの信者はそうなる前に昇天しています。彼らは誰でも支配者になれます。なぜなら彼らは正義を知っているからです。
しかし私はドルク人やドルジャを扱わなければならないのです。このような事情がある中で、私の王国と涅槃の王国を較べらることなどできますか?」 - アフラは言いました。
「ああ、スドガよ、私は自分の主張があなたの前では無意味なものになることを恐れます。
あなたは利己主義と非利己主義の間には蜘蛛の巣よりも細かい線引きがあることを教えてくれました。
神々でさえそれを区別できません。しかし私はかつて『自分は強力な神となり、自分を生んだ未知の存在に屈したりしない』と言ったことがあります。それを実現するため、私は長く懸命に働きました。結局,私の王国に対する責任が自分の幸せを侵害しました。
その後、長らくして私は自分の責任を放棄し、ジェホヴィの僕となりました。その時、今まで天界と地球に自分のものなど一つもなかったのに、新たな幸せが訪れました。これも私には分かりません。喜びの新たな木が私の一員に加わった感じです。
これこそあなたに伝えたかったことですが、私はそれを見つけられませんでした。それは飛び去ったりせず、偉大なる霊魂の描写がその素晴らしい威厳のせいで虚しく見えるように、言葉を惑わせるものです。
彼の御方に奉仕することの喜びは、神や天使でさえ表現することができないほどなのです。それが大きくなるにつれて、私たちは飢餓に直面しても泣き喚かず、ジヤが落ちてきても恐れず、ジェホヴィの御業に満潮干潮があったとしても、彼の御方と一つになれる喜びを抱きながらその波に漂うのです」 - スドガは言いました。
「あなたの声を聞くことは私の喜びであり、あなたの声を聞けなくなることは大変な悲しみです。
見てください、私はあなたがくれた叡智の言葉について考えます。
あなたと遠く離れた場所で、私はあなたを追憶し、愛します」 - こうして会談は終わり、スドガは副神と上位元帥に入って来るように合図しました。
スドガはアフラに『技巧の印』を結んで敬礼し、アフラは『時間の印』で返しました。 - アフラは両脇を副神に、そして上位元帥に先導されて出立し競技場を通り過ぎると、副神と上位元帥は元帥の眷属にアフラを引き渡し、彼らは衛兵の列の先へと案内しました。
そこでアフラは自分の従者と合流し、オテヴァンに乗って、かつてはパーシーの上空、今はアラビーニャに移転していたオシリスの天界アゴアデンに向けて出航しました。
【44章】
- 当時、天界のオシリスの王国には善悪併せて130億人の天使がいました。それは地上に確立された天界の王国の中でも最大のものでした。
- その王国はスドガの王国、つまりホレドのサンクトゥをモデルとして作られましたが、スドガの王国よりも壮麗で広大でした。
競技場の通路は5,000歩の長さがあり、玉座に近づこうとする訪問客は2,000歩も腹這いで進まなければならず、彼らは腹這いで進むごとに讃美歌を歌ったり祈りを捧げたりしなければいけませんでした。そのためスドガの時と同じように、オシリスの周囲は眩い光を放っていて誰も仰ぎ見ることができず、遠く離れた場所からしか近づくことが許されませんでした。
こうしてオシリスに近づいた者たちはオシリスの栄光に満ちた姿を心から恭しく崇めており、彼らは人間にそっくりなその御顔、御姿を心の底から創造主であると信じ込んでいました。
こうして何千、何百万もの人々はオシリスを仰ぎ見た後、天界を巡礼し、オシリスこそ天界と地球の至高なる創造主であると説いて回ったのでした。 - オシリスは自分の神格を三位一体としました。
第1は自分自身、それは宇宙の源泉であり、その名は『無表』です。
第2はオシリスの一人息子のバアルであり、地球と全ての定命の人間の守護者となりました。
第3はオシリスの処女娘アシュタロスであり、生と死というよりもむしろ、定命の人間を生み出す力と死をもたらす力の守護者となりました。 - オシリスは神の僭称者の中でも最も狡猾でした。なぜなら彼は信仰者の三角形の御印を掌中に収めると、それを使って(現在は地獄にいる)偽の主上神の名と力を手に入れたからです。いかなる定命の人間も霊魂も、バアルとアシュタロスを通さなければアゴアデンの玉座がある競技場に近づくことができませんでした。
ここでも彼らは宮殿に至る聖なる歩道の上を腹這いで進む権利を得る前に、上位衛兵のエギュプトを通さなければなりませんでした。 - オシリスの副神と元帥長だけが首都の宮殿に立って歩くことができ、彼らは頭を深く下げました。
オシリスはアフラの来訪を知らされると、彼は頭を高く上げて立ったまま、ただ頭からつま先まで全身ヴェールを着てこちらに来るように伝えました。
アフラはこれに喜んで同意し、エギュプトにヴェールを着せられ、副神と元帥長に預けられ、宮殿の天井高いアーチへと立ったまま歩きました。彼らはここで立ち止まり、アフラは『かつての愛』の印で敬礼すると、オシリスは『天界の喜び』の印で応えました。そこでアフラは副神から離れ、玉座近くまで歩き、オシリスは下に降りてくると、1,000年以上も会っていなかったのに互いに抱き合ったのでした。 - オシリスは副神と元帥長に引き返すように合図して退出させると、2人は玉座に登って密かに腰を下ろしました。
- オシリスは言いました。
「とても嬉しいことだ!
愛する人に会うのは結局のところ神々のどんな栄華や栄光に勝るのではないだろうか?」
アフラは言いました。
「その通りです。ただ、そんな安っぽい栄光を良しとして生きている賢者など何処にいましょうか?
私たちは遠くに旅立ち、強大な王国を建国し、その地はとてつもない栄華に満ちています。一体何を求めてのことでしょうか?
全ての天界、地球の中でも最大の善行である『無償の愛』を私たちは冷たくあしらっています。
あなたの明るい顔と、その抑揚ある声がまだ健在だったことは、私がかつて70億人の天使を擁する王国を持っていたことよりも嬉しいことです」 - オシリスは言いました。
「神々全員、そして定命の王や女王もそうではないか?
彼らは何百万人という無数の民の果てしなき力を誇っているが、彼らが全幅の信頼を寄せて互いに腕を取り合えるのは指先ほどの数だけで、それ以上の者たちを愛せずにいる。
それならば栄華や栄光とは何なのだろうか?
地上の王や女王とは、腐臭を放つ定命の人間の肉と骨を守る番犬に過ぎないのではないのか?
そして神々も同じく、悪臭を放つドルジャを支配する汚れ仕事を任されているのではないだろうか?」 - アフラは言いました。
「その通りです。それでも他人を支配し、彼らを導き、称賛され、何百万人もの苦労の中で謳歌したいと思うこの盛大な欲求は何処から来るものなのでしょうか?
このことを理解する神々は、自分の強大な王国を手放し、この広大な宇宙で愛する者たちと饗宴を催した方が賢明なのではありませんか?」 - オシリスは言いました。
「その通りだ、アフラよ。しかしこれを実行できる力を誰が持っているのか?
確かなことは、それは神々ではないことだ。
定命の人間だってそうではないか?
何千年もの間、彼らはこう言ってこなかったか、『地上の王国や自分の豊かさを手放さない限り、昇天できない』と。
しかし見るがよい、金持ちの人間は自分の豊かさを捨てられず、王は自分の王国を手放せない。
彼らは本当に弱いのだ!
そういった霊魂は、孵化していない鳥に飛ぶことを期待するのと同じぐらい、私たちの領内で奴隷以外になることなどあり得ないのだ。
私の王国についても手放せないことに気付いたのだ。なぜなら私はそれが最高で最良の方法だということを頭では分かっていても、それを心から手放したいと思えないからだ」 - アフラは言いました。
「莫大な財産というのは浪費のようなものだと思いませんか?
私は最高で最良の道を歩むことが、最高で最良の人生だと知っている定命の人間が、すぐに断念して、肉や葡萄酒を飲んで身を汚していく様を見てきました。
彼らは正しい道を知っていても、それが最高の道だと知っているだけで『実践する』という欲求を抱くまでには至っていないのです」 - オシリスは言いました。
「そうだ、この全てが浪費なのだ。もしも人間が自分の所有物を無償で与えたならば、それもまた浪費ではないのか?
アフラよ、私たちが定命の人間を操り、戦争に駆り立てては平和をもたらしたり、天使の軍勢を使って王国を滅ぼしてはそれを他の者に建国させていることを彼らは知らずにいるが、私たち自身も精霊界の神々にそうやって支配されているというのは本当なのだろうか?」 - アフラは言いました。
「オシリスよ、私はこう考えます。つまり、精霊界の神々は私たちを支配していますが、それは同じ方法ではなく、私たちが不正を行えば彼らは去っていき、私たちが正義を遂行すれば彼らは共にあるということです。
私たちは定命の人間たちを直接支配し、私たちの天界の意志により彼らの運命を形作りますが、彼らは自分たちと一緒に天使の僕がいることを屡々認識しています。
しかし定命の人間を私たちの意思の下で動かせない時、私たちはその者から天使を退かせ、ドルジャの手に委ねます」 - アフラは続けました。
「オシリスよ、私たちの上に君臨する神々が災厄をもたらすのではなく、私たちが自分の王国の中で悪を培養し、荒廃した畑で茨や刺草のように根を張り、成長して私たちを包囲していくのです。
遠い将来、あなたの天界はそうなるでしょう。それがあなたの下にもたらされた時、オシリスよ、あなたの叡智や力を以てしてもデユスと同じ運命を辿り、地獄に堕とされます」 - オシリスは言いました。
「もしも私がそれ以前の全ての自称神と一緒だというならば、私はあなたの英断に従います。ですがアフラよ、聞いて下さい。私の天界の王国は他の王国と似てないし、自分の栄光のために作ったものでもないのです。
私が行おうとしているのはこうです。 - 私は定命の人間から罪と、そして全ての邪悪をなくそうとしているのです。そうして彼らに地上での天界の王国を与えるのです。彼らはもはや戦争することも、互いに不正を働くこともしないし、苦しんだり夭折したり、飢饉も病気もなく、ただ平和と愛、正義、善行、品位だけが残るのです。
- 私は後の時代に人として降臨し、一緒に連れて行く高位の天使を定命の人間にして、彼らに実体的な肉体を与えて楽しませます。そうして人間は全ての利己心、欺瞞、愛欲、嘘を捨て、人類は純粋さと叡智を以て子孫を繋ぐ方法を授かるのです。
- それが実現した暁には、私は天界のドルジャを連れ戻し、定命の人間に憑りつかせ、彼らを理解させながら再生させるのです。
アフラよ、そういうわけで私は自分自身を強化しているのだが、私は正しい道を歩んでいないのだろうか?」 - アフラは言いました。
「私にはそれは危険な行為に思えます。あなたの計画は、教師が悪の現場に弟子を連れて行って、そこで徳を教えるようなものです。禁欲主義者以外で、定命の人間に天界の王国をどうやって存在させるのですか?
彼らでは世界に人を作れないのです。人間を生み出すのは最も低俗な『欲情』以外に方法があるというのですか?
肉体に属するものは肉体に帰属するのです。霊魂は地球に属するものを拒絶します」 - オシリスは言いました。
「そう言われている。だが私は高次の愛を低次の愛に放り込もうとしているのだ」 - アフラは言いました。
「何故あなたはそれを行うのですか?
