本書は、ジェホヴィの息子リカの時代における信仰者たちの3大指導者カピーリャ、モーセ、チンの歴史です。上界の書(リカ)が天界に関するものだとしたら、下界の書(ボンの弧)は、神の統治における地上の出来事を主に扱っています。
【1章】
- ヴィンデュのヤティンハダッタの上級国にあるダーマの山で、ジェホヴィの息子である神は、離散してしまった信仰者たちを集め、安全と繁栄を確立させるため、カピーリャの一族を選びました。
- カピーリャの時代から遡ること6世代前、神は天界の聖なる丘に降臨し、現在ヴィンデュと呼ばれるセムの地に降り立ちました。
- 神は領内全土に大声で呼びかけましたが、誰一人その声を聞く者はいませんでした。
- そこで神は天使たちを呼び寄せてこう言いました。
「ここに来て見てください。ここには何百万人も住む大国があるのに、彼らは神の声を聞くことができません」 - 神は天使たちに定命の人間たちの下に降臨し、6世代にわたって彼らと共に住むように命じました。
- 神は天使たちにこう言いました。
「神の声にとって都合が良いように、あなたたちは啓示やそれ以外の方法で男女が夫婦となるように導きなさい。私は御父の信仰者を救済するため、私の声を聞くことができる1人の人間を育てなさい」 - その時、天使ヒラタクスを指揮官に50万にも及ぶ神の天使たちが地上に降臨しました。ヒラタクスは天使の眷族をいくつかのグループに分けてそれぞれヴィンデュの特定の場所を割り当てて、そこで暮らし、任務に当たらせました。
- 当時、信仰者たちはヴェーデ、パーシー、ヒヤ、シアッタホーマといった名で知られていましたが、その他にも特記されないような様々な名前で呼ばれていました。
- 彼らはある場所では奴隷であり、ある場所では農奴、そしてまたある場所では荒野や山中に隠れ住んでいました。彼らは無抵抗で臆病であり、ディアスやその他の偽神や偽主神の偶像崇拝者により激しい迫害に遭っていました。
【2章】
- カピーリャの誕生に至るまでの離散した部族の系図は次の通りです。
- 主神の子ブラフマーの系譜において、ハティヴはルノアドを生み、ルノアドはヤイドを生み、ヤイドはオヴァラナを生み、オヴァラナはチェサムを生み、チェサムはホッタヤを生み、ホッタヤはリヴィアトを生み、リヴィアトはドールを生み、ドールはアヴラを生み、アヴラはルタを生み、ルタはジェイムを生み、ジェイムはヤンハドを生み、ヤンハドはヴラヴィシャを生み、ヴラヴィシャはホアミヤを生み、ホアミヤはウォチャを生み、ウォチャはサラッタを生み、サラッタはフリヴィースタを生み、フリヴィースタはサマトラヴを生み、サマトラヴはガトナットを生み、ガトナットはトゥリンを生み、トゥリンはヴリサガを生み、ヴリサガはヘセムウォッチを生み、ヘセムウォッチはラタを生み、ラタはヨシュオルヴァトを生み、ヨシュオルヴァトはカピーリャを生みました。
- 神の聖天使たちを通して神の道を知り、神の啓示の光の中で役立てなさい。
- カピーリャは生まれながらの無性者であり、また生まれながらのスイスでもありサルギスでもありました。
- 神は言いました。
「ご覧なさい、人間は自分の農園で種なしの果実の栽培を学ぶだけでなく、全ての果肉が『不毛』という同じ方向に向かうことも学ばなければなりません」 - 人間がジェホヴィの光に近づくにつれ、その種族の子孫は少なくなります。そして人間が『あらゆる光』と一体となる時、ご覧なさい、その者もまた無性者となるのです。
- 神は言いました。
「減食と断食によって、無性者でない多くの人々でさえも無性者に到達することは可能です。しかし、生まれながらの無性者は、ジェホヴィの道にさらに近づくことができるのです」 - カピーリャが生まれた時、彼の頭上に三日月の光が現れ、その光の中から神の声が聞こえてきました。
「この子は私の息子です。この子により、私は私の民を迫害してきた暴君たちの政府を倒します」 - カピーリャの母が身籠っていた時、大天使ヒラタクスの指揮下にあるジェホヴィの天使たちは、昼も夜も聖なる思いを巡らしながら彼女を守護していたため、母親の心はいつも天上のことを想っていました。
- カピーリャが生まれると、ご覧なさい、ヒラタクスは144人の天使の眷族を任命し、昼夜を問わずその子と共にいるようにしました。そして守護天使たちを4つに分けて、6時間毎に交替で監視に当たらせました。
- こうして神の天使たちはカピーリャに生まれた時から教育を施したので、カピーリャは他のすべての子供たちよりも賢くなりました。
- ところで、神が創造主の栄光のために諸国を統治する方法について、この救出の歴史を考えてみてください。
- ジェホヴィは、ヴィンデュの王の権力が、ハフガニスタンの王ヨコヴラナに集中することを許しました。ヨコヴラナは首都オブロウスキの王であり、ディアスに捧げられた大都市でした。ヨコヴラナは自国に貢納する40の州と400の都市を持っており、各都市はそれぞれ1人ずつ統治者がおり、ヨコヴラナ王の王室評議会は彼らで構成されていました。
- ハフガニスタンの法律では、最年長の男子の相続人が王位を継承しました。しかし王に男子の相続人がいない場合、王の長兄の男子が相続人となり王位を継承しました。そのため、どの王も男子を望みましたが、ヨコヴラナはジェホヴィの天使であるルーイの計画によって阻まれました。
- ルーイ長ヒラタクスはこう言いました。
「ジェホヴィよ、私はあなたの後継者を育てるだけでなく、あなたの栄光のためにその敵をも支配してみせましょう。私は啓示を下して、王の中の王と不妊の女と結婚させます。王には後継者が生まれないので、彼は迫害され追放されている信仰者たちを救う私の手駒となることでしょう」 - 当時、偉大なる霊魂オーマズドの崇拝者の子孫は教育を受けることを禁止されていました。それは、選ばれた民である信仰者たちの中から学識のある人物が救済に現れることを恐れたからで、彼らを無知の中に閉じ込めておくためでした。ジェホヴィの天使は、カピーリャが学識のある人物であり、各都市や王室会議に顔が利くようになることを予見していました。
この件に関して、天使ヒラタクスは、子供がいない大王ヨコヴラナは王位継承者となる後継者を望むであろうと予言しました。 - 王が神託を伺うと、見てください、ジェホヴィの天使たちが王にこう答えました。
「妻を暗い部屋に9ヶ月間閉じ込めておきなさい。そうすれば、彼女は男の子を産むでしょう。その子はあなたの弟の子供から王位を守ってくれることでしょう」 - 王は、出産期が終わろうとしていた王妃にそのことを伝えましたが、王妃は信じようとしませんでした。それでも王妃は神託にお伺いを立てると、ジェホヴィの天使はこう言いました。
「王は王位継承者を得ようとして、今まで妻を殺してきたのではありませんか?」 - 王妃は頷くと、こう続けました。
「確かに私は子供が産めないことが分かっていますが、どうしたらよいでしょうか?」 - 天使は言いました。
「王の仰せの通りにしなさい。そうすれば、天使たちがあなたが閉じ込められている暗い部屋に男の子を連れて来ます。あなたの侍女と召使いたちには、他の女性があなたの部屋に入ってこないように見張りをさせなさい。そうすれば、その子があなたの子であることの証拠となります。
また、死刑に処せられる恐れがあるので、このことは王に告げてはなりません」 - 一方で、ジェホヴィの天使たちはカピーリャの父母に、カピーリャが生まれる前から、その子が連れ去られ、最も憎まれ残虐な人物として知られるヨコヴラナ王に引き渡されることを予言していました。
天使たちはさらにこう言いました。
「あなたたちはその子を失っても悲しんではいけません。なぜなら、オーマズドはその子を民衆の救世主とするからです。それにその子が王妃に渡された日に、その子の母親が乳母となります」 - これらは実行され、カピーリャが生まれると天使たちは天使たちは彼をオブロウスキの町へと連れて行き、そこにあった王宮へと運び込み、暗い部屋の中で王妃の腕の中に抱かせました。
そしてこの瞬間、天使たちは部屋を照らすと、侍女や召使いたちは誰もがその子とその光を見て驚愕し、その場に平伏し、ディアスの庇護を求めてお祈りしたのでした。
【3章】
- ヨコヴラナが神殿へ生贄を捧げに行った時、大司祭はヨコヴラナにその子と王国のために神託を伺うようにお願いしました。ヨコヴラナが神託を伺うと、オーマズドの天使たちがこう告げました。
「王よ、万民から畏敬される汝は王国とカピーリャのために天界の天使たちの言葉を聞き、賢明に行動しなさい。
ご覧なさい、汝は先祖の慣習を守り、12番目の新月の時、毎日、神ディウスの祭壇で12人の若者と12人の乙女を殺害したのは、血によって汝が仕えし神が地上で勝利し、汝が最も恐れられる王となるためでした。それにより汝は、自分と自分が定めた法を崇めさせるために、あらゆる豊穣な地域を征服しました。 - それゆえ、天界の神は汝に告げます。
汝はもはや人間の血を供えてはなりません。その代わりに『汝の神の子羊』と呼ばれる子羊の血を祭壇に捧げなさい。そして、供物を捧げる最初の日にカピーリャを祭壇に連れて行き、汝の神への血の供物として、汝が屠った子羊の血をその頭に振りかけなさい。その子は天界の子羊『カピーリャ』と呼ばれるでしょう」 - これに同意した王は、カピーリャを王の祭壇に連れて行き、生贄として捧げられた子羊の血を振りかけました。これはヴィンデュの邪悪な神々による邪悪な布告に終止符が打たれた最初の瞬間でした。それ以降、王たちはこれを受け継いでいき、人間はもはや神々に生贄として供されることがなくなったのでした。
- カピーリャはヨコヴラナの息子と呼ばれ、当時君主に教えることが許されていたあらゆることを教えられました。また、王になるための準備として、ヴィンデュの国のすべての従属都市や国王や知事と面識を持たせました。
- カピーリャに関する以下の啓示については、全てにおいてジェホヴィ(オーマズド)の天使たちに導かれていたことを知っておいてください。
- カピーリャは成人すると、王に旅の許可を願い出ました。
「最も偉大な叡智とは、目や耳から得られるものではないででしょうか?
