「善」とは何か?――創造主が示す真の成長
ザラツゥストラはイフアマズダに尋ねました。
OAHSPE-20『神の言葉の書』9章-17-20
「悪は悪であり,善は善ですか?」
イフアマズダは言いました。
「悪とは人間には悪だが,オーマズドには悪ではありません。善は人間には善でも,オーマズドには善ではありません。
オーマズドの前では2つの状態があるだけです。悪とか善とかではなく,成熟か未熟かです。
オーマズドにとって,人間が悪と呼ぶのは『未熟』であり,善と呼ぶのは『成熟』なのです。
イフアマズダは説明を続けました。
「ザラツゥストラよ,理解してもらうために,混乱しないために,あなたは『悪』は『悪』と,『善』は『善』と呼ぶべきです。
聞いてください,私の息子よ。
緑の果実がなければ,どれも成熟しないでしょう。
悪がなければ,誰も善にはなれないでしょう。
オーマズドは全ての創造物を『善』として創造しました。しかしそれでどうなったかと言えば,『何も起きなかった』のです。まるで死んでいるかのように何も動かず,何もないかのようにそこにあったのです」
オーマズドが外に向かって息を吹きかけるとどの生物も動きました。前に進む者は『完全なる善』であり,後ろに残っている者は『完全なる悪』です。
このように創造主は『善なる創造物』イフアマズダと『悪なる創造物』アンラメイニュアスを創造したのです。
この文章は、ゾロアスター教の開祖ザラツゥストラと、神イフアマズダの対話から引用されたものです。
「悪とは何か?」という問いに対して、創造主の視点から示される答えは、「成長しない者」です。
ここでいう成長とは、実体界(物質世界)における肉体の成長ではありません。なぜなら肉体は、いずれ消滅してしまうものだからです。
創造主が求めているのは、不滅の霊魂の成長です。霊魂として成長しない者は「悪」、反対に成長を重ねる者は「善」とされます。
たとえば、何もせずに飲食や快楽だけを追い求め、霊的な成長をしないまま死を迎えたとします。そうした人が昇天したとき、生まれたときと比べて霊魂の階級がまったく変わっていなければ、「この世に生まれた意味があったのか?」という疑問が残ります。そのため、創造主の観点からは「悪」とみなされます。

また、他人を蹴落とすことばかりして、策略に長けたまま亡くなった人がいたとします。その人が霊魂として成長しているかというと、おそらくそうではないでしょう。なぜなら、神の使命は「人々が男神・女神となろうと志すまで、一歩一歩成長させていくこと(OAHSPE-19『フラガパッティの書』24章〜28章)」にあるからです。
この視点に立てば、策略に長けている者が他人の成長を阻害している場合、霊魂としては「成長していない」ということになります。つまり、いくら頭の回転が速くても、人々の成長に貢献しないのであれば、それは「悪」と判断されるのです。
人生の目的のひとつには、「人々の成長を促す存在になること」があるのだと思います。そして、それこそが「善」の在り方なのだと、私は感じます。
参考文献, 使用画像
図書 | 著者 | 出版社 |
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OAHSPE ”A New Bible in the Worlds of Jehofih and His angel embassadors.” | John B. Newbrough | OAHSPE PUBLISHING ASSOCIATION |
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