ですが残念ながら、定命の人間は下ばかりを見て、永遠に地球に屈服したままとなります。
私は愛くるしい乙女が邪悪な夫と結婚するのを見ました。彼女はその夫を成長させず、逆にその夫に引き摺り降ろされました。
あなたが高次の愛を情欲と結びつけようとしても、高次の愛は同じ道を辿るのではありませんか?
神託の方法を見てみなさい!
私たちは定命の人間を徳と叡智へと導くため、彼らの質問に答えるのに高位の天使を遣わします。しかし残念ながら定命の人間は神託からこれらを学ぶのではなく、悪事や戦争、現世の利益を得ようとするのです。
地上に築いたあなたの王国がそうならないと言えますか?
定命の人間を助けるどころか、天使たちを堕落させて、人間の最も罪深い欲望と好奇心に答えさせようとします」 - オシリスは言いました。
「あなたには大いなる理があるし、それを裏付ける実績もある。しかしアフラよ、忘れないでほしい。私は地上に石の寺院を建てて、そこに部屋を作り、私が定命の王を介して王国に命令を下していくのだ」 - アフラは言いました。
「そうですか、私の使命は実りませんでした。
私はティイン、スドガ、あなたという3人の愛する人を訪れました。私はそのうちのたった1人をほんの僅かでも変えることができませんでした。それを大変悲しく思います。なぜなら私はあなたたち全員に大いなる闇が訪れるのを恐れるからです」 - オシリスは言いました。
「アフラよ、私はあなたの賢明な言葉を考えてみることにします。あなたが私から去っていっても、私はあなたを追慕します」 - その後、オシリスは元帥長と副神に合図を送ると彼らはやって来ました。
オシリスとアフラは互いに抱き合い、『永遠の愛』の印で敬礼しました。
アフラは来た時と同じように戻り、副神が両脇につき、元帥が先導しました。
彼らは競技場を通り抜けた後、アフラはエギュプトに引き渡され、元帥長と副神はオシリスの下へと戻りました。 - エギュプトは自分の従者にアフラを引き渡すと、彼らはアフラを火の船の方へと案内し、彼らは船に乗り込むと、天界ヴァラピシャナハに向けて出航しました。
【45章】
- ジェホヴィは『神を僭称せし者』が400年以上繁栄することを許し、それによりティイン、スドガ、オシリスは地上を支配した最強の神となりました。
それでは天界と地球における彼らの事績について見ていくこととします。それについてはジェホヴィの王国の図書館により詳しく記されています。以下はその概要です。 - 最初にティイン、次にスドガ、その次にオシリスの順に紹介します。
ティインの天界の王国には、ノエ・ジョンとウォンツェヨットという2人の副神がいました。
大元帥はコロツカといい、麾下に3万人の元帥がいました。
大将軍はハエジャンといい、麾下に10万人の将軍と上級隊長がいました。このうち2万人はジャフェスの定命の人間の領土に配置されており、その他の者たちは天界の、主にティインの玉座近くで仕えていました。
地上の神々として傑出していたのは、カオンキャット、ヤムヤム、トチンウォ、ホジョンヨ、ワカ、オケヤノス、ハインリ、ルッツロム、リウィアン、ツウォッチ、エウルガロス、イサア、トゴウ、アシュンといったティインの14人の上将軍でした。 - この将軍たちは7人2組に分かれ、2万人の将軍を均等に分けて、それぞれの部隊に3万人の天使の戦士が割り振られ地球に派遣されました。
- ティインは14人の上将軍にこう言いました。
「お前たちは地球に行き、私以外の神を崇拝している隣り合った町を2つ見つけたら、それぞれ二手に分かれなさい。一方が定命の人間の町に行ったらもう一方はもう片方の町に行き、啓示やそれ以外の方法で共に敗れるか滅びるまでこの2つの町を戦わせなさい。
その後、お前たちは私を崇拝する他の町に啓示を与え、滅んだこの2つの町を占拠させなさい。自ら手を下すよりも敵同士を殺し合わせた方が良いのです」 - ティインによる戦争の状況は、各地に散っていた100万人の信仰者や、山間や荒原にいたリスティア人を除いて、100年足らずでジャフェス全土を征服したことで明らかです。そしてジャフェスの全ての町には大規模で高価な寺院が建てられ、創造主にして天界と地球の支配者であるティインに捧げられました。
- さて、ジョスやホジョスの崇拝者は改宗ではなく強制的に信仰させられていたため、密かに自分たちの神を崇拝しており、彼らはお互いが知っていて迫害を逃れられるような儀式や式典を作っていました。
この儀式の大半はバウガンガドの古代の儀式に因んだものでした。 - この戦争で破壊された大都市には、ホン・ウェ、チョウゴ、シェントドがありました。ホン・ウェでは20年間戦争が続き、市内で50万人の男女子供が殺されました。
- チョウゴでは戦争が40年間続き、城壁内で30万人の男女子供が殺されました。
シェントドでは戦争が25年間続き、城壁内で30万人の男女子供が殺されました。 - ホン・ウェの滅亡により、400の哲学の館や2,400の大学、12,000の公立の学校が灰燼に帰しました。この全ては町の王であるホン王の治世に栄光を極めたものでした。彼はホジョスを崇拝していたため、彼の大都市は滅ぼされたのでした。
- チョウゴでは600の哲学の館、偉大な学究のための200の大学が破壊されました。
ここには2万人が12年費やして造営したジョス(神)信仰に捧げられたジョンクの神殿がありました。その神殿にはアワナ石で出来た2,000本の柱があり、血の祭壇には12,000の頭蓋骨があり、バク・ホ大王はホジョスの名の下に彼らを虐殺していました。
王を礼拝する玉座にはダイヤモンドや真珠が嵌められており、金銀の1,000本の燭台がありました。神殿内の上質な絹や羊毛の布は、広げれば50万人が横になってもまだ半分も余っているほどの大きさでした。
布には戦闘や戦争や天界の光景が刺繍されていました。布への刺繍は2万人の男女が40年掛けて拵えたものでした。それらは全て、大都市や富、壮麗さと共に破壊されました。 - シェントドは世界中の富豪が暮らす華麗で流行に富んだ町でした。そこにはチャオケキングと呼ばれる学問が盛んな神殿がありましたが、実際は富を誇示するための場所でした。
神殿は円形で、高く突き出た屋根があり、その庇は1万本の磨かれた石柱で支えられていました。
神殿には400の扉があり、各扉の内側には屋根を支える希少な石で出来た四角い柱があり、柱の内側は400の部屋に通じる通路がありました。
神殿の中心には屋根から2万個の人口の鍾乳石が吊り下げられており、絹や羊毛、上質の亜麻布の素材に、今まで誰も見たことがないような輝きを放つ色合いで作られており、そこは太陽の光を浴びた氷のように四方に虹を放っていました。
この神殿には王や女王、そして高い学識を有した政治家が訪れていました。なぜならここには世界で最も良質な本の写本が保管されていたからです。 - チャオケキングの寺院の他にも、ジョスには7つの大神殿があり、そのどれも1度に1万人を生贄に捧げられる広さがありました。
シェントドの人々は25年間、この大都市を破壊から守ろうとして戦ってきましたが陥落し、ビン王によって破壊され、全ての寺院も漏れなく破壊されました。 - この後に破壊された大都市は次の通りです。
【グーギー】
100の哲学の家、40の大学、800本の磨かれた柱と2,000のアーチで出来た神殿1棟、小麦と玉蜀黍を供える30の神殿、飢饉に備えて10万人分の食料を8年間貯蔵する食糧庫1棟、ここに記載した全てと、地球の神や主神の記録が保管された図書館、そして町にあった全ての物が灰燼に帰しました。 - 【ヨンウー】
人口20万人の都市で、70の哲学の家、35の大学と、その他多くの学校がありました。
星の神殿が1棟あり、そこには星の名前や位置、大きさや動きについての講義を日々行っていました。
40の生贄を捧げる神殿があり、そのうちの7棟は大都市ヨンウーの住民を全員収容できる規模でした。しかしシャイン王により灰燼に帰し、この町の場所を伝えるのはただ瓦礫の山だけでした。 - 【グワンシェ】
この町には30の哲学の家、70の生贄の神殿、ジョスに捧げられた2つの星の神殿、85の大学、7年間町を養えるだけの食糧庫1棟があり、20万人の住民が城壁内で暮らしていました。
この町の人々は12年間、扇動された略奪者や神ティインの麾下の戦士と戦いましたが、最後は敗北し、町は滅びました。 - ギー、オワン、チョン、ゴーン、カオン、ヨンウォン、ソウ、ウォッチガン、セムシン、ギー、ティアン、チョー、ドス、アマイ、コンク・シュ、ギュ、ハイツガイ、ギウーヨン、ボイゴンクといった町は人口数十万の大都市であり、いずれも哲学の家、大学、公立学校、生贄の神殿、食糧庫がありました。この全ての都市が破壊され、その存在を伝えるのは瓦礫の山だけでした。
- この他にもそれほど規模の大きくない都市も2,000以上が破壊されました。さらに数えきれないほど多くの村や小都市が破壊されました。
- 町と町、王と王、人と人とが敵対しました。なぜならジャフェスの住民は狂気と戦争と破壊に憑りつかれ、ほとんど理由もないまま互いに襲い掛かり滅ぼそうとしたからです。
ティインは何億もの戦天使を遣わし、定命の人間を唆してあらゆる知識、教育、学問、哲学を破壊し、他の神や主神の痕跡をことごとく消させ、ティインただ一人が至高の存在として君臨するように仕向けました。 - 天使たちは定命の人間に、弓矢よりも恐ろしい爆薬や銃火器の製造方法を教え、都市の下を掘り、爆薬で爆破する秘訣を教えました。
- こうして叡智と学問を誇ったジャフェスの美しき地は混乱し荒廃した国と化しました。定命の人間の骨が至る所に散乱し、かつてその地に暮らしていたイフアン人の巨人族の頭蓋骨や骨を掘り起こさずにはその土地を耕すことはできませんでした。
- そして滅ぼされなった者たちについては、貧しく、半ば飢えており、病弱で自信喪失し、無力で、激しく鞭打たれた者と言えるのかもしれません。
- 死者の霊魂は全ての戦場を徘徊し、霊魂の灯火で闇夜を照らし、朝と夕暮れには臆病で荒々しく歩き回る何百、何千といった霊魂を見ることができました!