将来王となる者は、若いうちに王国をよく知っておくことが賢明ではないでしょうか?
そうすれば、年老いてから見聞を広めるだけでなく、統治の本質的なところ、つまり民衆にとって最も必要なものは何なのかを考える時間が得られます。 - これに対して王はこう答えました。
「息子よ、お前はすでに賢い。古の法について、お前は地球とその民について十分詳しい。それなのに知恵を求めて旅をするのは大きな愚行である。お前の目と耳は鋭敏すぎるのだ。お前にとって王国の民を見ない方が良かろう。
お前はいずれ彼らに厳しい仕打ちをせねばならぬ時が来る。それゆえ、彼らのことを知らないからと言って、お前の優しさが正義から外れることはあるまい」 - カピーリャは言いました。
「王よ、あなたは論理的に物事を判断なさられるお方です。あなたが賢いからといって、私が賢いという保証はありません。
息子の知恵は父から受け継がれるものです。あなたはこのように論理的に私の意見を拒んでくださったのですから、どうかお答えください。
若い王子が強大な王国の心配をする前に、外国に行って世俗の享楽を楽しむのは利益にならないでしょうか?」 - 王は言いました。
「この世には三つの楽しみしかない。一つ目が食べることと飲むこと。もう一つが寝ること。そして三つめが女と過ごすことだ。
それなのに、どうして外国に行かねばならぬのだ?」 - カピーリャは言いました。
「どうして息子を旅に出させたくないのですか。その本当の理由を隠しているではありませんか」 - 王は言いました。
「もし本当の理由を言うのであれば、お前が望むところに行かせてやろう」 - カピリヤは言いました。
「まず最初にお伝えします。あなたが私を拒んでくださったことを大変嬉しく思います。
王よ、私はあなたをとても愛しており、あなたと共にいること以外に喜びを知りませんでした。また、あなたは息子を深く愛しているので、息子が自分から遠く離れることを望んでいないということでしょうか?」 - 王はこの返事に大変気を良くし、こう言いました。
「王子よ、確かにお前の言う通りだ。もしお前が私の下から離れてしばらく旅に出たいというのであれば、私はお前が戻るまでこの淋しさを甘んじて受け入れよう」 - カピーリャは9年間旅を続け、ヴィンデュの地を東西南北の果てまで足を延ばしました。乳母、つまり実の母から、信仰者たちの迫害と苦難についての話を何千回も聞かされていたため、彼は離散した人々についての情報を得ようとしましたが、この時はまだ自分がその種族であることを知らずにいました。
- 9年後、カピーリャはヴィンデュの住民に関する豊富な知識を身に付けてヤティンハダッタに帰還しました。
ヨコヴラナ王の御前に出向き、大歓迎を受けたカピーリャは、ヴィンデュの国について得た知識、その広大さと壮大さ、そして数百の大都市と無数の住民について語りました。
こういった知識に耳を傾けた王は、カピーリャを世界で最も賢明で博学な人物であると宣言しました。 - そしてついにジェホヴィの子である神が降臨し、ジェホヴィへの信仰を確立し、信仰者たちを解放して、定められし場所に集める時が到来したのでした。
【4章】
- ジェホヴィ(オーマズド)の言葉がカピーリャに届き、こう仰せになりました。
「天界の息子よ、『永遠に臨在せし者』の声を聞きなさい!」
カピーリャはこう尋ねました。
「あなたは何を仰せになりますか?
『永遠に臨在せし者』よ?」 - ジェホヴィ(オーマズド)はこう仰せになりました。
「私を見なさい。私は王の法律に属す者ではありません。
私は王を作った創造主です。彼らは『永遠に臨在せし者』なる私に反する法を制定し、私の民を離散させ、私の民が知識を得る権利を否定しました。」 - カピーリャは言いました。
「私の目と耳はこのことを実際に確認しました。あなたの僕として何をしたらよろしいでしょうか?」 - ジェホヴィはこう仰せになりました。
「あなたは奴隷たちを解放し、古代の法に則って、一緒に暮らせる場所を用意しなさい」 - カピーリャは言いました。
「ああ、オーマズド(ジェホヴィ)よ、どうしてあなたの僕の私にこのようなことを課したのですか?
どうしてあなたはこのことをヴリクスの手に委ねなかったのですか?」 - ジェホヴィはこう仰せになりました。
「あなたは信仰者の一族であり、今回のことは生まれたときから用意してきたことなのです。
幼い頃にあなたを世話してくれた乳母を探しに行き、彼女と二人きりになった時にこう言いなさい。
『乳母よ、天の声が私に聞こえました、カピーリャよ、あなたは信仰者の一族である、と。それについて何か言うことはありますか?』と。
すると乳母はあなたにこう言うでしょう。
『息子よ!息子よ!ああ、私は悲しい!
あなたを、あるいはあなたの母を死なせようとでもしているのですか?
そんな定めではなかったはずですが?』」 - カピーリャは乳母のところへ行き、言われた通りに尋ねると、乳母はこう言いました。
「息子よ、息子よ。ああ!
私があなたやあなたの母の死になると思っているのですか?
それが定めではないのですか?」
カピーリャはこう答えました。
「それが定めです。しかし、真実を話してください。そうすれば、ディウスの名と、あなたの神、ジェホヴィ(オーマズド)の御名において、神の御心のままにあなたの言葉を秘密にすることを誓います。
私は養子に出されたヴリクスなのでしょうか?」 - 乳母は言いました。
「あなたは生涯私を愛してくださり、私はあなたを乳房から育ててきました。それなのに、私はあなたの愛を失い、悲しみに暮れて死んでしまうのでしょうか?」 - カピーリャは神々の前で誓いを立てると、彼女はカピーリャにこう答えてました。
「王子様、私はあなたの母です! 『永遠に臨在する御方』の天使たちは、あなたが生まれた瞬間に私のもとにやって来て、あなたを王妃の腕の中に運びました。
そして王は今日に至るまで、あなたが自分の子であることを知りません」 - カピーリャは言いました。
「なぜこんなことが起きたのですか?」 - 乳母は言いました。
「王子様、お聞きください!
王妃は不妊であり、王は王位継承者となる男子を望んでおいででした」 - カピーリャが口を挟みました。
「それで、あなたは自分が生んだ血肉を王妃に献上して、このことを成し遂げたのですか?」 - 乳母は言いました。
「王子様、ご勘弁ください!
私はただ一人の王『永遠に臨在する御方』を信じる一族です!
ですから、真実をすべて理解するまで私の言うことを信じてください。
あなたが生まれる前にオーマズドの天使たちが私のもとにやって来てこう言ったのです。
『ああ、選ばれし民は迫害され、虐待され、散り散りになり、軽蔑されています。しかし、彼らは忠実で最も高潔なため『永遠に臨在する御方』が来訪し救ってくださるでしょう』
そこで私は天使たちにこう言いました。
『それを私に言って何ができるのでしょうか?
見てください、私はただの召使いで、何もできません』 - すると天使はこう答えました。
『あなたは男児を産んだら、その子にカピーリャと名付けなさい。その子はあなたの民の救世主となることでしょう。そのためにはカピーリャに偉大な学問を受けさせる必要があります。しかしあなたの民は偉大な学問を受けることを禁じられているので、その子を王妃の養子とします。王はその子を我が子と信じ、学問と権力を与えることでしょう』 - 私は天使に言いました。
『もし私がジェホヴィ(オーマズド)にお仕えすることができたならば、私の肉や血には何の価値もありません』」 - カピーリャは言いました。
「あなたが私を神に委ねた以上、私は確かに彼の御方のものです」
彼らがまだ話しているうちに、ジェホヴィがカピーリャにこう仰せになりました。
「私は人々に新しい教義を与えるために来たのではなく、私の民を拘束から解き放ち、地上の住民と同じ権利を回復するために来たのです。
カピーリャよ、あなたはこの目的のためにこの世に派遣されたのです。
あなたが信仰者の血統であったからこそ、私の声が届いたのです。 - 王はあなたを自分の息子と信じており、深く愛しているがゆえに、あなたは王の手から逃れることはできません。
さあ、私が導く場所に行きなさい。私が、霊的な手段であなたを導くためにやって来た『永遠に臨在する御方』であることを証明してみせます」 - やがて王子は、王に目的を告げずに家を出発し、ジェホヴィの導きに従ってヴェスタタ川のほとりにあるホサゴウェスに到着しました。そこには森があり、牧草地が点在しており、流浪の4家族の信仰者たちが野営しているのを見つけました。
彼らは飢えに苦しんでおり、ぼろぼろの服を着ていました。 - 王子は彼らが恐れているのを見てこう言いました。
「恐れないでください。私は迫害したり、追い払ったりするために来たのではありません。
この服装で分かるように、私は王子です。だからと言って私をあなたたちを滅ぼすために来た敵だと決めつけないでください。
あなたたちがここに導かれたのと同じ力で、私もまた来たのです。
この土地を永遠にあなたたちに遺贈します。だから、各地を旅するのはもうやめて、この土地を開墾してください」 - ラバのヤティサッカは言いました。
「あなた様は何を仰っているのですか?
あなた様も同じ神によってここに連れてこられたのですか?