しかし多くの使い魔がサルギスの姿で定命の人間と暮らし、禁じられていた飲食を共にするといったことさえ行っていました。 - こうしてジャフェスは神ティインの手に落ちたのでした。
次はスドガについて説明します。
【46章】
- スドガには二人の副神、ブリハットとヴィスバスリジがいました。その次にスドガの天界の元帥長アトマがおり、彼は4千人の元帥がおり、10憶人の戦天使を均等に分け合っていました。
アトマは3万人の将軍と隊長への指揮権があり、彼らには20億の天使を割り当てていました。 - 天界の上将軍はシャハラ、ヴァスヤム、スクチ、デヴ、ナサキジ、トヴァラ、ワッカ、シャン、ドル、フドフプ、ニキシュ、ハジャラ、フワスガロム、ヴィジ、ヤタマス、ブラフマ、ゴスカ、フロウスキ、ムドゥヒトリ、ヤヤミチマ、ヒジャヴァル、ドス、ロブヤム、ヒグプ、ヴォイスカです。
彼らは数千年前の古代の神や主神の名を偽って名乗っていました。 - スドガは彼らに言いました。
「私の時代が天界の新生児の前で讃美されれうように、あなたたちもまた天界と地球で崇められる神や主神の名を付けることで、自分の名前として讃美されるように。あなたたちは全てにおいて自由なのです。しかし古代人の名前を選ぶ権利は誰にも与えません」 - スドガは私的な評議会員として以下の者たちを任命しました。
プロウヤ、ヴァジスタ、キロ、クペンイスタ、ヴィスパー、イション、ボグウィ、ロウサ、ブリハット、ガイヤ、サメルン、ナイスウィチェ、ユーベ、ソル、ドン、ムンジョ、ウルヴァシュ、クペンタマイニュス、ヴァジスタ、ヴァナイティ
彼らにはそれぞれに1万人の従者を割り当てました。 - スドガはヴァルサとバクトゥという2人の大隊長を任命すると、こう言いました。
「私は2千万人の天使に、地球のヴィンデュの地に降臨させて定命の人間を征服し、彼らを永久に支配する任務を与えました。その2千万人をあなたたち2人で分配しなさい。
しかし他の天使は全員、私の天界の王国に残しておき、私のために働いてもらいます。王国を飾付し、天界の町々、特に私の聖都を美化してもらいます。 - さて、あなた2人は地上に永住するための神殿と神託所を確保したら、ヴィンデュの全土と大小問わず全ての町々、そこで暮らす人々を調査しなさい。そうしたら全人類はスドガとディアスという私の2つの名の下に服従することでしょう。他の神や主神を崇拝する人々がいる町があれば、あなたたちはそこで暮らす人々諸共滅ぼしなさい。
町と町、人と人が反目することでしょう。なぜなら私は天界の最高神であるように、私は地球の神であり、主神だからです。
あなたたち2人は滅ぼすべき町を2つ見つけたら二手に分かれて、一人は自分の戦天使を連れて町に行き、もう1人は別の町に行きなさい。そして互いに殺し合うように仕向けなさい。彼らを打ち滅ぼせたら、その地に私の信仰者を連れて行き、住まわせなさい」 - こうして2人の破壊の隊長である神ヴァルサとバクトゥが20億の戦天使を連れて地球に降臨しました。
彼らはヴィンデュの地に降り立つと、多くの王国や何千もの町に展開し、寝ている者、起きている者に関わらず定命の人間の下を訪れ、スドガのために撃滅と破壊を吹き込んだのでした。 - 12年間で4万の都市が廃墟となり、そのうち37は大都市でした。その中でも主要な都市は、ヤドム、ワチャダ、ツヴァラカ、ホセテ、フルミヴィ、クトダル、イガムであり、それぞれ100万以上の霊魂があり、中には200万の都市もありました。
- ここに挙げた全ての町に、大学、学校、生贄(礼拝)の神殿がありました。クトダルの神殿の屋根は銀、銅、金で造られ、1,000本の磨かれた石柱、500本の屋根を支える柱がありました。壁はタペストリーで覆われ、そこには天界と地球、古代の神や主神、救世主の歴史が描かれていました。
神殿の中には7つの生贄の祭壇と、洗礼の儀式のための聖水の入った4,000個の鉢がありました。神殿の壁の中には500人の司祭のための壁龕があり、そこで罪を告白する者から罪の赦免のために捧げられた金銭や布、大地で採れた果実を受け取りました。
神殿の中央通路は王が生贄を捧げる時、黄金の戦車に乗ったまま通るためのものであり、この通路の床は銀と金で敷かれていました。 - 神殿の床の中央には水で満たされた1つの鉢があり、その大きさは人間の身長の20倍ほどありました。鉢の中央には噴水がありました。鉢の東西南北には磨かれた石柱が4本あり、柱の中には階段がありました。この柱の頂上には様々な色彩で象嵌細工された木製の梁で繋がれており、美しく磨かれ、それはスーハグダの聖なるアーチと呼ばれていました。
アーチの頂上には『神託の声』と呼ばれる小さな家がありました。そこには王のための天地の解釈者、夢占い者が座りました。死者の霊が噴水の飛沫に現れ、時には光の星として、時には彼ら自身の姿や特徴で群衆に目撃されました。 - 500本の柱には天使と交信する司祭のための聖なる部屋がありました。東の柱には上から下まで見通せる開口部があり、柱の中は空洞となっており、群衆は全体を見通すことができました。
ここには王の男女の大司祭が控えており、場合によっては神域に達した者がここに詰めることもあり、天使たちは柱の中を通って、人間の身長の50倍にもなる柱の頂上まで、その者を上下に持ち運びしました。そして群衆はその様子を見守りました。 - 西の柱には神殿の図書館があり、そこには800年に及ぶ司祭や大司祭の重要な出来事や、都市の王の歴史が収められていました。
- トリスタと呼ばれる神殿の隣には学問の家があり、哲学、音楽、天文学、鉱物学に精通した賢者が男女問わず集まりました。
この家は磨かれた石と木を組み合わせて造られており、正面には磨かれた石柱が140本立っていました。家の中には古代から現在までの何千もの生物の皮と骨が分類されており、名前も付けられていました。また哲学や歴史の書物もあり、これらは全て7日に1度、無料で公開されました。
学問の家の隣には死の神殿があり、あらゆる種類の戦い、ライオンと人間、虎と人間、ライオンと虎、象、人間同士といった戦いが捧げられていました。
氏の神殿は非常に大きく、そこの席は30万人の男女子供を収容できました。神殿は円形で、闘技場の上に屋根はありませんでした。しかしクトダルの全ての建造物の中で最も偉大だったのは『太陽の神殿』と通称されている王の宮殿でした。
これも磨かれた石で造られており、四方には磨かれた石柱が800本立っていました。柱の隣には50本の柱があり、各面には高さ12のアーチで連結しており、その上には木と石の屋根が載っていました。
さらにその上には銀と金で象嵌された磨かれた木柱が400本並んでいました。この柱は頂上まで高さ10のアーチで繋がれており、その上にはもう一つの屋根があり、頂上には金銀銅で覆われた円屋根が付いていました。闘技場から円屋根まで高さ28あり、円屋根の基礎部は幅16ありました。神殿の西側にある入り口には戦車の道があり、王と客人は戦車で宮殿の闘技場まで乗り入れることができました。しかし王宮の内装の高価さ、美しさ、壮麗さを語ろうにも、半分を言い尽くせないほどでした。 - この巨大な建造物の他に、死者の霊魂に捧げられた450の闇の神殿がありました。この神殿には扉以外に開口部はなく、霊媒師が中に入ると扉は閉められ、光が遮断されました。
この神殿の中央には霊魂と定命の人間が集まり、霊魂は人間に様々なことを教えました。それは魔術の技法や、木や花を育てる種の作り方や、意志の力で蛇を生み出す方法や、空中を伝って物を運ぶ方法や、芳香や悪臭の放ち方や、敵にウィルスを放ったり毒で人を死に追いやる方法や、失くした物を見つける方法や、貧者にお金を、病人には花や食料を届ける方法や、深い眠りに就く方法や、自分の意識で無意識状態になる方法でした。 - また闇の神殿の全ての階級を修得するまで、いかなる男女もトリスタ神殿の司祭にはなれませんでした。
- この都市を滅ぼすと決めたスドガの天使たちは、この都市と、壮麗さの点でクトダルに次ぎ神殿や宮殿を備えたヤドムとの間で戦争を引き起こすべく扇動しました。
そうです、この大都市の一つを描写するのはもう一つの、定命の人間の栄光を語るようなものでした。これらの都市は700年間、ラジャウィチタ谷のユーヴィシジ大河で半日の距離を隔てて平和に暮らしていました。 - 隊長の神ヴァルサが町を選ぶと、隊長の神バクトゥはもう一つの町を選び、それぞれ10憶人の戦天使の中から必要な人員を選ぶと、この2つの大都市を永遠の滅亡へと導きました。人間が猛獣を闘技場に引き立てて、鞭で打って引き裂き合うのを見守るように、この神の隊長は天界の戦車に乗ってこの2つの大都市の戦闘を見守っていました。そして一方が優勢になると天使の眷属が流れを変えたり、しばらく相手を休ませては再び戦いを促し、可能な限り最大の損害が出るような均衡のとれた試合を維持していたのです。
- これらの戦いは8年間続き、何十万人もの男女子供が殺されました。こうして大都市が疲弊すると神々は『死の軍団』を解き放ち、腐敗した死体から毒の病原体を抽出し、生者の吐息に吸引させました。こうして絶望的な狂乱の中で定命の人間に町を焼き払わせ、他者の手に渡らないようにしました。
8年後、大都市は壮大だった神殿と共に廃墟となり、瓦礫と化しました。町に留まったのは少数の無知な者だけですが飢餓に苦しみ、無力な放浪者となった者はここで何が起きたのかを伝えることができました。 - スドガは言いました。
「定命の人間におけるあらゆる知識は天界の神々の妨げになります。それ故に私は地上のあらゆる知識を破壊します」
これはジャフェスの神ティインが唱えたのと同じ教義でした。 - こうしてスドガの神隊長はヴィンデュの全土を支配し、あらゆる王国、町、生贄の場、学問の場を滅ぼしました。そして100年のうちにヴィンデュで精強を誇った民は貧困に喘ぐようになり、離散し放浪の民となりました。大運河は破壊され、高地だけでなく低地にあった国も不毛な旱地となりました。
谷や山、放棄された平原や荒野には何百万という死者の骨と頭蓋骨が横たわっていました。獅子と虎がやって来て、廃墟となった神殿や宮殿の崩れ落ちた壁の中に入り徘徊しました。
この国にはどこを探しても図書館や本、製本技術、この偉大な歴史を教えてくれるようなものは残されていませんでした。 - こうして歌と詩、そして雄弁な言語であったヴェーダ語は滅びました。しかし幾世代にも亘って逃れ続けてきた偉大なる霊魂を秘かに崇拝する信仰者の生き残りによって、僅かながら保っていました。
- 次はオシリスとその領土であるアラビーニャ、パーシー、ヘレステについて説明します。
【47章】
- 偽神オシリスは自分の天界の王国を築き、アラビーニャ、パーシー、ヘレステを領有しようとしてこう言いました。
「ティインとスドガには破壊の道を追い求めさせよ。我はその逆を行く」 - 偽神オシリスは言いました。
「天界と地球で私が知る3種の悪人がいる。他人が築いたものに対していつまでも失敗を見つけては難癖を付ける者である。彼らは他人の欠点、矛盾、誤り、短所を見つけてはそれを論じることに非常に長けているが、それで天と地に何かを築けるわけではない。
次の悪人は過去だけでなく新たな状況のために考えた全ての提案に難癖を付ける者である。その者は槍の柄のように価値がない。
私が知る3人目の悪人は、他人の欠点や過ちを見ても言わないどころか、何か新しいことに大胆に飛びついて自分や他人を危険に巻き込む者である。
この3つを抱えているのが大群衆であり、守るべき世界なのだ!
破壊と再建ができるのは我だけなのだ。 - 信仰者の無抵抗は、天界と地球における隣人への慈悲があってこそだった。彼らとその教義は滅ぼさねばならない。
- その教義を破壊する代わりに、我は何か別の物を与えねばならない。我はジェホヴィを捨て去り、主上神を確立するのに尽力してきた。そして今、後者を捨てて我自身を確立するのに数百年かかろう。
デユスが地獄に堕ちた今こそ、我は創造主、主上神、デユスを名乗り、天界と地球で受け入れられる存在となろう。 - 我は彼らから儀式や式典を奪うつもりはなく、むしろ何かを付け加える。そうして得られた素晴らしき栄光により、彼らは我を受け入れるだろう。
- 我は定命の人間の学問を奪うつもりはなく、逆に最も厳しく高い志を持たせる。なぜならそうすることで我は賢者や学者から認められるからだ。
- 定命の人間は偶像を愛するものだ。それならば我は彼らに偶像を与える。男も女も偶像を与える」
- 次にオシリスはバアル、アシュタロス、エギュプトを天界の評議会場に呼び、こう言いました。
- 「お前たちは定命の人間に2つの偶像を作るように仕向けよ。一つは人間の頭、胸、腕がついた雄馬の像で『天界の安息』を表すように上を見ている。もう一つは女の頭、胸、腕がついた牝馬の像である。彼女は『正義のため』を表すように前に弓矢、後ろに剣と薔薇を持っている。
男の偶像は『オシリス』、女の偶像は『イシス』と呼ぶものとする。 - なぜなら我自身が万物の創造主であると主張する以上、人間に男であり女であることを示さねばならぬからだ。
- これこそが天と地の全てにおける源泉であり、偶像の投影と受信は哲学の集大成なのである。
- お前たちはその中で前進するのがオシリスであり、適宜休むのがイシスであると教えて行かねばならぬ。そのために古代人はこれを牡牛と仔羊を使った。
- 我は球体であり、それは限りなく大きく、動きは速い。そして我は飛ぶ翼と働く手を備えており、それによりあらゆる物が征服され、従った。翼の下には『無防備な飛翔』を表すように『平和の仔羊』を据えるが、手の下には私の支配の印として牡牛の頭を置く。
- 我は天地を創造し、翼を羽ばたかせ蛇と太陽を支えている。世界を四角に線で囲み、そこに我は全てを、善と力を創った。
- 我は人間の手に、天空の神秘、大地の力、叡智、富、そして栄光を解放する鍵を置いた。
獅子を屠ったり従わせるための棍棒を、我は人間の手に置いた。 - なぜなら我が人間に似ているのは、我が自分の姿に似せて人間を創ったからだ。そしてわれは天と地の鍵を握り、地上に創造した全ての住民を支配する。
我はタウであり、セドである。 - 我は光であり生命であり死である。
我から生命とかつての生命を造った。
大宇宙の太陽を我は力の象徴として据えた。星や月、そして何も語らず、何も知らぬ物は我が手による作品である。
我なしでは何も存在しないし、かつても存在しなし、これからも存在しない。 - 正義のために戦う者は我のために戦う者であり、我はその者と共にある。
我は戦争の神であり、戦士と共にある。
我は平和の仔羊であり、平和を愛する者と共にある。
為すことは我が行いにあり、為さざるは我が行いではなく、死の行ないにある。
目には目を、歯には歯を、血には血を、慈悲には慈悲を。されど全ての者に征服する意志と共に力を与える。なぜなら我はそれを為すがために人類の前に現れるからである。 - 開闢の頃 、我は我が力で世界を創造した。
より大きな善が多くの者に及ぶ時、力は暴力を以てしても正義と為すと我は誓おう。
これこそが我が法である。信仰者どもが正義のために戦っていたのであれば、彼らは世界の管理者となり、彼らの神の下に世界を従わせていたことは誰の目にも理解できよう。 - それならば神の戦略とは、人間と天使を全てにおいて同一化しその数を減らす以外に何があろうか?」
オシリスがこう3人の神に語り掛け、彼らが話すのを待ちました。
バアルは言いました。
「これは1つの基本となる考えだ。我々は人間や天使としての基本的な考えというものを今まで持ったことがない」
アシュタロスは言いました。
「これは世界を導くための頭であり、建前となります」
エギュプトは言いました。
「信仰者の叡智は直接的な道を進むことにあった」 - オシリスは言いました。
「それでは我は地球と天界の教義を改めるとする。我は、これがデユスや主神、神、オシリス、アポロ、その他いかなる神のためだとかは言わない。
我はジェホヴィの信仰者以外の全ての者が受け入れられるようなものを与えよう。 - なぜなら我は全てのものを神に割り当てる。どの神、何の神と定めることなく、ただ神にのみとする。残りは我が天界アゴアデンで管理する。
- それ故にお前たちは定命の人間の下に行き、デユスを神と改めてくるのだ。もしも人間が神託で『神とは誰のことか』と聞いてきたら、こう答えるのだ、『それはオシリス信者にとってのオシリスであり、アポロ信者にとってのアポロ、イシス信者にとってのイシスである。彼は創造主であり、管理者であり、万物は全て彼により創造された。彼は自らの姿を元に人間を創造し、天界の玉座に座している』と。
- しかしもしも彼らがさらに『神はいつもいるのか』と聞いてきたら、こう答えよ、『否』と。
もしも彼らが『神は偉大なる霊魂ジェホヴィではないのか?』と聞いてきたら、こう答えよ、『否』と。 - なぜなら我は地上で生きて暮らす信仰者を1人たりとも許さないからだ」
【48章】
- パーシーのハイクワドに、とても賢く強大な王権を持っていたルサグ王がいました。彼の首都はソウルツといいフォネシアの国境にあり、12の従属都市を有しており、各都市には1人ずつ王がいて統治していました。
- ルサグ王が統治する地域に大旱魃が襲いました。慈悲深い王であった彼は水と良質な土壌の国を探すため、各所に検察官を派遣しました。しかし残念ながら彼らは王の希望に応えられませんでした。
- ルサグは神託所に相談すると、なんと天使エギュプトがやって来て王にこう言いました。
「汝が抱えている予見者を呼び寄せるがよい。我が導いてやろう」
そこで王は上位予見者を呼び寄せ、神託の言葉を伝えました。
予見者は言いました。
「神があなたに触れられたのであれば、私にも触れさせていただけないでしょうか?
たぶん私ならば神の言葉を聞き取れると思います」 - 予見者はその場で王に触れると、すぐに神は彼に話しかけ、その言葉を聞くことができました。
こうして神は予見者を当時、南アラビーニャと呼ばれたエギュプトに導きました。
その国を知らなかった予見者は神に尋ねました。
霊体は言いました。
「見てくるがよい、エギュプトの地を」
こうしてこの地はエギュプトと名付けられ、今日では『エジプト』と呼ばれています。 - 予見者はその地が肥沃で水も豊富であることが分かると、パーシーに戻って王に報告しました。
そこで王は民にエギュプトへの移住を命じました。
彼らは最初の年に5万人、次の年に10万人と移住し、その次の年からは同数の人数が何年も掛けて移住しました。 - この出来事はホレドのデユスの治世700年目に起きました。さらに200年間でエギュプトの地は何百万もの人々で溢れ返りました。なぜなら周囲の国々で旱魃と飢饉が発生し、人々はこの地に殺到しからでした。
- ルサグは息子をエギュプトの地の統治に派遣し、その地をソウルツ王国に従属させました。息子の名はハサックスと言い、彼が老いて死ぬとその息子バカルにエギュプトの統治は引き継がれましたが、彼はパーシーとの従属関係を破棄し、エギュプトを独立王国にしました。
バカルの息子ゴスが跡を継ぐとゴスは大都市や寺院、学問の場を建造して王国を豊かにしていき、試合や競技大会を始めました。
ゴスの後は娘のラベクが跡を継ぎました。彼女はエギュプトの最初の女王となりました。ラベクは都市や学問の場を設置し、さらに国を発展させていきました。
デユスが天界の王国で倒された時、この国はこういった状況でした。
そして今、この70年間で神オシリス、バアル、アシュタロス、エギュプトは定命の人間に対して何の力も持っていませんでした。 - この短い期間に羊飼いの王たちはエギュプトに大量に移住し、これに同調して似たような信仰を持つアブラハムの信者、つまり信仰者もまた、エギュプトの地に急ぎ移住しました。
- その間、王国はラベクから長男フワン、その次も長男のナマン、その次は長男のセヴ、その次は娘のアルマ、その次は長男のホサ、その次は長男ロウツァグへと継承されました。
- そしてオシリスが神による創造の歴史に関して定命の人間と天使の記録を改変すると決め、前述した通り、それを実行に移した時、問題はここにありました。
- こうして神託を通してロウツァグ王はエギュプトの図書館に天地創造の歴史、罪の起源、そしてヴェーダ語に代えてパーシー語で、アスに代えてアダムと呼ばれる最初の人間の創造の歴史を図書館に寄贈しました。
- この記録は、3,000年後エズラが選択し、誤ってそれを『イズゼライト』と呼ばれる信仰者の教義として取り入れたものと同じものでした。
信仰者の記録は保管されず、国の記録にも許されず、ただ信仰者たちの間でのみ保管されました。なぜなら彼らは当時から救世主や国家が定める神を認めない非合法集団だったからです。 - ロウツァグの息子ヒラムが跡を継ぎ、息子のタマスがヒラムの跡を継ぎました。
タマスは予見者であり、予言者でもありました。彼は神々を見たり、その会話を理解することができました。タマスの次は娘のハンナが跡を継ぎました。その次はホジャクスが跡を継ぎました。彼は通称『大ピラミッド』と呼ばれるオシリス神殿の建造者でした。 - オシリスの最初の定命の人間の僕であるデユスの予言者トースに敬意を表して、ホジャクスは自分をトースマ、即ち神トースと名乗りました。なぜならオシリスはホジャックスにこう言ったからです。
「汝はトースの生まれ変わりである。見よ、汝は地上の神となろう」 - トースマは神々の声を聞き、会話し、理解することができました。
オシリスは彼に天使の僕である神エギュプトを通して幼少の頃から特別な恩恵を授けました。
16歳でトースマは哲学の家の試験に合格し、天文学と鉱物学の試験にも合格しました。
17歳で建築学校と1,000の神々の歴史にも合格しました。
18歳で、休眠状態になる力や、目で見なくても見る力、耳に頼らずに聞く力により『生と死の使い手』と認められました。
19歳で玉座に就きましたが、それは彼の両親が亡くなったからでした。 - なぜならトースマを利用することを望んだオシリスが破滅の天使をハンナとその夫の下に遣わしたからでした。天使たちは二人の吐息に病原体を摂取させて、彼らを肺臓の毒で死なせました。
- オシリスは自分の僕の神エギュプトを通してトースマにこう言いました。
「我が息子よ、息子よ!」
トースマは言いました。
「聞こえています、神よ、何をお望みでしょうか?」
オシリスは言いました。
「暗き部屋を用意せよ、然らば我は汝の下へ赴かん」
トースマが暗い部屋を用意すると、オシリスは僕の神を通してこう言いました。 - 「汝は偉大なる叡智を有しているのに、約束を忘れている!」
トースマは言いました。
「神よ、それは何でしょうか?」
オシリスは言いました。