それならばあなた様は本当に印と合言葉を存じていますか?」 - カピーリャは言いました。
「そのことについては何も知りません。
しかし、あなたの民の間にはジェホヴィから誰かが遣わされ、選ばれし民を回復するという伝説があります。ですから私はあなたたちに告げます。私がその人です。あなたたちの支配者は私の支配者でもあります。
ラバよ、私を秘密の場所へと連れて行ってください。そうすれば『永遠に臨在する御方』が印と合言葉を与え、私のことを証明するはずです。 - さらに、あなたにこうも予言します。
三つの太陽が昇り沈む前に、あなたの民が何百人もこの地に来訪するでしょう」
ラバはカピーリャを調べ、彼が印と合言葉を持っていることを知って大変驚きました。
王子は木と石を100人が座るのに十分な大きさの三日月形に並べさせました。
カピーリャは言いました。
「これはジェホヴィ(オーマズド)の祭壇です。今夜はここに座りましょう。
御父の声は私と共にあります」 - 昼にはさらに多くの者がやって来て、夜には男、女、子供合わせて100人となり、王子は彼らにエホヴィの祭壇の周りに座るよう命じました。
するとすぐに祭壇の真ん中で声がして、
「この子は私の息子です。預言の通り、私の民を回復するために生まれた者です。
見なさい、私は『永遠に臨在する者』であり、人間の姿や形をしているわけではありません。
私は全ての空間、全ての場所そのものであり、天使たちと人間の霊魂を通して私の意志を行います。
義なる行いと互いの愛を堅持し、他のすべての民に対しても最も公正な行いをしなさい。
太古の昔、私はあなたたちの先祖と共にいましたが、同じように私はあなたたちと共にいる世界を確立します」 - カピーリャは最年長のラバを祭壇長に任命しました。これは、王子から追い払われないと保証された、100年ぶりに組織された家族(共同体)でした。
- 翌日、王子は民を少し離れた場所、徒歩で半時間ほどのところに連れて行き、こう言いました。
「ここにもう一つ祭壇を築きなさい。夜が来る前にこの祭壇にも人が来るでしょう。
『永遠に臨在する御方』のために祭壇を用意しておきなさい」
人々は信仰心に駆られてもう一つの祭壇を築きました。
祭壇が完成し日が沈むと、多くの信仰深い流浪の民たちがその場所にやって来ました。 - カピーリャは彼らにこう言いました。
「オーマズドの祭壇に来なさい。彼の御方は祝福する者すべてに生贄を望んでいるからです」
人々は祭壇の中に入って歌い、神に感謝を捧げてお祈りしました。
ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私はあなたたちに、等間隔にさらに三つの祭壇を造るように命じました。なぜならこの三つの生贄の場に私の民を集めるからです」 - 翌日、高山地帯トゥベトからの襲撃者との戦いが続いていたアナサイオン州から逃れてきた多くの流浪の民がやって来ました。
カピーリャは彼らのためにも祭壇を築き、ラバと大ラバを任命しました。 - 彼らには食料がなく、多くの人々が何日も飢えていました。
カピーリャは民衆の中に自分を疑う者がいることに気付き、こう言いました。
「私を通してジェホヴィを信じる者は、今夜私と共にいなさい。御父が私たちの下に現れてくださるからです」 - その場所には40人しか集まりませんでした。なぜならカピーリャが詐欺師ではないかと恐れていたからでした。
この40人が集まると、カピリヤは彼らを試してみて、彼らが確かに信仰を持っていることを知りました。
カピーリャは彼らにこう言いました。
「輪になって手をつなぎ、立ちなさい。私はその真ん中に立ちます。但し、偉大なる霊魂が私たちに何をしてくださるかは私にも分かりません」 - 彼らが輪を作って立っていると、ジェホヴィが冷たい風を送り、天界からアハオマが豊富に降り注ぎ、それは人々を何日も養うのに十分な量でした。
アハオマが何であるかを知る者は誰もいませんでしたが、それは風味豊かで栄養価も高かったのでした。 - 人々は来てここで食事をしたり、またアハオマを集めて家に持ち帰りました。
カピーリャは彼らにこう言いました。
「オーマズドがこのようなことをなさったのですから祭壇に入り、彼の御方に感謝を捧げなさい」 - 人々は命じられた通りにして、この時からカピーリャへの信仰を失った者は誰一人いませんでした。
カピーリャは人々にこう言いました。
「この地はマクサビと呼ぶことにします。なぜなら、この地は御父がその御手で人々を養われた、世界で最初の植民地(タラグ・アトゥ)だからです」
こうしてその地はヴェーダ語でスタ・チ・チ(私は食物で語る!)を意味する『マクサビ』と呼ばれました。
【5章】
- カピーリャは40日間マクサビに留まり、人々を教えたり支援しました。そして40日目に彼は人々にこう言いました。
「もう行きます。御父が私を求めておいでだからです。
ジェホヴィに忠実であり、生贄(礼拝)を守りなさい。ジェホヴィの目はあなた方に注がれており、彼の御方の耳はあなた方が話す言葉だけでなく、あなた方が心に抱く思いをも聞いています。
後で私はあなたたちの所にもう一度訪れて、儀式と式典を回復します」 - ジェホヴィはカピーリャに言いました。
「ホサゴウェテで行ったように、ティベトキルラテでも行うように。
私はユシトラ州から私に選ばれし民を連れて来ます」 - そこでカピーリャはティベトキルラトに行くと、そこには700人以上の信者が集まっていました。
彼らはカピーリャを恐れ、互いにこう言いました。
「これは我々を罠にかけるために王が派遣した者ではないのか?」 - しかし自分を恐れているのを見て取ったカピーリャはこう言いました。
「オーマズドを信じる者は、天地の何者も恐れません。なぜなら全ての民には御父が割り当てた『時』があり、それは長くしたり短くしたりできないものだからです」
ラバの一人トロトナはカピーリャにこう言いました。
「あなたは本当に私たちの一人なのでしょうか?」
カピーリャは言いました。
「私は私です、それ故にあなたの問いに答えることはできません。もし私があなたと同族であると言ったならば、あなたの民の自由は回復されないでしょう。なぜなら私はあなたの民の『教師』として死を覚悟しなければならないからです。
もし私があなたと同族ではないと言ったならば、あなたの民は私を信じることはないでしょう。 - あなたたちに告げます。
あなたたちと同じく、私はただ一人の人間に過ぎません。
私は純粋でも善でもありません。なぜなら、純粋なのは創造主だけだからです。それ故に、あなたたちはジェホヴィを信仰し、私の言葉と働きが善である限り、他の者と同等に扱ってください。それ以上でもそれ以下でもなく。
しかし、あなたたちが信じている『常に臨在する神』を私は信じています。そしてあなたたちが信じていない『人の姿をした神』を私も信じません。 - 人間は皆兄弟であり、同じ霊魂によって創造されたのではありませんか?
この教義を認めない王たちはあなたたちの民を迫害し、追放します。
あなたたちの民は、私の民でもあり、その民を回復するために、私はこの世に遣わされたのです。
私の責務は重大です。この使命のために、私はあなたたちとその民と共にここにいるのです。 - この周囲の土地を、私は信仰者たちに贈ります。信仰者はここに定住し、開墾し、収穫し、もはや追放されることはないでしょう。
そして時が来れば私は教師を用意し、信仰者たちは知識を得る権利を手に入れることでしょう。 - カピーリャは大衆のために祭壇を築き、こう言いました。
「最初にあなたたちが手にしているすべてのものを神に捧げなさい。なぜなら偉大なる霊魂に捧げる儀式がなければ、あなたたちの民は調和を保てないからです。儀式を怠ることは、すべてのことを怠ることでもあります。
あなたたちは古代人の教義を知っていますか?」 - ラバの誰もカピーリャに答えることができなかったので、カピーリャは言いました。
「オーマズドはあなたたちの僕に多くの学識を与えました。私がここに遣わされたのはそのためなのです。ですからザラツゥストラやブラフマーの時代から続く古代人の教義を知りなさい。 - 日の出とともに起きなさい。
毎日一度体を洗い、肉も魚も食べないように。
日の出、正午、日没、そして寝る前にオーマズドにお祈りしなさい。 - 自惚れたある哲学者はこう言いました。
『日の出から1時間後に起きるのは罪ではない。
7日のうち1日だけ入浴すれば十分だ。血が冷たい魚の肉を食べるのは罪ではない』
ところが見なさい、彼らは2時間床に横たわり、入浴を一切やめ、食事に関しても魚の肉どころか、あらゆる肉を食べるようになりました。
こうして彼らは罪を得て、自分から御父を切り離していったのです。 - 聖書の一節に忠実に従いなさい。『不服』の扉を開く者やその哲学とは一切関わらないように。
- カピーリャは尋ねました。
「どうして人は悪行ではなく善行を行うのでしょうか?