「汝が天界にいた頃、こう言っていた、『今度、私は地上に降りて生まれ変わり、その肉体に永遠の生命が宿っていることを証明してみせましょう』と」
何年もオシリスは同じことをトースマに語り掛けたため、トースマは自分が天界にいて、その後地上に戻り、オシリスが言った目的を果たすために生まれ変わったことを信じるようになりました。 - 彼はオシリスにこう答えました。
「あなたが言う通り、夢で見た通りのことだと思います」 - オシリスはトースマに、万物で最も偉大で最良のものは何かと尋ねました。
トースマは言いました。
「実体的なものと霊的なものの2つです」 - オシリスは言いました。
「その通りである。それならば叡智とは何か?」
トースマは言いました。
「まず第1に、大いなる実弟的な知識を得ることです。次に霊的な知識を得ることです。しかし教えてください、叡智の神よ、どうすれば人間は最高の霊的な知識を獲得できるのでしょうか?」 - オシリスは言いました。
「天界で暮らしてみて、その目で見るのだ」
トースマは言いました。
「その叡智を学ぶために、どれくらいの歳月を天界で過ごせばよいのでしょうか?」
オシリスは言いました。
「1日、100日、1,000年、100万年、それは人による」 - トースマは言いました。
「もしも人間が肉体を離れて100日間、天界を旅することになったら、それは人間に利益をもたらすのでしょうか?」
オシリスは言いました。
「それを為すことは死を制することである。見よ、汝は既に休眠状態の力を手に入れている。霊魂の行く先を制御すること、それが次の学課となる」 - トースマは言いました。
「神よ、見てください、私は90日間も埋められるのを許容している魔術師のように、休止状態になる力を手に入れました。
そうです、私は霊魂となって多くのものを見るためここから出掛けますが、私の魂は風の息吹のように適当に進むでしょう」 - オシリスは言いました。
「私に神殿を用意せよ、然らば我は汝に教えを授けよう」
トースマは言いました。
「損傷を残さず、肉体を長く保存する方法こそ疑問です。長く埋められた魔術師は掘り起こし蘇生させると、その体はひどく損傷しており、すぐに死んでしまうことが分かっています」 - オシリスは言いました。
「汝は天文の神殿を建造し、それを人間と天使の救世主にして天界と地球の神であるオシリスに捧げよ。その神殿は東西南北、世界と直角に交わるように建てねばならぬ。観測線は北極星の変化の中心線(トゥアックス)に位置する『ヒダの渦』の頂点になる。 - 汝はそれをピラミッドの形で建てよ。全ての位置の尺度を我が汝に教えよう。
- 汝は音も熱も冷気も入り込まない厚い壁を造り、そこには汝やその元首、熟達した友人のための部屋を設けよ。なぜなら我は天界に地球を、地球に天界を用意したからである。そして我が天使は地球で暫しの間暮らし、地球生まれの者は暫しの間天界で暮らす。
然様、彼らは玉座の我が下に来て、我が彼らのために用意した栄光を見ることになろう。 - 我が神殿は排他的ではなく、天地の哲学を追求する全ての者に開かれている。それ故に汝は太陽と月と星を以て神殿を建てよ。それは地上の国家に対して示せる、汝が全人類において最高の存在であり、肉体に永遠の生命を宿した創始者であることの証となろう。
天界の天使たちが地上に戻り、暫しの間、実体界の肉体を纏うように、汝は自分の意志のまま肉体を保つ術を修めるがよい。
なぜならこれが、我が地上に人間を創造した目的であり、栄光だからである。
【49章】
- オシリスはトースマ王に、エジプトの地から全ての信仰者、特に奴隷にできない羊飼いの王たちを駆逐するように言い含めました。
- トースマは20万の軍勢を徴集すると羊飼いの王たちを駆逐し、30万人以上を処刑しました。そして信仰者たちから家や土地といった彼らの全所有物を奪い、実体界のいかなる物も所有することを許さず、奴隷でなければ開墾することを許さず、奴隷でなければ如何なる労働にも就けないようしました。
トースマの圧政から逃れるため、羊飼いの王や無学の者を含む300万人の信仰者はエギュプトの地から出立しました。エギュプトの地に残った信仰者に対して、トースマ王を通してオシリスは次のような法律を制定しました。 - 「汝はいかなる土地も家も、牛も荷役動物も、牡牛や子牛も所有してはならず、汝の民は礼拝の祭壇や神殿、聖なる踊りの場を持ってはならぬ。
汝は生涯、ただ奴隷であり、奴隷の奴隷でなければならぬ。
汝の寝床や汝の家族の寝床では、汝独自の礼拝をしたり、いかなる者もそこで汝と性交してはならぬ。 - 汝の血と肉は罰を受けており、その教義を公然と唱えてはならぬし、学校や大学でこれ以上教えてはならぬし、汝の子供らに学問を受けさせてはならぬ。汝の技術、計測や計算について、これ以上秘匿してはならぬ。さもなければ汝の血が流されよう。
- もしも汝が『偉大なる霊魂や、ジェホヴィ、永遠なる存在よ』と言うならば、汝やその妻、子らに死をもたらそう。
もしも人間が汝を試そうとして『世界を創造したのは誰か?』と問うてきたら、汝はこう答えよ、『神を見よ!』と。
その者がさらに『創造主は永遠なる存在と考えているのか?』と聞いてきたらこう言うがよい、『否、ただ仕事を終えた人間のように天界の玉座に座っている』と。
その者がさらに『神は何処にいるのか?』と聞いてきたら、汝はこう答えよ、『天界のホレドの山に』と。
その者がさらに『永遠なる存在は人間なのか?』と聞いてきたら、汝はこう言うがよい、『否、永遠なる存在は風のように無為なる存在である。天界と地球の支配者はただ一人、主上神にして人間の救世主オシリスだけである』と。 - 『このことを行わぬ者は処刑せよ、我が地上の支配者トースマに傅かぬ者には生かしておけぬ』」と神は言いました。
- この法はエギュプトの図書館に収蔵され、書記官と予見者により公表されました。しかしこういった制約を設けていたにも関わらず、まだ200万人以上の信仰者がエギュプトの地に残っていました。
- トースマはオシリスの神殿(ピラミッド)の建築を始め、20万人の男女を動員し、その内の半数は信仰者でした。
この労働者は12人、24人、48人といった具合にグループ分けされ、それぞれのグループには長がいました。しかし1,728人の男女のグループになると将軍が就き、将軍6人に元帥が1人就き、元帥12人で元帥長が1人就き、その長たちは王の枢密院の一員でした。 - 王は各元帥長に異なる仕事を割り当てました。ある者は運河を掘り、ある者は石を切り出し、ある者は加工し、ある者は船を造り、ある者はローラーを用意し、別の者は木材を、それ以外の者は巻上げ装置を用意しました。
- 調査員は神殿造営に必要な石切り場を2か所発見しました。1か所は大河エゴンの岸辺の上、ハゼカ山の麓の場所、もう1か所はネフ平原を越えたアオカバ山にありました。
エゴン河の源流からアオカバまで運河が造られ、そこから水門を通ってネフ平原まで河を下り、神殿の造営地として王が定めたガキルの地へと下っていきました。 - 建造に使われる丸太は、ガンボサやルグゾクの森から伐採し、エゴン河を下って運ばれました。この丸太は束ねられ、必要な場所まで川に流して、巻上げ装置で水揚げされました。
- 神殿の石材は採石場付近で切り出され、適切に加工された後、巻上げ装置で滑車に乗せられ、その後、山の麓から川に降ろされ、必要な場所まで流されました。
- 熟練工が鋸で加工した板で造られた筏は、計画していた積荷を運ぶのに十分な長さと幅がありました。筏の底には端に回転するローラーが付いていました。
さて、石切場から筏に石を降ろし、目的地に運ぶ準備が整いました。筏がガキル付近に到着すると、麻と亜麻で作られたロープで筏は固定され、陸の巻上げ装置で筏は河の傾斜した岸辺から水揚げされ、この時、筏に付いていたローラーが車輪の役割を果たしました。 - 神殿建設の準備が整うと、あらゆる哲学を修めた王自らが基礎工をしたり、建築の方法について指示をしました。
- 王と職人が使った道具は、ガウ、身長、定規、コンパス、鉛直、水平を測る道具でした。神殿の建築全体を通して、他の計測の道具は使われませんでした。『身長』と呼ばれる計測器は、1,000人の身長を計測した後の平均の身長でした。これは12等分され、さらに12等分され、以下同様に等分されました。
- 神殿の最初の部分が据付られると、傾斜面の組立作業者も作業を開始しましたが、それは丸太で造られました。少し高くなると神殿の別の階層が建てられました。そこから傾斜面を少し高くして次の階層を建てていくといった様に進められました。こうして木で作られた傾斜面は神殿と同じように作られていきました。
- 傾斜面の幅は神殿の幅と同じ大きさですが、傾斜面の全体の長さは(人間の)身長の440倍となりました。
この傾斜面を、石を載せた筏が巻上げ装置と男女の曳き手によって引き上げられました。 - トースマは24年掛けてこの神殿を建造し、ついに完成させました。しかし建築に使った傾斜面を取り除くのにさらに半年を要しました。
その後、神殿は綺麗に整えられ、かつて地上で建造され、これから建造される最も偉大な建造物となりました。 - こうしてトースマのオシリスの神殿、大ピラミッドは完成しました。
- ジェホヴィはこう仰せになりました。
「彼らにこれを建造させなさい。なぜならこの建築時期は地球の終末までの中間期に当たるからです。
そうです、今は地球の実体的な成長の絶頂期なのです。そのためこの神殿は人間が実体的な願望を最も強く抱いていたことへの記念碑となります。なぜなら今後、人間は地上に永遠に残るものを建てるのではなく、天界に残るものを建てようとするからです。
これらは全て、実体的な環境とは正反対となる霊的な時代において、実体界重視の時代の中で地球の人間が同様の願望を抱いていたことへの証となるでしょう。なぜなら、私は『地球』という存在によってそれが何であったのかを証明し、そして人間により『地球』とはかつて何であり、今の時代はどういった存在なのかを証明するからです」
【50章】
- 神殿が完成し、王と4人の大司祭が聖なる部屋に入ると、偽神オシリスが僕の神エギュプトを通してサルギスの姿でやって来て、王にこう語り掛けました。
「王よ、我はここに在り!」 - トースマは言いました。
「私の苦労は報われました。我が主上神よ、私の下に来られたことを祝福申し上げます」
オシリスは言いました。
「我が部屋を聖なる状態に保つように。精通者を除き、地上で暮らすいかなる男も女も子供も、この我が聖なる秘奥を知ってはならぬ。
ここには永遠の生命の鍵がある」 - トースマは言いました。
「永遠の生命の鍵についてあなたはどう語るのでしょうか?」
オシリスは言いました。
「ここに善と悪がある。我が先祖に命じたように、これを食べれば人間は神のようになり、永遠を生きる。なぜならこれは人間が死に勝利すること、即ち我が、地上に人間を創造した目的だからである」 - トースマは言いました。
「このことを私たち5人だけしか知らなくてもよいのでしょうか?」
オシリスは言いました。
「否、断じて。それだと我が王国の光が満たされぬ。見よ、我は神殿をどう建てたか!それは精通者の手に委ねられていなかったか?
なればこそ、我が汝に我が王国を知る術を与えたように汝はそれを他人に与え、我が命じた以外の方法でこの光を与えぬように」 - 神殿が完成して2か月後、トースマ王は王国の政務を片付けると、聖なる部屋に入り、聖なる部屋には4人の司祭長を残して『生と死の部屋』へと昇っていきました。
トースマは自分の舌を飲み込んで自死(休止状態)しました。
その後、司祭は入り口を閉め、王を封印しました。 - オシリスは僕の神エギュプトを通して、司祭にこう言いました。
「1人だけ残るように。後は4人で交替して聖なる部屋で暮らすように。我も残ろう」
司祭は籤を引き、1日6時間ごとに当番を決めました。
オシリスはトースマの霊魂の下にバアルを遣わし、オシリスの天界アゴアデンへと連れて行き、玉座の栄光を見せながらこう言いました。
「神々の頂点に君臨する神を見よ」
トースマは言いました。
「素晴らしい栄光です。私の神である主神の光に当てられて目が眩んでしまいました」
その後、バアルはトースマの魂をオシリスの王国の1,000の天界へと連れて行き、そこで彼にその栄華を見せました。 - トースマはバアルに言いました。
「神の天使よ、あなたは私に真実を見せてくれました。
神は人間が想像していた通りでした。この世界の全てを支配する神は1人以外にいません」 - バアルは言いました。
「それでは、神は誰かと聞かれたら、汝はどう答えるのか?」
トースマは言いました。
「あなたでしたらどう答えるのですか?
なぜなら神の栄光はあまりにも大きすぎて、私は見ることができなかったからです」 - そこでバアルはこう答えました。
「この世界の『全て』で勘定するのは、天使と定命の人間だけである。汝が見た神は汝と同じく、遠い昔、遥か遠くの星の世界で人間だった者である。精通者であった汝が花や植物、蛇を創造できたように、彼は神性を得て、自らの世界を創造した。
こうして彼の者は宇宙の虚無の領域に入り、地球とその天界を創造した。だからそれらは彼に属している。なぜならそれらは彼の物だからである。
同様にどの星の世界も、汝の神である主神のような1人の神により支配されている」 - トースマは言いました。
「ああ、全人類はこのことを知っていればよいのに!
地上に戻った時、このことを思い出せますように」
バアルは言いました。
「汝はこれ以上のことを覚えていなければならない。なぜなら今度は汝を偶像崇拝者とジェホヴィ信者がいる地獄に連れて行くからだ」
それからバアルはトースマの魂をデユスの地獄へと連れて行き、そこでの恐怖を見せました。しかしバアルはクラオシヴィの神の領地にトースマを連れて行くことはしませんでした。 - さてトースマが30日間の天界の旅を終えた後、バアルはトースマの霊魂を死の部屋に連れ戻し実体界の肉体を回復する方法を教えると、トースマはそれを実行しました。
その後、バアルはエギュプトに合図を送り、エギュプトは当番の司祭にこう話し掛けました。
「見なさい、トースマが戻ってきました。さあ、あなたの同朋を連れてきて、彼を聖なる部屋に連れていきなさい」 - 司祭の同朋が到着し、封印の石を退かせて王を聖なる部屋に運ぶと、王は催眠状態から覚めてましたが、天界で見てきた全てのことを覚えており、それを一緒にいた大司祭に語りました。
バアルとエギュプトはサルギスの姿で現れ、聖なる部屋でトースマと司祭に語りました。
王は霊魂を肉体に馴染ませるため1日だけ聖なる部屋に残り、翌日、王と司祭は神殿から出て部屋の扉は封印し、王の衛兵に誰にもその場所を荒らさせないように見張りを命じました。
さて、トースマは死の催眠状態になってから40日が経過していました。 - その日の夜、エギュプト、バアル、アシュタロスの3人の天使が王の宮殿の祭壇に来て、精通者となった大学の学生に自分の姿を見せました。
バアルは王に言葉を伝えるように、彼らの前でこう言いました。
「見よ、我は汝が天界で見てきた主神、神の天使である。我は汝と共に天界を旅したのと同じ者である。我が語ることは、我らが神、主神の僕である我が、主神の名に誓い、語るものである。
アス、汝の大司祭が籤を引き、そのうちの1人がオシリスの神殿の聖なる部屋に入り、汝がしたことと同じことをする。
彼の後に続き、別の大司祭も同じことを行い、4人が汝と同じ経験をするまで続ける。 - 4人の司祭は順番に自死して魂となり、バアルやアシュタロス、そして神殿の守護神となったエギュプトに導かれ、オシリスの天界の王国やデユスの地獄の多くを訪れました。
- こうして彼らは天界と地球に対する同じ知識を手に入れると、彼ら5人は実体的な肉体において永遠の生命を得ることについて意見の一致を見ました。
オシリスは言いました。
「見よ、我は既に死んでいる多くの者を蘇らせ、防腐処理された遺体で目覚めさせ、そこで暮らさせよう。
さあ、事の根源へと向かい、我が民を用意せよ。なぜなら我は人として訪れ、汝が建てた神殿で暮らすからだ。そして我が天界の王国は地球へと降りるであろう。
汝は星の柱を建てるように!」 - トースマは鎧板の東側の列に、長さ7、高さ36で木と石でできた柱を建てました。柱には下から上まで開口部があり、河口部の幅は長さ6でした。壁には螺旋階段が設けられており、東西南北の四方を見渡せる窓からはその方角の星を観測することができました。
柱の頂上には予見者や数学者のための居住空間があり、測量器具やレンズを置く場所もありました。 - これが完成すると、トースマは神殿の鎧板を横切る外壁を木と石で拵え、その壁の中にも階段を作り、その階段はピラミッドの頂上に続いていました。この壁にも窓は設けられており、北の星々を観測できました。
- トースマは太陽を観測する柱を作り、あらゆる色のレンズを付け、精通者をピラミッドの基部に立たせて1日を通して毎時太陽を見させて、黒点とその変化を識別させました。観測する角度ごとにガウを1つ設置し、太陽と北の星々との位置関係を毎日測定することができました。
- それ故、この2つの柱によってトースマと彼の数学者たちは太陽と月、星々の距離と大きさを計測しました。そしてオシリスは王に命じて、最も賢い数学者を遥か遠くの土地に遣わし、天界の風や地上の旱魃、様々な地域、年、季節での豊穣さ、飢饉や疫病、地表のあらゆる事象を観測させました。
オシリスは王に言いました。
「汝の数学者たちが蒐集した知識を持ち帰って来た時、汝やその後継者は太陽と星と月を数学者が語る内容と比較せよ。1年単位での比較、また3年単位、5年単位、7年単位と、このように何百年、何千年と続けよ。 - そして汝が3,300年という期間を続け、太陽と月、星を地球での出来事と照らし合わせて比較した時、汝は3,300年先までの予言の鍵を手に入れるだろう。そして汝は此の地や彼の地、この民やあの民がどうなるかを言う時、誤ってはならぬ」
- トースマは数学者を階級に応じて1,200人選び、招集しました。そして100人ずつのグループに分けて、それぞれに十分な数の従者を与え、彼らを世界の各地に派遣し、命じられた通り、観測期間として16年の歳月を任期として設定しました。
- 数学者たちはあらゆる種類の計測器具を携行し、その他に自分たちの目の前で起きた出来事を記録する書記官も同行させました。彼らはアラビーニャ、ヴィンデュ、ジャフェス、パーシー、ヘレステ、ユーロパを通って西の海まで横断し、アラビーニャの南端、内陸の大王国、ヘレステ、パーシー、ジャフェスの北、万年雪の地域へと行きました。
- 16、7年掛けて、旅の途中で亡くなった者以外、彼らは帰還しました。この数学者たちが手に入れた知識はとても素晴らしいものでした。ある国では彼らは舌先だけで必要な知識を手に入れる哲学者がいました。
トースマは彼らを大いなる栄華と栄光で以て出迎え、彼ら全員に莫大な富を与えました。 - トースマはこれらのことを書き直して本に収録し、それを大いなる学問の書と名付け、誰にも危害を加えられないピラミッドの南の部屋に保管しました。
- トースマはさらに16年間、別の数学者たちが同じ地域を旅し、同様の観測を行い、その後も他の数学者たちが続き、3,300年間、この旅を続ける法律を定めました。
こうして新たな探検隊が出発しました。
さて、最初の数学者たちが不在の間、トースマと配下の哲学者は太陽と月、星々を毎日観測し、トースマの本国の地域の地表として記録していました。
これらの観測は石板と地図にまとめられ、学者たちの言語のパーシー語で記録されました。なぜなら当時のエギュプト語を使っていたのはほとんどが無学な者たちであり、表音言語であるフォネシ語と混在していたからでした。 - 数学者たちが帰還すると、トースマと哲学者たちは天界の地図と石板を使って照合し、全体を俯瞰して調査し、そこから導き出した事実は『神とその息子、地上の王トースマの哲学』と題した別の本に収録されました!