また他の人は善行ではなく悪行を行うのでしょうか?」
ラバたちは答えました。
「前者はオーマズドに語り掛けられ、後者は悪魔に語り掛けられたからです。なぜなら、これらは人間の中に宿り、そのまま現れるからです」 - カピーリャは言いました。
「納得の答えです。だからこそ、あなたたちに祭壇を築き、供物を捧げるように命じたのです。なぜなら、それらはあなたたちの魂の表現であり、あなたたちが破壊者よりも創造主に仕えることを望んでいることの証明になるからです」 - これは古代のザラツゥストラの教義でもありましたが、他の哲学者たちは自分の考えに驕り、こう言いました。
「人は石や木の祭壇を築かずに、心の中で礼拝できないのだろうか?」
群衆は彼らの言葉に耳を傾け、さらにこう続けました。
「そもそもどうして礼拝するのだろうか?」
こうして彼らは闇に落ちていきました。
外面的な礼拝の表現を持たない魂は、地獄の淵に立っているのです。 - 通りすがりに祭壇を見たら、礼拝と創造主オルマズドへの思いが強く湧き上がり、魂は高みへと導かれます。悪や悪への誘惑を見ることは、魂が闇に導かれることになります。ですから、男女を問わず、身なりには慎み深くいなければならないのです。しかし、供物を捧げる祭壇は数多く設けなさい。
- カピーリャは尋ねました。
「第一の毒とは何だと思いますか?」
ラバたちは、カピーリャが博学で知恵に富んでいることを知っていたため、どう答えてよいか分からずにいました。
カピーリャは答えました。
「第一の毒とは自分自身のことです。
ある人が『儀式や祈りは愚かで無学な者には良いものですが私には必要ありません』と言ったとします。
私はあなた方にこう言います。
その人は第一の毒に酔っているのです。
その者の息があなたたちに吹きかかるのを許さないでください。そこから破滅の楔が打ち込まれてしまいます」 - カピーリャは言いました。
「第二の毒とは何だと思いますか?」
しかし誰も答えないのでこう言いました。
「第一の毒は第二の毒を生み出します。それは他者を導き、支配したいという欲望です」
ラバの一人タアイはこう尋ねました。
「指導者なしで、どうやってやっていけるというのですか?」 - カピーリャは言いました。
「誰にも導かれはなりません。善人とは『あらゆる光』を体現した姿なのです」
カピーリャは尋ねました。
「最良にして最も危険なものとは何だと思いますか?」
ある者が答えたら、別の者は他のことについて答えました。
カピーリャは言いました。
「最良にして最も危険なものとは言葉です。
善いこと、喜びのこと、愛のこと、オーマズドとその素晴らしい創造物のこと、生と死のこと、永遠の幸福のこと、これらは善い言葉であり、魂に大きな幸福を与えるものです。
悪のこと、邪悪な行いのこと、そういった隣人、嫌らしい振舞いや発言、これらは悪魔の懐を豊かにします。 - ある三人の男が大きな町を旅しました。彼らが家に帰ると、近所の人々が集まって彼らの旅の話を聞きました。
旅人の一人は見たもの、良いことも悪いこともすべて語り、もう一人は見た悪いことばかりを語り、もう一人は見た良いこと、喜びや最も美しいものばかりを語りました。
さて、この三人の中で誰が御父の王国のために最も貢献していると言えるでしょうか?」
ラバたちは言いました。
「最後の者です」
カピーリャは言いました。
「その通りです!
ですから、互いにそういった人になりなさい。そうすれば、言葉は危険ではなく、むしろ世のためになるのです。 - 世の中の悪事を語るのに悪人の数は十分足りています。善を語りなさい。常に清い地を歩むことによって、言葉と行いにおいて清くあり続けることができるからです。
- 霊魂と人間の両方を吟味しつつも、言葉に華やかさを求めてはいけません。なぜなら、その華やかさはしばしば毒を隠し、あるいは気づかないうちに感覚を蝕むからです。むしろそういった言葉を、人生に喜びをもたらす聖なる考えや善なる喜悦とならないか探ってみてください。
欺瞞者、嘘つき、放蕩者を厳しく批判する者は、悪魔がもたらす地獄の火消し人です。その者には何も答えてはいけません。そうしないとあなたたちの言葉が罠となり、あなたたち自身を捕らえてしまうからです」
【6章】
- カピーリャは3年間、ヴィンデュの地を東西南北に旅し、信仰者たちを見つけるたびに定住させました。そして、荒れ果てて耕作されていない土地をすべて彼らに与えていきましたが、人が住み、開墾された土地には手をつけませんでした。
- こうして地方の使用人たちは主人のもとから逃げ出してジェホヴィの土地へと移住したため、その影響は計り知れないものとなりました。そのため、総督や属国の王たちはカピーリャに対して不満を訴え、そのことはカピリヤの養父である大王ヨコヴラナに報告されました。
王は使者を派遣し、息子のカピーリャを首都へ召還し、この告発に回答させました。 - カピーリャが王室評議会の前に立つと、王はカピーリャに「どうしてお前がこの場にいるのか分かるか」と問われると、カピーリャはこう言いました。
「偉大な王の下僕が答えるその言葉はいずれも『束縛された言葉』です。しかしカピーリャの口から出る言葉はすべて、カピーリャが自分の言葉として発するものです。
死者の霊魂に操られた舌を持つ者は、自分の言葉に責任を負わないと言う者がきます。しかしカピーリャはそんな輩が入り込む穴を微塵も持ちません。
自分の肉体、欲望、情熱、そして言葉を制御できることは実に偉大な才能です。
カピーリャはこのことを断言します。それゆえ、カピーリャはすべての言葉において責任を持って発言します。 - 王室評議会の諸君、我らが偉大なる王ヨコヴラナに仕える諸君、カピーリャは王によってここに召集され、王室評議会の諸君らによる告発に答えます。
これらの告発は、カピーリャがいくつかの植民地を設立し、それによって属国の王や富裕層の臣民を誘引し、他の人々に不信感の種を蒔いたというものです。 - カピーリャはこれらの告発に答えるためにここに来ました。さあ、カピーリャの答えを聞いてください。
王位継承者であるカピリヤは、王に旅の許可を願い出ました。王はカピーリャにこう言いました。
『連合王国にとって良いことと思われることは何でも行うがよい』
王は確かにそう言いました。違いますか?」 - ヨコヴラナは言いました。
「その通りだ、息子よ」
するとカピーリャは言いました。
「カピーリャは9年間、遠くまで旅をしましたが、貧しい人々の惨めさと富める人々の栄光に心を痛めました。
カピーリャは多くの森や平原に誰も住んでいないのを知ると心の中でこう思いました。
『貧しい人たちをここに来て暮らさせよう』
しかしカピーリャは貧しい人を誰一人も呼びませんでした。
ではカピーリャが心の中でそう呟いたのは悪いことだったのでしょうか?」 - 王は言いました。
「まさか、そんなはずがあるまい」
するとカピーリャは続けました。
「こうして長い期間何もせずにいた後、カピーリャは二度目の旅に出ました。森や平原に着くと、なんと貧しい人々が集まっており、さらに多くの人々がやって来ました。
そこでカピーリャは彼らの間を歩き回り、共に賢く暮らす方法を教えました。
これはカピーリャにとって悪いことだったのでしょうか?」 - 王は言いました。
「いや、それは良いことだ」
そこでカピーリャは言いました。
「しばらくして彼らは共に暮らし、互いに助け合うことが良いことだと気づきました。そしてその噂が広まり、総督や富豪たちの使用人たちが彼らから逃げ出してしまいました。王や総督や富豪たちが、神々の苦難よりも大きな苦難のために、使用人たちを追い払っているというのは当然ではないでしょうか?」 - 王は言いました。
「当然のことだ。だがなぜ神々だと言うのだ?
この民のほとんどは神を信じていない。しかも彼らの多くは偉大なる霊魂を信じていると聞いた!」
カピーリャは言いました。
「王よ、その通りです。だがそれは彼らの問題であって、カピーリャの問題ではありません」
王は言いました。
「息子よ、その通りだ。だが、教育についてはどう言うのだ?
法律は守らないといけないのではないか?」 - カピーリャは言いました。
「あなたは王ですか?それとも死者たちの下僕に過ぎないのでしょうか?
死者の法を執行する下僕に過ぎない者をカピーリャは父と呼ぶのですか?
もしそうならばカピーリャは法に背いたことになります。ですが聞いてください、学識のある者たちよ、古代の法の一つだけを守り、他の法には従わないのでしょうか?
古代の法とは、王の死とともにすべての法は破棄され、その後、王となった者は新たな法を自ら制定するというものです。
信仰者の教育を禁じる法は古代の法です。カピーリャを告発する者たちは、彼らの好きなようにすればよい。なぜなら、もし彼らが古代の法に固執するならば、我々に法などなく、そこに王も属国の王などありません。
もし彼らが古代の法を否定するならば、カピーリャはいかなる法にも背いていないことになります」 - ヨコヴラナは言いました。
「カピーリャよ、お前は無罪である。古代の法はお前が仕える王や、その王に仕える王たちを縛ることはできない。それゆえ、これらの件に関して王室評議会は新たな法を制定しよう。
カピーリャはいかなる法にも背いていないので、新たな法を制定しても今の国家秩序を妨げるものにはなるまい」 - カピーリャは王族であったため、その王家ではジェホヴィとその天使たちの力が強大でした。
- 属国の王と総督たちの演説は、以下の通りでした。
「信仰者たちに偉大なる学問を許すことは、ディアスと彼に仕える神と主神たちを倒すことに繋がる。なぜなら、偉大なる学問を修得することで信仰者たちは最終的に王室評議会の一員となるからである。それゆえ、どんな危険を冒しても、偉大なる学問は禁じなければならない。偉大なる学問は良き奴隷制に反するものである」と。 - ジェホヴィはカピーリャにこう仰せになりました。
「この法が可決されるとき、あなたはその場にいなさい。なぜなら、そうすることで我が聖天使たちが、すべての人々の幸福のために王室評議会を支配するだろうから」 - 王室評議会は100日間この問題について議論しましたが、天使たちが意見と信仰をめぐって分裂を引き起こしたため、結局、この法律は制定されませんでした。
このように彼らが多くの時間を無駄にした後、カピーリャは国王と評議会の前で諸国の統治に関する施策に関する発言を求めると、許可されました。
カピーリャの演説の主旨は次のとおりです。
【7章】
- この世に生まれた者は、この世に生まれたという『事実』により、この世界の住人となります。
全ての人間は裸で無力な状態でこの世に生まれ、無力であるがゆえに、彼らは私たちの助けを必要としています。そのため無力な者を助けるのは最高の美徳なのです。 - 賢者2人は1人の賢者よりも偉大です。それならば賢者の国というのはとてつもなく偉大ではありませんか?
しかし、誰もが何も知らないままこの世に生まれてきます。彼らに偉大な叡智を与えることは、国民を賢くし、それは国を偉大なものに仕立て上げます。
あらゆる場所に偉大な学問への道を開くこと、これこそが偉大な王国の礎となるのです。 - 土地を耕すことは、狩猟や漁業よりも偉大ではありませんか?
開墾する者に東西南北の土地を開放することは豊かさの基盤です。
貧しく無知な人々に、食べるもの、着るもの、住む場所が与えることに罪などほとんどなく、そこから得られる美徳はより大きなものとなります。
そして、そのような者こそ王国において大きな力となります。 - それなのに開墾可能な土地を開墾もしないまま所有しているのは、何も持たない人々、つまり生きる手段も生計を立てる手段もない人々に対して罪を犯しているのです。
本当にそのような人々は国家の敵なのです。 - 政府には二種類あります。一つは政府のための政府であり、もう一つは人民のための政府です。
後者の政府は人民に支持され、人々の意志で強化されます。
前者の政府は人民を犠牲にして強化しようとする政府で、そのような政府は死の苦しみの中にあります。 - 繁栄と平和において政府と国民が一体になることこそ最高の統治です。
政府が国民に土地や水、優れた学問や音楽を惜しみなく与えることこそ最も賢明で最善の統治なのです。 - すべての欲望の頂点である自由を愛さない人間などいるのでしょうか?
政府は自らを弱体化させたり国民の愛と協力を失ったりすることなく、この自由を奪うことなどできるのでしょうか?
すべての人々に自由を与え、それを維持していくことこそが、政府がなしうる最大の善行なのです。 - しかし自由とは何か、またその目的は何かと聞かれたら、誰がうまく表現できるのでしょうか?
隣人を怒らせたり、善良な生活を奪う自由を誰も持つべきではないのです。
裏付けもない振舞いを行ったり、他人の畑に入ってその収穫物を奪う自由も持つべきではありません。
では、どうして政府は国民の意志に反して財産を奪うことができるのでしょうか?
深い学識を受けた者は、裏付けもなく怒らせたり、他人のものを奪ったりすることはないのです。 - それでは、政府にとって民衆に優れた学問を授けること以上に偉大なことは何だと思いますか?
貧しい人々に『ここに土地があるから食料を蓄えなさい』と言うだけでは不十分です。
優れた学識を持つ者を遣わし、土地を耕し、建物を建て、心身ともに清くあるよう教える必要があります。
優れた学問は書物の中にのみあるのではありません。書物に対する優れた知識を持っていても、大食漢、放蕩者、偏屈者、暴君、低俗な権力者はいます。そのような人々に優れた学問はなく、そこにあるのは大きな虚栄心だけです。 - ここにある2つの王国があったとします。一方は偉大な哲学者と大学があるものの、民衆は困窮しています。もう一方には哲学者も大学もありませんが、民衆の懐は潤っています。
さて、後者は前者よりも学問の豊かな王国と言えます。
偉大な学問とはいかに賢く生きるかを知ること以外に、他に何があると言えますか?
少数の哲学者では国家は成り立たちません。賢く生き、老後まで幸福に暮らせるような知識を国民に与えることこそ、最良にして偉大な政府の統治なのです。 - 『誰それの王は偉大である、なぜならこの王は大学を設立したからだ』とはよく聞く言葉です。これは決して些事ではありません。しかし、何千もの貧しい家庭を生み出した王よりも偉大なのは、彼らに賢く生きる術を教えた王なのではありませんか?
- 自由を阻む法律を制定し、奴隷をより厳しく縛ることは国家を弱体化させ王国を弱体化させることです。ある男には10人の自由の身の召使がいましたが、そのうちの9人を鎖で縛り、働きが芳しくないと文句を言いました。
この者は愚か者です。 - 国家を犠牲にして私事を働くのは国家を奪うことであり、財産を蓄えることは貧者から掠めることです。
人はこの世からどれほどの宝を運び出せるのでしょうか?
それよりも生きているうちに与えた方がよいのです。なぜなら、明日私たちは死ぬからです。だからそれを稼げなかった者たちに残すのです。 - 最高の安らぎとは魂の安らぎであり、それは全てにおいて自らの光に従って最も賢明で最善のことを行なったという意識から生まれるものです。
結局のところ、地上での生活は始まりに過ぎず、私たちが子宮の中にいるかのように、死後に訪れる『魂の状態』を形作っていると言えるのではありませんか?
だからこそ、私たちは時の流れを機敏に捉え、互いに正義を行うことを心掛けるべきなのです。
【8章】
- 王と王室評議会はカピーリャの偉大な叡智を目の当たりにし、出席していた人々は誰もが言葉を失っていました。
しばらくして王は言いました。
「我らの祖先は血によってディアス信仰を確立したのではないのか?
信仰者たちを迫害して逃亡させるのか?
逃げ出した種族を集めて養い、彼らに襲い掛かり、噛みつかれるのか?
勇敢な武力でディアスを守るべきではないのか?」 - これに対しカピーリャは答えました。
「ディアスの戦いには、ヴィンデュの神で十分です。もし王がディアスの戦いに馳せ参じなければならないのであれば、ディアスは実に弱い神ということになります。
カピーリャはそのような弱い神を信じたり、そのために働いたりすることなど、絶対にしたくありません! - 王よ、あなたの御言葉は正しいです。我らの祖先は血によってディアス信仰を確立しました。
しかし、古代の学問にも現代の学問にも、ディアス信仰を血によって保つべきという法はどこにあるのでしょうか?
あなた自身も、祭壇で人の血を捧げることを禁じる法を定めていませんでしたか?
それならばこのようなことを続ける戦場は、本当に神聖な場所と言えるのでしょうか? - 人は復讐を愛します。そして、人は正義よりも復讐のために、他人に危害を加えたり滅ぼしたりすることを望むものです。
しかしこの世の全ては因果応報、復讐は復讐に、血は血に、戦争は戦争の報いを受けます。そして、同じ法則が、徳には徳を、愛には愛を、平和には平和を、善行には善行を生みます。
なぜなら、こうしたことに対して大きな役割を果たすのは、外的な肉体ではなく私たちの魂だからです。 - 王室評議会の一人が尋ねました。
「儀式や式典についてどう考えていますか?」
カピーリャは答えました。
「儀式や式典がなければ、国家、組織、そして国民の精神的な支柱は、衣服を脱ぎ捨て、この世に辟易しながら入水自殺するようなものです。軍隊の兵士には訓練、つまり規律が必要ですが、同じように崇拝者にも儀式や式典が必要です。それは創造主への畏敬の念を魂に刻み込む訓練なのです。 - しかし、どのような儀式や式典であるべきかは私が言うことではありません。なぜなら、これらは自由に選んで差支えのないものだからです」
- 王室評議会の一人が尋ねました。
「悪人の中にも大きな喜びと楽しみを持つ者がおり、徳高く賢明な者にも、大きな試練と苦難を受ける者がいます。
それではあなたの哲学は、正義と善行を実践する者にどのような褒美を与えるのでしょうか?」 - カピーリャは言いました。
「私が見たままをあなたが見て、私が聞いたものをあなたにも聞こえるのであれば、この問いに答えるのは容易なのですが、まずは古代の教えにも啓示されている偉大な真理をあなたたちに伝えます。
今生きている人生は真の人生ではなく、胎児の状態です。現世で喜びと楽しみを得た人の多くは、天国で赤子として目覚めます。一方、徳高く賢明ながら、この世で大きな苦しみを味わった人の多くは、天国では力と栄光を持って目覚めます。そのため現世で試練と努力を積み重ねた生涯は安らぎと楽しみの中で暮らすよりも望ましいのです。なぜなら、前者は魂の成長を目指すものであり、後者は魂の退化を引き起こすからです。しかしながら、厳しい試練は誰にとっても大きな不満があります」 - 国王と王室評議会は、カピーリャが他の誰よりも才知が優れているのを見て、国王は彼らにこう言いました。
「世界中を探しても、息子を裁くほどの知恵者はいない。これについてどう思うか?」
彼らはこう答えました。
「その通りです」
そこで国王は言いました。
「カピーリャよ、国王の命令を聞くがよい。
今回のことは世界のすべての王国におけるお前に対する法となる。お前は地上で最も偉大な王によって裁かれ、無罪放免となり、人間の支配を超えた存在であると宣言する。
お前はどこの国でも望むところへ行き、望むことを何でもしてよい。誰もお前を逮捕したり、禁じたりすることはできない。そしてお前が制定した法は、いかなる王もそれを覆すような法律を制定してはならぬものとする。
お前が息子でなければ、神の子とでも言うのであろう!」 - 王の勅令は記録院に記録され、その写しはヴィンデュ全土の従属都市と王国に送られました。
ヨコヴラナはカピーリャの演説の写しを作成させ、「法の礎」という名の下に王と評議会によって記録・署名されました。 - ジェホヴィはカピーリャにこう仰せになりました。
「私はこの地が何百年もの間、戦争を続けるのを看過してきたのは、彼らが今回のことを成し遂げるためです。
ご覧なさい、彼らは平和と自由の教義を躊躇うことなく受け入れています」 - カピーリャは法について尋ねるとジェホヴィはこう仰せになりました。
「これ以上悩まれるな。私の手は王と議会の上に翳しています。彼らはあなたの言ったことを法として承認し制定するでしょう。
さあ、息子よ、私に選ばれし者たちの中に進み出て、儀式と祭儀を新たに確立しなさい」
【9章】
- カピーリャがウェストゥチャウアウに着くと、ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私があなたとラバ長の名を冠した12の植民地に使者を遣わし、そこに彼らを召集しなさい。あなたは彼らに同じように教えを授けてください」 - 植民地は、タダイス、ルウェラート、ハダラクス、トワカ、ドルムストダッタ、ギバラトゥ、ヨン、テミスタ、ヴラチャオ、エボタ、エウェン、スラヴァトであり、各植民地には大祭司(ラバ)1人と随伴する3人のラバが派遣されたため、合計でラバ長13人とラバ39人となりました。
カピーリャは、古代ザラツゥストラ人の慣習に従い、彼らに鍔のない赤い帽子を被らせました。 - ジェホヴィはカピーリャにこう仰せになりました。
「若くよく成長した20人の乙女と、子供を産んだ経産婦20人を選びなさい。そしてザラツゥストラ人の娘たちの慣例に倣い、耳当て付きの青い帽子を被らせなさい」 - カピーリャは彼らに帽子とエプロンを着せると、怠け者や観衆が不用意に近づかせないようにするため、ラバと女性たちを山頂へと連れて行きました。
山頂でカピーリャは言いました。
「あなたたちが幼かった頃、私はあなたたちのために祈りました。今、あなたたちは成人したのですから、今度は自分たちの言葉で創造主を崇拝しなさい。
それぞれ石を持って来て、そこに投げなさい。なぜならそれが私たちをジェホヴィに捧げる祭壇となるからです。
私がするように、あなたたちもそうしなさい」 - 彼らは全員石を取り、それを積み上げていき、まだその近くで控えていた時、カピーリャは両手を天に挙げてこう言いました。
「御父よ、私が何の力も持たずにいた頃、あなたは私を養ってくださいました。私の母と父とラバは私のために祈り、あなたについて教えてくださいました。
それゆえ、私は感謝と賛美をもってあなたを称えます。
今、私は力を得たので、あなたの前にまっすぐに立ち、あなたを賛美し、異教徒のように司祭に祈ってもらうのではなく、自分の言葉でお祈りを捧げます」 - あなたが私を男(女)にしてくださったので、私はあなたの御前で自分の存在を証明するべく努力します。
私がここに投げ入れたこの石をあなたに対する私の誓約とし、今から世俗への情熱と欲望を捨て去ると誓います。
両手をあなたに捧げたこの私を、御父なる神よ、どうか正しい道に御導きください!」 - この言葉を全員が唱え終えるとカピーリャは祭壇の周りを一周し、他の者たちもそれに続きました。それからカピーリャはこう言いました。
「全能の神ジェホヴィ(オーマズド)よ、栄光は永遠にあなたの下にあります!