- この本の写本が作成され、アラビーニャ、ヴィンデュ、ジャフェス、パーシー、へレスト、ユーロパの地の神の司祭に送られましたが、原本はオシリスの神殿の聖なる部屋に保管されました。
- トースマは全人類に英知を授けることに尽力しました。そして彼の在位中、エギュプトの地に学問を修める77の大学、予言を修める12の大学、哲学を修める200の館、7つの修道会、3,000の自由な学校、そして人類の救世主オシリスに供物を捧げる4,000の館を建てました。
- 神のオベリスク340本、デユスへの凱旋門30本、創造主へのオアンヌ4,000本を磨かれた石の台座に置き、街角に配置しました。
- トースマの治世の間、死の催眠状態になり、霊魂として浮遊する能力を持った4,000人以上の男性と300人の女性が精通者の地位に昇格しました。そのうち700人以上が30年以内にピラミッドの聖なる部屋の機能を試すことが許されました。
彼らの霊魂はオシリスの天界へと導かれ、そこで何日も逗留した後、無事に肉体に戻りました。
部屋の位置のお蔭で意識を失っている間、肉体への影響は何もありませんでした。 - こうしてトースマは、かつて地上で暮らした人間の中で最も賢く偉大な人物の一人であることを証明しました。
彼は神々が語る全てを信じ、自分がトースの生まれ変わりであると信じ、肉体は決して死ぬことがないと信じていました。 - 偽神オシリスは僕の神エギュプトを通してトースマにこう言いました。
「人間に関する天地の法則はこうである。全人類は不滅の肉体を完成させるまで、何度も輪廻し、やがて人間は精通者として完成すると、その者は自分の望み通り、地上に留まったり、昇天することが可能になる。
それ故にあらゆる知識の中で、『精通』こそが最も偉大なのである」 - トースマは新たな創造は存在するのかと尋ねました。
悪魔がオシリスを唆し、こう言いました。
「否、汝の霊魂は大地のように年老いている。最初は小さく丸く、マスタードの粒のようにただの霊魂であった。そしてこれらの群れが全ての不可視の存在を構成している。その一つが懐胎して根付き、それが始まりとなる。蛙、驢馬、回虫、ライオン、小さな這う物がこの世界に生まれ、その時を生き、死んでいく。そして霊魂は再び別の子宮へと戻し、低知能で邪悪な人間として生まれ変わる。その者は生き、再び死ぬが、再び別の子宮へと戻り、再び別の人間として生まれるが、今度は賢く、それほど邪悪ではない。
これが何百、何千世代と続く。しかし精通した者は自分の肉体を地球から産み出す力を持っており、その者が他人の悪徳を体験する必要はもはやない」 - トースマは信仰においても賢明でした。なぜなら彼は年老いて肉体が衰え、目が虚ろで曇るようになり、手が萎えていくのを見て、彼は神々に問い掛けたからです。
「神よ、私はあなたが私に真実を教えてくれたことを知っています。
私は思考や自分の自惚れの心がもたらす好奇心に対して抑えられずにいます」
オシリスは言いました。
「王よ、話すがよい!」 - トースマは言いました。
「私の意思の力や多大な学識を全て使っても、この肉体の衰えを食い止めることができません。それ故、もしもミイラのように既に乾涸びてしまい、私の意思の力ではどうにもならなくなった場合、その状態でさらに衰弱したらどうすればよいのでしょうか?」 - 悪魔はオシリスを唆して、王にこう答えさせました。
「汝はさらに衰弱しなければ、己の魂の力を理解できまい」 - ここで王は口を閉ざし、彼は今際の際でよろめきながらも、新たな宮殿の造営を始めました。
王は言いました。
「私はこの肉体を不死の肉体へと変えた後、ここに戻り、永遠に暮らす。そして私は精通し賢く欠点のない者たちに囲まれるであろう。
そしてこれが地上で建設される王の最初の植民地となろう。 - しかしその後、私はこの地上全土を不死の肉体に変えていくまで、同種の植民地を数多く建てて、さらに増やしていく。私の王国はそのような者たちの住処となり、地上の全ての男女は私を万物の主として戴くであろう」
- トースマと神々の全ての叡智を以てしても、彼は100歳になった日に石の上に倒れ、突如、亡くなったのでした。
【51章】
- トースマが完全になくなると、司祭たちは遺体を神殿へと運び込みました。彼らは王の霊魂が天界から戻り、その肉体を腐敗から、永遠の生命を持つ不朽の肉体に変えると完全に信じていたのです。
彼らは神々が事前に計画していた場所に遺体を安置すると、人類の救世主である偽神オシリスの命令に従い、その場に封印しました。 - オシリスは言いました。
「私を信じる者は永遠の生命が保たれよう。その者は肉体を喪失しても再び手に入れる。
腐敗した肉体は瞬く間に変化し、そこに宿る霊魂と共に永遠の生命を持つ不朽の肉体となろう」 - 5日目、司祭たちは部屋を開けました。奇跡の法則に従えば、その日、霊魂は偉業を達成するはずだったからです。ところがどういうことか、霊魂は現れず、遺体は冷たく死んだままでした。
しかし神々はサルギスの姿で現れ、司祭たちにこう言いました。
「遺体を5日間、封印せよ」
司祭たちは命じられた通りにした後、彼らは再び遺体を調べましたが、復活していませんでした。
彼らは再びもう5日間封印するように命じられ、それを実行しましたが、やはり復活しませんでした。 - 当時、大司祭であったホアカはこの件についてオシリスに質問しました。
オシリスは僕の神エギュプトを通してこう答えました。
「血が温かく、生きている若者1名連れて来るように。その者は精通者の7番目の息子となり、自死する方法を知っていよう」 - 司祭たちは24歳のシャイアンを連れて来て、聖なる部屋に入ると、王の魂のため、自死するように命じられました。そこでシャイアンは自ら命を絶ち、王の遺体と共に死の部屋に5日間封印されました。
5日後、司祭たちは指示された通り、2つの遺体を聖なる部屋へと運び込みました。オシリスが来て司祭たちに遺体の周りに立つように命じると、オシリスの王国から天使が来て、王の遺体を運び去り、シャイアンの霊をシャイアンの遺体に宿らせて定着させると、その霊魂をトースマの霊魂が復活したと信じ込ませました。 - ホアカは神々に言いました。
「トースマの遺体は何処にありますか?
姿を変えてしまったのですか?」
神々は答えました。
「天界に行き、何日かしたら戻って来よう。されど王の霊魂は見よ、汝らと共にいる」
司祭たちはシャイアンに話しかけると、彼をトースマと信じるようになりました。
3日後、彼らは神殿から出てきて、シャイアンをトースマ2世として戴冠させ、彼らは一連の出来事を真実だと公表しましたが、彼らはそれが真実ではないと知っていました。 - 死後、トースマの霊魂はアゴアデンに連れて行かれ、オシリスの天界の僕の中に組み入れられ、奴隷にされました。
そしてシャイアンはエギュプトの王となりました。 - さて、偽神オシリスとその仲間についてですが、彼らは決してトースマの霊魂を転生させようとはしませんでした。しかしトースマの美徳と叡智を利用し、オシリスを最高神として地上に永遠に定着させようとしていました。
- トースマの跡を継いだエギュプトの地の王国についてですが、地上の住人は重要な分野についての知識を持っていました。何百年もの間、エギュプト人は世界で最も博識で、特に星、太陽、月や、精通術、奇跡に関する知識に優れていました。
- しかし彼らに惨事が降ってきました。エギュプトの地に何億ものドルジャが溢れ返ったのです。
エギュプトの民の主な望みは、死後、霊魂として復活し、定命の人間と共に暮らすことでした。その後に起きた出来事についてはとても口にできないものでした。 - それだけで十分でしょう。この霊魂は地上で暮らすことよりも高尚な天界での暮らしを完全に見失っており、地上での暮らし以外のことを知らずにいました。彼らは子供が生まれると憑りつき、生来の霊魂を追い出し、生まれたばかりの新たな体で成長し、自分を転生者だと呼びました。こうしたドルジャたちは、かつて地上で生きていた頃は偉大な王や女王、あるいは哲学者であったと公言していました。
- 彼らは自分たちの管理者である偽神オシリスが「地上よりも上位の天界は存在せず、人間は肉体が不死になるまで何度も転生する必要がある」と教えたことを人々に教えました。こういった霊魂は将来の霊魂を完全に追い出したわけでなく、多くは単に同じ体に寄生しただけであり、その者が生きている間、この霊魂は昼も夜もこの肉体と共に生き、憑りついた人間以上のことを知らずにいました。
そしてこの者が死ぬと、ドルジャは別の子供に寄生し、同じように共に暮らし、これを何世代も続けたわけです。 - そしてこの放任のせいで多くの霊魂がエジプト人の家族にサルギスとして現れ、彼らと実体的に飲食し、さらに口にするのも憚られるようなことを行いました。その結果、悲惨な病気が定命の人間の肉体を襲い、彼らの血肉に害虫が棲み着くようになりました。
人々は怠惰な浮浪者となり、土地は耕されず、学問の場は荒廃した廃墟と化したのです。
【52章】
- エジプトの地についてはこれで十分でしょう。パーシーとヘレステについては、オシリス、バアル、アシュタロスの支配に関することで主要なのは次のことです。
- 信仰者や羊飼いの王、リスティア人への迫害のため、彼らは数百年間、パーシーやヘレステに逃れ、都市を作り、王国を創設しました。
- 彼らは誰も主神や神、デユスを受け入れませんでした。なぜなら大部分の人々は偉大なる霊魂を崇拝していたからです。しかしながら彼らは純粋な信仰者ではありませんでした。彼らは戦争に従事し、ラバを統治者とする共同体の中で生きようとせず、戦士の様式で暮らしたからです。
- バアルと会アシュタロスはこの民を定命の人類の救世主であるオシリスに服従させる使命を帯びていました。
バアルとアシュタロスは彼らが偉大なる霊魂を崇拝していることに着眼し、最終的にはジャフェスのティインやヴィンデュのスドガと同様に互いに戦わせて滅ぼすことを決めました。そこで彼らはオシリスに戦天使の軍勢を要求しました。
オシリスは次に挙げる天使の大将軍と上級隊長を彼らに与えました。 - ジャ、アポロンヤ、ペトリス、プルトンヤ、ヒラム、ベン、ユーベ、アリジャ、アレス、サウォン、トゥクロノ、アルフォディーテ、アルゴ、オイベ、ナダル、アベル、サイド、アルテミス、ヤクタロス、ワブ、ジョシュとハウル、その他、以下のティインとスドガからの脱走兵がいます。
クルー、ジョン、イサア、ヤムヤム、ルス、バー、ホテ、キドム、アテナ、ヒラ、オケヤノス、ヘルメス、ポセイドン、ウラナ、ヘセ、ツゥオドス、ラクロム、ミカク、トル、タエス、ウォウォウスキ、スル、アラヤクスとヘスモイン。 - バアルとアシュタロスは、上述した将軍と隊長をそれぞれ順番に籤引きして均等に分け合いました。オシリスはバアルとアシュタロスにそれぞれ5億人の戦天使を与えました。この武装した戦団は地上に降臨し、パーシーとヘレステの忌まわしき地域に降り立ちました。当時、地上のこの大管区は多くの国家や王国が割拠していました。
- 王国は土地の大きさではなく、中央に貢納する都市の数でその国力が算定されましたが、1つの都市しか有していない王国もありました。
- バアルとアシュタロスが滅ぼそうとした大都市は、以下の通りでした。
・5つの従属都市を持つスヤン
・2つの従属都市を持つラカオ
・8つの従属都市を持つハングン
・3つの従属都市を持つワアス
・6つの従属都市を持つラウガ
・6つの従属都市を持つトル
・5つの従属都市を持つサン
・4つの従属都市を持つトス
・6つの従属都市を持つトロイ
・2つの従属都市を持つアベド
・12の従属都市を持つアテナ
・4つの従属都市を持つヘス
・12の従属都市を持つイトゥナ
・10の従属都市を持つファド
・7つの従属都市を持つトゥナ
・7つの従属都市を持つワケト
これ以外にも従属都市を持たない多くの大都市があり、それらも滅ぼすことが決められました。 - こうして開戦した最初の大都市はハウグンとロウガであり、アシュタロスはハウグンを選び、バアルはロウガを選びました。
- この2つの都市は400年以上の歴史を持ち、従属都市を除いてそれぞれ50万人の住民がいました。ハウグン王トジャクはソーマの息子で、降霊術者アティスの息子でした。
ロウガ王トゥルウェアは哲学者バウンの息子ディアの息子でした。 - バアルとアシュタロスは天界から軍勢を率いてこれらの都市付近に降り立つとそこで待機し、ゾエ山に仮の王国を建てました。
- バアルはアシュタロスに言いました。
「なあ、お前が都市を選んだのだから、今度は俺に最初の攻撃をさせてくれないか?」 - アシュタロスは言いました。
「この戦いはあなたの土俵でいいですよ。それでも私が勝ちますが。さあ、ロウガで準備なさい」 - バアルは夢の中でトゥルウェアの下を訪れ、息子をハウグンの民が待ち伏せしていることや、さらにトジャクがトゥルウェアを襲撃し都市を占拠しようとしていると語りました。
トゥルウェアは目を覚ますと夢のことで悩み、この件について神託にお伺いを立てました。神託を握っていたのはアシュタロスであり、彼女は王にこう答えました。
「汝は信仰者の子孫である。何故に夢を恐れるのか?
汝の夢に気を付けよ。汝の息子に伝えてはならぬ。なぜなら今日、彼は狩りに出掛ける。汝が言葉を掛けてしまうと、起きるはずのないことが起きてしまうかもしれぬ」
王は立ち去りましたが、アシュタロスは王に霊魂を遣わし伝えました。
「汝の息子を注意するのは賢いことです」
そこで王は息子に警告しました。 - そこでアシュタロスはトジャクの妻の下に行き、ロウガの王子が一見、狩りに出掛けたような夢を見させましたが、ハウグンに近づいたのは全く別の目的があったわけで、それは自分と夫を殺害する他にないと考えました。
女王は突然目を覚ますと、恐怖に駆られ、王に自分が見た夢を伝えました。
トジャクは言いました。 - 「愚かな女よ。お前の心臓を巡る血が病んでしまったため、こんな愚かな夢を見たのだ」
トジャクはその話を聞き入れませんでした。
翌日、天使が女王の下にやって来て、彼女が夢で見た場所に召使を遣わすようにお告げし、彼女はそれに従い、自分の召使に槍で武装させて、事故を装って道すがらやって来た者を殺すように指示されました。 - こうしてトゥルウェアの息子は殺害されました。
トゥルウェアは神託にお伺いを立てるとアシュタロスがそれに答えました。
「汝は何故に私に慰めてもらおうと来たのか?