あなたは山の頂にも谷にもおられます。あなたの円は世界の円です。
私はあなたと共に円の中へと歩いていきます。あなたは永遠に私の傍にいます。
あなたの光は私の魂の栄光でもあります。
山よ、谷よ、彼の御方を謳いましょう。月よ、星よ、謳いましょう。
彼の御方の御手があなたたちを支え、その息吹はこの世界のあらゆる物を動かすのです! - あなたの中に私は生きています。あなたによって私は造られました。
ああ、あなたの御業を辱めて、あなたの前で恥をかかないように。
あなたは臨在する御方であるため、私はあなたを畏れ、あなたから隠れられないがゆえに、私は極めて慎重に行動します」 - カピーリャは祭壇に座りこう言いました。
「ここから少し行って、戻って来なさい。ジェホヴィの祭壇に近づく方法を教えます」
人々は命じられたとおりにカピーリャの近くに寄ると、カピーリャは言いました。
「誰が来ますか?」 - さて、カピーリャを通してジェホヴィが子供たちに教えられた質問と答えをここに記します。
- 「ジェホヴィ(オーマズド)の崇拝者よ。ご覧なさい、敬虔さと善行、そして互いに助け合うことで知られる私の民の祭壇を」
- 「ジェホヴィとは誰ですか?」
- 「臨在せし御方です。
彼の御方はあらゆる場所と空間を埋め尽くしています。
彼の御方は私を創造し、彼の御方とその御業を崇拝するように私に教えてくださいました」 - 「なぜあなたは他の場所ではなくこの地に来るのですか?
もし彼の御方が臨在するのであれば、他の場所で礼拝してもよいのではありませんか?」 - 「彼の御方は、清く善良な子供たちと共に留まるよう、守護天使を遣わします。この天使たちは、私の魂が特定の場所と時間にジェホヴィに捧げられるのを望んでいます。
この聖天使たちを通して、彼の御方は知恵と愛をもって私に教えを授けてくださいます」 - 「天使はあなたの守護者にして支持者であるのに、なぜ天使を崇拝してはいけないのですか?」
- 「主神や神といった天使の名を呼ぶのではなく、偉大なる霊魂であるジェホヴィの御名を呼ぶことが私の宗教です。天使や主神、あるいは神の名を呼ぶ者は彼らから答えを得ますが、創造主の御名を呼ぶ者は、至高なる創造主から答えを得ることができます」
- 「ジェホヴィはどのようにあなたに答えられるでしょうか?
彼の御方には唇や舌、口があるのでしょうか?」 - 「ジェホヴィは万物の魂であり、魂に語りかけています。その声には多くの呼び名があり、異教徒や偶像崇拝者からは『良心』と呼ばれています」
- 「彼の御方を崇拝することで、あなたに何の得がありますか?」
- 「私は彼の御方で占められており、そのためこの讃美の気持ちを表現するべく、彼の御方と交わりたいと思うのです。この願望を持たない者は悪人です」
- 「彼の御方はあなたの祈りに答えてくださるでしょうか?
いつもと違うお祈りをしたら、他の人よりも多くあなたの所に来てくださるのでしょうか?」 - 「馬が飼い葉桶から水を飲んで育つように、正義の人間は永遠の泉であるジェホヴィから水を飲み、自分の祈りに応えながら魂は成長していくのです。しかし、この世の全てはジェホヴィからもたらされ、ジェホヴィの歩みはいつもと変わりません。なぜなら常在の御方であるジェホヴィは、人間の魂の祈りにいつもと変わらぬように応えてくださるからです」
- 「神はどんな祈りに答えてくださいますか?
また、答えられない祈りはどのようなものですか?」 - 「彼の御方は純粋と愛と知恵と徳を求める祈りに応えます。他人に善行を施す許可を得るための祈りであれば、彼の御方は必ず応えます。
彼の御方は利己的な祈りや、邪まな祈りに応えません。それゆえ、悪人は『神は祈りに応えない』と言うのです」 - カピーリャは言いました。
「愛する者たちよ、あなたたちはジェホヴィの祭壇に近づくとき、私が教えた賢い言葉を唱えなさい。ただし、偶像崇拝者のように大声で唱えるのではなく、ささやくか低い声で唱えなさい」 - 「ジェホヴィに選ばれし者たちの礼拝とはどのようなものでしょうか?
また異教徒の礼拝とどこが違うのでしょうか?」 - 「ジェホヴィに選ばれし者たちは御父の前において平等であり、誰もが現世でも来世でも彼の御方の復活を果たすことでしょう。そのため彼らは直系の崇拝者であり、自分たちの祈りと歌でジェホヴィを崇拝するように教えられています。
異教徒には人々のために礼拝する司祭がおり、人々はその儀式のために彼らに金銭を献上します。異教徒の司祭は死者の霊魂を崇拝し、この霊魂は自分のことを主神、神、救世主と呼びます。選ばれし子らは戦争をせず、暴力を振るわれても恨むことなく、善によって悪に応え、慈善と愛を実践します。
神や主神、ディアス、その他すべての偶像を崇拝する異教徒は戦争を行い、兵士の軍隊を維持し、大虐殺の技術を教え込まれます。彼らは人間の記念碑を建てたり、さもなければジェホヴィを冒涜します。
彼らは、ジェホヴィは空虚であり、自らを巨人ディアスとなり、万物を創造した後、その御業を律する一定の法則を残して玉座に退かれたと教えています」 - 「生活におけるザラツゥストラの法とは何のことでしょうか?」
- 「ジェホヴィが生命の息吹を吹き込んだいかなる肉も食べないこと。
毎日一度沐浴すること。
朝日とともに起き、すべてのことにおいて節度を保つことです」 - 「ザラツゥストラ人の父と母とは何のことでしょうか?」
- 「一夫一妻とし、特に妊娠期間中は母胎の神聖性を保つことです」
- 「ザラツゥストラ人の補填とはどのようなものでしょうか?」
- 「万物はジェホヴィの所有物であり、人間はジェホヴィの下僕に過ぎません。大地と全労働の果実はラバの家に送り込まれ、ラバによって困窮者に届けられます」
- 「ザラツゥストラ人はなぜ迫害され、滅ぼされたのですか?」
- 「彼らは暴力で抵抗せず、異教徒の偶像を崇拝しなかったからです」
- 「彼らには自分たちを救う術はなかったのでしょうか?」
- 「ジェホヴィは彼らに特定の印と合言葉を与えました。それによって彼らは互いを知り、苦難の時には互いに助け合って逃げ延びるようにしたのです」
- 「どうしてジェホヴィは選ばれし民を守らなかったのですか?」
- 「割礼の法により信仰者たちはジェホヴィ(オーマズド)の知識を守るために、信仰者たち同士でしか結婚しませんでした。こうして神聖性を守り、逆に世俗のものや偶像崇拝を追い求めた者たちとの縁を断ち切りました。しかしこうした状況下にあっても、ジェホヴィは異教徒の中にスイスの継承者を育むことで、信仰者たちの子孫に利益をもたらしたのでした」
- カピーリャは言いました。
「あなたたちの子供たちにこれらのことを幼少の頃から教え、これをその子供たちにも教えていくように言い含めなさい」
【10章】
- ジェホヴィはカピーリャにこう仰せになりました。
「あなたは私の選ばれし民がこの儀式と式典と教義を学ぶまで彼らと共に留まりなさい。その後、私が導く別の地へ行き、そこでも同じことを同じ方法で教えなさい」
カピーリャは偉大なる霊魂の仰せのままにこれらすべてのことを行いました。 - カピーリャが説教を始めてから5年目のこと、ジェホヴィの御声がカピーリャのもとに届き、こう仰せになられました。
「ご覧なさい、あなたの養父の死期が迫っています。
あなたは彼のもとへ行き、彼が亡くなる前に保護の法を制定させなさい。そして彼の死後、あなたが即位した暁には、その法を批准し、その後退位しなさい」 - そこでカピーリャは、熱病にかかっていたヨコヴラナ王のもとに戻りました。
王は言いました。
「ああ、息子よ、息子よ!
お前を見る前に死ぬのではないかと思っていました。
あと数日で、私の命は尽きるだろう。お前が王となるのだ。
よく考えるのだ、まだ私が生きている間にやってほしいことは何だ?」 - カピーリャは言いました。
「王室評議会を召集し、ブラフマー人、ザラツゥストラ人(信仰者)が所有し、耕作し、今なお居住している土地を、永遠に彼らの所有物とすることを保証する法律を制定してください」 - 王はこれに同意し、法律が制定されました。これは世界中のどの王であっても信仰者たちに与えた土地は彼ら自身のものであるとする最初の法律でした。
そしてこの法律は、信仰者たちが独自の方法で礼拝を行い、またいかなる軍隊にも兵士として徴兵されないことを規定したものでした。 - 法が制定された後、ヨコヴラナはカピーリャに言いました。
「どうしてお前は即位するのを待たずにお前が望む法を制定したのだ?そうすれば、生きている間に廃止されなかったものを。
私は間もなく死ぬ。そうなったらこの法も私と共に失効してしまうのに」 - カピーリャは答えました。
「即位の日に古代の法に従い、私はあなたの法を拘束力の法として批准します。もし私が即位するまで待っていたら、いかなる個人も耕作した土地以外を所有せず、居住する共同体からの寄進によってのみ、かつ生涯のみ所有し、その後は共同体に寄進するという私の教義に縛られていました」 - ヨコヴラナは言いました。
「息子よ、お前は賢い奴だ!
お前が理解できないことなど、いったい何があるというのだろうか?」
王はしばらく休んだ後、こう言いました。
「カピーリャよ、お前は何度も天使を見たと言っていたが、彼らは一体誰なのだ?」 - カピーリャは言いました。
「かつてこの地球に住んでいた者たちです。彼らの中にはかつて他の星に住んでいた者もいました」 - 王は言いました。
「お前がそう言うならば、きっとそうなのだろう。儂は、彼らがこの空間で暮らす者とは別の存在で、ここで暮らしたことがないのではないかと時々思っていた。
カピーリャよ、お前はすべての霊魂は不滅だと言うのか?」 - カピーリャは言いました。
「彼らはそのように生まれました。しかし、すべての人間が永遠の命を受け継ぐわけではありません。肉体が滅びるように、人間の霊魂も消滅します。永遠の生命に対する信仰を得た者たちの果実は安全ですが、永遠の生命に対する信仰や創造主への信仰を失った者たちに対して、私は彼らとその子孫を悲しく思います」 - 王は言いました。
「どうして神託は嘘をつくのだ?
神託は天使の言葉だろうに」 - カピーリャは言いました。
「もし人間が自分で考え吟味しないなら、創造主はその者が嘘を真に受けるのを許すでしょう。天使と人間を信じないようになった者は賢者であり、この時、その者は真理の存在である創造主に立ち返ります。
これが知恵の始まりとなります。
この世には現世で善行をしようと思わない、魂の矮小化した善良な人間がおり、そういった人々を考え直させるために『蛇の牙』を必要とするのです」 - 王は言いました。
「儂はこれまで多くの人間を殺してきた。この儂が罪を犯したと言うのか?」
カピーリャは言いました。
「創造主に尋ねてみてください。私はあなたの裁判官ではありませんし、他の誰の裁判官でもありません」
王は尋ねました。
「もし人間が殺されてもその霊魂が生きているならば、殺しても大した意味はない。この世でその者の肉体を葬り去ったところで、霊魂は戻ってきて報復できる。そうではないか?」
カピーリャは言いました。
「その通りです、王よ」 - 王はしばらく考えてからこう尋ねました。
「息子よ、儂らが殺した者たちの霊魂が天界で儂らを捕らえて傷めつけてくることはできるのか?」
カピーリャは言いました。
「その通りです、王よ」
王は言いました。
「奴らは先に天界にいるから、戦いでは有利になろう。もし奴らが徒党を組んで、そこに指揮官(悪魔)がいれば多大な被害を蒙るだろう。
カピーリャよ、お前の哲学にとって重大な助言をしよう。それは、死が近づくと、儂らはこれまでの人生で何をしてきたかを振り返り、魂が震え始めるのだ。
時々、ディアスに言おうと思っていたことがある。
『今からあなたにお願いをする!』
だが彼が受け入れてくれるような物を何も持ち合わせていないことに気付くのだ。
儂らは健康と繁栄においてはなんと強く、そして逆境と死においてはなんと弱いのだろう!
祈れば天界での儂の立場は良くなるのだろうか?」 - カピーリャは言いました。
「私は天界の主ではありません。もしそうであったならば、私のあなたへの愛が、あなたをあらゆる闇から守るはずです」
王は言いました。
「あの司祭は、金を払えばディアスにとりなしをし、天界での高い地位を与えてくれると言っていた。儂が思うに、あやつは嘘をついている、なぜなら、ディアスはあやつのことを何一つ支配していないからだ。
わずかな知恵しか持たぬ儂でも、この2つのことが分かった。王の給仕人とディアスの給仕人は、大層な口調で言うが、約束をほとんど守らない。
息子よ、この2人には気をつけるがよい。 - 儂が優れているのは、知恵よりもむしろこの思慮深さにあると自負している。この世のあらゆる戦争と悪の根底には、奴らがいる。奴らは神々さえも欺くことができると聞いている。
カピーリャよ、お前が王になった暁には、この件にお前の知恵を注ぎ、奴らに容赦してはならない。
奴らはこの世界の呪いである。儂は奴らをなぜもっと多く殺さなかったのかと悔いている。
このことでは、儂の良心が苛むのだ」 - カピーリャは言いました。
「良心は人間の一部に過ぎないのですから、誤ることもあるのではありませんか?
良心は知恵を得るためにそれとは別の何かに依存しているのだと思いませんか?
結局のところ、その時、最適で最善と思えることを行ったならば、法を実行したということになるのではありませんか?」 - 王は言いました。
「そう思う。良心はその過誤や正義が受けた教育に左右される。しかし、良心とは心の病ではないだろうか?
何かをしなかったことを後悔する、何かをしたことを後悔する、これらは取り返しのつかない不満となる。こうしたことを前もって言える者や、いまだに過誤なく生きられる者は本当に賢い。
この世に生まれた人間は、せいぜい短い間しか生きられないことを儂は知った。若い時は死ぬことを嫌がるものだが、年老いた身ではこれ以上生きたくはない。
明らかに、人間を創造した神は、儂らが自分のことを支配する以上に、儂らを支配しておる」 - カピーリャは言いました。
「その通りです。人間はせいぜい、自分のことを半分程度しか支配できないのです」
ヨコヴラナは言葉を遮ってこう言いました。
「息子よ、私にはもう時間がないので、ここで少し話を遮らせてもらう。
死にゆく者にとって最大の慰めとは何かを尋ねたい」 - カピーリャは言いました。
「死にゆく者にとって大きな慰めが2つあります。
1つは跡継ぎがいないと知ることと、もう1つは高貴な息子を残すことです」
王は言いました。
「息子よ、お前は賢い。儂が神託所の司祭に同じことを聞いたところ、奴はこう言った。
『死にゆく者の霊魂が天界の楽園に入ると信じることだ』
そこで儂はこう言った。
『正直者はそのような信仰を持つことはできない。なぜなら、そのような運命は、罪によって天界を欺くことになるからだ。もし儂が創造主ならば、世界の半分の首をへし折っているだろう』
それでも、霊魂に関するそのような物語は愚かな死にゆく者を喜ばせるだろう。
息子よ、お前だけが、死にゆく者にとっての最大の慰めを語ってくれた。 - 儂の奴隷たちは王になるという信念を持っているのかもしれぬが、それが愚かだったと気付くことだろう。
人間は自分の霊魂が天界の楽園に入ると信じているのかもしれぬが、その者が目覚めたら、その誤りに気づくだろう。
保証のない信仰は愚かなものだ」 - カピーリャは言いました。
「自分の知識について1つでも知ろうとする者は、あらゆる叡智の中でも最も偉大なことです。
あなたのように、死の直前に哲学者となるのは偉大な魂であることの証です。
これに到達した者は少ないのです」 - 王は言いました。
「あなたの前では、私は知恵に欠ける。
お前は謎めいた存在だ。お前の母は、長い闘病の苦しみから解放されるために医者に殺されたが、賢くはなかった。儂については偉大なだけで、賢くはない。
儂は人々に畏敬の念を抱かせることはできる。だがお前は愛の秘訣を知っており、それは偉大なことだ。
カピーリャよ、お前の名は、儂の名が忘れ去られても長く尊ばれるだろう。しかし、儂は世界で最も偉大な王なのだ。
ああ、儂の最も素晴らしい息子よ!」 - カピーリャは言いました。
「王よ、あなたは私に偉大な学識と王の立場で父の気遣いを与えてくださったのですから、私があなたの名誉にどうしてならないのでしょうか?
あなたが天界で私を見てくださるとき、私への希望を失わないでください」 - 王は言いました。
「天使が定命の人間の同胞をあまり近くで見るのは賢明ではないようだ。もしそうでなければ、彼らは決して上天に昇ることはできないだろう。
予言者たちは我々の周囲に天国と天使が常に存在すると言っている。儂が思うにそれは嘘である。嘘でないなら、彼らにとってそこは天国というより地獄になろう」 - 王はしばらく休んだ後、こう言いました。
「お前に何を言うべきかずっと考えていた。もうすぐ血が止まりそうだからだ。
人間などせいぜい神々が弄ぶ玉に過ぎないのだと、私はこれまで以上に思うようになった。誰が知るだろうか、今ごろ彼らは私を地獄のようなゲームに利用できたと、内心でほくそ笑んでいるのかもしれぬ!