息子が死んだのは汝の過ちゆえではないのか?
私は汝に『汝の夢のことを息子に伝えるな』と。なぜならそういったことが現実のことになるのはよくあることだからだ」 - トゥルウェアは言いました。
「アポロヤよ、私は叱責されて然るべきことをした!
だが教えてほしい、全てを知るあなたであれば、私の夢の一部が現実のものとなった以上、それ以外の部分も、つまりトジャクが私の王国を占領しに来るというのもそうなるのではありませんか?」
アシュタロスは言いました。
「もしも私が話したら、汝はそれを誰かに漏らすだけで、自分の身を守ろうと何もしないでしょう」
トゥルウェアは神託に従うと誓いを立てると、彼女は王子を喪った痛手を穴埋めするべく、トジャクに全軍で行軍するように命じました。 - こうしてロウガの町に対するアシュタロスの役割は終わり、彼女は次にハウグンに向かいました。一方でバアルはロウガを支配し、天使の軍団をロウガの民の下に遣わし、皇子殺害を理由に民を狂乱させました。
- 一方、アシュタロスはハウグンの神託を掌握し、自分の戦天使を町の民に遣わし、王子が狩りではなく王と女王を殺すために来たのだから、王子殺害は正当であると伝えました。
さらにアシュタロスはトジャク王に言いました。
「私の誠意について試してみるがよい。さあ、2日後、トゥルウェアの軍勢が町の門にやって来よう。汝は敵軍に備えて撃退するがよい。さもなければ汝の町の壁は灰燼に帰してしまうだろう」 - 当然ながらアシュタロスの予言は現実のものとなり、トジャクは神々の加護を受けていると信じるようになりました。
女王は言いました。
「重要な話があります、王よ。私は召使に王子を殺すように命じていました。なぜなら神々がそうしなければ私とあなたの命を守れないと言ったからです」 - トジャク王は女王の行いは正しかったと思い、こう言いました。
「お前は私と自分の命を守ったのだ」 - こうしてロウガの神バアルは定命の人間の軍勢をハウグンの町に向けて出陣させ、一方でアシュタロスは決戦のためハウグンの軍勢を出陣させました。
- こうして定命の人間が棒や杭を使って試合するように、この男神と女神は定命の人間の2つの大都市を使って試合を始め、この勝敗を見るために互いに譲り合い、時には天使の軍団を使って人間たちを鼓舞したり、時には背を向けて敗走させたりしました。神々が饗宴を催したり、人間たちの死の競技について話し合っている間、2つの大都市は少しだけ休息を得ましたが、その後は血みどろの仕事を再開するだけでした。
- 神々と天使たちは4年間で、1日の距離しかない2つの人間の都市を交戦状態にし、両都市の道中には殺された人々の骨で埋め尽くされました。そして4年で彼らは灰燼と帰し、最後の年の民の多くは死の毒に感染し、亡くなりました。
バアルは死闘の末にアシュタロスを打ち破り、彼の民は全員が殺されましたが、アシュタロスの民は幾許かは生き残りました。 - こうしてバアルとアシュタロスはパーシーとヘレステの他の大都市に手を下していきました。2、3都市を滅ぼすのに要した時間は2年から10年と様々でした。アテナとトロイの滅亡は12年、イトゥナとファドの滅亡は11年を要しました。スグンとラカオは開戦から2年、アテナとトロイは開戦から3年を要しました。200の吸血鬼たる淫欲の天使たちがトロイの王子に憑りつき、彼は無謀にもアテナ王女の誘拐を引き起こしましたが、事の真相はバアルの天使の眷属によってアテナの王女に暴露されました。
この大戦争でアシュタロスはトロイア全土を滅ぼすという成功を収め、この試合に勝利を収めました。 - トスとサンの戦争は9年続き、互角の試合でしたが、両都市は民衆もろとも完全に滅ぼされ、その従属都市も同じ道を辿りました。しかしトルの町は内部崩壊で滅ぼされました。なぜなら近くに戦争を仕掛けられる都市がなかったからです。
天使たちは他の地域から死の病原菌を持ち込んで、トルの民の口から吸引させ、彼らの肉体は化膿し、戦わずとも勝手に死んでいったのでした。 - 全都市を滅亡させるのに要した期間は160年でした。その後、パーシーとヘレステは荒廃し、砂漠化し、野生の獣が国中を闊歩しました。
- オシリスは言いました。
「我はエギュプトの地を世界で最も偉大な国にしよう。我が支配地はすぐ近くにある」
悪魔がオシリスに言いました。
「もしもお前がパーシーとヘレステを滅ぼさなかったら、バアルとアシュタロスがお前に反旗を翻し、この地を奴らの王国のものにしようとするだろう」 - しかし悪魔とオシリスはどちらも自分のことを天界と地球の神と自称していたため、ジェホヴィの御手による進軍を阻止するだけの力は持っていませんでした。なぜならジェホヴィは全ての創造物に自由をお与えになったため、オシリスは自分が地球と天界の唯一の支配者であるという考えを定着させようとしていましたが、彼が蒔こうとしていた種はバアルとアシュタロスにも根付いていたのでした。結局、彼らは互いに盟約を結んでオシリスから離脱することになりました。そして地上の領土の分配を巡ってこの3人の神で戦いが起こり、それにティインとスドガも加わったのでした。
【53章】
- ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私は人間を善悪の知らない無垢の状態で創造し、人間に自由を与えました。
そして私は死者の霊魂についても同様に自由を与えました。しかしこの霊魂は自分を神と称して彼らのやり方で定命の人間を自分の栄光のために利用しました。なぜなら彼らは、自分たちが監視する天使が啓示を下すことで、定命の人間を善にも悪にも、戦争にも平和にも、美徳にも欲望にも変えられることに気付いたからです。 - しかし私はこのような状況に対して自由を損なわずに済む対処法を用意しており、それは定命の人間の魂を巡って争う神々が最終的に自分の天界の王国を衰退させて滅亡し、天使と定命の人間をその束縛から逃れられるようにすることです」
- そしてこれはその通りになりました。ティインとスドガ、オシリスは定命の人間と共に戦争と策謀を巡らしている間、『堕落した下天』における支配権を巡って蠢動し、互いに相手を破滅させようと企んでいました。
こうして2つの天界で三つ巴の戦いが勃発し、100億人の戦天使が何百年にも亘って戦いを繰り広げました。なぜなら、定命の人間が実体的な戦争を行うように、天使もまた霊的な戦争を行うからです。とはいえ彼らは互いに殺せませんが、拘束し、奴隷化し、互いに地獄に放り込み、無限の業火で取り囲み逃れられないようにできるのです。そして戦争を仕掛けた神々は敵を捕虜にするため軍勢を送り出し、捕縛された臣下に降るか、拷問に掛けられます。
何億という強盛を誇るこの戦天使の軍勢は別の地域から臣民や強奪した全ての資源を持ち込んで、別の神の王国に進軍します。しかし時にはこの侵攻軍の遠征が行き過ぎると捕縛され拷問に掛けられてしまいます。そこで堕落した下天の神々は定命の人間に教えた自衛手段を、今度は自分の王国にも展開し軍隊を壁のように配置するのです。そして彼らの敵はこの軍隊を撃破する手段を編み出し、突撃し、強奪し、滅ぼそうとします。 - 狂乱の時代において、ジェホヴィの天使の言葉に彼らが耳を傾けることはありません。定命の王が戦争をしている時に、誰かが彼らに『ジェホヴィは平和の象徴である!』と言ったところで、彼らはジェホヴィと平和を憎むのと同じように、戦闘中の天使に対してジェホヴィの聖なる者が平和と愛を掲げて介入すれば、彼らは脅迫したり呪うことでしょう。
- 治癒の香油が効力を発揮する前に熱病や潰瘍が深刻化するように、彼らが自分たちで蒔いた収穫物に囲まれ、力なく倒れるまで、神々が自分たちの領地で暴れるのをジェホヴィは見過ごしていました。なぜなら地上で生まれようが天界で生まれようがどの男女にも、他に何もなければ自分を創造した強大な力の存在を知らしめる悲惨な災厄がその者に襲い掛かり、苦悶のうちに何もできずに打倒されるその時が来るからです。そしてその者は自分を全人類が嘆願する声の方へと安全に導いてくれる救いの手を憐れにも懇願するのです。そうして彼は耳を傾けるようになるのです。神や主神、救世主、救うと公言した息子から離脱し、御父の前で直立し、創造主を知り、平和、愛、理性、真実を進んで学ぶようになるのです。
- ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私は全ての魂に扉を作り、その中で私の光は輝きます。そこで私の声は聞こえます。しかし彼らは背を向け、外から話し掛けてくる者たちに続こうとし、その結果、彼らは蛇に噛まれ、毒に冒され死に至るのです!」 - 地上の人間がこう言いました。
「ジェホヴィよ、私はあなたが魂に語り掛ける極めて小さい声など聞き取れません。
私は戦争に導き、大音量の騒音と暴力的な誓いで以て死の行為を高徳な商売としている王に従います。
ジェホヴィよ、私を支配するのはあなたではなく、華麗なる王です。見てください、私は王の大軍に組み込まれるか、王に望まれるまま死をもたらされるかです。なぜなら彼は私の救世主であり私の守護者だからです。王が信じる神は私が仕える神です。王が信じる主神は私が仕える主神です。王が信じる救世主は私が仕える救世主です。
私は血と英雄的な虐殺で以て、私の忠誠を証明します」 - 堕落した下天の何十億もの天使も同じようなことを言いました。
「私の魂に語り掛ける極めて小さな声ではなく、とても神聖で腹這いでしか近づけないあちらの華麗な神に私は従います。彼は私の主神であり救世主です。彼の戦闘は私の戦闘です。彼の敵と共に堕落した下天の地獄を世話するのが私の仕事なのです」 - ジェホヴィはこう仰せになりました。
「闇や悪を選ぶ者たちにも私は自由を与えました。なぜなら守護者や指導者は全員が王であれ、神であれ、主神であれ、救世主であれ、それがただの罠に過ぎず、遅かれ早かれ他人のために作った地獄から這い上がるため彼らから逃げ出さなければならなくなることを来るべき時に経験で学ぶからです。
彼らが私を遠ざけたり、私の人格を否定したり、私を風のように無意味な存在と言ったりしても、私は彼らとの関係を断ちませんでした。しかし彼らは自ら私の下から離れていき、苦悩に陥ったのです。 - 私は実体界の人間に対しても霊体人のように近くに存在します。彼らに王や神であること、そして王国の栄光を築くことを拒ませなさい、そうすれば彼らは私を支持するでしょう。なぜなら私は常に臨在しているからです。全人類は地球にあっても天界にいても、そのことを実行するべきです。
私の王国は暴力でもなく、戦争でもなく、全ての魂の自由によってのみ築かれます。平和と愛を実践し、他人に自由を与える者は私に選ばれし者です。彼らは永遠の復活の道を歩んでいる者たちなのです」
原文:OAHSPE – The 1882 Edition (English Edition)
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