ああ、人間に物事を見極める立場があればよいのに!
ああ、人間に確固たる尺度と基準があればよいのに!
死者の霊魂や神託所の神々を調べてみたが、どれも嘘、嘘、嘘だった!」 - カピーリャは言いました。
「私たちの魂の中にある小さな火花というのは、まさに始まったばかりであり、もし正しく育てることができれば、その輝きは日々明るく澄み渡るはずです。というのも、この世の全てのものは育てられることで成長していくからだとは思いませんか?」 - 王は言いました。
「正しく生きるのだ!
息子よ、これが重要なことだ。そのために世界は人の血で塗りつぶされてきたのだ。
正しく!
この言葉の意味を本当に誰が知っているというのだ?
ああ、私の敵は何が間違っていて、そして私は何が正しいのかをはっきりと見抜いていたら良かったものを!」 - 彼は再びしばらく休んでからこう言いました。
「死の間際、儂に何が待ち受けているのか垣間見れると思っていたが、死といえども静かで暗く、人を欺くものだ。儂の身体は全体的に弱まっている。これは儂が良き血筋に生まれたことを物語っている。これでお前が息子でなかったら、儂はもっと喜べた。もしそうであれば、儂はここで自分の血筋が絶えたと知り、上天に行けたであろうから。だが今は、儂はお前を想って長い間地上に住まわなければならぬかもしれない。
お前の知恵と愛があったとしても、今やお前が他の誰かの息子であった方がよかったと思っている。そうであれば儂は楽に死ねるし、お前を残して死んで行くことにそれほど未練もなかっただろう。
儂には他に親族はいないのだ」 - カピーリャは言いました。
「ああ、王よ!
あなたは私の心を二つに引き裂きました!
私は本当はあなたの息子ではないのです!
あなたの妻が暗い部屋に横たわっていた時、天使たちが私を盗み、その場所に連れて来たのです。
私を育ててくれたのが母であり、その夫が私の父です。
私はザラツゥストラ人の血を引く信仰者のバラモン教徒なのです!」 - 王は言いました。
「本当か?そんなはずはない!乳母を呼んでこい!」
カピーリャは乳母を呼び入れると、王はこう言いました。
「お前を処刑する前に、聞きたい。この者はお前の息子で、お前の夫がその父なのか?」
彼女はこう答えました。
「私はジェホヴィに誓いを立てており、あなたにお答えできません。ですから、私に判決を下してください。
私は長年、重荷を背負って生きてきました」
見てください!
この時、天界の天使が現れたのです! - ジェホヴィの天使が王の前に現れると、全員がそちらに目をやると天使はこう言いました。
「王よ、カピーリャはお前の息子ではない!だが、そこに何の罪も犯されていない!」
そう言うと天使は姿を消しました。 - 王は言いました。
「もしこれが神々の作った偽物でなければ、その天使は儂の妻だったのだ。
ああ、カピーリャ!
儂らの愛はここで終わってしまうのか?
儂はこの大地からすぐにも消えてしまいそうだ!」
カピーリャは言いました。
「私たちの愛は決して消えることはありません!
ザラツゥストラ人のためにあなたが行った善行に対して、偉大なる霊魂はあなたの偉大な魂にふさわしい住まいを与えてくださいます。もしあなたに過失があったとしても、あなたはそれを十分に補っています」 - 王はカピーリャと乳母に来るように合図し、弱々しく言いました。
「神々の笑い声が聞こえるようだ!
この茶番を続けるように!
儂の兄の長男は何も知らずにいる!
王国など茶番に過ぎぬ。
カピーリャよ、私を抱き上げてくれ。お前の愛らしい顔を見た後に、目の保養に空だけを見ていたい」 - カピーリャが抱き上げると、王は乳母にこう言いました。
「お前に祝福あれ!
良い子を産んでくれた!
ああ、アデン(天)、アデンよ!
この世の全ては存在する!
そして全ては何もない!」 - そして息絶え、王は死にしました。
【11章】
- ジェホヴィはカピーリャにこう仰せになりました。
「私の選ばれし民に王はいません。ジェホヴィであるこの私こそが王なのです。
ザラツゥストラを通してラバとラバ長を与えたように、あなたを通して与えました。
彼らの家族は私の家族でもあるのです。 - 私は人間の王と王国を不義なる者に与えます。なぜなら、彼らは私を認識できないからです。
私はより高次の法ですが、彼らが認識できるのは、より低次の法だからです。 - 王国があなたに押し付けられました。あなたはどうしたいですか?」
カピーリャは言いました。
「ジェホヴィよ、私はどうすればよいですか?」
ジェホヴィはこうお答えになりました。
「本国と各州で宣言しなさい。その後、法律を批准したら退位しなさい。そうすれば王国は他の者の手に渡るでしょう」 - カピーリャは即位を宣言し、カピーリャ王として知られるようになりましたが、彼は退位したためヘロエペソスが王となったもののカピーリャに恩義があったため、カピーリャは王ではなかったものの、ヘロエペソスよりも強力な信仰者たちの保護者として振る舞うことができ、カピーリャの同意なしに信仰者たちに影響を与える法律を制定することはできませんでした。
- ジェホヴィはこう仰せになりました。
「私の民は独立した民となります。彼らは私の法の下で生きるものとします。なぜなら、彼らの王はこの私だからです」 - カピーリャがザラツゥストラ人(信仰者)の復興に着手してから、彼らの保護領を設立するまでの期間は、全体で5年でした。その後、カピーリャは東西南北を旅し、散り散りになっていた民を集め、植民地を建設し、儀式や式典だけでなく、失われつつあった土地の耕作技術や、麻、羊毛、絹を使った織物作りの技術も教えました。また学校を設立し、民のために教師を派遣しました。
- カピーリャは言いました。
「第1の美徳は、すべてのものの中にジェホヴィを見出し、愛し、讃えることを学ぶことです。 - 第2の美徳は清潔です。老若を問わず、すべての民は一日に一度沐浴しなければなりません。
- 第3の美徳は、魚や肉、その他の汚れたものを食べないことです。内側に汚れを入れておいて、外側を洗ったところで何の益があるでしょうか?
- 第4の美徳は勤勉です。御父は人間に羽毛も髪も羊毛も与えなかったのですから、人は衣服を着なければならず、これこそが神の戒めの証しとなります。衣服を着ること、そして食料を確保することはすべての人々に義務付けられた勤勉です。
これらに加えて、困っている人のために働くこと、彼らに入浴と食事を与え、住居と衣服を与えることは、御父があなたの魂の価値を御父に証明する自発的な勤勉となります。
勤勉なくして、いかなる者も善行者にはなれません」 - ラバの一人がカピーリャに勤勉とは何かと尋ねました。これに対しカピーリャはこう答えました。
「有益な結果を得るために絶えず活動し続けることです。日の出前に起き、日の出までに沐浴し、宗教儀式を執り行い、その後は日没まで厳しくではなく楽しく働くこと、これこそが勤勉となります。
勤勉な人はサタンの囁きに浸る暇などほとんどないのです。 - 第5の美徳も同じようなもので、労働です。
あなたたちの中に富める者は一人もいません。しかし、皆が労働するのです。あなた方が適切な労働によって肉体を強靭に鍛え上げるように、労働という行為は天界における住まいのために、人の精神を有益な成長へと導きます。
私はあなたたちに偉大な真理をお伝えします。それは、実体界の肉体を使って働かない怠け者や富裕者は、無力な幼子として天界に生まれてしまうということです。 - 第6の美徳は他のすべての美徳よりも偉大なものとなりますが、それは禁欲です。
禁欲がなければ、地上でも天界でも、誰も魂の平安を得ることはできません。
自分の利益のためではなく、まったくの赤の他人であったとしても、その人の利益になるかどうかをよく考えなさい。
第6の美徳がなければ、家族は平和に暮らすことはできません。 - 第7の美徳は愛です。
あなたが語るとき、その言葉が愛を育むものかどうかを考えなさい。もしそうでないなら、語ってはいけません。そうすれば、生涯敵はいなくなるでしょう。
しかし、もしあなたが誰かに対して正義心から良いことを言えるなら、黙ってはいけません。
これが多くの愛を得る秘訣です。 - 第8の美徳は思慮深さ、特に言葉に対する思慮深さになります。
よく考えてから話すことです。もしすべての人がこれを行えば、あなたは隣人の知恵に驚くことでしょう。
思慮深さとは調整器のようなもので、それがなければ、人はもつれた糸のようになってしまいます。 - 第9の美徳は、体制と秩序です。
弱い人間でも体制と秩序があれば、それを持たない強い人間よりも多くのことを成し遂げられます。 - 第10の美徳は遵守です。
遵守する人は、儀式や式典など、古来より善であると証明されてきたものを受け入れることができます。遵守しない人は、最古の慣習にまで遡って、現世における自らの利益を放棄することになります。 - 第11の美徳は規律です。これは個人と家族のためのものであり、規律を持たない者は、乗り手のいない競走馬のようなものです。
起床時間、食事の時間、祈りの時間、踊りの時間、労働の時間。これらは誰にとっても善いものですが、互いに一致団結して規律を守る家族は『規律者』となります。 - 第12の美徳は似たようなもので従順です。
すべての善良で偉大な人は従順です。規律に従わないことを誇る者は愚かで狂人です。
従順な弱者は、反抗心の強い人よりも偉大で優れています。なぜなら、前者は家族の調和を促進し、後者はそれを破壊するからです。 - これらの12の美徳について考えてみてください。それらは全世界にとって十分な法です。
人は書物や法をいくら増やしても、これらの12の美徳を採用しなければ、家族も、植民地も、国家も幸福にはなれないのです」
原文:OAHSPE – The 1882 Edition (English Edition)
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